屋根の棟(むね)部分が壊れてしまって、修理を検討中。
「費用ってだいたいどれくらいかかるのか?」
「見積りを取ったけどこれって適正?」
と、気になっている方も多いのではないでしょうか。
屋根の修理は急な出費であることがほとんどなのに、業者によって金額にバラつきがあります。
特に棟は屋根の頂上部分なので、どんな工事をするかが分かりにくく、適正価格なのかは知識がないと判断しづらいです。
事前に資金や心の準備をするためにも、一般的な費用相場と工事の基礎知識を知っておくことが重要となります。
本記事では、屋根棟の修理費用と修理方法について分かりやすく簡潔にまとめました。
具体的にどんな工事にいくらかかるのか把握しましょう。
また後半では、少しでもお得に修理するための保険適用のやり方や、もらった見積りが適正かチェックするポイントも解説します。
屋根の棟は最も雨風にさらされる場所です。
一日も早く適正価格できちんと修理できるように、ぜひ最後までお読みくださいね。
目次
1章 屋根の“棟”とは
“棟(むね)”とは、屋根の頂上を押さえている部材です。
お家の中で最も雨風を受けるため、破損したり飛んでしまったりすることが多い場所でもあります。
棟は屋根によって2種類あり、修理方法や費用も異なります。
屋根の素材 | 棟 |
スレート屋根 金属屋根 アスファルトシングル(※) | 金属製 =『棟板金』
|
和瓦 洋瓦 セメント瓦 | 瓦製 =『棟瓦』 |
■棟板金
■棟瓦
※アスファルトシングル屋根は、棟板金ではなくアスファルトシングルをそのまま使った棟の場合もあります。 ■棟をアスファルトシングルで仕上げたお家 |
2章 棟の修理方法と費用相場
修理費用は、棟の種類と修理方法によって変わってきます。
修理の内容も簡単にご紹介しますので、どんな工事にいくらくらいかかるのか把握しましょう。
ただし、実際にはお家の状態によって費用は変動します。
相場から大きく離れた金額だった場合は、なぜその金額なのか理由を聞くと安心です。
2-1 棟板金の修理
修理方法 | 費用相場 | 劣化症状 |
釘打ちコーキング | 15,000~40,000円 | 棟板金の釘が抜けている |
棟板金交換工事 | 5,000~10,000円/m | 板金が飛んだ、歪んでいる、中の貫板が腐食している |
※足場架設 | 700~1,100円/㎡ | – |
棟板金の修理は、基本的には「交換工事」です。
少し釘が浮いているだけ、などのごく軽度の場合は「釘打ちコーキング」で対応します。
釘打ちコーキング
費用相場:15,000~40,000円/1棟
棟板金は横から釘で固定されており、経年劣化で少しずつ釘が浮いてきます。
放置すると中に水が侵入したり、板金がゆるんで飛ばされたりするため、浮きを見つけたら早めに打ち込む必要があります。
修理の際はさらに、今後の抜け予防・水の侵入予防のために、コーキングで釘頭を塞いであげます。
棟板金交換工事
費用相場:5,000~10,000円/m
棟板金自体が飛ばされたり歪んだりしていた場合や、中にある貫板(ぬきいた)という木材が腐っていた場合は、棟板金と貫板を交換します。
新しい貫板は木材ではなく樹脂製を選ぶと、今後傷みにくくておすすめです。
足場架設
費用相場:700~1,100円/㎡
釘打ちや棟板金交換の修理は、安全のために足場が必要になることがあります。
一般的な2階建ての戸建だと10~20万円前後になりますので、足場がいるかどうかは見積もり段階で業者に聞いておきましょう。
2-2 棟瓦の修理
修理方法 | 費用相場 | 劣化症状 |
漆喰補修 | 4,000~7,000円 | 棟瓦の漆喰がひび割れている、剥がれている |
棟積み直し | 10,000~16,000円/m | 棟瓦の一部が飛ばされた、全体が歪んでいる |
※足場架設 | 700~1,100円/㎡ | – |
棟瓦は中に漆喰を詰め込むようにして固定されており、そこが傷んでいる程度だった場合は「漆喰補修」を行ないます。
棟全体が歪んだり傷んだりしていたら「棟積み直し」で修理をします。
漆喰補修
費用相場:4,000~7,000円/m
棟瓦の下にある白い部分が漆喰です。
10~15年程で傷んでくるため、詰め直して補修する必要があります。
棟積み直し
費用相場:10,000~16,000円/m
棟瓦を一度すべて取り外し、もう一度木材と漆喰を入れて組み直す工事です。
中の漆喰全体が弱って棟瓦が歪んでしまった時や、強風などで一部が飛ばされてしまったときに行う修理となります。
足場架設
費用相場:700~1,100円/㎡
棟瓦の修理も、屋根の上の高所作業のため、足場が必要になることがあります。
一般的な2階建ての戸建だと10~20万円前後になりますので、足場がいるかどうかは見積もり段階で業者に聞いておきましょう。
3章 自然災害が原因なら火災保険でお得にしよう!
