最近、塗装の訪問業者が来るようになってきた…
「そろそろうちの屋根も塗装が必要なのかな?」
「いくらくらいかかるの?」
と屋根塗装について気になっているのではないでしょうか?
屋根は外壁よりも紫外線が当たる場所なので、特に塗装によるメンテナンスが重要です。
この記事では、屋根材別の塗装時期や費用相場について解説します。
また、屋根はただ塗装して綺麗にすればいいというわけではありません。
塗るだけの塗装をしてしまうと、数年で剥がれてしまったり、かえって雨漏りしてしまうこともあります。
そこで、屋根塗装を失敗しないための重要な注意点や正しい屋根の工程についても解説。
知っておくことで、業者の手抜き工事を防ぐことができますのでチェックしていきましょう。
記事の後半では、屋根の塗料選びや色選び・業者選びについてもご紹介。
この記事を読めば、屋根塗装の基本的な知識がすべてチェックできます。
屋根はお家を守る重要な部分です。
正しい知識で屋根塗装を成功させていきましょう!
目次
1章 種類別|屋根の【塗装時期】
まずはご自宅の屋根の塗装時期を確認しましょう。
塗装は必要な屋根の種類としてはスレート、セメント瓦、モニエル瓦、トタン等があります。
屋根材別の塗装目安年数は以下の通りです。
屋根材 | 塗装の目安年数 |
スレート | 7~10年 |
セメント瓦 | 10~15年 |
モニエル瓦 | 10~15年 |
トタン | 3~5年 |
ただし上記の年数はあくまでも目安です。
屋根の劣化状況は、お家の立地や環境によっても変わります。
上記の年数が近づいてきたら屋根点検を依頼し、以下のような症状が出ていたら塗装時期になります。
■色あせ(吸水)
表面の防水性がなくなり、色褪せ・吸水してしまっている状態。
■ひび割れ・欠け
屋根が吸水し、膨張⇒収縮を繰り返してひび割れが発生。
■コケ
水を含んだ状態が続き、空気中のコケの粒子が屋根に付着し繁殖した状態。
■反り
屋根が水を含んで膨張し、表面から乾いてスルメを焼いたときのように反ってしまった状態。
■サビ
金属屋根に起こる現状で、傷が付いたところに水が触れ、錆びてしまった状態。
>屋根の寿命について知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
2章 屋根塗装の【費用相場】
屋根塗装の費用相場とお得にするコツについてご紹介します。
費用感を掴んでおくと、高い見積もりにも気付くことができます。
工事前におおよその相場を把握しておきましょう。
2-1 全体の費用相場
屋根塗装の費用相場は40~80万円です。(30坪の場合)
※ユーコーコミュニティー 過去1200件の実績をもとに算出
費用はどんな塗料を使用するかによって変動します。
アクリル塗料は最も安いですが、耐久性も低く塗装で用いられることはほとんどありません。
実績数が多いのがシリコン塗料・フッ素塗料で、最も耐久性の高い無機塗料も実績数が増えてきています。
見積もりを依頼する際は、複数の塗料で見積もりをもらって検討することをおすすめします。
>見積もりの内訳・単価相場や費用が高くなるケースについてはこちら
2-2 お得にする3つのコツ
屋根塗装も決して安い工事ではありません。
少しでも費用負担を減らしたい方は以下のようなお得にするコツを覚えておきましょう。
①塗装専門店に依頼する
近年では、塗装専門店だけでなく、ハウスメーカー・工務店・デパート・電気店などでも塗装工事を引き受けています。
しかし、専門店以外の業者は塗装工事を下請け・孫請けに委託するため、中間マージンが発生し、費用が高くなります。
費用をお得にしたいのであれば、塗装専門店に依頼しましょう。
②キャンペーンを利用する
塗装会社では、割引キャンペーンを実施しているケースもあります。
(例)新春キャンペーン、秋のリフォームキャンペーン、塗料在庫一掃セール等。
キャンペーンのタイミングで塗装を依頼できれば、お得に工事ができることも。
塗装を依頼する際にキャンペーンなどがやっていないか確認してみましょう!
※具体的な理由がない高額値引きキャンペーンはNGです!
