
屋根塗装で「タスペーサーが必要です」と言われたものの、本当に必要なのかわからず、お悩みではありませんか。
実は、タスペーサーはスレート屋根の塗装では基本的に必要な部材です。
屋根本来の排水機能を維持し、雨漏りなどのトラブルを防ぐ重要な役割があります。
ただし、屋根材や屋根の状態によっては使用しないケースもあるため、理由を理解したうえで判断することが大切です。
この記事では、タスペーサーが必要な理由や必要・不要の判断基準、見積書で確認したいポイント、納得して依頼できる業者の選び方まで分かりやすく解説します。
読み終えていただければ、タスペーサーが必要な理由を理解したうえで、ご自宅に必要かどうかを判断するポイントが分かり、納得して屋根塗装を依頼できるようになります。
目次
1章 屋根塗装でタスペーサーが必要な理由
タスペーサーは、屋根を長持ちさせるために重要な役割を担う部材です。
ここでは、タスペーサーの役割と必要とされる理由を解説します。
1-1 タスペーサーの役割
タスペーサーの役割は、スレート屋根の排水に必要な隙間を確保することです。
スレート屋根は、薄い屋根材を少しずつ重ねながら施工されています。
表面を流れる雨水の多くは軒先へ排出されますが、風を伴う雨などにより、屋根材の重なり部分から内側へ入り込むこともあります。
このとき、屋根材同士に適切な隙間があれば、入り込んだ雨水を外へ逃がせます。
しかし、屋根塗装によって隙間が塞がると、雨水を排出しにくくなってしまいます。
以前は、この隙間を確保するために、塗装後にカッターなどで屋根材の隙間を切り離す「縁切り」という作業が行われていました。
しかし、作業に時間がかかることや仕上がりに差が出やすいことから、現在ではタスペーサーを使用する方法が一般的になっています。
タスペーサーを屋根材の間に差し込むことで、塗装後も雨水の通り道を確保し、スレート屋根が本来持っている排水機能を維持できます。
新築時のスレート屋根には、排水に必要な隙間があらかじめ確保されているため、タスペーサーは使用されていません。
しかし、初めて屋根塗装を行うと、塗料によって屋根材同士の隙間が塞がることがあります。
そのため、塗装後も排水機能を維持できるよう、タスペーサーを使用して適切な隙間を確保します。
1-2 タスペーサーを使用しないと雨漏りにつながるおそれがある
スレート屋根の塗装でタスペーサーや縁切りによる隙間の確保を行わず、屋根材同士の隙間が塗料で塞がると、内側に入り込んだ雨水を排出しにくくなります。
さらに、屋根材の狭い隙間では、毛細管現象(※)によって雨水が屋根材の奥へ吸い上げられ、スレート屋根を固定している釘の部分まで入り込むことがあります。
雨水が釘の部分まで入り込むと、釘を伝って屋根内部へ浸入し、雨漏りにつながるおそれがあります。
このようなトラブルを防ぐためにも、屋根材の間に適切な隙間を確保し、入り込んだ雨水をスムーズに排出できる状態を維持することが大切です。
※毛細管現象とは? 毛細管現象とは、狭い隙間に水が吸い上げられる現象です。 例えば、ティッシュの端を水につけると、触れていない部分まで水が少しずつ広がります。 スレート屋根でも、雨水を排出するための隙間が塗料で塞がっていると、屋根材同士の狭い隙間を伝って雨水が奥へ吸い込まれることがあります。 |
雨水が屋根内部へ入り込むのを防ぐためにも、排水に必要な隙間を確保することが重要です。
2章 タスペーサーを使用しないケース
タスペーサーは多くのスレート屋根で使用されますが、屋根材の種類や屋根の状態によっては不要と判断される場合があります。
ここでは、タスペーサーを使用しない主なケースをご紹介します。
2-1 スレート屋根以外の屋根材
タスペーサーは、スレート屋根専用の部材です。
そのため、瓦屋根や金属屋根、アスファルトシングルには使用しません。
これらの屋根材は、スレート屋根のように屋根材同士の隙間を確保する必要がないため、タスペーサーは不要です。
2-2 屋根材に十分な隙間がある場合
スレート屋根であっても、屋根の状態によってはタスペーサーが不要と判断される場合があります。
例えば、屋根材に反りがあり、3~4㎜以上の隙間が確保されている場合は、塗装をしても隙間が塞がる心配がないため、タスペーサーを設置する必要はありません。
また、すでにタスペーサーが設置されている場合は、新たに設置する必要はありません。
2-3 屋根材が劣化して割れやすい場合
スレート屋根の製品には、「パミール」や「レサス」など、劣化によって割れやすくなるものがあります。
