「ALCは目地のお手入れが大変」
「ちゃんとやらないと雨漏りする」
という話を聞いて不安になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実際に、ALC外壁は目地(つなぎめのコーキング)からの雨漏りリスクがほかの外壁材より高いです。
目地のm数自体が多いことや、建物の構造上の性質が原因です。
雨漏りのリスクを減らすためには、適切なメンテナンスが必要になります。
本記事では、ALC目地のメンテナンス時期の目安と、補修方法・費用相場を解説します。
また、目地のメンテナンスは外壁塗装と一緒に行うのが一般的です。
単独で補修するよりお得にできますので、全体のメンテナンスと合わせた計画についてもご紹介します。
ALCは耐震性や耐火性などに優れた、とても優秀な建材です。
目地のお手入れをしっかり行って安心して住み続けられるよう、ぜひ最後までお読みくださいね。
目次
1章 ALC目地の構造
ALCの外壁は、現場でパネルを組み合わせたときに、つなぎ目から水が入らないようにコーキングで埋めます。ここが目地になります。
そして最後に、目地も含めた全体を塗装して仕上げます。
一般的なサイディング外壁も似たようなつくりですが、最後の塗装仕上げがなくコーキングがむき出しなので、5~8年ほどで目地が傷んできます。
一方、ALCの目地は塗装の保護があるおかげで、サイディングの目地よりも少し耐久性が高いのが特徴です。
また、ALCはそもそもの外壁材が厚く目地の幅も広いので、中に入っているコーキングの量もサイディングより多いです。
※参考…一般的な厚み サイディング:14~16㎜、ALC:35~37mm
このことから、ALCの目地は劣化して大きな穴があく、欠落する、という可能性も低い丈夫な造りになっています。
■参考:サイディングの目地劣化 築13年のお家の目地。ALCよりも劣化しやすいので、このお家では上下左右に隙間ができてしまい、落下する寸前です。 |
2章 メンテナンスは築10年前後が目安
ただ、そんな丈夫なALC目地でも、築10年ほどで劣化症状が出てくるお家が多いです。
表面の塗装も紫外線で弱ってしまうことと、生活中の小さな振動や地震の揺れなどで目地が伸び縮みして、少しずつ負荷がかかるからです。
具体的には、以下のようなひび割れが発生してきます。
■目地表面のひび割れ
目地の表面にひび割れができています。
塗装表面が少し割れているだけなら、この段階ですぐ雨漏りするわけではありませんが、放っておくとひびが広がって内部に水が浸入してしまいます。
■広がったひび割れ
ひび割れが長く、深く広がっています。
こうなる前に、小さな症状で、気づいたときにメンテナンスを検討するのがベストです。
■サッシ周りのひび割れ
サッシ周りにある目地にひび割れができています。
こちらも表面だけなら緊急性は低いですが、サッシは室内まで直結しているので、万一水が伝ってしまうと雨漏りする危険が高いです。早めにメンテナンスを計画しましょう。
3章 注意!ALCが目地から雨漏りしやすい理由
ALCの目地劣化は、サイディングなどほかの外壁よりも雨漏りに直結しやすいです。
なぜなら、ALC外壁の内側には基本的に、防水シート(二次防水)がないからです。
サイディングのお家は内側に防水シートが張ってあるため、目地から多少の水が入ってもすぐ雨漏りしないように防いでくれています。
しかしALC外壁の場合は、一般的に防水シートを使わず、直接鉄骨の骨組みに貼り付けています。
目地から水が入るとすぐに内部構造に届いてしまうため、雨漏りしやすいのです。
しかも、ALCはサイディングよりも目地のm数が多いです。
パネル1枚あたりのサイズ規格が一般的なサイディングよりも小さく、つなぎ目が多くなるからです。
【参考 建材のサイズ規格】 ・ALC…幅300~600mm (出典:旭化成建材) ・サイディング…幅1820~3030㎜ (出典:ニチハ株式会社) |
二次防水のないALCにとって、目地は防水の最終ラインです。
