ALC外壁の我が家もそろそろ塗装しようと思うけど、やっぱり気になるのは「費用」のこと…
お金のかかることですから、大体の目安を知っておきたいものですよね。
しかし初めての方には、なかなか想像もつかないところです。
特にALC外壁のお家自体がサイディングやモルタルと比べてあまり多くないですから、お知り合いから情報を仕入れるのも一苦労です。
そこでこの記事では、ALC外壁塗装の費用相場を分かりやすく解説します。
ご自宅の予算をイメージするのにお役立てください。
ただしALCは、お家ごとに費用が大きく変わって相場通りにならないことが多い外壁です。
そのため費用が高くなるケースと、お得に工事するコツも合わせて紹介します。
あなたのお家にあった適正価格の見積もりをもらえるようになりますので、ぜひ最後までお読みくださいね。
目次
1章 ALC外壁塗装の費用
まずは費用の目安を掴みましょう。
坪数別の概算と、細かい内訳、実際の見積もり事例をそれぞれ紹介しますので、
ご自宅の場合をイメージするのに参考にしてみてくださいね。
1-1 概算の費用相場
ALCの外壁塗装費用は、使う塗料や面積によりますが、おおよそ80~200万円程度になります。
■塗装+コーキング補修の費用相場
塗料 | 耐用年数 | 費用相場 |
ウレタン | 8~10年 | 80~125万円 |
シリコン | 10~15年 | 100~140万円 |
フッ素 | 15~20年 | 120~165万円 |
無機 | 20~25年 | 125~200万円 |
※30坪2階建て塗装面積150~180㎡の概算
※コーキング補修の他、足場代、附帯塗装などを含む
ALCはとても頑丈で長く住める建材なので、実際には耐用年数が長いシリコン以上の塗料を選ぶ方が多いです。
10年以上持たせるには、100万円以上はかかると考えておくとよいでしょう。
1-2 費用の内訳
ALC塗装は様々な作業項目によって成り立っています。
外壁以外の細かいパーツの塗装も、基本的にすべて一緒に行います。
また、先ほどは大体の目安ということで“30坪のお家”の概算で費用相場を出しましたが、実際の金額は“塗装面積(㎡)”や“個数”に単価をかけて算出します。
そのため、以下の表では坪数ではなく㎡などの単価相場でご紹介します。
ウレタン | 1,700~2,500円/㎡ |
シリコン | 2,300~3,500円/㎡ |
フッ素 | 3,500~4,800円/㎡ |
無機 | 4,300~5,500円/㎡ |
仮設足場 | 700~900円/㎡ |
メッシュシート | 100~200円/㎡ |
高圧洗浄 | 200~300円/㎡ |
養生 | 300~500円/㎡ |
コーキング打ち替え | 800~1,200円/m |
コーキング増し打ち | 700~1,000円/m |
破風板 | 800~1,400円/m |
軒天 | 1000~1,800円/㎡ |
雨戸・戸袋 | 2,000~3,500円/枚 |
シャッターBOX | 2,000~3,000円/箇所 |
霧除け・出窓天板 | 2,000~3,000円/箇所 |
雨樋 | 1,000~1,800円/m |
水切り板金 | 300~800円/m |
廃棄物処理 | 20,000~40,000円/一式 |
材料運搬、交通費 | 20,000~40,000円/一式 |
※塗料単価は3回塗りの合計金額です。
※劣化状況、施工範囲、人件費によって価格は変動します。
■細かな付帯工事の部位
◆見積書の詳しいチェックポイントについてはこちら
1-3 見積もり事例
実際に工事をしたALCのお家の見積もり事例を3つご紹介します。
ご自宅に近いものを参考にしてみてくださいね。
また見積もりを取るときは、最低限このくらい詳細に項目分けされた見積もりの会社に依頼しましょう。
「塗装工事一式」などという表記はごまかしがきいて非常に危険ですので、そのような業者は避けてください。
A様邸 33坪183.2㎡、シリコン塗料
1,208,030円
築10年でコーキングの劣化があまり見られなかったので、全て増し打ち工事にしました。
また、屋根ではなく屋上がある形のお家だったため、破風板という部材もなしでした。
B様邸 46坪221.0㎡、フッ素塗料
1,775,190円
2回目の塗装で、劣化のすすんでいた縦目地のコーキングは打ち替え処理をしました。
窓サッシまわりなどは増し打ちです。
C様邸 40坪195.5㎡、無機塗料
1,680,470円
できるだけ長く持たせたいということで、耐用年数の長い無機塗料を選びました。
塗装面積はあまり多くなかったですが、無機塗料の単価が高いため、塗装の金額は増えています。
2章 費用が高くなるケース
ここまで一般的な相場や事例を紹介してきましたが、実はALCの塗装は「相場よりもちょっと高い?」という見積もりになることもよくあります。
