お家の基礎とは、家の土台部分に見えるコンクリート部分です。
見積りを見て、または業者に点検してもらった際に、
「基礎って、そもそも塗装した方がいいの?」
「外壁塗装と一緒に同じ塗料で塗ってもらえばいいの?」
と、疑問をお持ちの方も多いと思います。
結論から言うと、本当にお家を大切にされるなら、安易に基礎塗装はしないでください。
せっかくなら塗った方が良いのでは?と思っても、基礎のことをしっかり知れば、安易に塗装しない方が良いと分かります。
この記事では、なぜ基礎塗装は安易にしてはいけないのか、どんなリスクがあるのかをご説明します。
また、どんな状況なら基礎塗装をしても良いのか、基礎の知識をつけていただくことで、本当に基礎部分にとって良い工事ができるようになりますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
1章 基礎塗装を安易にしてはダメ!
基礎塗装を安易にしてはダメというのも、重要な理由があります。
インターネットで調べると、「塗装した方が良い」「塗装してはダメ」と両方の意見が出てきますが、これからお伝えする理由を見ると、なぜ両方の意見が出てくるのかが分かります。
1-1 塗装すべきと言われるのは表面上の問題だけ
基礎塗装をすべきと言われる3つの理由について解説します。
基礎塗装をすると
- ・ひび割れもなくなり、見た目が良くなる
- ・防水性が高まり、カビ・コケの発生を抑える
- ・白アリが寄り付きにくくなる
などの利点が挙げられます。
一見するとどれもメリットにしか見えないのですが、これは表面上の理由でしかないのです。
基礎の構造は、主に鉄筋を軸にしたコンクリートでできています。
その表面は、仕上げに「化粧モルタル」が塗られています。
私達が目にしている基礎は、この化粧モルタルの部分です。
モルタルは雨風や紫外線による経年劣化、また地面に近く湿気が多いので、少しずつ、ひび割れが起き始めます。
ここで私たちの目でもひび割れが確認できるため、補修や塗装をした方がいいのかな?と思うかもしれません。
▲表面の細かいひび割れ
これが、基礎塗装を勧める側の理由で、
『化粧モルタルを塗装する=基礎の保護になる』ので、塗装をした方が良いという意見です。
確かにここで塗装をすると、見た目はきれいになります。
但し、これは、表面の化粧モルタルが保護されただけの状態です。
そして、塗装しないままだと、いずれ表面の化粧モルタルは多くのひび割れが起きて剥がれ落ちるはずです。
モルタルが剥がれ落ちるのに塗装しなくて良いの?と思うかもしれませんが、本当にお家にとって大事なのは、さらに内部の「コンクリート部分」なのです。
ここが守られないと、基礎は家全体の土台として機能しなくなります。
基礎コンクリート部分を守れないというのは、どういうことでしょうか?
1-2 塗装は本当に基礎が傷んだ時に気付けなくなる
基礎の塗装をすると、その内部の基礎コンクリートが傷んだ時に、気付けなくなってしまいます。
理由は、表面を塗装してきれいにコーティングすることで、内部の様子を知る手段がなくなってしまうからです。
表面を塗装すると、確かに小さなひび割れは埋まってきれいに直ったようになります。
ですが、内部に何かあっても、表面はきれいなままなので、悪い症状にも気付けなくなってしまうのです。
▲表面的にはきれいなので、中に問題があるかどうかも分かりません。
万一、水回りから水漏れしていたとしても、表面が塗装されていたら症状が表に出てこないので、床下に潜らない限り、気付くことができません。
水漏れに気付かないままだと、鉄筋はサビて強度を失い、せっかく塗った表面の塗装も、湿気を含んで剥がれやすくなります。
反対に基礎を塗装していない場合は、表面に水漏れの症状が出てくるので、深刻な被害にいち早く気付くことができます。
▲水漏れして基礎からにじみ出ている様子。
表面を塗装していたら、目に見えず長い間、基礎周りが水で濡れていた可能性が高いです。
「なんとなく外壁塗装と一緒に」と基礎の塗装をしてしまうと、本当に大切にしなければいけない内部の基礎コンクリートの異常に気付けなくなるため、家の土台自体の劣化に繋がってしまうということです。