雨漏りを起こさないためにも、適切な時期で補修・メンテナンスをしてあげる必要があります。
4章 ALC目地の補修方法と費用相場
ALCの目地補修は、「増し打ち」と「打ち替え」の2つの方法があります。
目地の劣化が少ないときは増し打ち、傷みが進んでいた場合は打ち替えを行ないます。
それぞれの内容や費用を見ていきましょう。
4-1 増し打ち:700~1,000円/m
「増し打ち」は、痩せた目地の上に新しいコーキングを足す補修方法です。
目地の劣化が表面だけなど、症状が軽い場合にはこの方法が用いられます。
費用相場は700~1,000円/mです。
打ち替えと違って古い目地の撤去作業がないため、少し単価が安くなっています。
4-2 打ち替え:800~1,200円/m
「打ち替え」は、古い目地を全て撤去して新しく交換する補修方法です。
ひび割れや隙間が大きかったり、コーキングの弾力が失われていたりした場合には、打ち替えで新しいコーキングを充填してあげる必要があります。
費用相場は800~1,200円/mです。
カッターで古い目地をひとつひとつ撤去するため、手間がかかる分費用も少し上がります。
どちらの方法で目地補修を行うかは、専門業者に点検してもらって判断をしましょう。
5章 外壁塗装と組み合わせたサイクルでお得に!
ALC目地コーキングの補修は、外壁塗装とセットで行うのが一般的です。
コーキングの表面がむき出しだとまたすぐに紫外線で劣化してしまうため、上から塗膜で守ってあげる必要があるからです。
また、全体のコーキング補修には足場も必要です。
外壁塗装と別にすると足場費用も2回かかってしまうので、無駄な費用をかけないためにも一緒に行いましょう。
そしてこの外壁塗装とセットのメンテナンスでは、
・築10~15年、初回:目地は増し打ち
・築20~30年、2回目:目地は打ち替え
というサイクルで組み合わるのがおすすめです。
築10年ほどの最初のメンテナンスのときは、まだ目地の劣化が少なく増し打ちで十分な場合が多いからです。
大手ALCメーカーの旭化成建材(ヘーベルハウス)も、このようなサイクルを推奨しています。
■ヘーベルパワーボードのメンテナンススケジュール例
出典:旭化成建材
あまり傷んでいないのに無理やり打ち替えて、費用を無駄につかう必要はありません。
ただ、これは目地の状態にもよりますから、きちんと点検してもらった上で「うちは今回は増し打ちで大丈夫ですか?」と確認して、コーキングの補修方法を決定しましょう。
★ALC点検ならユーコーへ!
ALC外壁は耐久性など非常に優れていますが、水には弱い建材です。雨漏りを防ぐには、目地や塗装による防水が劣化していないかのチェックがとても重要です。
当ブログを運営しているユーコーコミュニティーは、ALC外壁の目地、塗装メンテナンスの実績が豊富にあります。
専門スタッフによる詳細な点検も無料で実施していますので、「そろそろ何かお手入れしないとかな?」と思ったら、ぜひお気軽にご相談ください!
まとめ
ALCの目地は、築10年前後でひび割れなどの劣化症状が出てくることが多いです。
放置すると雨漏りするリスクが高まってしまいますので、小さな傷みでも見つけたら早いうちに補修・メンテナンスを検討しましょう。
補修方法は2つあり、
- ・増し打ち:700~1,000円/m
- ・打ち替え:800~1,200円/m
ほどの費用相場です。
目地の傷みが軽度なら増し打ち、劣化が進んでいたら打ち替えを行ないましょう。
また、目地補修は外壁塗装とセットで行います。
初回メンテナンスは増し打ち、2回目は打ち替え、というサイクルをメーカーも推奨しており、工事費用もお得にできますので、長い目でお手入れを検討するのがおすすめです。
ALC外壁は目地のお手入れが非常に重要です。適切な時期や方法を見極めて、お家を長持ちさせてくださいね。
最後までお読みくださりありがとうございました。
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