「サイディング外壁は塗装が必要」ということはご存知の方も多いと思います。
しかし中には、塗料が付着しにくく塗り替えが難しい、「難付着サイディング」というものもあることは、あまり知られていません。
何も知らずにそのまま塗装すると大きな不具合が出てしまうため、難付着サイディングかどうかは、塗り替え前に慎重に判断しなければなりません。
とはいっても、建材については高度な専門知識ですから、なかなか知る機会がないですよね。
そこで本記事では、難付着サイディングの特徴・性質や見分け方、そして正しい塗装方法について、初心者の方にも分かるように丁寧に解説いたします。
難付着サイディングについて正しい知識を身に着けていれば、塗装の剥がれや工事のやり直しなどを未然に防ぐことができます。
塗装工事の出来を左右するとても重要な内容ですので、サイディングのお家にお住まいの方は必ずご一読ください。
目次
1章 難付着サイディングとは
難付着サイディングとは、表面に特殊なコーティングがしてあるサイディングボードのことです。
主に「光触媒」「親水性」「無機」「フッ素」など、“汚れに強い”、“色褪せしにくい”という機能のコーティングを指します。
このような加工は、実際に綺麗が長持ちするため、とても人気が高いです。
しかしあくまで“普通のサイディングよりも”汚れにくい”というだけで、メンテナンスフリーではありません。
見えにくくても確実に劣化は進み、カビ・コケの繁殖やひび割れなどが起こってくるため、築10年以降でいずれ外壁塗装は必要です。
そして、汚れが付きにくい分、『塗り替え時の塗料も密着しにくい』『普通に塗ると塗膜が剥がれてしまう恐れがある』という重大な問題が発生してしまいました。
実際にサイディングメーカーも、塗装時には注意するように製品カタログに記載しています。
■サイディングのカタログ
大手メーカー・ケイミューの光触媒サイディング『光セラ』の塗り替え方法についての注意書きです。
適切な塗料を使わなければ、塗膜剥がれの原因になると明記されています。
しかし、実際に皆様のご自宅が難付着サイディングなのかどうかは、パッと見では判断できません。
新築時の仕様書から製品名などが分かれば確実ですが、どこに仕舞ったかわからない、無くしてしまったかもしれない、という方も多いと思います。
そこで次の章では、難付着サイディングかどうかを見分ける方法を解説していきます。
2章 難付着サイディングの見分け方
仕様書・製品名が分からない場合、難付着サイディングかどうかの判断は、主に3つのポイントをチェックしていきます。
全て当てはまる場合は、難付着サイディングの可能性が非常に高いですので、塗装工事の際は業者の方に必ず伝えておきましょう。
①チョーキングしていない
まずはお家の中でも特に日当たりの良い面などを触ってみましょう。
チョーキング(触ると手に粉が付く現象)が起こっていなければ、難付着サイディングの可能性があります。
一般的なサイディングは、築8~10年前後になるとチョーキング現象が起こり、色褪せも気になるようになります。
しかし難付着サイディングの塗膜は耐久性が高いため、10年以上経ってもチョーキングがなかなか起こりません。
色褪せもしにくく、10年経っても艶・光沢感が残っていることも多いです。
築年数のわりにはチョーキングなどの劣化症状が見られない場合は、難付着サイディングの可能性を疑いましょう。
②2001年以降に建てた
次に、お家を建てた時期をご確認ください。
2001年以降の新しい建物は、難付着サイディングの可能性が考えられます。
光触媒や無機などの技術が外壁材に使われ広がり始めたのが2001年以降だからです。
それ以前に建てられたお家なら、難付着サイディングの可能性は低いです。
③ラッカーシンナーで塗膜が溶けない
最後に、「ラッカーシンナー」を使って実際の塗膜の強さを確認します。
<ラッカーシンナーとは> ラッカー系塗料の希釈に使うシンナー。一般的な外壁塗装で使われる塗料用シンナー(ぺイントうすめ液)よりも溶かす力が強い。ハケや機械類の洗浄にも使われる。 |
通常のサイディングなら、ラッカーシンナーで擦れば表面の塗膜が溶けて、少し色が落ちます。
しかし難付着サイディングの塗膜は非常に強いため、ラッカーシンナーでも溶けません。
もし試してみて塗膜が溶けなければ、難付着サイディングの可能性が高いと考えましょう。
※ラッカーシンナーを試す際は、いらない布に少量を含ませ、家の裏面や壁の隅の方など、目立たない箇所で行ってください。
※ラッカーシンナーはホームセンターやインターネットで購入できますが、火に近づけたり肌・衣服に直接触れたりしないよう、取扱には十分注意してください。
3章 専用下塗り材なら難付着サイディングも塗装可!