ALCは他の建材にはない特徴が多くあり、それが金額を左右してしまうからです。
ここでは、そんな費用が高くなってしまうケースを4つご紹介します。
見積もりを貰った時に慌てずに、ご自宅に適切な金額かどうか判断するために知っておきましょう。
2-1 3階建て
ALCはとても頑丈な外壁なので、他の建材と比べて3階建てのお家が多いです。
ただ、3階建てのお家は足場代が200~300円/㎡程度高くなる場合があります。
3階建ては高さがある分、パイプの組み方などをより強固なものにしなければならないため、それだけの資材や手間がかかるからです。
2階建てと同じまま上に伸ばすというだけではできません。
また、単に足場面積が2階建てよりも多くなる、というのも金額が高くなる要因です。
足場は塗装工事には必須のものですので、この費用を省くことは難しく、どうしても相場より高くなりやすいです。
ご自宅が3階建てだという方は念頭に置いておきましょう。
2-2 コーキングの量が多い
ALC外壁のコーキングの量は、お家によってかなり差があります。
縦横にある目地の間隔、太さ、厚さなどはすべてそのALCボードの仕様次第だからです。
例えば、横幅3mほどの広い間隔でしか目地がないALCもあれば、1~2mごとに碁盤の目状に目地が走っているALCもあります。
高級で厚みのあるALCボードだとその分目地も深く、必要なコーキング量が倍近く変わってしまうこともあります。
■コーキングが多く必要なALC
縦横の目地とも幅が広く、深さもあるため、コーキングをたっぷり使って補修してあげる必要があります。
同じ塗装面積でもコーキングの㎡数が多かったり、量が必要で1m当たりの単価が上がる場合は、相場よりも高くなってしまうので注意しましょう。
2-3 多彩塗料を使う
ALCの外壁は、メーカーによっては新築時に石材のような細かい色柄のデザインがついているものがあります。
この質感を保ちたい、また同じような重厚なデザインに塗り替えたいという場合は、通常の塗料ではなく「多彩模様塗料」を使います。
この塗料を選ぶと、塗装単価が相場よりも少し高くなる可能性があります。
通常の単色塗装よりも材料費がかかったり、施工に技術が必要なため人件費・手間代が増えることがあるためです。
デザインにこだわりがある方は、塗料の種類による費用差のことも覚えておきましょう。
2-4 ハウスメーカーに依頼する
ALC外壁のお家は、大手ハウスメーカーで建てられた方が多いと思います。
しかし外壁塗装をハウスメーカーに依頼すると、一般的な塗装業者に依頼するより割高になることがほとんどです。
なぜなら、実際の工事をするのはハウスメーカーの社員ではなく下請け業者で、必ず「中間マージン」が発生してしまうからです。
(これは大手リフォーム会社や工務店などでも同様です)
大手メーカーは広告宣伝費や全国各地の事務所の運営、人件費などがどうしてもかかるため、下請けに工事を任せる時もきちんと利益を取らないと会社が成り立ちません。
実際に、メーカーと地元塗装店で相見積もりを取ったら、同じグレードの塗料なのにメーカーの方が数十万円も高かった、というようなお話はよく耳にします。
ハウスメーカーや工務店など、社内に塗装職人がいないところに依頼する場合は、費用が高くなってしまいますので注意しましょう。
★メーカーでやらないとダメって言われたけど本当?
近年は減ってきましたが、昔ハウスメーカーの営業さんが良く言っていたのは、
「うちのALC外壁はうち専用の塗料じゃないと塗装できない」というトークです。
実際にはこのようなことは一切ありません。
各塗料会社はALCに使える塗料をたくさん販売しています。様々なグレードやデザイン、性能の塗料の中から、皆様が自由に選べますのでご安心ください。
同様に、「うちで塗装しないと保証が出なくなる」というトークもよくありました。
実はしっかり説明を聞くと、この保証は内装設備や建て付けの点検のことも含まれていて、“塗装を他所でやったからと言って塗装と全く関係ないところの保証を切られるのはおかしい””そんなことは契約時に話されていない”として問題になったケースがありました。
また、各塗装工事会社も保証を出すところが増えています。きちんと保証体制が整っている業者を選べば問題ありません。
現在では、消費者の選択を不当に狭めるこのような脅迫じみた営業は減ってきています。
ハウスメーカーにすべて任せるのも、自分で選択して決めるのも、お住まいの方の意見が尊重されるべきです。
ここでやらないと絶対にダメ、ということは塗装ではありませんので、安心して比較や検討をしてくださいね。
3章 ALC外壁をお得に塗装する4つのコツ
やはり費用は抑えられるに越したことはありませんが、かと言って安かろう悪かろうにもしたくないですよね。
ここでは、工事の品質はきちんと保ちながらお得に工事するコツをご紹介します。
