我が家もそろそろ塗装工事を行わなければいけない時期…
そこでどうしても気になるのが「足場」の事。
よく工事するときの「足場代が高い」、とか「足場代がもったいない」なんて工事をやった人から聞くけど、そもそも足場って絶対に工事するときに必要なの?費用は実際いくらくらいかかるの?
そんな疑問をお持ちの方のために、外壁塗装を行う際に足場が必要な理由、足場の一般的な費用相場を解説します。
さらに、実は意外とある追加費用になるお家のケースや、よくある疑問Q&Aも紹介。足場の全てをお伝えします!
正しい知識を得て、ぜひより良い塗装工事をしてくださいね。
目次
1章 外壁塗装に足場が必要な3つの理由
外壁塗装を行う際に足場は絶対に必要です。
その理由は大きく分けて3つあり、
- ①工事の品質を保つ為
- ②近隣宅へ迷惑をかけない為
- ③職人の安全管理の為
です。その理由を詳しく解説していきます。
1-1 工事の品質を保つ為
足場を組んでいないと、良い内容の工事を行う事は出来ません。
足元が不安定、物を置くことが出来ない、など、落下の危険性に常に注意を払いながらの作業と、その危険性がない安定した場所の作業では、工事に入る職人の作業のしやすさ、品質は格段に変わります。
実際に足場が無く、脚立やはしごなどを使って足元が不安定な状態で塗装工事を行うと、職人の腕がいくら良かったとしても塗りむらや塗り忘れ、塗り残しの箇所が出てしまいます。
最悪、塗装工程が予定通りに進まず、決めた工期で終わらないから、と適当に工事を終わらせてしまう可能性もあります。
質の高いちゃんとした内容の工事を行う為にも足場は必要です。
1-2 近隣宅へ迷惑をかけない為
足場を組まないで工事を行うと近隣宅へ迷惑をかける危険が出てしまいます。
なぜなら、通常足場に張る「塗料の飛散防止ネット」をつけることができなくなってしまうからです。
飛散防止ネットは、外壁塗装前に行う洗浄の水しぶきや汚れの飛散、塗装中の塗料の飛散を防ぐ役割を果たします。
工事が始まると水や塗料が極端に飛び散る、という事はありませんが、細かなしぶきは必ず発生します。
少し風の強い日だと飛散の量や距離も増えていきます。
足場もネットもない状態で万が一、ご近所の壁や車に汚れがついてしまうと大きなトラブルになってしまいます。
近隣トラブルを起こさず工事を行う為にも、足場は必要です。
1-3 職人の安全管理の為
職人の身の安全を守る為にも足場は必要です。
足場があれば万が一足が滑ってしまっても、落下する前に掴む場所があります。また、足場の周りに張るメッシュシートも落下防止の役割を果たしています。
労働安全衛生法でも、2m以上の高所で作業をする場合には足場の組み立て等の安全対策が義務づけられています。
一般的な2階建て住宅は高さ5~6mはありますので、足場は必須なのです。
労働安全衛生法…「職場における労働者の安全と健康を確保」するとともに、「快適な職場環境を形成する」目的で制定された法律 出典:安全衛生マネジメント協会 |
逆に、足場を組まずに工事をして現場の職人に万が一の事態が起こると大変です。
もし現場で転落事故が発生してしまった場合、工事を依頼した側の精神的負担も大きくなりますし、工事を依頼した当初と同じ様な良い気持ちで工事を継続してお任せしよう!とはなりません。
もちろん請け負った会社側も負担や被害も大きくなります。
工事を依頼する側、請け負った側がお互いに気持ちよく工事が出来る様な環境を整える事が、結果的に作業の効率を高める事にも繋がります。
良い工事にするために、足場の設置は必要です。
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2章 足場工事にかかる費用
足場代は、平均的な木造2階建て30坪、外壁150㎡程度のお家で10万~20万円程度かかります。
㎡単価だと800~1,100円です。
ここには、足場の材料を運ぶ運搬費、足場を組む施工費、解体費等も含まれています。
もし、見積もりを取ってあまりに足場費用が高かった場合は、その理由を工事会社の方に質問してみましょう。
次の3章で解説しますが、お家の状況によっては費用が高くなるケースもあります。
