貫板とは?指摘されたら知っておきたい修理・費用・業者選びの全知識

屋根の構造

「貫板が腐っていたら大変ですよ!」

―――訪問業者からそんな指摘を受けて、「貫板(ぬきいた)」という、聞き慣れない言葉に不安を感じたことはありませんか。

 

貫板は屋根の板金の下にある「土台」として主に使われており、決して外からは見えない場所にあるものです。

しかし屋根を支えるために欠かせないものであり、非常に重要な役割を担っています。

 

この記事では、塗装工事に10年以上携わった筆者が、屋根における「貫板」の役割やトラブルが起こる原因を、初めて聞く方でも分かりやすく解説いたします。

 

読み終えていただければ、貫板の知識を身に付けた上で業者の話が正しいのか判断でき、屋根について安心して検討することが出来ます。

 

貫板は長い板材で、部材を固定したり支える土台として使われています。

屋根のてっぺんにある板金(棟板金といいます)を固定するための受け台のほか、外壁や内装、フェンスの下地などでも使われています。

 

ここでは、その中でも特にトラブルが発生しやすい「屋根の貫板」に焦点を当てて、基本的な構造や種類、役割について解説します。

 

  • 1-1 基本的な屋根の構造

屋根の構造屋根の具体的な構造は、

  • ①スレートなどの屋根材
  • ②貫板
  • ③棟板金

といった順番で組み立てられます。

屋根の固定の順番

貫板は屋根材を貫通するように釘で固定され、その上の棟板金は貫板に向かって釘で固定されています。

つまり貫板は、棟板金を支える「芯材」として使用されているのです。

 

1-2 重要な役割は土台 

貫板は、棟板金を固定する土台として重要な役割を持っています。

 

屋根自体が常に暑い日差しや天候の影響を受けており、屋根のてっぺんは特に風などの揺れにも耐える必要があります。

貫板があることで、板金が強風で浮いたりズレたりするのを防いでいるのです。

 

一方で貫板が雨水などで湿ると、次第に腐食します。

すると釘の固定力が下がって雨漏れの原因になるなど、貫板1つでお家全体のトラブルへとつながってしまうのです。

 

このように貫板は、建物の耐久性を左右する重要な部材です。

 

1-3 貫板は3種類

屋根の棟板金の貫板は、木製、樹脂製、金属製の3種類が用いられています。

それぞれ特徴や使われている建物が異なります。

 

  • ①木製の貫板

木製の貫板木製貫板は戸建て住宅では最も一般的で、およそ70%以上の住宅で用いられています。

 

杉などの木材で作られており、昔から広く使われてきました。

加工がしやすく、コストが比較的安価であることが特徴です。

 

デメリットとしては、水分による腐食が起こることで、長期的に見ると他よりも劣化しやすいことが挙げられます。

 

  • ②樹脂製の貫板

樹脂製の貫板およそ20%以上の住宅で使用され、品質重視の新築や屋根リフォームで採用されるなど年々増加傾向にあります。

 

プラスチック樹脂素材でできているため、水分で腐ることがありません。

また耐久性が高いため、メンテナンスの観点でも木製より良いとされています。

 

デメリットとしては、木製より初期コストがかかることが挙げられます。

 

  • ③金属製の貫板

金属製の貫板主に工場や大型倉庫、公共施設などで採用されており、住宅ではほとんど使われていません。

 

アルミやガルバニウムなどの素材で作られており、非常に耐久性が高いとされています。

水分による腐食はしにくく強度も高い為、公共施設や店舗などの頻繁にメンテナンスしない建物がメインです。

 

デメリットとしては、コストの高さや高度な施工技術が必要な点が挙げられます。

 

住宅で主に木製の貫板が使われているのは、コストと加工のしやすさのバランスが優れているためです。

ただし、木材である以上、雨水が侵入すれば腐食は避けられません。

 

そのため最近では、台風被害が多い地域や、長期的なメンテナンスコストを抑えたい新築住宅を中心に、樹脂製の貫板を選ぶケースが増えています。

 

樹脂製は水分が入り込んでも腐ることがなく、屋根の内側という普段は見えない部分だからこそ、耐久性の高さが長い目で見たときの安心につながります。​​​​​​​​​​​​​​​​

 


