軒のケイカル板が汚れてきたので塗装したいけど…
「ケイカル板の塗装方法は?」
「どんな塗料を塗ればいいの?」
「塗装の際の注意点はある?」
と気になって調べているのではないでしょうか。
ケイカル板(ケイ酸カルシウム板)とは軒天や室内の天井、外壁などに使われる不燃建材のことです。
一部出典:有限会社西井産業
主原料は水酸化カルシウムと砂で出来ており、耐火性に優れています。
また同じく不燃建材の石膏ボードと比べて、湿気に強く、反りや収縮もしにくいので室内だけでなく水が当たる室外にも使用することが出来る優秀な建材です。
ただ、ケイカル板も年数が経つと徐々に水を吸って劣化してしまったり、汚れてしまいます。
そのため塗装によるメンテナンスが必要です。
そこで今回はケイカル板の塗装時期や費用相場、施工方法について丁寧にご説明していきます。
またケイカル板を塗装する上で気を付けるべきポイントや劣化が進んでしまった場合の修繕方法についてもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
1章 ケイカル板の塗装時期
ケイカル板の塗装時期の目安は築10年です。
軒天や外壁などの室外の場合は以下のように色褪せやシミ・汚れが目立ってきます。
▪色褪せ
触った時に手に粉が付く現象をチョーキングと言います。
紫外線などで表面が劣化すると色褪せ・チョーキングが発生します。
▪汚れやシミ
特に室外は雨や風を受けるので、シミや砂埃など汚れが付着してしまいます。
天井などの室内であっても、ほこりや台所の油汚れなどが付着する場合もあるので、綺麗な状態を保つためには10年ごとの塗り替えを行ないましょう。
2章 塗装にかかる費用
塗装作業で気になるのが費用ですよね。
DIYで行った場合と業者に依頼した場合の費用をご紹介します。
2-1 DIY塗装の場合
DIYで塗装する場合、道具を準備するのに費用がかかります。
すべて揃えると15,000円~35,000円ほどです。(3~4㎡塗装の場合)
以下が塗装に必要な道具一覧です。
工程 | 準備するもの | おおよその金額 |
洗浄 | 高圧洗浄機 | 10,000~25,000円 |
雑巾 | 100円 | |
ケレン | 皮すきor やすり | 200円 |
養生 | マスカー | 400円 |
マスキングテープ | 200~300円 | |
ブルーシート | 400~1,000円 | |
塗装(下塗り・上塗り) | 下塗り用塗料(1L) | 1,000~2,000円 |
上塗り用塗料(1L) | 2,000~4,000円 | |
ローラー | 300~400円 | |
ハケ | 100~200円 | |
下げ缶 | 100~200円 | |
作業中 | 汚れてもいい服・靴 | – |
ゴーグルやマスク | 100~300円 |
※塗装する面積によって必要になる塗料の量が変わるため費用も変動します。
2-2 プロに依頼した場合
プロに依頼する場合は、30坪2階建ての軒天塗装で25~30万円ほどです。
ただし、施工場所によって費用が変わっていきます。
以下が場所別の単価相場です。
軒天 | 1,000~1,800円/m |
破風板 | 800~1,400円/m |
天井 | 2,000~3,000円/㎡(塗料のグレード次第) |
外壁 | 2,000~5,000円/㎡(塗料のグレード次第) |
足場費用 | 800~1,100円/㎡ |
高圧洗浄 | 200~300円/㎡ |
諸経費 | 1~5万円 |
軒天・破風板・外壁などの足場が必要な箇所の塗装はプラスで足場費用も加算されます。
そのため、屋根塗装・雨樋塗装など足場が必要な工事をまとめて一緒に行なうことをおすすめします。
3章 失敗を防ぐ!ケイカル板塗装の3つのポイント
ケイカル板塗装を失敗しないためのポイントをご紹介します。
初めて塗装される方は塗料選びや塗装方法など注意が必要です。
塗装を行う前にポイントを確認していきましょう。
3-1 塗装する場所に合った塗料を選ぶ
塗料を選ぶ際は塗装する場所に合った塗料を選びましょう。
例えば、
・軒天を塗装する場合は透湿性の高い塗料を選ぶ、
・室内の天井を塗装する場合は抗菌作用のある水性塗料を選ぶ、
など場所に合った塗料を選ぶことが大切です。
▼場所別の塗料選びのポイント
塗装場所 | 塗料選びのポイント |
軒天 | 屋根の熱を逃がす場所なので透湿性の高い塗料を選ぶ。 |
破風板 | 雨・風に当たりやすい場所なので耐久性の高い塗料を選ぶ。水性でも油性でも可。 |
外壁 | |
天井・室内 | 室内なので臭いの強い油性はNG。 抗菌作用や消臭効果があるものがおすすめ。 |
3-2 規定の乾燥時間を守る
塗装の際は規定の乾燥時間を必ず守って塗装しましょう。
早く作業を終わらせるために、すぐに次の工程をしてしまうと剥がれなどの不具合が生じます。
