お家の玄関は、人の出入りに必ず使う場所。
出入りする時に、ふと
『あれ?うちの玄関ドアってこんなに汚なかったかな…?』
と、劣化に気付かれた方もいると思います。
▲表面の剥げが目立つ玄関ドア
玄関はお家の顔と言っても過言ではない場所ですから、剥げや色褪せしたままなのは嫌ですよね。
この記事では、玄関ドアの塗装について詳しくお伝えします。
玄関ドアの見た目をどうにかしたいとお悩みの方も、塗装をすることで新築時の様な美しい玄関を取り戻すことが出来ますし、正しい知識を持つことで、失敗のない塗装となります。
長くきれいな状態を保つために必要な知識も備わりますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
1章 塗装できるドアの種類と特徴
玄関ドアは大きく分けて2種類あります。
『木製』か『金属製』かの違いです。
その中でも、材質によって手入れ方法が異なりますので、まずは自分のお家がどの種類かを把握した上で、メンテナンス準備をしましよう。
■塗装できるドア
玄関ドアは、塗装が向いているドアと向いていないドアがあります。
一覧にしたのでまずは確認してみましょう。
分類 | 材質 | 塗装の可否 | 特徴 |
木製 | 木 | ○ | ポピュラーなドア |
金属製 | アルミ | × | 金属ドアのほとんどがアルミ製です。 |
鉄 | ○ | 磁石がくっつく、重いドアです。 | |
| × | 防火・防音。防犯性が高いです。 | |
ステンレス | × | 錆びにくいです。 |
見て頂いて分かる通り、基本的に金属製のドアは塗装をおすすめしません。
理由は、プロが塗装したとしても2~3年で剥げるリスクが高いためです。
厳密にいうと、塗料の扱いや施工に高い技術力が必要で、非常に失敗しやすい工事のため、無理に塗装をするより
・上からカバーする工事
・玄関ドアの交換工事
をした方が、先々のメンテナンスも楽で長持ちするので、金属製ドアにはおすすめです。
■木製・金属製の違い
まずは玄関ドアの種類に大きく分けて「木製」と「金属製」があること理解し、ご自身の家がどちらのドアなのかを知りましょう。
特に金属製のドアは、見た目ではなんの材質か判断が難しいため、曖昧な場合は必ずリフォーム業者や塗装業者に見てもらい、正しく判断しましょう。
1-1 木製ドアの塗装
木製ドアの魅力は、デザイン性に優れているため、個性やおしゃれさを活かしたい方が選んでいます。
木製ドアの特徴として、温度や湿度によって木が収縮を繰り返すため、メンテナンスを怠ると、色が褪せてきたり、最悪木が腐って穴が開いたり欠損することがあります。
定期的なメンテナンスは、5~8年に1度を目安にすると良いでしょう。
1-2 金属製ドアの塗装
金属製ドアは、耐久性に優れているため、メンテナンスにそこまで注意を向けなくても大丈夫です。
定期的なメンテナンスというよりは、傷が出来てしまったり、錆びが出てきていたりと、目で見える症状が出たタイミングでメンテナンスをします
番外編:判断要注意の玄関ドア
【ドアシートが貼ってあるドア】 出典:デザインスポットウイング リフォーム用品として玄関の表面に張り付ける「玄関ドアシート」がありますが、これが貼ってあるドアに塗装はできません。 塗装をしたい場合は、既存のシートを剥がしてからになります。 シートが貼ってあるかどうか分からない場合は、リフォームや塗装業者に見てもらい、判断するようにしましょう。 |
2章 玄関ドア塗装の費用相場と施工期間
玄関ドア塗装の費用はいくらぐらいかかるのかを、ここでは業者に依頼した場合で紹介します。
2-1 【ドア種類別】費用相場と施工期間
ドア塗装に掛かる費用・施工期間は以下の通りです。
| ドア塗装 | 傷(部分)補修 |
木製 | 150,000円前後 | 35,000円 |
金属製 | 80,000円前後 | 45,000円 |
施工期間 | 1~4日間 | 2時間以内 |
※概算であり、ドアの状況により異なります。
基本的な施工手順は
- 下地処理
- ↓
- 下塗り
- ↓
- 中塗り
- ↓
- 上塗り
という順番で行います。
早いと1日で終わりますが、下地処理など丁寧に進めなければ塗装の剥がれに繋がる作業があるため、おおよそ2日以上は見ておくと良いでしょう。
2-2 外壁塗装と一緒にやると費用が抑えられる
