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近くの工事業者から「屋根の釘が浮いているから、直した方がいいですよ」と言われたあなた。
家に異常があるように見えないのに、本当に直す必要があるの?そもそも「屋根の釘」って何?
と疑問に思われているかと思います。
屋根の釘とは、屋根の頂上の瓦や屋根材を固定する釘のことです。
普段なかなか目につかない場所ですが、実は非常に大事な部材で、釘が浮いた隙間を放置すると、雨水が家の中に入り家を傷めてしまいます。
そこでこの記事では、屋根の釘について詳しく解説し、釘の浮き、抜けを放置してはいけない理由をお伝えします。
補修工事が必要になった場合の費用相場も紹介するので、あなたのお家の屋根の状態を正しく把握し、どのようなメンテナンスをすればいいのか適切な判断が出来るようになります!
屋根はお家の耐久性に関わる大事な場所です。ぜひ最後まで読んでみて下さいね。
突然訪ねてきて「屋根の釘が抜けている」「点検しますよ」などと言って嘘の点検結果を報告したり、わざと屋根を壊したりして、高額な修理費を請求するような悪質な業者が、全国各地で報告されています。
屋根の細かいところは、地上から見えることは滅多にありません。知らない業者は絶対に屋根に上らせないようご注意ください。
ただ、屋根の釘が抜けてくること自体は、あらゆるお家で実際に起こる可能性があります。
本記事でも屋根の劣化や修理について具体的に解説します。
正しい知識を身に付けて、被害から身を守りましょう。
目次
1章 屋根の釘は7~8年で抜けてきてしまう
屋根の釘とは、主に屋根の頂上にある「棟板金(むねばんきん)」や「棟瓦(むねがわら)」を固定する釘のことです。
この釘はどのお家でも築7~8年経つと少しずつ抜けてきてしまいます。
※ただし、家によって差があります。本当に抜けているかどうかは地上からはほとんど見えません。判断するには、業者でもはしごや高所カメラを使ってしっかり確認する必要があります。
釘が抜けてくる理由は、屋根の種類により異なります。
■スレート屋根の場合 頂上からの雨水の侵入を防ぐため、棟板金を釘で固定しています。 板金は金属の為、太陽の熱で温められると膨張し、夜涼しくなると縮む性質を持っています(金属の熱膨張)。それを何年も繰り返すことで少しずつ釘が押し出され、抜けてしまいます。 |
■瓦屋根の場合 屋根の頂上に、雨の侵入を防ぐ棟瓦を釘やビスで固定しています。 何年も雨風にさらされることで、内部の漆喰や木材が劣化し釘がゆるんできてしまいます。 |
ちょっとしたことに見えるかもしれませんが、実は絶対に放置してはいけない状態です。
次の章で、その理由を紹介します。
2章 屋根の釘浮きは放置NG!その理由は4つ
釘の浮きを放置してはいけない理由は大きく4つあります。
少しの隙間に見えますが、放置するとお家やその周りにまで大きなダメージを与えてしまいます。
順を追ってひとつずつ解説していきます。
2-1 釘の隙間から雨水が侵入する
浮いた釘の隙間から雨水が侵入し、木部が傷む原因となります。
水は狭い所に入り込む性質があり、ほんの小さな釘穴からでも伝って侵入し、内部の木材に浸み込んでしまうからです。
■棟板金の中の木材 板金の中には、貫板(ぬきいた)という木材が入っています ↓釘が浮いたまま放置すると… 抜けた釘を伝って1滴1滴水が入っていき、木材を腐らせてしまいます。 |
2-2 板金や瓦が強風で変形・破損する
釘浮きの放置は、屋根の上の棟瓦や棟板金が破損・変形する原因となります。
なぜなら、釘がゆるんで瓦や板金をしっかり固定できていない状態だからです。
強い風が吹いたときにはバタバタと動いたり、その影響で一部が歪んでしまったりすることがあります。
■釘が浮き、棟板金を固定できていない状態 指が入るほどの隙間、歪みができてしまっています。雨が降ると、この隙間からもダイレクトに水が入って家を傷めてしまいます。 |