③外壁も一緒に塗装する
屋根塗装では、必ず足場を立てます。
そのため、外壁塗装も一緒のタイミングで塗装する事によって将来的な節約になります。
外壁塗装以外にも、足場が必要なリフォームを検討中であれば屋根塗装と同じタイミングで行なうことをおすすめします。
3章 知っておきたい屋根塗装の【注意点】
屋根塗装は、ただ塗ればいい、綺麗になればいい、というわけではありません。
正しい塗装方法を知らないと、数年で剥がれてしまったり、雨漏りしてしまうケースも。
実は、塗装業者の中には、知識のない業者も多くいます。
塗装前に注意点を知って、塗装工事の失敗や後悔を防いでいきましょう。
3-1 乾燥時間を守る
屋根塗装は通常3回塗りです。(※塗料によっては2回塗りや4回塗りの場合もあります。)
ただ3回に分けて塗装すればいいというわけでなく、塗料によって工程間に開けるべき乾燥時間が決まっています。
上記の塗料であれば、
下塗り後、2時間置き、中塗り後は4時間以上10日以内、上塗り後は16時間は乾燥させる必要があります。
ただし業者によっては、乾燥時間を守らずに、すぐに次の工程を進めてしまうことがあります。
その方が、工期が短くなって、人件費が浮くからです。
しかし、乾燥時間を守らないと数年で剥がれの原因になります。
せっかく良い塗料を使っても、塗る過程が雑だと意味がありません。
乾燥時間は必ず守って施工してもらいましょう。
3-2 縁切り・タスペーサーを設置する
スレート屋根の場合、塗装をすると屋根同士の縁が塗料でくっついてしまいます。
屋根の縁がくっついてしまうと、雨が降ったときに水が屋根の外に流れず雨漏りの原因となります。
そのため、縁切り作業が必須です。
昔は、塗装後にカッターで縁を切っていく作業を行なっていましたが、
近年では、タスペーサーという部材を使って行うことがほとんどです。
下塗り後、タスペーサーを屋根の縁に付けていきます。
この作業を省かれてしまうと、雨漏りしてしまうので、見積もり書に記載があるかチェックしましょう。
>タスペーサーについて詳しくはこちら
3-3 棟板金の釘打ちをする
屋根の頂点部分には、棟板金(むねばんきん)という板金が乗っています。
この棟板金は屋根に水が入らないように守る重要な部材です。
しかし、年数が経つと棟板金を固定する釘が熱膨張によって抜けてきてしまいます。
釘が抜けると、棟板金が固定されず台風が来た時に飛んで行ってしまったり、釘を伝って中の貫板が腐ってしまう恐れがあります。
▼腐った貫板
そのため、屋根塗装のタイミングで棟板金の釘を打つことが大切です。
また、その上からコーキングを打って抜けてこないようにすると尚良いです。
毎年の台風後にも棟板金の飛散被害は多いです。
業者によっては、釘打ちはやっていない場合もありますので、こちらも見積もりに記載があるか確認しましょう。
>棟板金について詳しくはこちら
※瓦屋根の場合は、棟板金でなく棟瓦が乗っているので、それも釘が抜けていないかチェックしてもらいましょう。
4章 屋根塗装の【正しい工程】
屋根塗装の正しい工程を解説していきます。
3章で解説した注意点も考慮した上でチェックしていきましょう!
