家の外壁はリシンだけど、どんなメンテナンスがいいのだろう?
どんな方法が良いのか迷っている方も多いと思います。
こだわって建てたお家、綺麗なまま長持ちさせたいですよね。
そのためには、塗装というメンテナンスが必要です。
リシンは和風にも洋風にもあう落ち着いた風合いが人気ですが、汚れが目立ちやすく、ひび割れやすいという難点があります。
ここでは、リシンならではのメリットや注意点、その難点をカバー出来る塗料選びの方法を紹介します。
工事前や工事中に気を付けておくべきポイントもお伝えするので、最後まで読んでみてくださいね。
目次
1章 リシンには2種類ある
リシンとは、表面の化粧材の名称で、モルタル外壁の仕上げ方の一つです。
モルタル外壁の表面に、リシンをコンプレッサーという機械で吹き付ける方法(リシン吹付)と、
コテでリシンを塗ったあと、剣山やブラシで表面を掻き落として仕上げる方法(リシン掻き落とし)があります。
どちらも化粧材に微細な石が入っているため、細かい凹凸のある砂壁のような風合いが特徴です。
■リシン吹付 比較的安価なため、最も多い施工方法です。
■リシン掻き落とし 手作業による仕上げが必要な分、コストもかかる為、高級住宅で使われることが多いです。 |
2章 リシン外壁2つのメリット
リシン外壁のメリットを紹介します。
メンテナンスの際は、これらを生かせる方法を選ぶとお家が長持ちし、高級感のある素敵なお家に仕上がります。
2-1 通気性が良く、家が長持ちする
リシンは通気性がよく、家が長持ちするというメリットがあります。
なぜなら、外壁の中の湿気を外に逃がしてくれる性質があるからです。
それにより、家の中の木が湿気にくくなり、木が腐りにくくなります。
住宅は、中の木が湿気を吸ってしまうと木が腐ることで、家の寿命を大きく縮めてしまいます。
リシンは外壁自体の通気性が優れているので、家を長持ちさせたい人にはぴったりの壁です。
2-2 高級感のある、落ち着いた風合い
リシンは、落ち着きのある、高級感のある風合いが魅力です。
その風合いは、細かい石が混ざった化粧材で作られます。
和風、洋風どちらにも合う外壁で、人気のある外壁の一つです。
適切なメンテナンスさえ行えば、その風合いを長い間保つことが出来ます。
3章 リシン外壁3つの注意点
リシン外壁を長持ちさせるため、注意すべき点を紹介します。
特に経年での劣化症状は、10年未満でも現れるものばかりです。
うちはまだ大丈夫、とそのままにするのではなく、早めのメンテナンスで劣化が進んでしまうのを防ぎましょう。
3-1 ひび割れしやすい
リシン外壁は、他の外壁よりもひび割れしやすいです。
早めに塗装をし、ひび割れを塞ぐ必要があります。
なぜなら、細かい砂が入った化粧材を機械でモルタル表面に吹き付けて施工することが多いので、塗膜が薄くなりやすいためです。
また、吸水で外壁が膨張し乾燥で収縮する際に、下地とひずみが起こるため、ひび割れしやすいです。
建ててから10年経っていなくても、ひび割れるケースがほとんどで、放置すれば家の中に水が侵入し、家の寿命を縮めてしまいます。
少しでもひび割れがあるなら塗装が必要です。
3-2 カビ、苔ができやすい
リシン外壁は、カビやコケができやすいです。
何故なら凹凸が他よりも細かい分、水分が溜まりやすい為です。
カビ、苔の胞子は水分のある場所を好むので、水分の溜まったリシン外壁に根をはり、繁殖します。
カビや苔は放置すると、見た目を損ねるだけでなく、耐久性が低下してしまいます。