2-3 板金や瓦が落下してしまう
釘がゆるんだままだと、台風などの際に棟板金や棟瓦が飛ばされ落下してしまう危険があります。
屋根に沿って下から上に吹き上げるような強風が吹いた場合、浮いた板金の隙間から風が入って煽られてしまうからです。
板金は金属ですので、万が一物や人に当たると大きな被害を出してしまいます。
■台風で被害を受けた棟板金 台風の影響で棟板金が道路まで飛ばされてしまったお家です。 写真下の棟板金は2mほどの大きさでした。この時は幸いにも車や通行人はいませんでしたが、もしもぶつかっていたら大変です。 |
2-4 雨漏りの原因となり、家の寿命を縮めてしまう
釘浮きを放置することで、雨漏りの原因となり家の寿命が縮んでしまいます。
釘の隙間から雨水が侵入し家の中に浸み込んでしまうからです。
水は重力に従って上から下へと流れていきます。屋根の頂上から入った水は、お家のあらゆる場所に影響してしまう危険があります。
■雨漏りした状態の室内 雨漏りが発生すると、家を支える木材や柱などが腐食してしまい、家の寿命を大きく縮めてしまいます。 修繕工事には何十万という費用がかかります。 |
3章 釘浮きを指摘されたらまずは業者に点検依頼
「釘が浮いているので、直した方がいいですよ」と一度でも言われたことがあるのなら、まずは業者にきちんとした点検を依頼しましょう。
なぜなら、実際に釘が浮いているかは、遠目からみただけではプロでも判別が難しいからです。
悪徳業者は、実際に見ていない・本当は問題ないのに「釘が浮いている」と指摘し不安をあおり、必要ない工事の契約を迫ってくる場合があります。
こうしたトラブルを防ぐために、はしごで屋根に登って点検or高所カメラで屋根を点検など、写真で確認できるような点検をしてくれる業者に依頼しましょう。
お客様ご自身も写真を見て状態を知れて、騙される心配もなく安心です。
屋根点検自体は、地元のリフォーム業者、または屋根塗装の業者なら、無料でしてくれるところがあります。
車で30分位の場所に支店や本社がある業者がおすすめです(※遠方に事務所がある業者やハウスメーカーだと、出張費などで有料になってしまうケースがあるため。)
※ご自身で屋根に上るのは大変危険です!絶対に止めましょう!
異常がなければそれで安心です。
もしも釘が浮いていた場合は、1棟約15,000~40,000円程度で釘を打ち込むことが可能です。
■釘浮きの直し方(棟瓦・棟板金ともに共通です) ①浮いている釘をハンマーで打ち、隙間をなくします。
②コーキング(ゴム状の補修材)で、釘打ちした上をすべて留めます。熱膨張はこれからも起こるため、今後抜けにくくするための処理です。
③コーキングが乾燥したら、完成です。
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★点検では必ず写真を撮ってもらいましょう
繰り返しになりますが、屋根の釘はほぼ頂上にあるため、抜けているかどうかは下からでは滅多に見えません。
点検時に屋根の様子を撮影し、きちんと写真を渡してくれる業者を選びましょう。
依頼するとき、「屋根の状態が分かるように、屋根全体や傷んでいる箇所の写真をください」と一言頼んでおくと確実です。
屋根全体の様子がしっかり分かるには、写真20~30枚程度が目安です。
ありもしない劣化を言われて不要な工事を迫られたりする心配をなくすためにも、必ず写真を撮ってもらいましょう。
4章 補修の費用相場
屋根の状況によっては、釘打ちの他に追加で補修工事が必要となる場合があります。
それは主に
- ①棟板金or棟瓦自体が破損・変形している
- ②棟板金や棟瓦の中の部材が腐食している
の2つです。
この場合は、釘打ちのみ行っても棟瓦や棟板金の固定が出来ず、台風被害や雨漏りを防げないため、別途工事が必要です。
どのような工事が必要になるかは、屋根材やその状態によって異なります。
点検の結果を受けて、それぞれの場合に合わせた補修工事を行いましょう。
