外壁塗装をご検討中のあなた。
何を見ても
「予算オーバーだなぁ…」
「なんでこんなに高いんだろう…」と、モヤモヤされていませんか?
今後予定される様々な出費を考えると、少しでも安く抑えたいですよね。
いろいろな種類の塗装がある中で、一番費用が安いのが『アクリル塗装』です。
ですが、価格面でアクリル塗装が良いかも、と思っている方に、事前に必ず知っておいてほしい、アクリル塗装ならではの知識があります。
それは、優良業者ならまず「アクリル塗装をおすすめすることはない」ということです。
なぜ外壁塗装にすすめられないか、このページでは、基礎知識として、アクリル塗装の特徴や他の塗料との違いを分かりやすくお伝えします。
更には、なぜ外壁塗装には不向きかという理由も、塗装専門店の目線から解説します。
アクリル塗装のメリット・デメリットをしっかりと知って、あなたの塗装工事にぜひお役立てください。
目次
1章 アクリル塗装とは
アクリルとは、“アクリル樹脂”を主成分とする塗料の塗装です。
樹脂には他に“シリコン”や“フッ素”などの種類がありますが、その中の1つがアクリルです。
アクリルは1950年代から普及し、現在も様々な塗装で使用されています。
実は新築の家も、竣工時にアクリル塗装されている家がほとんどです。
ホームセンターなどでも購入できる身近な塗料のため、室内塗装や家具などのDIY塗装、プラモデル作りやバイクの塗装などにも好んで使われています。
ですが、外壁のメンテナンス塗装には、現在ほとんど使われていません。
最大の理由は、コストパフォーマンスの悪さです。
アクリル塗装は、1度の塗装費用が安く済む反面、次の塗装までの期間が短く、また劣化しやすいのが特徴だからです。
それでは、外壁塗装に使用されていない理由を、特徴やほかの塗料との比較で深く理解していきましょう。
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2章 【比較表付】アクリル塗装の特徴
アクリル塗装が他の塗装と比べて、どのように違うのか、比較表を交えてチェックしていきましょう。
特徴をしっかりと知ることで、塗料がいいものかどうかが見えてくるので、理解しておきましょう。
2-1 アクリル塗料のメリット・デメリット
まず、アクリル塗装自体のメリット・デメリットを要約すると
メリット | ・費用が安い ・カラーバリエーションが多い ・扱いやすい |
デメリット | ・塗装が劣化しやすい ・塗装表面のひび割れが起きやすい ・塗り替えサイクルが早い ・大手は屋根の塗料を出していない |
となります。
【メリット】
アクリル塗料の最大のメリットは、なんといっても費用が他の塗料と比べてダントツに安いことです。
そのメリットが突出していますが、他のメリットとしては、ウレタンやシリコンと比較してカラーバリエーションが多いこと、
そして1液型という、希釈や撹拌の手間が不要な種類が多いため、扱いやすくDIYにも好まれている点が挙げられます。
【デメリット】
アクリル塗料は、せっかく塗装しても劣化しやすく、塗り替えサイクルも早いというのが最大のデメリットです。
また、塗料の特性として「塗膜が固い」というのがあるので、地震や衝撃に弱く、塗装の表面がひび割れやすいです。
このようにどうしても耐久性が劣る部分があるので、太陽を最も浴びて紫外線劣化しやすい屋根に至っては、大手メーカーも塗料を販売していません。
アクリルの最大のメリットは費用が安いこと、
最大のデメリットは、どうしても耐久性が弱いということです。
アクリル自体の特徴が分かったところで、他の塗料とはどのような差があるのかも一緒に比較してみましょう。
2-2 他の塗料との費用・耐用年数比較
アクリルは、塗料の中のグレード位置が低く、他の種類と比較すると、費用が安い以外にも、耐用年数(メンテナンスサイクル)がかなり短いというのが分かります。
【費用・耐用年数比較表】
※費用は、一般的な30坪2階建て住宅の場合・屋根外壁塗装の概算であり、実際は家の形状などにより前後します。
価格が高いほど良いグレードの塗料で、性能も上がりますが、比較表で分かる通り、外壁塗装におけるアクリル塗料の最大の魅力は、正直なところ『価格のみ』と言っても過言ではありません。
3章 アクリルは外壁塗装には不向き
ここまでアクリル塗装について解説してきましたが、アクリル塗装は外壁塗装には不向きです。
せっかく安く塗装ができたとしても、数年後にはまた同じような金額で塗装をしなくては持たない塗料だからです。
実際、メンテナンスサイクルを比較してみると、アクリル塗装をした方が余計にお金がかかっていることが分かります。
■20年間のメンテナンスサイクル
・アクリル塗装(1回80万円の場合)…×4回(20年間)=トータル320万円 ・フッ素塗装(1回165万円の場合)… ×1回(20年間)=トータル165万円 |
また工事の回数が多いということは、毎回、足場代などの諸経費もかけていることになり、頻繁な工事によるストレスも少なからず発生します。
店舗や看板なら頻繁に塗り替えることで、集客にも繋がるメリットがあるので良いかもしれませんが、一般の戸建て住宅塗装には、アクリル塗装は不向きです。
このような理由で、プロ目線から言うと、戸建て塗装でアクリル塗料を勧めてくる会社は良い会社とは言えません。