塗料ごとの乾燥時間をカタログで確認した上で作業することが大切です。
★カタログの裏面をチェック! 出典:ナノコンポジットカタログより抜粋 塗料のカタログには乾燥時間や塗装回数などの仕様が記載されています。 塗装前に確認しておきましょう。 |
3-3 足場が必要な場合はプロに依頼する
DIYでの塗装を考えている方もいらっしゃると思いますが、足場が必要な作業は必ずプロに依頼しましょう。
高所作業はとても危険で落下するとケガをしてしまう恐れがあります。
また、軒天や天井などの上を見て作業する場所は特に足元が危険です。
安全第一で塗装するのが最も大切なので、高所作業はプロに依頼しましょう。
4章 ケイカル板塗装の方法
ケイカル板塗装の方法・手順をご紹介します。
ご自身で塗装される方も、プロに頼もうと思っている方も正しい施工手順は把握しておきましょう。
4-1 高圧洗浄
高圧洗浄で汚れを落とし、塗料を密着しやすくします。
※室内の場合は高圧洗浄は不要です。濡れ雑巾等で汚れを拭いて表面を綺麗にしましょう。
~使用するもの~ ・高圧洗浄機(なければ濡れ雑巾やホースなど) ・雨具、長靴 |
4-2 ケレン
続いて凸凹している汚れや剥がれを“ケレン”して なだらかにします。
ケレンとは表面を削って滑らかにする作業です。
この作業も塗料を密着させるために重要な作業なので、凸凹面があれば必ず行いましょう。
~使用するもの~ ・皮すき(なければやすり等) ・汚れてもいい服装 |
4-3 養生
部分的に塗装する場合は周りに塗料が飛散しないように“養生”作業を行なっていきます。
特に室内の塗装は養生を怠ると家具などが汚れてしまうので、丁寧に行なっていきましょう。
~使用するもの~ ・マスカー ・マスキングテープ ・ブルーシート |
4-4 下塗り
続いて塗装の作業に入ります。
まずは塗料の密着性や耐久性を高める役割がある下塗り塗料を塗っていきます。
下塗りを塗らずに塗装すると、剥がれの原因になってしまうので必ず下塗りは行ないましょう。
~使用するもの~ ・下塗り用塗料 ・ローラー、ハケ ・汚れてもいい服装 ・軒天塗装・天井塗装の場合はゴーグルやマスクなど |
4-5 上塗り
下塗りを塗装して十分に乾かした後は上塗りを行なっていきます。
上塗りに使用する塗料は仕上げの塗料(主剤)で2回に分けて塗るとより綺麗に仕上がります。
ケイカル板はフラットなものがほとんどなので、塗料を付けすぎてしまうとムラになります。
均一に塗料が延びるように丁寧に塗装していきましょう。
~使用するもの~ ・下塗り用塗料 ・ローラー、ハケ ・汚れてもいい服装 ・軒天塗装や天井塗装の場合はゴーグルやマスクなど |
★費用・工期をおさえる秘策は塗料選びにある!
通常、塗装は下塗り・上塗り(2回)の3回塗りですが、上塗りの塗料に下塗りの成分が入っている塗料を選べば2回塗りで済んでしまいます。
こういった塗料を選べば下塗り用塗料の費用が浮き、さらに工期も短縮できるのでおすすめです。
5章 劣化が進んでいたら張り替えよう
ケイカル板の劣化が進んでしまった場合は、塗装ではなく、張り替え(交換)工事を行ないましょう。
ケイカル板にシミが付いていた場合は、雨がしみ込んでいる可能性が高いです。
塗装するだけでは雨漏りは解消できないので、ケイカル板を撤去して内部の状態を確認することが大切です。
雨漏りの原因を点検した上で、新しいケイカル板に交換しましょう。
張り替え工事は1m当たり5,000~10,000円ほどです。
まとめ
いかがでしたか。
最後にこの記事をまとめます。
▪1章 まとめ
ケイカル板の塗装時期は築10年。
色褪せやチョーキング、汚れやシミなどの劣化が出たら塗装のタイミング。
▪2章 まとめ
塗装にかかる費用は以下の通り。
【DIY塗装の場合】1.5~3万円(3~4㎡塗装の場合)
【プロに依頼した場合】25~30万円(30坪2階建て軒天塗装の場合)
▪3章 まとめ
ケイカル板塗装を成功させるためのポイントは以下の3つ。
・塗装する場所に合った塗料を選ぶ
・規定の乾燥時間を守る
・足場が必要な場合はプロに依頼する
▪4章 まとめ
塗装の手順は以下の通り。
①高圧洗浄
②ケレン
③養生
④下塗り
⑤上塗り
▪5章 まとめ
劣化が進んでいたら、塗装をしても状態が良くならないので新しいものに張り替える工事が必要。
ケイカル板を正しく塗装して耐久性と美観を維持していきましょう!
最後までご覧くださり、ありがとうございました。
◆軒天の塗装をお考えの方はこちらの記事もご覧ください。
⇒軒天塗装の疑問解決!必要な理由・タイミング・費用や注意点を解説
◆塗装が必要な「付帯物」について知りたい方はこちらをご覧ください。
⇒「付帯塗装」が必要な理由とは|塗るべき9箇所と注意点を徹底解説!
◆室内の塗装をお考えの方はこちらの記事をご覧ください。
⇒室内壁を自分で塗り替えよう!必要な道具・材料から手順まで徹底解説