もし難付着サイディングだった場合でも、塗装メンテナンスは可能ですのでご安心ください。
ただし必ず、密着性の高い専用下塗り材を使用しましょう。
本来は塗装しにくいような素材にも使える、密着力を上げた塗料が開発されていますので、それを使うことで難付着サイディングも通常の外壁と同じように塗装することができます。
具体的には、塗料カタログの適用下地欄などを見て、光触媒や無機系などのボードにも塗装できる、と明記されていることを確認しましょう。
■塗料カタログの例
出典:関西ペイント アレスダイナミックシーラーマイルド
『無機系樹脂、光触媒処理、フッ素樹脂、シリコン樹脂など特殊な樹脂で処理されたボードでも塗装できます』と記載されています。
■代表的なメーカーの対応塗料
関西ペイント:アレスダイナミックシーラーマイルド
日本ペイント:ファインパーフェクトシーラー
菊水化学工業:キクスイSPパワーシーラー
エスケー化研:エスケーハイブリッドシーラーEPO
など
★クリヤー塗装もできるようになりました! サイディングの色柄をそのまま活かすクリヤー塗料は、下塗りがない2回塗り仕様が一般的なので、専用下塗りが使えません。 そのため、少し前まで「難付着サイディングにクリヤー塗装はできない」と言われてきました。 しかし近年ついに、難付着サイディング対応のクリヤー塗料が発売されました。 菊水化学工業の「ロイヤルセラクリヤー」という塗料です。 シリコン樹脂に特殊なセラミックを混ぜ合わせることで、無機系などの難付着サイディングにも密着するクリヤー塗料が実現しました。 新築時の外壁のデザインを活かしたい方は、ぜひクリヤー塗料もご検討ください! |
4章 サイディング塗装は知識のある専門店に相談しよう
ここまでお伝えした通り、難付着サイディングの塗装にはしっかりとした知識が必要です。
外壁材も塗料も、日々技術が発展しているからです。
しかし業者によっては、古い知識のままずっとやってきて、難付着サイディングの存在自体を知らない可能性もあります。
「もしかしたら難付着サイディングかも?」と少しでも思った方は、その旨を業者に伝えておきましょう。
そして、
・きちんと点検したうえで見積もりを作る
・難付着サイディングだったかどうか、判断の説明がある
・そうだった場合、使う塗料について説明がある
など、皆さまに分かりやすく伝えてくれるような、知識・経験の豊富な塗装専門店が安心です。
大切なお家の外壁塗装で失敗しないために、正しい知識を持った良い塗装業者に依頼してくださいね。
難付着サイディングの塗装はユーコーにお任せください!
当ブログ運営元のユーコーコミュニティーでは、難付着サイディングに関するご相談、塗装の施工も対応しております。
13,000件以上の豊富な施工実績に基づき、しっかりとした知識を持ったスタッフがご対応いたしますので、気になる点がある方はまずは点検診断を行いましょう。皆さまのお家に合わせた最適なご提案をさせていただきます。
ぜひお気軽にお問い合わせください。
まとめ
難付着サイディングとは、「光触媒」「無機」などの技術を用いた特殊なコーティングの外壁材です。
汚れが付きにくい加工のせいで塗料も密着しにくく、普通に塗ると剥がれてしまう可能性があります。
難付着サイディングを見分けるには、
- ・チョーキングしていない
- ・2001年以降に建てた
- ・ラッカーシンナーで塗膜が溶けない
に当てはまるかどうかでチェックできます。
塗装するときは、専用下塗り材使う必要があります。
難付着サイディングかどうかの判断や塗料選定など、しっかりした知識を持った業者に依頼しましょう。
最後までお読み下さりありがとうございました。
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