また、単純に元々の費用が高い足場屋さんを使用している場合や、足場を仮設(組み立て)する場所が足場屋さんから遠く交通費がかかる、などの業者側の理由の場合もあります。選ぶ会社によって費用に差が出るポイントです。
しかし、具体的な理由が無い場合、足場代に利益を上乗せしている可能性があります。
きちんとした説明をしてくれる会社を選びましょう。
※ハウスメーカーや大手リフォーム会社などに塗装を依頼した場合は、中間マージンの関係で足場代が割高になるケースが多いです。 |
逆に、あまりに安すぎたり、サービスで無料にします!という業者も注意しましょう。
安全な足場ではなく、法律違反の簡易足場で費用を安くして請負、作業をする会社も存在します。
足場をかけるのに「費用はいくらくらいかかるのか」金額面の基本的な部分だけでもまずは押さえておくようにしましょう。
3章 注意!追加費用がかかるケース4つ
3章で紹介した相場代金とは別に、追加で費用がかかるケースは主に4つあります。
ご自宅の立地条件によるものですので、当てはまる場合は予算を多めに見積もっておくようにしましょう。
3-1 3階建てや高台の立地の場合
3階建てのお家や小高い場所に建っているお家は、通常と比べて㎡単価200~300円程度上がります。
3階建ての場合、1階分組み立てる面積が広くなり、高さも増すため金額が高くなります。
高所作業手当、という形で作業の手間賃も足場代金として取る場合が多いからです。
また、小高い立地にあるお家の場合、足場が敷地内で安定して建てる事が難しいときは、崖下まで足場を伸ばして安定している場所に建てるケースが良くあります。
この場合も3階建て同様、足場を建てる面積が広くなるため金額が高くなります。
また、足場を運ぶ手間なども通常の立地と比べて大変なため、手間賃分が足場代に加算されます。
3-2 狭小地の場合
非常に狭い敷地に足場を建てる場合、手間賃として5,000円~ほど加算されることがあります。
自宅、近隣のお家どちらも傷つけない配慮なども必要で、搬入や組み立てに通常より時間がかかるからです。
また、足場の鉄パイプを持って移動するのも、物理的にスペースが狭いと大変です。
その為職人さんに払う手間賃として加算される場合がほとんどです。
より作業しにくい状態であればあるほど、追加の費用も増えていきます。
3-3 足場が干渉するカーポート等がある場合
お家周りの足場が建つ範囲内にカーポートやサイクルポート、ベランダルーフ等がある場合、ルーフの脱着で一枚当たり600円~追加費用がかかることがあります。
ルーフの多くはポリカーボネート製で、上にそのまま足場が組めないからです。
足場に干渉する位置(外壁のすぐそばなど)にルーフが取り付けられている場合、基本的に工事前に取り外し、終了したらまたはめ直します。
■外壁に付いているカーポート
ポリカーボネート製の半透明のルーフです。
■ルーフの取り外し
開いたスペースにパイプを立てて、安定した足場を組むことができます。
注意: 20年以上経過しているポリカーボネートの場合、すでに紫外線による劣化がすすんでいて、脱着時に破損してしまう可能性があります。その際は新品への取り換えが必要となりますので、さらに新規商品代金がかかる場合があります。 事前に工事会社の方から説明がある場合がほとんどですが、築20年以上経過している/日当たりが良い場所に設置してある場合は、念のため破損の可能性があるかどうかも工事会社に確認しておきましょう。 |
3-4 工事中に別途駐車代がかかる場合
自宅の駐車場部分に足場を建てなければ組めない場合や、材料置き場が無く塗装作業の工程を行うのが難しい場合、足場着工時~解体までの間、お客様の車の移動をお願いされる場合があります。
その際は、移動している期間・台数分の駐車場代がかかります。
※業者負担じゃないの?と思われる方も多いですが、お客様の車の駐車場は基本的にお客様負担としている業者が一般的です。
工期は一般的には2週間程度ですが、時期によってはもう少し長引く場合もあります。
事前に自宅近隣の駐車場の空き状況の確認や費用も確認を行い、予算として入れておくようにしましょう。
4章 足場は「くさび式(ビケ)足場」にしましょう
実は、足場には種類があります。