①近隣挨拶
足場を立てる際に大きな音がすることなど、近隣の方へご挨拶を行ないます。
②足場架設
一戸建ての場合、半日かけて足場を立てていきます。
③高圧洗浄
屋根に付いた汚れやコケを高圧洗浄でおとし、塗料を密着しやすくします。
④釘打ち・コーキング
棟板金が飛ばないよう、飛び出した釘を打ち込み、釘頭をコーキングで留めていきます。
⑤下地補修
小さなひび割れはコーキング材で補修していきます。
⑥養生
塗料が飛ばないように、塗装しない部分をビニールやテープで養生していきます。
⑦下塗り
塗装1回目、下塗り専用塗料を塗装していきます。
下塗り後、規定の乾燥時間を置きます。
⑧タスペーサー
下塗り後、タスペーサーをW工法(1スリットに2個)で挿入していきます。
※モニエル瓦やセメント瓦、金属瓦では施工しません。
⑨中塗り
主剤となる塗料を塗っていきます。(中塗り=上塗り1回目)
塗装後は既定の乾燥時間を置きます。
⑩上塗り
最後にもう一度、主剤を塗装します。(上塗り=上塗り2回目)
⑪確認・手直し
塗り残しがないか確認し、あれば手直しをします。
⑫足場解体・清掃
足場をまた半日かけて解体し、お家周りを清掃して終了です。
>屋根塗装の工程ごとのポイントなどについてはこちらの記事もご覧ください。
5章 屋根塗装の【塗料選び】
この章では、屋根塗装の塗料選びについて解説していきます。
塗料の中にも、様々なグレードや機能を持ったものがあります。
どんな塗料を選べばいいのか分からないという方は、ぜひお役立てください。
5-1 塗料の種類
塗り替え時の塗料には主に4つのグレードがあります。
グレード別の特徴が以下の通りです。
まずはご自宅の屋根塗装を何年ほど持たせたいのか、いくらくらいの予算でやりたいのかを決めて、塗料グレードを選んでいきましょう。
また、耐久性グレード以外にも、
・水性か油性かの違いや
・遮熱効果、断熱効果などの特殊機能の有無の違いもあります。
>塗料の種類について詳しくはこちらをご覧ください。
5-2 おすすめ塗料3選
屋根塗装でおすすめの塗料をご紹介します。
どんな塗料を選んでいいのか分からない方は、塗料選びにお役立てください!
■RSルーフ
出典:関西ペイント
水性/油性 | 油性 |
グレード | フッ素 |
耐用年数 | 15~20年 |
まずご紹介するのが関西ペイントの『RSルーフF』です。
油性のフッ素塗料です。
赤外線を効率よく反射する特殊な顔料が入っている遮熱塗料で、屋根の温度上昇を抑えて、室内の暑さを和らげてくれます。
またこの塗料は、関西ペイントの認定を受けた信頼できる施工店しか扱えません。
この塗料を扱っている=高い技術・品質・サービスの会社、という目安のひとつとして、業者見極めの参考にもなります。
■セラスタールーフ
出典:ジャパンカーボライン
水性/油性 | 油性 |
グレード | 無機 |
耐用年数 | 20~25年 |
次におすすめするのが、ジャパンカーボライン社の無機塗料『セラスタールーフ』です。
無機塗料で、耐久性は20年以上の最高級の塗料です。
ただ、その分単価は少し高めです。価格よりも耐久性や長期的コストパフォーマンス重視の方におすすめです。
■ルーフピアニ
出典:水谷ペイント
水性/油性 | 水性 |
グレード | シリコン |
耐用年数 | 10~15年 |
『ルーフピアニ』は、屋根用塗料の性能の高さに定評がある水谷ペイントの製品です。
水性シリコン塗料ですが、同社独自のナノテクノロジーにより油性に劣らない強靭な塗膜をもち、耐候性・耐汚染性に優れています。
できるだけシンナーは避けたい方や、汚れの付きにくい塗料にしたい方におすすめです。
>屋根のおすすめ塗料についてより詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
6章 屋根塗装の【色選び】
意外と悩む屋根の色選び。
この章では人気の屋根色TOP3と、色選びのステップをご紹介します。
素敵な色を選んで、理想のお家に塗り替えていきましょう!
6-1 人気色TOP3
屋根の人気色は
1位 ブラウン 2位 グレー 3位 グリーン |
です。
■ブラウン
重くなりすぎず、どんなデザインにも合わせやすいブラウン。
ブラウンの中でも濃淡があるので、お好みの色を選ぶことができます。
■グレー
シンプルでスタイリッシュに仕上がるグレー。
お家のデザインや外壁を邪魔しない、合わせやすい色です。
■グリーン
お家にワンポイント加えたい、おしゃれにしたい!という方に人気の色。
屋根をグリーンにするだけで一気に洋風でおしゃれに仕上がります。
>他の事例や色選びについて知りたい方はこちら
6-2 選び方3ステップ
屋根などの屋外にある大規模な部分の色選びは、完成のイメージが付かず意外と難しいです。
塗った後に「こんな色だったの?」と失敗がないように、ステップを踏んで選んでいきましょう!