  • 2章 貫板による屋根トラブル3

住宅の貫板は主に木製のものが使われています。

この木が雨水等の影響を受けると、屋根では様々なトラブルに繋がります。

 

ここでは、具体的に起こり得る主な3つのトラブルを、写真付きで解説します。

 

2-1 釘が緩んで貫板が湿ってしまう

棟板金の釘のゆるみ屋根で最も起こりやすいトラブルが、棟板金を固定している釘の緩みです。

 

棟板金は金属製のため、昼間の高温と夜間の低温による温度変化で伸縮を繰り返します。

この動きが積み重なることで、築8年ごろから少しずつ釘が緩み始めます。

 

釘が緩むと、その隙間から雨水が内部へ侵入します。

雨水が染み込んだ貫板は湿気を帯び、木材の膨張・収縮によって釘の保持力がさらに低下します。

 

すると棟板金がより動きやすくなり、また釘が緩む―――

この悪循環が繰り返されることで、最終的には釘が完全に抜けてしまうこともあります。​​​​​​​​​​​​​​​​

 

◆屋根の釘について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

2-2 雨水の浸入で貫板が腐ってしまう

腐った貫板木製の貫板は雨水が侵入すると、腐ってしまいます。

 

特にてっぺんより下の棟板金は屋根の勾配に沿って斜めに取り付けられているので、雨水が伝う通り道となり、腐食の影響を受けやすくなります。

 

▼勾配に沿って取り付けられた棟板金

棟板金

 

2-3 強風や台風で板金が飛ぶ

雨水の侵入と釘の緩みが起こると、次に起こり得るのは強風や台風で板金自体が飛んでしまうというトラブルです。

 

実は貫板を覆っている棟板金は、ただ貫板に被せて釘で止めているだけというシンプルな構造です。

 

つまり、天候や風に耐えうるための土台が弱くなり、止めている釘が緩んでいれば、台風時や強風で板金ごと飛ばされてしまうのです。

 

▼風で飛んでしまった棟板金

風で飛んだ棟板金

 

「強風で板金が飛んでお隣の窓ガラスを割ってしまった」「台風時に飛んだ板金が運悪く車の上に落下してしまった」など、自宅だけの被害に留まらないことも少なくありません。

 

このようなトラブルにならない為にも、定期的な屋根の点検で釘の緩みや雨水が侵入していないかをチェックすることが大切です。

 


  • 3章 もしも貫板が腐っていたら/修理方法と費用

長年点検をしていなかったお家でよくみられるのが、既に貫板が腐っていたというケースです。

もし貫板が腐っていた場合は、塗装では解決せず、貫板交換となります。

 

なぜなら、釘の固定が弱いままでは数年後にはまた板金が浮いたり、台風や強風に耐えられず板金ごと飛んでしまう可能性が高いからです。

 

具体的に交換は以下の手順で行います。

①既存の棟板金の撤去

②腐食した貫板の全撤去(中途半端に残さない)

既存の棟板金の撤去

③新しい貫板の設置(木製または樹脂製に変えることもあり)

④棟板金の復旧 (状況により新しいものを設置)

棟板金の復旧

  • ⑤釘止めの上や板金同士の接合部にコーキングによる防水処理
  • 防水処理

 

  • 貫板と棟板金の交換費用は、30坪のスレート屋根でおよそ15〜30万円(長さにより変動)が目安です。

基本足場が必要な作業で、足場代で20万円前後が加算されるため、外壁塗装や屋根カバー工事と同時に行うとトータルコストを抑えられます。​​​​​​​​​​​​​​​​

 

板金を支える要である貫板が腐っていた場合は、このような方法でしっかり交換しましょう。

 


4章 貫板の腐食を防ぐ対策

ここでは、板金を支える重要な部材である貫板が腐らないようにするための対策を紹介します。

余計な交換工事を避け屋根をしっかり守るためにも、押さえておきたい3つの方法をまとめました

 

4-1 定期的な屋根点検をする

早期発見が、大きな修理を防ぐ一番の近道です。

 

貫板の腐食は、棟板金の釘が緩んで雨水が侵入することから始まります。

この段階で気づければ、釘の打ち直しや簡単なコーキング処理だけで済みます。

 

放置すると貫板の交換が必要になり、足場代も含めて費用が一気に膨らみます。

 