塗装工事では必ず「くさび式(ビケ)足場」を使いましょう。
作業性、安全性を確保し安心して工事を行う事が出来る足場だからです。
■くさび式(ビケ)足場とは 部材同士をしっかりと差し込んで組み立てていく足場です。 組み立ても解体も短時間で行う事が可能です。また足場板も幅を広く取る事が出来、安全なので隅々まで丁寧に作業できます。 ハンマーでガッチリ固定して組むので、揺れにも強く作業がしやすい足場です。 |
逆に、他の種類の足場(単管足場やブラケット足場)は非常に危険です。
安全が確保できない為、法律で使用自体が禁止されています。
「単管の方が安くできますよ」などと勧められたとしても、断固として断りましょう。
■単管足場 足元が不安定になり非常に危険です。どんなに良い職人でも、身の安全が確保されていない状況では丁寧な作業もできません。 |
どんなに安くても、法や安全面を軽視する会社が、良い工事をしてくれるとは思えませんよね。
足場に関しては、費用面を優先させるということは絶対にやめましょう。
もし何の足場を使用しているのか分からない場合は、直接工事会社の方に「使用する足場はくさび式(ビケ)足場でしょうか?」と質問して事前に確認してみましょう。
また、安全・信頼面でまだ不安があるようでしたら、さらに「足場の国家資格を持った人がやってくれますか?」と聞いておきましょう。
足場を組む為には足場の組立て等作業主任者という国家資格が必要です。また、組み立て等に関わる作業者は、全員が特別教育を受講する必要もあります。
足場を扱う資格が無い人には足場を組むことはもちろん、板を動かす事もできません。
きちんとルールを守っている会社であれば、人の安全以外にも、塗料などの落下で周りを汚して近隣トラブルに…ということも起こりにくいです。
業者を見極めるポイントの一つとしても、足場については確認しておきましょう。
【安全な足場の重要性】 足場の安全性の規制は年々厳しくなっています。しかしそれでも、足場からの墜落による死亡事故は年間30件前後も起きています。 出典:建設業労働災害防止協会「足場の組み立て等に従事する皆様へ」 塗装工事は、安全管理がきちんとできている信頼できる業者に依頼しましょう。 |
5章 足場に関するよくある疑問Q&A 5選
足場についてのよくある疑問と回答を5つまとめました。
実際にお客様から寄せられた質問を中心にまとめましたので、是非工事に入る前に確認を行い今後の参考にして下さい!
5-1 「足場の組み立てにかかる時間はどれくらい?」
A.ビケ足場の場合、4時間程度が一般的です。
例えば、朝8時に開始して昼頃には完了、というくらいの時間です。
午前中に組み立てを行う会社が多いですが、もちろん午後に組み立てを行う場合もあります。
それでも夕方17時~18時には終わるので、基本的に暗くなるまで作業を行う事はありません。
ただ、注意が必要なのは”音”です。
足場はハンマーを使ってがっちり組み立てるため、広範囲にカンカンと響く高い音が発生します。
小さいお子様がいるお家だと、寝ていたのに音が原因で起きてしまう場合もありますので、気遣いや事前連絡が必要です。
近所への挨拶や連絡は、業者が行ってくれることも多いです。
組み立てを行う時間帯の確認と、必ず連絡してほしいご近所さんの情報などは打合せておきましょう。
5-2 「大事にしている庭木があるけどそのまま足場を建てても平気?」
A.足場架設は可能ですが、業者に事前に伝えて、傷つけたりしないよう細心の注意を払ってもらうようにしましょう。
ただし、日当たりなどどうしても庭木への悪影響が避けられない場合は、工事の時期を考慮しましょう。
動かせない大切な庭木に関しては足場と触れてしまうと傷んでしまう、折れてしまう場合もあります。
庭木を指定して、避けて足場を組んでもらうよう相談しましょう。
■庭木を避けた足場 お花の合間をうまく通して、枝が折れないように組んでいます。また、お花自体の保護のために養生シートもかけてあります。 |
ただ、工事期間中は足場にメッシュシートがかけられている状態です。少しでも日当たりが悪くなってしまうと、枯れてしまう庭木もあります。
特にある一定の時期しか咲かないお花等を育てられている場合は、時期とずらして足場をかけてもらう様に工事会社に相談してみましょう。
