台風で飛ばされてしまった屋根。
修理の見積もりしてみたけれど、やっぱり高いなぁ…と金額が気になっている方もいらっしゃいますよね。
実は、台風の被害には火災保険が適用できることが多いです。
これで修理費用の負担が減らせますので、ぜひ活用しましょう。
ただし、単に火災保険に加入していればいいというわけではなく、
- ・保険の内容によって適用されるかどうか変わる
- ・保険に加入している本人(被保険者)の申請が必須
- ・経年劣化での破損は対象外
- ・被害状況が分かる書類が必要
など、やらなければならないことや条件がいくつかがあります。
そこでこの記事では、台風被害で火災保険が適用される条件、必要なもの、申請から保険金受取までの流れを分かりやすく解説していきます。
また最後には、安心して依頼できる修理業者選びのポイントもお伝えします。
出費を抑えたうえでしっかり修理できて、これからも安心してお住まいいただけるようになります。
ぜひ最後までじっくり読んでみて下さいね。
注意:受け取れる保険金額は状況次第! 火災保険の申請しても、実際にどの位の保険金が受け取れるのかは、お家の被害状況や、保険の契約内容によって異なります。 必ず全額出るわけではありませんのでご注意ください。 まずは保険会社や施工業者に相談してみましょう。 |
目次
1章 台風後の屋根修理で火災保険が適用される条件
台風被害にあった場合、どのような状態なら火災保険が適用されるのかを紹介します。
ご自宅の場合はあてはまるか、まずは以下の3点を確認してみましょう。
1-1 風災補償が含まれている
まずは、ご自宅の火災保険に「風災補償(風災特約)」が含まれているか、保険証券を確認してみましょう。
「風災補償」とは、火災ではなく雪・台風・突風などで被害にあった家財・財産も補償されるというオプション内容です。
これに加入していれば、屋根の台風被害は保険金支払いの対象になります。
未加入だった場合は残念ながら対象外となってしまいます。
それでは風災補償があった場合に保険金の支払いの対象になる、主な症状を紹介します。
①台風で飛んでしまった棟板金
屋根の頂上にある棟板金(※)が、台風で飛ばされてしまい道路に落下してしまっています。
※棟板金とは、屋根の頂上をカバーしている金属の部材のことです。 |
②台風で破損した雨樋
雨樋台風の影響で破損し、地面に落下してしまっています。
こうした雨樋の修理も、屋根と一緒に保険の対象にできます。
③台風で飛ばされた屋根瓦・スレート
台風でスレート・屋根瓦が飛ばされてしまい、下地の木部が雨にさらされた状態になっています。
④台風で破損したカーポート屋根
台風でカーポート(車庫)の上にある樹脂製の屋根・ひさしが破損している状態です。
⑤近所から飛んできた物がぶつかって破損した屋根
台風で近所から飛んできた物が屋根瓦にぶつかり、一部が破損しています。
⑥台風で倒れたアンテナやアンテナがぶつかって破損したもの
屋根の上に伸びていたアンテナが、台風の影響で倒れ、外壁の一部に傷がついてしまっています。
倒れたアンテナ本体の交換や、アンテナのせいで破損した屋根・外壁の修理費用も対象になる場合があります。
他にも、台風が原因の被害と認められれば、保険の対象となります。
どこまでが保険対象になるかは、保険会社に依頼を受けた鑑定会社が判断します。
まずは保険会社に被害状況を伝え、相談してみましょう。
1-2 被害にあってから3年以内
屋根修理に火災保険を適用するには、台風の被害にあってから3年以内に申請が必要です。
被害に遭ってから申請までの「時効期間」というルールが定められているためです。
台風が原因で破損してしまった箇所があったとしても、申請を先延ばしにしてしまうと、保険金を受け取れなくなってしまいます。
台風の後は、すぐに保険会社に相談・申請を行うようにしましょう。
1-3 工事費用が20万円以上
ほとんどの保険が、工事費用が20万円を超える場合に保険金受取の対象となります。
屋根修理に20万円以上もかかるの?と思われる方もいるかもしれませんが、被害を受けた場所の多くは2階より上の場所なので、工事のための足場が必要となります。
二階建ての一軒家であれば、足場費用は10万円以上することが多いです。
そこに補修に必要な材料費や人件費がプラスされるため、屋根だけでも20万円以上の工事費用となり、補償の対象となるケースがほとんどなのです。
工事金額については、お家の広さや被害状況によって変わるため、業者に見積もりを依頼しましょう。
2章 保険金の申請に必要なもの
申請に必要なものは皆様の加入する保険によって異なりますが、一般的に共通しているものは4つあります。
お客様が用意するものと施工業者に依頼して用意してもらうものに分けて紹介します。
お客様が用意するもの |
①申請書類 →保険会社に連絡して送付してもらう書類です。必用部分を記入して提出します。
②罹災証明書 →台風被害にあったこと、被害の程度を証明する書類です。 ※必要ない場合もあるため、保険会社に必ず確認しましょう。 必要な場合は、お住まいの地域の消防署or消防出張所で交付してもらいましょう。 |
施工業者に用意してもらうもの |
