3分でわかる!外壁コーキングの打ち替え・増し打ちの正しい使い分け

コーキング

外壁のコーキング(シーリング)の補修方法には、「打ち替え」「増し打ち」2パターンあります。

外壁塗装などを検討するときに初めて知った、という方も多いのではないでしょうか。

 

実はこの「打ち替え」「増し打ち」は、多少金額が違ううえに、コーキングの場所や劣化状態によって使い分けが必要です。

選択を誤ると、損をしてしまったり、せっかく補修したのに不具合が出たりする恐れがあります。

 

そこで本記事では、コーキングの「打ち替え」と「増し打ち」について、違いの比較正しい使い分け方を、外壁メンテナンスの専門家が解説します。

写真や図も使ってわかりやすくお伝えしていきますので、補修や塗装は初めてという方も安心してお読み下さい。

 

コーキング補修は地味な小さい作業かもしれませんが、お家を長く保つためには非常に重要です。

正しいやり方を知って適切な工事ができようになるために、どうぞ最後までご覧くださいね。

 


1章 外壁コーキングの打ち替えと増し打ちの違い

サイディングボードなどの境目にある目地コーキング(シーリング)の補修方法は、「打ち替え」「増し打ち」2種類があります。

 

■打ち替え

古いコーキングを撤去し、新しいものを打ち込む。

費用相場:8001,200/

コーキング 打ち替え

■増し打ち

古いコーキングはそのままで、上に新しいものを追加する。

費用相場:700~1,000円/

コーキング 増し打ち

 

打ち替えは、傷んだ古い目地をカッターなどで切り取ってから、新しいコーキング材を充填する方法です。

目地撤去の手間がある分、増し打ちよりも少し費用がかかりますが、傷んだ部分をしっかり取り除くことができます。

 

増し打ちは、古い目地の上にそのままコーキングを塗り重ねる方法です。

古い目地の状態が悪いと上塗りした部分だけ剥がれてしまう恐れがありますが、作業の手間は少ないため費用はお安くできます。

 

この2つはそれぞれに長所短所があるため、施工する場所やコーキングの状態次第で使い分けるのが正しいやり方です。

次の章では、具体的な使い分け方を解説していきます。

 


2章 コーキング補修の正しい使い分け

「打ち替え」と「増し打ち」は、どちらの工法が絶対に良い・悪いというものではなく、コーキングの場所や状態によって使い分けを行います。

・基本は「打ち替え」

・いくつかの例外パターンでは「増し打ち」

となります。

 

具体的にどんな場合か、どうしてなのかをそれぞれ見ていきましょう。

 

2-1 基本的には全て「打ち替え」!

目地撤去2 平沼様

外壁塗装工事などでコーキング補修をするときは、基本的には「打ち替え」がおすすめです。

古いコーキング材を撤去して中身を新品にするため、耐久性も良くなるからです。

外壁の目地の隙間をしっかり埋めて、防水性や柔軟性を確保できます。

 

増し打ちでは、傷んで固くなったコーキングを修復できるわけではありません。

表面だけ塗り重ねても、内側の古いコーキングはまたひび割れたり隙間ができたりする恐れがあります。

また、古いコーキングと新しいコーキングがうまく馴染まず、剥がれてしまうこともあります。

 

増し打ちよりも手間・費用はかかりますが、建材のメンテナンスには打ち替えがベストです。

長持ちする良い補修のためには、基本的には目地コーキングは打ち替えにしてもらいましょう。

 

2-2 サッシ周りは『増し打ち』

コーキング補修

例外的に「増し打ち」の方が適しているのが、窓やドアなどのサッシ周りのコーキンです。

サッシ周りを打ち替えようとしてカッターを入れると、奥にある防水紙を誤って切ってしまい、雨漏りを引き起こす可能性が高いからです。

補修しようとしてかえって雨漏りの原因を作っては元も子もないですよね。

このため、サッシ周りは古い目地撤去をしない増し打ちを行います。

 