2章 本当にした方がいいのは、基礎の補強
おうちの土台である基礎のために、本当にやった方がいいのは、補強工事です。
基礎コンクリートの中身がひび割れなどでスカスカになってしまうと、家を支える基礎の役割を果たせないからです。
基礎の最大の役割は『建物をしっかり支えること』です。
その役割のために、なぜ補強をした方がいいのか説明します。
2-1 補強で、基礎内部からの強度を高める
基礎の補強をすることで、内部からの強度が高まり、家を支えられる土台になります。
補強をせず放置しておけば、何年後には脆くなって地震時の倒壊リスクが高まるためです。
これは、骨密度の低い人が骨折しやすいのと同じ原理です。
基礎の塗装を検討する前に、しっかりと基礎の補強をしてあげ、強度を高めてあげましょう。
【基礎が劣化する原理】
コンクリートは雨や湿気を吸いやすいので、水分の吸収と乾燥の繰り返しによるひび割れをします。
また強アルカリ性のコンクリートに酸性雨・二酸化炭素が触れることで、「中性化」した鉄筋からサビが出て膨張し、内部から割れていきます。
そうならないために、表面を塗装するよりも、自然現象で起きるコンクリート内部を守るために、強度を高めることの方が大切なのです。
【おすすめ基礎の補強方法】
■リバコン工事
「リバコン」という、塗ることで基礎コンクリート内部を緻密(ちみつ)に改質してくれる工事がおすすめです!
躯体内に浸透拡散したのちは、セメント結晶の生成を恒久的に行うため、メンテナンスフリーと言われています。
躯体自体を大工工事で補強する方法と異なり、施工は1日で終わるなど施主様への負担も少なく済みます。
出典:リバコンテック
▲コンクリートを内部から改質する液体です。
リバコンには色がついていますが、塗ると透明になります。
塗布することで中に浸透していき、内部を緻密化してくれます。
ローラーで塗るほか、吹き付けて施工する場合もあります。
費用相場は、3,000~4,000円/㎡で、その他、洗浄費やひび割れの補修費がこれに加わります。
ただし、リバコン工事はどの会社でも実施しているものではありません。
メーカーが認定した施工店、リバコン技能者の資格を持っている人が現場に入る必要があります。
この工事をしたい場合は、「リバコン技能者」の資格があるかどうかを確認しましょう。
2-2 基礎の補強をした後なら、塗装をしてOK!
リバコン工事をして、基礎の中身がしっかりと補強された状態なら、塗装をしてOKです。
見た目も美しくなり、表面の保護も出来るので、基礎自体の強度が守れるでしょう。
ここで気を付けたいのは、工事の順番です。
塗装工事をした後にリバコン工事をしようとしても、表面が既に塗装でコーティングされているため、リバコンが内部に浸透していきません。
1度塗装してしまうと、塗装の効果が続く限りリバコン工事はできないため、安易に塗装せず、順番を守って工事しましょう。
【注意:立地条件によっては塗装に向かない家がある!】 立地条件によっては、湿気が溜まりやすく基礎塗装に向かないお家もあります。 無理に施工するとすぐに塗装が剥がれてしまうため、専門知識を持った業者に点検してもらった上で、塗装が可能かどうかを判断しましょう。 ※塗装ができない場合は、リバコン工事で補強するのをおすすめします。 |
3章 基礎塗装の相場は3,500~4,000円/㎡
もし、基礎のために補強後はやっぱり塗装までやろう!と思ったなら、金額の相場も知りたいですよね。
業者に依頼する場合、基礎塗装の費用相場は㎡あたり3,500~4,000円と考えておくと良いでしょう。
費用相場 1㎡あたり3,500円~4,000円 | |
作業内容
| 作業期間 1~2日 |
※ただし、内部鉄筋などの構造に影響する修繕工事が必要な場合は、さらに工事費用が掛かります。
屋根・外壁塗装工事と一緒に基礎塗装をやると、業者によっては費用を多少サービスしてくれる場合があります。
ただし、基礎塗装専用の塗料を用意する必要があるので、大幅な値引きは期待できません。
いずれにしても、基礎が気になる時期には屋根外壁塗装も視野にいれておくと良いでしょう。