ALCはとても高耐久の素晴らしい建材ですから、適切な塗装をしてしっかり保護してあげましょう。
3-1 初回のメンテナンスはコーキング増し打ちにする
ALC塗装の際はコーキングも補修します。
築10~15年前後で初めての塗装の場合は、コーキングは“増し打ち(追加)”処理にしましょう。
ALCのお家は新築時のコーキングが非常に厚かったり、表面吹き付け処理で保護されていたりして、劣化が少ないことが多いからです。
大手ALCメーカーの旭化成建材(ヘーベルハウス)も、初回の塗装時は増し打ち、2回目のときには打ち替えをすすめています。
■ヘーベルパワーボードのメンテナンススケジュール例
出典:旭化成建材
あまり傷んでいないのに無理やり打ち替えて費用をかける必要はありません。
ただ、お家の状態にもよりますから、きちんと点検してもらった上で「うちは今回は増し打ちで大丈夫ですか?」と確認して、コーキングの補修方法を決定しましょう。
3-2 下請けを使わない塗装専門店に依頼する
工事品質を落とさずに費用を抑えるには、下請けを使わずに自社施工できる専門業者に依頼するのがベストです。
2-4でお伝えした通り、下請けを使う=中間マージンが発生してしまうからです。
中間マージンは数十万円単位で発生します。
その分は仲介した業者に行くだけで、高いからと言って工事品質が上がるわけではありません。
工事をするのは結局塗装の専門会社になるので、仲介させるよりも直接依頼した方がお得になります。
適正価格工事をするためには、下請けに出さない、自社内に職人がいる専門店がベストです。
HPやパンフレットなどをチェックして、社員に職人がいて自社施工できるのか確認しておきましょう。
■HPの社員紹介
職人のプロフィールや資格などが明記されています。
3-3 長期的なコストパフォーマンスの良い塗料を選ぶ
ALC塗装では、フッ素や無機などの高耐久塗料を選ぶことも“将来的なお得”になります。
今回の塗装金額は少し高くなりますが、長期的に見ると、長くもつ塗料の方がコストパフォーマンスが良いからです。
塗装する回数が減ると、足場を立てる回数も減り、その分コスパが良くなっていきます。
特にお家自体が少し大きくて1回の足場代が高いお家だと、この差も顕著になります。
何より、塗装・メンテナンスは一回やって終わりではありません。
長く住むことをお考えの方は、次のメンテナンスもいつか必ずやってきます。
ALCの建物はとても頑丈で60年以上も住み続けられますから、長期的な目線も持っておきましょう。
3-4 屋根・屋上も一緒にメンテナンスする
ALC塗装の際は、屋根や屋上などもすべて一緒にメンテナンスすることでお得にできます。
なぜなら、足場の組み立てが一回で済むからです。
ALC外壁塗装も、屋根工事も、足場は必須です。
別々に工事しようとすると、その都度足場代がかかってしまいます。
足場費用は一般的な2階建てのお家で10~20万円ほどかかりますから、これが2回から1回に減らせるのはとても大きいですよね。
足場を立てるときは、一緒にできる工事は全て行ってしまうのがベストです。
屋根や屋上などの見積もりも一緒に作ってもらいましょう。
◆屋根塗装の費用はこちら
◆屋上防水の費用はこちら
まとめ
ALCの外壁塗装費用は、塗料や面積によって異なります。
おおよその目安は以下の通りです。
塗料 | 耐用年数 | 費用相場 |
ウレタン | 8~10年 | 80~125万円 |
シリコン | 10~15年 | 100~140万円 |
フッ素 | 15~20年 | 120~165万円 |
無機 | 20~25年 | 125~200万円 |
- ※30坪2階建て塗装面積150~180㎡の概算
- ※コーキング補修の他、足場代、附帯塗装などを含む
実際に工事をする際は、皆様のお家それぞれに専用のお見積りを作ってもらいましょう。
また、ALCのお家は相場金額よりも少し高くなってしまうケースあります。
- ・3階建て
- ・コーキングの量が多い
- ・多彩塗料を使う
- ・ハウスメーカーに依頼する
ALCの建物の特徴によるものですので、見積もりを取ったときに慌てずに済むように、上記のポイントは把握しておきましょう。
ただ、やはり工事費用はお安くできるに越したことはありませんよね。
品質を落とさずお得に工事するコツは、
- ・初回のメンテナンスはコーキング増し打ちにする
- ・中間マージンのない塗装専門店に依頼する
- ・長期的なコストパフォーマンスの良い塗料を選ぶ
- ・屋根・屋上も一緒にメンテナンスする
の4点です。ぜひ実践してみてください。
ALC外壁は、塗装することで長く住み続けられる優れた建材です。
適切な費用でしっかりメンテナンスしてあげましょう。
最後までお読みくださりありがとうございました。
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