4-1 スレート屋根の場合
棟板金・貫板交換:7,000~12,000円/m
棟板金は屋根の頂上にある、雨水の侵入を防ぐ板金です。強風や衝撃で変形・破損していた場合は、交換が必要になります。
■正常な貫板
■腐食した貫板
釘が浮いた隙間から侵入した水で腐食してしまいます。腐食している場合、釘打ちしても固定できないため交換が必要です。
新築時は木製が多いですが、リフォームの際には、腐らない樹脂製に交換も可能です。
4-2 瓦屋根の場合
棟瓦交換:10,000~50,000円/枚
頂上にある棟瓦も、強風で物がぶつかった衝撃で割れてしまうことがあるため、交換が必要になる場合があります。
放置すると、割れた所から家の中に水が侵入してしまいます。
棟瓦積み直し(取り直し):9,000~20,000円/m
棟瓦を一度取り除き、雨水の侵入を防ぐための漆喰や垂木を交換・補修後にもう一度瓦を積みなおす工事です。
内部まで水がまわって劣化していた場合に行います。
5章 補修工事費用を火災保険でお得にできる場合もあり!
点検してみて釘打ち以外の補修工事が必要になった際、条件がそろっていれば、火災保険の保険金で工事費用をまかなえる場合があります。
業者からちゃんとした補修工事がいる言われ見積もりを出されたら、ぜひ保険会社に問い合わせをしてみましょう。
思ったより大きな出費になりそう…というときに、少しでもお得にできるチャンスです!
保険金を受け取る条件は以下の6点です。
①加入している火災保険に「風災特約」がセットになっている
②強風、台風、ひょう、大雪(風災)が原因と認められたもの ※風災が原因かどうかは、最終的には保険会社から依頼を受けた鑑定人が判断します。まずはそうかもしれないと言って見てもらうのが良いでしょう。 ③屋根修理が必要な状態になってから3年以内 ※「◯年の台風の被害」等、自然災害の被害にあった時期を指します。例えば、2010年の台風被害にあった屋根を2019年に直そうとしても、年月が経ちすぎていて本当にその年の被害かが証明できないため、保険金の対象外となります。 ④工事費用の合計が20万円以上 ⑤保険に加入している本人が保険金の申請をすること ⑥過去5年以内に、屋根塗装を含む屋根修理をしていない |
一般的な申請の際、必要となる書類は以下の4つです。
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①と②は点検した業者に依頼すれば用意してもらえます。③と④は保険契約者が記入する必要があります。
書類は保険会社or保険代理店に依頼しましょう。
実際にどれくらい保険金が下りるかや、具体的な手順などは、加入している保険ごとに異なります。
まずは保険会社に問い合わせてみるのが一番良いです。利用できるかも?と思ったらぜひ確認してみましょう!
まとめ
屋根の釘とは棟板金や棟瓦を固定する釘のことです。これらの釘は、築7~8年程で抜けてきてしまいます。
釘浮きを放置してはいけない理由は、以下の4つです。
- ①釘の隙間から雨水が侵入する
- ②瓦や板金が強風で破損・変形する
- ③板金や瓦が落下てしまう
- ④雨漏りの原因となり、家の寿命を縮めてしまう
少しでも浮いていたら、釘打ちが必要です。この工事は1棟およそ15,000~30,000円程度で業者に依頼できます。
ただし、屋根の状態によっては、追加で補修工事が必要となる場合があります。台風や雨漏りの被害を未然に防ぐため、きちんと点検してもらって対処をしましょう。
これらの補修費用は、火災保険の保険金を使ってお得にできるケースがあります。ぜひ保険会社に問い合わせてみましょう。
屋根の釘は、ほんの些細なものに見えますが、実はお家にとって非常に重要なものです。
まずはきちんと点検し、正しく対処してお家を長く大事にしてあげてくださいね。
お読みいただきありがとうございました。
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