5-3 「足場の組み立て時に傷がついた、物を壊された場合はどうすれば良い?」
A.足場業者は保険に入っていることが多いです。保険で修理してもらいましょう。
稀ですが、足場の組み立て時や解体時に、家の外壁や窓、車、場合によっては近隣のお家を傷つけてしまう事もあります。
その様な事態が発生した場合には、まずは塗装会社に伝えましょう。
きちんとした足場業者であれば保険に入っていてそれで修理してくれますし、塗装会社も契約工事内で起こった問題は対応してくれます。
ただ、足場業者は、塗装業者が依頼した下請けであることが多いです。
あまり良くない会社だった場合、足場業者と塗装業者の責任の押し付け合いでうやむやになるケースもあります。
工事に入る前に、
- ・保険には入っているのか
- ・誰が保証を行ってくれるのか
- ・どの部分をどんな条件で保証してくれるのか
は確認しておくと安心です。
また、保険の対象範囲は工事箇所(外壁や屋根)だけでなく、工事箇所以外の場所(庭など)や工事関係者以外の人まで含まれているか、合わせて塗装会社に確認しましょう。
また、不要なトラブルを避ける為にも、ご自宅周りに置いてある物で特に大切なものは、工事が入る前にあらかじめ安全な場所(室内等)へ移動しておきましょう。
5-4 「隣の家との間隔が狭いけど足場は建てられる?」
A.お隣の家との間隔が60㎝以上あれば、余裕を持って確実に建てることが出来ます。
それ以下の狭さでも、空中越境などで対応して建てることができます。
通常の自転車1台分収まるスペースが隣地との間にあれば、おおよそ60cmはあります。
大抵のお家はまず問題なく足場を立てられます。
ただ、敷地がもっと狭いと、立地やフェンスの形状などによっては、
・空中越境(足場自体は敷地内に立っているが、上の方で足場の一部を跳ね上げて、空中で隣の敷地に入ってしまう)
・隣家の敷地を借りる
などの対応が必要な場合もあります。
■空中越境 ベランダが飛び出ているお家だったため、そこだけ空中で隣家側にはみ出る形で組みました。 |
足場の組み立ては、お家の形や立地、フェンスの位置や周囲にある動かせない物など、様々な条件が絡んできます。
自宅の場合はどうなるのか、業者に詳細確認を行いましょう。
もしお隣の方に協力していただく必要がある場合は、きちんと挨拶と連絡をします。
その際は工事会社の方にも同行を依頼し、専門的な観点からの説明も直接してもらいましょう。
注意!事後報告だけは絶対にNGです!トラブルのもとになります。 挨拶など全てやってくれる業者もいますが、敷地が絡む場合は業者任せにせず、ご自身も一緒に挨拶に行っておくのが安心です。 |
また、終わったあとには、お隣さんに協力してくださったお礼も忘れず伝えましょう。
いつかお隣さんが工事するときには、自分が協力する側になる可能性もあります。
お互い様、と言って気持よく工事を進められるように、事前の確認と連絡をしておきましょう。
5-5 「強風時、台風等大雨の時でも足場は建てられる?」
A.強風、大雨、台風の日には組み立ては行いません。
組み立てる職人さんの身の安全の確保が難しい様な気象条件、近隣のお家への配慮が難しい(前が見えない、足場材を運ぶことが難しい、等)状況の時は、組み立ては行いません。
別の日にちにスケジュールを再調整します。
足場がやむ負えない状況で変更になった場合、その後の塗装のスケジュールも変わってしまいます。その後の予定等は工事会社に再度確認を行いましょう。
まとめ
外壁塗装を行う際に足場は必要です!
費用相場は30坪2階建てのお家で10~20万円ほどですが、場合によっては追加費用が掛かるケースもありますのでご注意ください。
そして安全、品質の観点から、必ず「くさび式(ビケ)足場」を使用する塗装会社を選びましょう。
大がかりな工事ですから、不安・疑問をきちんと解消して、納得のいく良い塗装工事にしてくださいね!
最後までお読みいただきありがとうございました!
◆より安心できる良い工事にするために、足場以外の見積もり内容もぜひチェックしてみてください。
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