4章 基礎の種類は3種類
基礎の構造は大きく分けて3種類です。
一般的には土壌や建物に合わせて適切な基礎が選ばれます。
種類の特徴から、どのような劣化が出やすいかも分かるので、知識として知っておきましょう。
名称 | 特徴 |
ベタ基礎 | 近年、一般住宅の大半がこの基礎です。 地面一面をコンクリートで覆うので、比較的地盤が弱い所でも使用できます。 面で支えるため、地盤にかかる重さも分散させられますが、コンクリート面が多いため、費用も高いです。 家の内部が地面と直接触れないため、白アリが侵入しにくいと言われています。 |
布基礎 | 基本的な構造や作り方はベタ基礎と同じです。 布基礎は線で支えるため、ベタ基礎よりも軽く費用も安く抑えられます。 土がむき出しの部分が多いため、土を伝って家に湿気が伝わりやすいデメリットがあります。 |
独立基礎 | 今の建築ではほとんど使用されません。 1本の柱に対して1つの基礎がある造りです。 デッキテラスなど、建物の主要部分以外で使われることがあります。 地面と家の建材が近しいため、基礎のコンクリートからの湿気を建物が直接取り込んでしまいやすいです。 |
ベタ基礎だと、コンクリート面積が多い分、塗装や補強工事の施工費が高くなる可能性もあります。
自分の家がどの基礎構造か知ることと、知識を得ることで、業者からの説明も分かりやすくなりますよ。
5章 基礎塗装は専用塗料を使う!
塗装をすることになったら、塗料選びです。
基礎塗装には、基礎専用の塗料を使用します。
基礎部分は地面からの水分を吸い上げ、雨の跳ね返りを受けやすい場所なので、湿気やすいです。
そのため、外壁や屋根用の塗料で塗ろうとすると、すぐに剥がれてしまったり、ひび割れや汚れが発生しやすくなったりするので、必ず基礎専用塗料を使用しましょう。
[基礎専用塗料を使用した施工事例紹介]
■菊水化学工業株式会社『基礎ガード』
出典:菊水化学工業
水性塗料なので、臭いもほとんどなく、油性塗料よりも柔軟性があり、小さなひび割れに対しても追従しますので、基礎塗装におすすめです。
▼カラーバリエーション
■施行事例
雨染みや小さなひび割れがあった基礎部分が、明るくきれいになりました。
■菊水化学工業株式会社『キクスイロイヤルアリガード』
出典:菊水化学工業
小さなひび割れに追従する効果の他に、防蟻性があり、白アリの床下侵入を防ぐ特殊効果があります。
■施工事例
業者から塗料の提案があった際は、専用塗料かどうかを確認し、せっかくなら防蟻効果のような特殊効果も欲しい、と思われる場合は、業者にその希望を伝えましょう。
6章 基礎塗装はプロに相談しよう!
基礎塗装をしたいと思ったらなら、必ずプロに診断・施工してもらいましょう。
基礎塗装は、専門性が高い工事のため、素人目で状況の判断や施工を行ってしまうと、かえって劣化を招く場合があるからです。
そのため、塗装をしたいなら、プロの中でも塗装専門店に依頼しましょう。
基礎塗装の実績や丁寧な診断・見積の説明をしてくれる会社に依頼することで、お家を支える大切な部分である基礎の劣化を防ぐことができます。
当サイトを運営する塗装会社「ユーコーコミュニティー」では、塗装技能士やリバコン技能者も在籍しており、基礎の補強や塗装についても経験豊富なスタッフがご相談に乗ります!
分からないことが多い基礎だからこそ、ぜひ気軽にご相談ください。
まとめ
いかがでしたか?
基礎の塗装は、コンクリート基礎をしっかり守った上でなら建物をさらに長く支える工事になります。
お家の土台をちゃんと守ってあげるためにも、正しいメンテナンスしてあげましょう。
・基礎塗装は安易にしてはダメ!
・内部の基礎コンクリートを補強したら、専用塗料でプロに塗装してもらう!
・ご自身で判断せず、プロに相談して工事をしよう
以上のことを押さえて、基礎を大切にしていってくださいね。
ここまでお読み下さりありがとうございました。
◆むやみに基礎塗装をしないのはもちろん、良い業者を選ぶポイントというものがいくつかあります。ぜひこちらのページも参考にしてみてください。
→外壁塗装は業者選びが肝心!優良業者を見極める20のチェックポイント