このほか、入隅(いりずみ)という部分も

・構造上の問題で既存のコーキングが撤去出来ない

・無理やり撤去しようとすると建材を傷つけてしまう

ことが多いため、増し打ちが適しています。

入隅、入角

入隅…壁同士が突き当たってへこんで見える部分のこと。

 

このような特定の箇所では増し打ちの方が良い、と覚えておきましょう。

 

☆Vカット工法

既存のコーキングが全て撤去出来ない場所は、「Vカット工法」というやり方を用いることもあります。

古いコーキングの表面で削れるところだけを削ってから増し打ちする方法です。

完全に撤去はできなくても、こうすることで新しいコーキングの厚みを確保することができます。

 

2-3 ALCの目地も場合により『増し打ち』

ALCコーキング

ALC外壁の場合は、サッシ周りなどでない縦横の目地でも「増し打ち」を行うことが多くあります。

なぜなら、ALCはサイディングよりも厚みがあって目地の溝も深く、増し打ちでも十分な量のコーキングを充填できるからです。

 

大手ALCメーカーなどでも推奨されるのが、1回目の塗装時は増し打ち、2回目は打ち替え、というメンテナンスです。

 

■へーベルパワーボードのメンテナンススケジュール

ヘーベルALCメンテナンス説明書

ヘーベルALCメンテナンス説明書

出典:旭化成建材

状態がいいうちは増し打ち、劣化が進んでから打ち替え、というやり方をメーカーも想定しています。

 

またALC外壁は新築時に、目地コーキングを打った上から塗装をしてあることが多いです。

この表面塗膜の撤去にかかる手間が非常に大きい、という点からも、最初のメンテナンスでは増し打ちが多いです。

 

ALCのお家の方は、増し打ちで良いのかどうかは専門家にしっかり点検してもらったうえで判断しましょう

 


3章 見積書は明確に書き分けてもらおう

見積もり書

コーキングの「打ち替え」と「増し打ち」は、外壁塗装工事などの中で行うことがほとんどです。

見積もりを取るときには、それぞれ何mで、いくらするのか、必ず別々に記載してもらいましょう。

業者がコーキングの補修方法をきちんと分けて考えているのか分かり、金額も適正かどうかチェックできます。

 

■正しい見積例

正しい見積例

 

■悪い見積例

悪い見積例

 

悪い例の方では、打ち替えと増し打ちがそれぞれどのくらいの量があるのかも、単価も分かりません。

増し打ちも多いのに全打ち替えと同じくらいの金額を取られてしまっているかもしれませんし、

本来なら打ち替えないといけない場所も手軽な増し打ちで済まされてしまう可能性があります。

見積もり書に明記されていないと、言った・言わないのトラブルになってしまいます。

 

適正な工事を適正な金額でしてもらうためにも、コーキングの見積もりは打ち替えと増し打ちをしっかり書き分けてもらうようにしましょう。

 


まとめ

外壁コーキング補修のやり方は主に2種類あります。

 

内容

費用

打ち替え

古いコーキングを撤去し、新しいものを打ち込む。

800~1,200円/m

増し打ち

古いコーキングはそのままで、上に新しいものを追加する。

700~1,000円/m

 

基本的には全て「打ち替え」をおすすめしますが、

サッシ周りや入隅、ALCの目地などは「増し打ち」が適していることが多いです。

状況によって正しく使い分けが必要です。

 

そのため、見積書では打ち替えと増し打ちそれぞれの単価や数量が分かるよう、明確に書き分けてもらいましょう。

 

コーキングは外壁の目地の隙間を埋めて防水するための大事な部分です。

適正価格でしっかり補修するために、本記事をお役に立てていただければと思います。

最後までお読み下さりありがとうございました。

 

【おすすめ記事】

コーキングの補修のタイミングなどを解説しました。分かりやすくまとめていますので、こちらも合わせてご覧ください。

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