美観を保ち、家を長持ちさせる為には、少しでもカビや苔があるのなら塗装が必要です。
■苔が発生した外壁
■カビが発生した外壁 緑色のものがコケ、黒いものがカビです。 |
3-3 表面積が多く、外壁が塗料を吸い込みやすい
リシンは、外壁が塗料を吸い込むので、同じ平米数の外壁よりも多くの塗料が必要になります。
理由は2つあります。
①表面に目に見えない位の小さな穴が多く空いている ②凹凸が細かい分、ほかの外壁よりも表面積が多くなる |
そのため、リシン外壁は塗料選びも重要です。
吸い込みを抑える下塗り材を選ぶ等、塗料選びをきちんと行わないと、ムラや剥がれの原因となります。
デメリットをカバーできる塗料選びを行いましょう。
(塗料選びは5章にて解説します。)
4章 リシン外壁のメンテナンス時期は築8年
新築のリシンの耐用年数は8年程です。
何故なら、凹凸が細かく、表面の塗膜が薄いのでひび割れやカビ、苔が発生しやすいからです。
これらの劣化症状を放置していると、家の中の木造部分に水が浸み込み、家の寿命を縮めてしまいます。
また、ひび割れは放置すると家全体に広がってしまい、補修できたとしても、跡が目立ち、美観を損ねてしまいます。
家を長持ちさせ、綺麗なまま保つためにも,築後8年経ったら塗装の為の点検や見積もりを専門業者に依頼しましょう。
5章 最適な塗料選びの為の3つのポイント
リシンに適した塗料を選ぶため、以下の3つのポイントにあてはまるものを選びましょう。
なぜなら、リシンは凹凸が細かいため適した塗料でないと、高級感のある風合いを損ねてしまったり、ひび割れやすさや汚れやすさをカバーできないからです。
塗料のもつ機能を知ることで、外壁の欠点をカバーするだけでなく、美観を長く保つことが出来ます。
リシンに合ったものを選び、お家を美しいまま長持ちさせましょう。
5-1 下塗りは「可とう形改修塗材」を選ぶ
塗料と外壁の接着剤の役割をする下塗り材には、「可とう形改修塗材」を選びましょう。(微弾性フィラーとも言います。)
なぜなら、接着剤の役目だけでなく、0.5mm以下の目に見えないひび割れも埋めてくれ、さらに表面の細かい穴をふさぎ塗料の吸い込みを抑えてくれる役割があるからです。
リシン外壁は、一目で細かいひび割れまで把握するのは難しい外壁です。
しかし、目に見えないひび割れからも水は侵入してしまいます。
細かいひび割れもしっかり補修することで、お家を守りましょう!
「可とう形改修塗材」等の種類はカタログに必ず記載があります。見積もりを持ってきてもらう際に、業者に使用する下塗り材のカタログを持ってきてもらいましょう。
■下塗り材の例
0.5mm以上のひび割れは、補修材で補修!
0.5mm以上のひび割れは、シーリング材で補修を行います。
なぜなら、下塗り材だけでは補修が出来ないためです。
「変性シリコン系」のものなら、補修した上からも塗装が出来る為、小さいひびなら補修跡だけ目立ってしまうこともありません。
■0.5mm以上のひび割れの写真
5-2 モルタル専用つや消し塗料で風合いを生かす
モルタル専用のつや消し塗料で、リシンの風合いを生かしましょう。
なぜなら、他の一般的な塗料で塗装してしまうと艶のある風合いになり、元の細かい凹凸の質感がつぶれてしまうためです。
モルタル用のつや消し塗料なら、リシンの細かい凹凸に塗料が入り込むので高級感のある、砂壁のような風合いのまま、新築のように綺麗になります!