もし見積りをとった会社がアクリル塗料を勧めてくるようなことがあれば、それ以上は関わらない方が無難でしょう。
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4章 “アクリル”と付く塗料の違い解説
ここまでアクリル塗装を紹介してきましたが、実は“アクリル”と名前が付いているのに、今まで紹介したアクリル塗料とは違う塗料が存在します。
紛らわしいですが、間違えないように、他の“アクリル”と付く塗料について理解しておきましょう。
3-1 アクリルシリコン塗料
アクリルシリコン塗料は、アクリルとシリコンを合成して作られた、シリコン塗料の1種です。
アクリルと名が付きますが、性能はシリコン塗料と同じで、アクリル塗料とは別物です。
シリコン塗料は、価格帯や耐用年数のバランスが良く人気ですが、実はその多くがこの“アクリルシリコン塗料”なのです。
アクリルとシリコンのいい所取りをしたようなアクリルシリコン塗料は、メジャーで人気のある塗料です。
3-2 弾性アクリル塗料
弾性アクリル塗料は、ゴムのような弾性に優れているアクリル塗料の1種です。
弾性が優れていると、外壁のひび割れが起きるような傷みが起きた時でも、そのゴムのような性質が、塗装の膜を割れにくくしてくれます。
(弾性がないと、塗装の膜も一緒に割れて、割れた部分の防水機能がなくなってしまいます。)
そのため、ひび割れの多い外壁や、細かいひび割れが多く出やすいモルタルの壁などに使用されることが多いアクリル塗料です。
3-3 ピュアアクリル塗料
ピュアアクリル塗料は、オーストラリアのアステックペイント社が独自に開発した、この会社だけの塗料です。
アクリル塗料なのに、フッ素に劣らない耐久性、防水性を兼ね備えた塗料として販売しています。
ですが一方で、日本での実績は少なく、アクリル塗料の魅力だったはずの価格も、安くはありません。
また施工時の扱いが難しいため、塗装店があまり使いたがらないのも、普及しない理由です。
ピュアアクリル塗料は性能が悪いわけではありませんが、同等の価格・耐久性であれば施工実績が多いシリコンやフッ素を選ばれる方が多く、また安心できます。
5章 代表的な大手メーカーのアクリル塗料4選
ここまでアクリルの塗装についてお伝えしてきましたが、それでもアクリルで外壁を塗装したい!とお考えの方に向けて、日本の大手メーカーが出しているアクリル塗料をご紹介します。
正直、アクリル塗料は耐久性が低い不安面があるため、せめて大手メーカーが出しているような、信頼できる品質の塗料を使用された方が良いためです。
■日本ペイント
日本ペイントは、国内売上第1位の塗料メーカーです。
世界でもトップ5に入る売上を誇り、建築用に限らずジャンルを問わない塗料品質の良さが評価されています。
- ・水性ケンエースグロス
出典:日本ペイント
戸建てや店舗・オフィスから学校などの建物の、屋内外塗装に使用できる、万能塗料です。
水性なので臭いも少なく、環境負荷も低減できます。
- ・ニッペDANフレッシュシリーズ
出典:日本ペイント
弾性アクリル塗料なので、モルタルの外壁向けです。
防藻・防カビ機能や、標準職が28色もあるのが嬉しいですね。
■関西ペイント
関西ペイントは、国内売上第2位の塗料メーカーです。世界でもトップ10に入る売上を誇り、創業100年を迎える老舗です。
扱う製品も幅広く、特許権利保有数は1,200件を超えます。
- ・アレス水性ワイドグリップⅡ
出典:関西ペイント
戸建てやオフィス、店舗や公共施設の屋内外で使用できる塗料です。
抗菌・防カビ性があり、透湿性(湿気を通す力)も高いので、塗装後の不具合も起きにくいです。
■エスケー化研
エスケー化研は、建築用塗料をメインに扱っており、建築仕上塗材の国内シェアはナンバー1です。
建築用塗料の扱いに強く、市場を世界にも広げているメーカーです。
- ・弾性カラーエナメル
出典:エスケー化研
戸建ての内外装に使える塗料です。
耐水性・耐アルカリ性に優れており、ひび割れへの追従性も期待できる油性アクリル塗料です。
ここで紹介した以外にも同メーカーからアクリル塗料は販売されています。
気になる方は、塗装業者に相談して詳細を確認しましょう。
まとめ
アクリル塗料は、昔はよく外壁塗装にも使われていた塗料で、価格面や扱いやすさから普及した塗料です。
ですが、現在外壁のメンテナンスでアクリル塗料を使用する方はまずいません。
アクリル塗料のメリットは、費用が安いことや、扱いやすいこと、屋内でも使用できることですが、デメリットは何といっても耐久性の低さです。
他の塗料と比較しても明確です。
そのため、アクリルは外壁塗装には不向きと言えます。
また“アクリル”と付く塗料もほかにあるので、違いを知っておきましょう。
(アクリルシリコン塗料・弾性アクリル塗料・ピュアアクリル塗料)
アクリル塗料は、DIYでも手軽に手に入る身近で扱いやすい塗料です。
ですが、外壁塗装で使用したいときには、扱いやすさよりも耐久性などが重視されます。
メンテナンスサイクルを考えながら、ご自身が納得いく塗装を実施しましょう。
お読みくださりありがとうございました。
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