玄関ドアの塗装費用は、外壁塗装と一緒のタイミングで施工業者に依頼すると、安く抑えられる場合があります。
玄関ドア単体で塗装をするより、業者としては準備の都合が良いので、サービスしてくれることがあるためです。
外壁塗装をまだしていない方は、玄関ドアを塗装したくなった時期がお家全体の塗装時期の可能性も高いので、外壁塗装と一緒の工事を検討してみましょう。
3章 【写真付】DIY塗装の手順と注意点
ドア自体の劣化が少ない場合はご自身での塗装も可能です。
逆に、劣化が進んでいる場合はDIYはおすすめしません。
前述の通り、玄関ドアの塗装は基本的に専門的な技術を要します。
そのため、正しい施工をしないとすぐに塗装が剥げてボロボロになってしまうからです。
1度ボロボロになった玄関ドアを再塗装するには、剥げた部分を綺麗に処理してからでないと同じことを繰り返すため、よほど自信がなければお勧めはしません。
そのことを踏まえた上で、DIYをやってみようという方は、以下を読み進めて下さいね。
施工にあたり注意してほしいこと |
●専門的な技術を要するので、中途半端な施工は剥げに繋がる ●過去にDIYでニスなど塗ったことがある場合は、さらに剥がれのリスクが高まる ●見た目で塗装の剥げが多いな…と分かるレベルは、技術を要する施工範囲が広いため、DIYでやると失敗する可能性が高い ●金属製のドアは塗装に向かない |
3-1 木製の玄関ドア 材料、塗装手順と注意点
ここでは、塗装が可能な木製ドアの塗装手順について紹介します。
必要な道具は全て購入すると、12,000円前後です。
【必要な道具】
道具名 | 目的 | 費用目安 |
サンドペーパー | 下地処理で使用します。目を均すように丁寧に表面を削ります。 | 400円前後 |
電動サンダー | サンドペーパーでは追い付かないような広い範囲を削ります。 | 3,000円前後 |
木部パテ | ドア表面を平らにするために、傷を埋めます。 | 800円前後 |
マスキングテープ(建築塗装用) | 鍵穴や取手などの、塗装しない部分をカバーします。 | 100円前後 |
マスカー | ドア周りに材料が飛び散っても良いように、マスカーで覆います。 | 150円前後 |
汚れても良いタオルや新聞紙 | 飛び散った材料などを拭いたり、下に敷いたりします。 | 家にあるものでOK |
塗料 | 必ず木部に塗れるものかどうか確認しましょう。 | 1,000円前後 |
刷毛(はけ) | 細かい部分まで塗れるように、毛量が多すぎない方が扱いやすいです。 | 150~300円前後 |
ローラー | 広い面を塗るために使用します。 | 600円前後 |
軍手
| 手が汚れないように使用します。 | 100円前後 |
脚立 | 手が届きにくい高さにも対応します。 | 1,500円前後 |
【手順】
①下地調整
使うもの:サンドペーパー、電動サンダー
サンドペーパーで表面をよく磨きます。
剥がれの少なそうな所も含めて全体によく掛けます。
古い塗料の膜を綺麗に取り除かないと、新たな塗料が密着せず剥がれやすくなるので、念入りに行います。
※お持ちの方は、電動サンダーを使用されると、さらにしっかり下地調整ができます。
②養生
使うもの:マスキングテープ、マスカー
塗料が付いてほしくないところをしっかり覆うようにテープを貼ります。
玄関前の床やドア周りの壁、鍵穴、取手などをカバーし、仕上がりが綺麗になるようにします。
③下塗り
使うもの:塗料、刷毛、ローラー、タオルや新聞紙
下塗りを行います。細かい所は刷毛で、広い面はローラーで塗ります。
塗料の使用方法は、塗料缶やカタログに表記あるものをよく確認して守りましょう。
また、塗料が金具の隙間に入り込まないように注意します。
余分な所に付着した塗料は、素早くタオルで拭き取りをしましょう。
④中塗り・上塗り
使うもの:塗料、刷毛、ローラー
中塗りや上塗りを行います。(塗料によっては中塗りがない場合があります)
刷毛やローラーを使って最終仕上げとして塗り、規定の乾燥時間が過ぎたら、ゆっくり養生を外して完成です。
3-2 お勧めの塗料
手順が分かったら、どの塗料を使えば良いのか迷っている方に向けて、DIYでもおすすめできる塗料を厳選2種類紹介します。
詳細は販売元の仕様を確認して、ご自身が希望するものに合うかどうかをチェックしてから購入しましょう。
ロックオイルステイン