風合いをそのまま生かしたい方は、モルタル用の塗料を選びましょう。
■モルタル専用つや消し塗料の例
モルタルの風合いを生かしつつ、カビや藻が発生しにくい等の機能を持っています。
5-3 低汚染性塗料で汚れやすさをカバー
「低汚染性塗料」を選び、汚れやすいというリシン外壁の欠点をカバーしましょう。
リシンは外壁の凹凸が細かい分、砂埃や水が溜まりやすい形状となっています。
そのため、苔やカビが発生しやすい外壁でもあります。
低汚染性塗料は、雨が降った時に雨水が汚れを洗い流してくれる作用があります。
低汚染性塗料にすることで、美しいまま長持ちさせましょう。
低汚染性塗料かどうかは、塗料カタログで確認できます。
見積もりを持ってきてもらう際に、業者に使用する塗料のカタログも一緒に持ってきてもらえれば、見積もり内容が、リシンに合った塗料で施工するかどうかも分かります。
■低汚染性塗料の例
6章 トラブルを防ぎ、良い工事にする為の4つのポイント
工事前、工事中に行っておくと失敗を防ぎ、綺麗に仕上がるポイントを4つ紹介します。
知らないで工事を進めてしまうと、後から剥がれてきてしまったりやり直しが必要となり、余計な時間や費用が掛かってしまう恐れがあります。
必ず把握しておきましょう。
6-1 追加で塗料代がかからないか質問する
「この見積もり金額のほかに追加料金はかかりますか?」
見積もりを持ってきてもらった時に、必ずこの質問を業者にしておきましょう。
なぜならリシン外壁は塗料を多く吸い込むので、工事中に塗料が足りなくなってしまうケースがあるからです。
追加分も業者側で負担してくれるところもありますが、そうでない所もあるので注意が必要です。
余計な出費を防ぐため、塗料の追加料金がかからないか必ず質問しましょう。
6-2 跡が目立たない方法で補修してもらう
ひび割れや表面の剥がれ等は、跡が目立たないよう工夫して補修してもらいましょう。
リシンは凹凸の細かい風合いが特徴なので、ただ補修するだけでは跡が目立ってしまうためです。
「砂骨ローラー」など、凹凸を付けられる道具で、補修したうえから模様をつけることで目立たなくできる方法があります。
ひび割れがあるなら、必ず業者に依頼しましょう。
■砂骨ローラーを使った補修の様子
砂骨ローラーは細かい凹凸が付いたローラーです。 ひび割れや塗膜が剥がれた場所を、凹凸をつけながら補修することで跡が目立たなく出来ます。 |
6-3 水分や湿気を残したまま塗装しない
「高圧洗浄後はどの位時間をあけて塗装しますか?」
塗装を依頼する前に、業者に必ず確認しましょう。
「最低でも1日はあけてから塗装します」と答えてくれたなら、安心して任せられます。
十分に乾燥させてから塗装をしないと、外壁に残った水分や湿気の逃げ場が無くなってしまい、表面が膨れたり剥がれてしまう恐れがある為です。
塗装を行う際は、最初に苔やカビ等の汚れを落とすため高圧洗浄機で外壁全体を水洗いします。
特にリシン外壁は水が溜まりやすいので、十分な乾燥時間が必要です。良い工事にするために、必ず確認しましょう。
6-4 凹凸の奥まできちんと塗れているか確認
下塗りが終わったら、外壁の凹凸の奥まできちんと塗れているか確認しましょう。
なぜなら塗り残しがあると、塗膜の厚さにムラができるので塗料の耐久性が低下してしまうためです。
塗装工事は下塗りが終わった後、中塗りと上塗りで色を付けます。
下塗り材は透明か白色の為、塗り残しがあれば白色か元の色の点があるので、業者に写真を撮ってもらいチェックしましょう。
もし塗り残しがあれば直してもらいましょう。
自分で確認するなら、玄関まわりのみ!
工事中や終了間際、仕上がりを確認するとき、足場に登ったり、中に入ったりするのはやめましょう。
何故なら、転落事故やケガの原因となり大変危険だからです。
また転落しても業者に責任を負ってもらえません。
気になる場所があるのなら、業者に確認をお願いし、その場所の写真を撮ってきてもらいましょう。
まとめ
リシン外壁は、高級感のある風合いと通気性の良さが魅力です。
塗装を行うことで風合いを生かしつつ、お家を長持ちさせることが出来ます。
ひび割れや苔、カビができやすいという面もあるため、築8年で塗り替えが必要です。
また、凹凸の細かさや塗料を多く吸い込むという注意点もあるため、それらをカバーできる塗料選びをすることで、美観を保ちつつ、水の侵入からお家を守ることが出来るようになります。
工事中も業者に任せるだけでなく、追加料金の有無やどのように施工するのかを確認していくことで、余計な出費や失敗を防げます。
費用相場も知っておけば一層安心ですね。
◆参考記事→【外壁塗装30坪の費用相場】事例と適正見積りを貰う5つのポイント
ポイントをおさえることで、見た目を綺麗にするだけでなく、お家を守り長持ちさせましょう。
お読みいただきありがとうございました。