「まだ大丈夫」と思っていても、見えない部分で劣化が進んでいるケースは少なくありません。

だからこそ、3〜5年に1回のプロによる点検が欠かせません。

 

自分で登るのは大変危険なため、点検は専門業者への依頼をおすすめします。​​​​​​​​​​​​​​​​

 

4-2 棟板金の釘打ち、コーキングを行う

棟板金の釘打ち、コーキング釘の緩みを放置しないことが、貫板を守る直接的な対策です。

 

棟板金を固定している釘は、温度変化による金属の伸縮で少しずつ緩んでいきます。

釘が緩むと隙間から雨水が入り込み、貫板の腐食につながります。

 

この釘の緩みに対して有効なのが、釘の打ち直しとコーキング(隙間を塞ぐ充填材)による補修です。

釘をしっかり打ち直した上で、コーキング材で隙間を埋めることで、雨水の侵入を防げます。

 

費用は比較的安く、足場不要で対応できる場合もあります。

点検のタイミングで合わせて施工してもらうと、手間もコストも抑えられます。

 

「釘が浮いている」と指摘されたら、早めに対処しましょう。

 

4-3 屋根塗装をする

屋根 塗装屋根塗装は貫板の腐食防止対策として有効です。

 

なぜなら屋根材は経年劣化により防水性が低下し、雨水を吸収しやすくなるからです。

 

この状態が続くと、棟板金の内側にも湿気が回りやすくなり、結果として貫板の腐食を早める原因になります。

 

屋根塗装を行うことで表面の防水機能が回復し、雨水が内部に侵入しにくい状態を保てます。

 

目安は10年前後に1回ですが、色あせやコケの発生が目立ってきたら塗装のサインです。

 

また、屋根塗装は足場を組んで行うため、このタイミングで棟板金の釘打ちやコーキングをまとめて行うと、足場代を一度で済ませられてお得です。

 

外壁塗装と同時に行うケースも多く、まとめてメンテナンスすることが長期的に見てトータルコストを抑えるコツです。​​​​​​​​​​​​​​​​

 


5章 業者に屋根点検してもらう時のポイント

せっかく点検を依頼しても、業者の選び方や対応を間違えると、不要な工事を勧められたり、逆に見落としが生じたりすることもあります。

ここでは、安心して点検を任せるために知っておきたいポイントをまとめました。

 

5-1 突然の訪問業者にはすぐ相談しない

訪問販売に困る女性「近くで工事をしていたら、お宅の屋根が気になったので直した方がいいですよ」

 

このような声かけで始まる訪問営業は、全国で多く報告されています。

指摘の内容が本当かどうか、その場では判断できません。

 

その日のうちに契約を迫られても、一度持ち帰って冷静に判断することが大切です。

本当に信頼できる業者なら、急かすことはありません。

 

5-2 写真で現状を見せてもらう

コノイロ点検報告書サンプル屋根は自分の目で確認できないため、業者の言葉だけでは状況が把握しづらいものです。

 

点検後は、劣化箇所の写真を必ず見せてもらいましょう。

 

「貫板が腐っています」「棟板金が浮いています」と言われても、写真がなければ本当かどうか確認できません。

 

信頼できる業者は、写真を撮って丁寧に説明してくれます。

写真を見せることを渋る業者には注意が必要です。

 

5-3 地元に実績のある業者を選ぶ

屋根工事は一度きりではなく、定期的なメンテナンスが必要です。

そのため、長期的に付き合える地元の業者を選ぶことが重要です。

 

遠方から来る業者や、工事後に連絡が取れなくなるケースも報告されています。

地元で実績があり、施工事例や口コミを確認できる業者なら、アフターフォローの面でも安心です。

 


まとめ

貫板は普段目に見えない部材ですが、屋根の耐久性を支える重要な役割を担っています。

 

しかし水が回ると貫板自体が腐ってしまったり、腐食が進んで板金が飛んだりとトラブルが発生してしまうことがあります。

 

何かあってから慌てて対処するのではなく、定期的な点検と適切なメンテナンスで、屋根を長く守っていきましょう。

 

屋根の不安を払拭して信頼できる業者と出会うためにも、今回紹介したポイントをぜひ参考にしてみてください。

 

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最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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