国内の大手メーカー・ロックペイント株式会社が販売している木部用の塗料です。
- 出典:ロックペイント
- 参考価格1,353円
浸透性が良く、木目の美しさを生かした仕上がりになります。
350mlを1缶購入すれば、希釈せずにタタミ2.3~3.1枚分の面積を塗ることができます。
艶のないマットな仕上がりなので、艶が欲しい方は、さらに上からクリヤー塗装をすることをおすすめします。
ウッドステインプロテクター
ドイツ発祥で世界有数の木部用塗料メーカー・オスモ社が販売している塗料です。
- 出典:オスモカラー
- 参考価格4,039円
自然由来のもので作られているので、人体・動植物にも安全な塗料です。
0.75ℓを1缶購入すれば、タタミ7畳分まで塗れますし、この塗料だけで希釈せず使用できるので、経済的です。
19色のカラー展開も魅力的です。腰の固い刷毛やオスモの専用道具使用した方が、綺麗に塗りやすいです。
4章 玄関ドア塗装のDIYはリスクがある
何度もお伝えしますが、玄関ドア塗装のDIYにはリスクがあることを知った上で、やるかやらないかを決めましょう。
玄関ドアは、外壁塗装とは異なる家具の塗装なので、専門の技術を持って施工しないと、2~3年で剥がれが出てくる可能性が高いです。
ドアの塗装で最も重要なのは『旧塗膜(既存の塗膜)をどれだけ綺麗に剥離できるか』という点です。
下地処理でしっかりと表面をヤスリがけし、不要な物を綺麗に取り除かないと、新たに上から塗装しても剥がれやすくなってしまうので、もし少しでも不安があれば、プロに任せた方が安心でしょう。
玄関ドアの施工は難しいので、ご自身でのDIYにはリスクがあることを理解しましょう。
5章 更に玄関ドアがおしゃれになる外壁との組み合わせ
玄関ドアを折角塗装するのであれば、家の色との組み合わせがおしゃれな色に仕上げましょう。
玄関は家の外観の中でも存在感が大きく、上手に使えばとてもおしゃれなアクセントにできますよ。
お勧めの組み合わせ例を紹介しますので、ご自身の家に当てはめて、玄関の色を決めてみて下さいね。
■濃い外壁×白い玄関ドア
濃い外壁に対して白い玄関ドアは、コントラストが映えた素敵な組み合わせです。
ダークグリーンやダークブラウン、または他の鮮やかな色でも、思い切って白にすることで洋風のおしゃれなお家感が出てきます。
▲ダークグリーン×白のドア
▲テラコッタ×白のドア
■淡い外壁×濃い玄関ドア
淡い外壁色に対し、濃い色の玄関ドアは、お家全体のアクセントになって素敵です。
屋根や雨どいを塗装する機会と同じタイミングであれば、玄関も同じ色にすると更に全体のまとまりが出ておしゃれになります。
▲ライトグレーの外壁×ダークグリーンのドア
▲白の外壁×ディープブルーのドア
■ベージュ系の外壁×茶色の玄関ドア
ベージュやオフホワイト系の外壁に茶色の玄関ドアは、鉄板と言っても良いほど相性が良いです。
木の温もりが活かされた、優しい風合いのお家になります。
▲ベージュの外壁に茶色の玄関ドア
■ツートンカラーに合わせた玄関ドア
メリハリあるツートンカラーのお家の玄関ドアも、外壁と同系色の色を使うと家全体の雰囲気を壊さず、スタイリッシュさを活かせます。
例えば、外壁が白と茶色のツートンカラーなら、玄関ドアも白か茶色にすると相性が良いです。
玄関周りが白色の外壁×茶色の玄関ドアだとメリハリあるデザインに、
玄関周りが濃い茶色の外壁×白色の玄関ドアだとよりスタイリッシュに。と言った感じです。
玄関ドアもデザインとして取り入れられる配色にしましょう。
▲白&ダークブラウンの外壁×白の玄関ドアでメリハリ
まとめ
いかがでしたか?
ドアの材質については、しっかりと業者に見てもらって判断してもらうと安心です。
ドアが木製であれば、塗装を検討してOKなので、先へ進みましょう。
玄関ドア塗装は素人にはなかなか難しい工事です。
正しく工事しないと、すぐに剥がれたり、1~2年で余計にボロボロになりかねないため、DIYでやるか、業者に依頼するかはリスクをしっかり理解した上で、よく考えて判断しましょう。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
◆玄関ドアが劣化していた場合、外壁全体も塗装の時期を迎えているかもしれません。一度ご自身でチェックしておくと安心です。
参考記事:塗り替え時期は築5~7年!外壁塗装タイミングの簡単セルフチェック