このような屋根材では、タスペーサーを差し込む際に屋根材が割れるおそれがあるため、使用しない場合があります。
2-4 屋根の傾きが急な場合・緩やかな場合
屋根の傾きが急な場合や緩やかな場合は、タスペーサーが適さないことがあります。

屋根の傾きが急な場合(目安:6寸勾配以上)
雨水がスムーズに流れるため、毛細管現象による雨漏りのリスクが低くなります。
また、タスペーサーが滑り落ちて雨樋に詰まるおそれもあるため、通常は使用しません。
屋根の傾きが緩やかな場合(目安:3寸勾配未満)
雨水が流れにくい構造です。
タスペーサーで隙間を確保すると、雨水が逆流しやすくなり、毛細管現象を引き起こすおそれがあるため、通常は使用しません。
いずれの場合も、屋根の傾きや状態に応じて、適切な施工方法が選択されます。
3章 タスペーサーの費用相場
タスペーサー設置の費用相場は、1㎡あたり約450~700円です。
一般的な30坪程度の住宅では、約2~5万円が目安となります。
ただし、実際の費用は屋根の面積や形状によって異なります。
一般的な住宅では、700~1,000個程度のタスペーサーを使用するため、使用枚数に応じて費用も変動します。
4章 納得して依頼できる業者の選び方
タスペーサーが必要かどうかは、屋根の状態によって異なります。
そのため、価格だけで判断するのではなく、屋根の状態や施工内容を分かりやすく説明してくれる業者を選ぶことが大切です。
ここでは、納得して依頼できる業者を見極めるポイントを紹介します。
4-1 屋根の状態を写真で分かりやすく説明してくれる
屋根は普段目にする機会が少ないため、自分で状態を確認することはできません。
そのため、点検時に撮影した写真を見せながら、屋根の状態やタスペーサーが必要な理由を分かりやすく説明してくれる業者を選びましょう。
写真を見ながら説明を受けることで、現在の屋根の状態を把握しやすくなり、施工内容にも納得したうえで工事を依頼できます。
また、屋根の状態によってはタスペーサーが不要な場合もあります。
必要な理由だけでなく、不要な理由まで丁寧に説明してくれる業者であれば、より信頼できるといえるでしょう。
4-2 見積書に施工内容が具体的に記載されている
見積書は金額だけでなく、工事内容まで確認することが大切です。
例えば、「タスペーサー設置」や「タスペーサー取付」などと記載されていれば、どのような工事を行うのか分かります。
ただし、業者によっては、屋根塗装工事の費用に含めて記載する場合もあります。
そのため、見積書を確認する際は、次の点を確認しておくと安心です。
・タスペーサーは使用しますか
・タスペーサーの費用は屋根塗装工事に含まれていますか
・タスペーサーを使用する理由を教えてください
また、屋根の状態によっては、タスペーサーではなく縁切りで施工する場合もあります。
見積書に「縁切り」と記載されている場合は、その理由も確認しておきましょう。
見積書の内容や質問に対して分かりやすく説明してくれる業者であれば、安心して工事を任せられます。
タスペーサーには「シングル工法」と「ダブル工法」があります
タスペーサーの施工方法には、「シングル工法」と「ダブル工法」の2種類があります。
▼シングル工法は、幅約60cmのスレート屋根材1枚につき1個のタスペーサーを設置する方法です。

▼ダブル工法は、幅約90cmのスレート屋根材1枚につき2個のタスペーサーを設置する方法で、一般的な住宅で多く採用されています。使用する個数が異なるため、必要なタスペーサーの枚数や費用が変わる場合もあります。
どちらの工法を採用するかは、屋根材のサイズや状態に応じて業者が判断します。
また、屋根の状態によっては、タスペーサーではなく縁切りで施工する場合もあります。
まとめ
タスペーサーは、スレート屋根の塗装後も雨水を適切に排出するために重要な部材です。
しかし、すべての屋根に必要というわけではなく、屋根材の種類や状態によっては使用しない場合もあります。
そのため、タスペーサーが必要かどうかは、屋根の状態に合わせて判断することが大切です。
工事を依頼する際は、点検写真をもとに屋根の状態やタスペーサーが必要な理由を分かりやすく説明してくれる業者を選びましょう。
また、見積書の内容や施工方法について疑問があれば、納得できるまで確認することも重要です。
大切な住まいを守るためにも、納得したうえで屋根塗装工事を依頼しましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
◆屋根塗装ではどのような塗料を選ぶかも重要です。お悩みの方はこちらの記事もぜひご覧ください。