ステップ1 塗料カタログから気になる色をチェック
まずは、塗料のカタログを気になる色を複数ピックアップしてみましょう。
塗料カタログは施工業者から借りることができます。
ステップ2 カラーシミュレーションで仕上がりをチェック
続いて、カラーシミュレーションで屋根に施工したときのイメージを掴みましょう。
※カラーシミュレーションサービスを行なっていない業者もあるのでご注意ください。
ステップ3 A4サイズの色板で実際の色をチェック
最後に、A4サイズの色板で実際の色をチェックしましょう。
色は太陽光に当たるとまた見え方が変わります。
そのため、晴れている日、曇りの日、夕方、朝方など時間を分けて屋外で確認すると
より実際のイメージを掴むことが出来ます。
7章 屋根塗装の適切な【業者選び】
最後に、屋根塗装の業者選びについて解説していきます。
屋根塗装工事を満足いくものにするためには、業者選びが重要です。
なぜなら、塗装業者の中には知識のない業者や手抜きをする悪徳業者がいるからです。
高品質の屋根塗装工事にするために、優良業者を見極めていきましょう!
7-1 屋根を写真に撮って点検する
塗装を依頼する前の、点検で、屋根の写真を撮ってみせてくれる業者に依頼しましょう。
屋根の様子は下から、なかなか見えません。
そのため、悪徳業者は「屋根が割れているからすぐ塗装した方がいい!」という嘘を付く場合もあります。
屋根点検の際に、直接登って(又はドローンや高所カメラ等)写真を撮って見せてくれる業者だと安心です。
>適切な屋根点検についてはこちらの記事をご覧ください。
7-2 詳細な見積もり書
点検後にもらう見積もり書が、詳細に記載されているか確認しましょう。
詳細に書かれていない見積もり書だと、相場よりも高い金額であっても気付くことが難しいです。
また、必要な工程も省かれてしまう恐れがあります。
■NG例
数量が全て1式になっていて、金額が適切か判断できません。また屋根塗装が3回塗りで行なってもらえるのかも不明です。
■OK例
屋根の面積だけでなく、足場やタスペーサーの施工面積など細かく記載されています。
また屋根塗装の工程ごとの単価も明確で、何の塗料を使うかもわかります。
適切な工事をしてもらうためには、
・数量、単位
・塗料名
・必要な工程
がすべて記載されている見積もりをくれる業者に依頼しましょう。
>屋根塗装の見積もりのチェックポイントについてはこちらの記事をご覧ください。
7-3 屋根に合った提案をしてくれる
屋根に合った提案をしてくれる業者を選びましょう。
まず塗料には、適応下地・用途というものがあります。
提案された塗料がご自宅の屋根材に合っているか確認しましょう。
▼カタログ
上のカタログでは、スレート・セメント瓦・モニエル瓦・金属瓦に施工可能です。
また、ご自宅の屋根の劣化状況に合わせた提案をしてくれるかも重要です。
屋根を点検すると、塗装ではどうにもならないほど劣化しているケースもあります。
そういった場合は、新しい屋根にする工事が必要です。
しかし、中には劣化しているのに、無理に塗装を勧めてくるところ業者もあります。
屋根の劣化状況に合った提案をしてくれる業者に依頼しましょう。
7-4 工事中の作業を写真で残す
屋根塗装中に、作業写真を撮ってくれる業者か確認しましょう。
工事中は足場も経っていますから、作業の様子は住んでいる方でも確認できません。
本当に下塗りをしたのか?タスペーサーを入れたのか?など、ご自身で確認できないまま工事が終わってしまいます。
そのため、工事中、工程ごとに写真を細かく撮ってみせてくれる業者に依頼すると安心です。
契約前に、確認しておきましょう。
7-5 保証・アフターフォローがある
屋根塗装に保証を付けてくれる、アフターフォローがある業者を選びましょう。
塗装工事は工事が終わった後が重要です。
そのため、工事に保証が付くか、アフターフォロー対応があるか事前にチェックしておきましょう。
保証に関しては、塗装施工店だけでなく、塗料メーカーからも保証がもらえる業者だと尚安心です。
>塗装の保証についてはこちらの記事をご覧ください。
>塗装のアフターフォローについてはこちらの記事をご覧ください。
まとめ
いかがでしたか。
この記事では屋根塗装の基礎的な知識をご紹介しました。
屋根はお家の中でも、紫外線や雨風などで劣化しやすい箇所です。
しかし、同時に劣化が見えにくい箇所でもあります。
適切な時期に、適正価格で高品質な屋根塗装を行なって長持ちさせていきましょう!
最後までご覧くださり、ありがとうございました。
◆屋根別の塗装の記事もご覧ください。
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