棟を修理しようと思ったきっかけが台風や雪などだった場合、火災保険が適用できる可能性があります。
保険の中には、火事以外の自然災害も対応できる「風災補償」が含まれていることが多いからです。
屋根の棟修理はできるだけはやく対応したいところですが、費用面で不安な方も多いと思います。
保険が適用できれば少しでも負担を減らせますので、修理をする前に、ぜひ加入している保険内容をご確認ください。
※風災保険がついていない場合は適用できません。
条件、貰える金額も保険によって異なりますので、詳しくは各保険会社さんに問い合わせましょう。
>屋根修理の保険申請のやり方についてはこちら
4章 適正見積もりかチェックする2つのポイント
すでに見積もりを取った方、あるいはこれから取る方は、金額以外にも見てほしいポイントが2つあります。
単純な金額はお家の修理内容によって変わってしまうため、本当に適正価格かはなかなか判断できないからです。
見積もり時の対応と見積もり内容で業者の信頼性をある程度見極められますので、ぜひチェックしてみてくださいね。
4-1 点検したうえで見積もりを作ってくれる
棟の修理見積もりを出してもらうときは、必ず屋根の状態を見てもらいましょう。
今現在どのような状態なのか正確にわからないと、適切な修理内容を提案できないからです。
点検は当然と思うかもしれませんが、屋根点検は人員とはしごなどの道具、時間が必要です。
中には、下からちらっと見ただけで適当な見積もりを出す悪徳業者も存在します。
「通りから見えたんですけど屋根が壊れてますよ!」と教えてくれるのは良いですが、それだけで見積りは作れません。
点検は、直接のぼって見るほかに、最近では高所カメラやドローンを使って確認してくれるところもあります。
どの方法にせよ、「今、屋根のどこがどのような状態なのか」をしっかり写真に撮って説明してくれる業者が安心です。
見積りは必ず事前点検に基づいて作ってもらいましょう。
4-2 “一式”ではなく具体的な数量が書いてある
見積書は、工程や作業内容を細かく書いてあるかチェックしましょう。
“棟修理工事 一式○○万円”などとざっくりした書き方の業者は要注意です。
修理する箇所、数量、内容が曖昧だと、金額も業者にごまかされてしまったり、トラブルになったりする可能性があるからです。
良い例:
悪い例:
例えばおおざっぱな見積りだと、
こちらは全部直してもらえるものだと思っていたのに、実際工事が始まってみたらやってもらえなかった…、
「そこは見積もりの範囲外なので、やる場合は追加料金がかかります」と言われてしまった…
ということが起こり得ます。
こうした認識の違いやごまかしのトラブルを避けるためにも、修理する範囲・箇所、数量、工事内容が明記された見積書の業者に依頼しましょう。
まとめ
屋根の棟とは、屋根の頂上を押さえる部材です。
金属製の「棟板金」と瓦製の「棟瓦」の2種類があります。
修理方法と費用相場は以下の通りです。
■棟板金の場合
修理方法 | 費用相場 | 劣化症状 |
釘打ちコーキング | 15,000~40,000円 | 棟板金の釘が抜けている |
棟板金交換工事 | 5,000~10,000円/m | 板金が飛んだ、歪んでいる、中の貫板が腐食している |
■棟瓦の場合
修理方法 | 費用相場 | 劣化症状 |
漆喰補修 | 4,000~7,000円 | 棟瓦の漆喰がひび割れている、剥がれている |
棟積み直し | 10,000~16,000円/m | 棟瓦の一部が飛ばされた、全体が歪んでいる |
※どちらも状況により、足場代(700~1,100円/㎡)が別途かかります。
台風や雪などの自然災害が原因で修理をお考えの場合は、火災保険が使える可能性が有りますので、保険会社に問い合わせてみましょう。
見積書を取ったときは、金額以外にも
・事前に屋根点検を実施しているか
・“一式”ではなく具体的な数量が書いてあるか
の2点をチェックして、適正価格業者かどうか見極めましょう。
棟の修理は、雨漏りなどをしないためにも早く対応してあげたいところです。
適正価格できちんと直すために、お役に立てれば幸いです。
最後までお読みくださりありがとうございました。
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