③被害状況が分かる写真 →見積もり前に、台風の被害にあった場所・状況が具体的に分かるように撮影してもらいましょう。 できるだけ細かく、枚数も多い方が申請もスムーズです。
④工事費用の見積もり書 →台風の被害にあった場所の修繕費用の見積もり書を依頼しましょう。 この時、台風と関係ない工事は見積書に入れないようにしてください。台風が原因でない劣化・破損個所の補修は保険金の対象外です。 |
※業者にもらうものは、基本的に無料で用意してくれることがほとんどです。
「保険の申請用に用意してほしい」と伝えましょう。
3章 台風被害にあってから保険金受取までの流れ
被害にあってから、保険金受取までの流れを紹介します。
①保険会社に連絡し、被害内容を伝える
保険証書に記載されている連絡先に、いつ、どの台風の被害を受けたのか、どのような被害状況なのかを伝え、申請書類を送ってもらいましょう。
注意:免責額があるかどうか確認しよう
火災保険に加入する際に、「免責額」という保険金から差し引かれる自己負担金が設定されています。
この免責額が0になっている場合は全額補償されるので、工事金額をすべて保険金でまかなえることになります。
ただし、保険金の負担を下げるために「免責額」を設定していると、工事金額の一部を自己負担する必要が出てきます。
保険会社への問い合わせの際に、免責額がいくらかも確認しておきましょう。
②業者に「被害状況が分かる写真」と「見積もり書」を作成してもらう
屋根修理を行っている業者に現地での点検・見積もり・被害状況の写真の撮影を依頼しましょう。
「保険金をつかって修理をしたい」と明確に伝えておきましょう。
台風の被害にあった場所を把握し、被害箇所を修理するための見積もりを作成してもらえます。
③申請書類を記入する
送られてきた申請書類に必要事項を記入しましょう。
※保険の代行業者もありますが、費用がかかってしまいます。書類は簡単に記入できる内容ですので、ぜひご自身で記入しましょう。
④保険会社に申請書類を送付する
⑤保険会社から依頼を受けた鑑定会社による調査の実施※
※保険内容や請求金額によっては、省略されるケースもあります。
⑥保険金支払い
内容に不備がなければ、約一週間~十日程で審査結果の連絡が入り、数日後には保険金が支払われます。
注意:災害直後は受け取りまでに日数がかかる場合がある 申請から受け取りまでの期間はおおよそ1~2週間程度ですが、大災害により多くの人から申請が相次いだ場合は、1ヵ月以上かかる場合があります。 なるべく早く受け取るためにも、修理を思い立ったらすぐに申請を行っておくと安心です。 |
4章 信頼できる修理業者選び3つのポイント
台風の被害にあったとき、屋根工事を依頼する業者選びのポイントを紹介します。
火災保険で負担が軽くできるとはいえ、気を付けて選ばないとトラブルの原因になってしまう場合があるためです。
安心できる業者に依頼して、きちんと直してもらいましょう。
4-1 点検をしっかりしてくれる業者
屋根点検はもちろん、それ以外のお家全体も一緒に見てくれる業者が安心です。
台風の被害は、皆様が気づかないところにも発生していることが良くあるからです。
特にこうした対応に慣れている会社なら、被害の出る可能性が高い場所を分かっているので、見落としが無いようしっかり点検し、新たに見つかったものも保険適用に入れてもらえます。
しっかり点検してくれているかどうかの目安は、点検に60分程度かけているかどうかです。
お家の外周と屋根の上まで丁寧に見ていくと大体このくらい時間がかかります。
保険で直せるところを全てやってもらうためにも、しっかり点検をしてくれる業者に修理を依頼しましょう。
4-2 車で30分以内に支店がある業者
台風の修理は、車で30分以内に来れる地元の業者を選びましょう。
遠方の会社だとすぐに来てほしくても難しく、また業者側も交通費・人件費の関係からあまり来たがらない場合があり、対応が遅くなりがちだからです。
台風被害にあった屋根は雨漏りにも直結しやすく、お家をどんどん傷めてしまうため、早い対応が非常に重要です。
近くの会社であれば、他の工事現場の行き帰りやついで等でもすぐに来てもらえる場合が多く、安心できます。
ただし、台風の直後はどこも点検依頼が増えて混み合います。
すぐに修理をお願いするためにも、なるべく早めに地元業者に連絡をするようにしましょう。
4-3 「火災保険があるから無料で工事できますよ!」と無料を断言する業者はNG
「火災保険が出るので、全部無料で工事できますよ!」
「保険で無料になりますから、金額は心配いりませんよ!」
などと、屋根工事費用が無料であることを強調して、契約を迫ってくる業者は避けましょう。
実際にいくら支払われるかは、工事業者でなく保険会社が判断することなので、修理金額の全額が支払われるとは限らないためです。
こうした業者は、保険について無知であるか、保険で無料になるから大丈夫と言って高額な契約を結ぼうとする悪徳業者の可能性があります。
無料で直せると思って契約したのに、実際は工事費用のほんの一部しか受け取れず、結局大きな出費になってしまった…といったトラブルも多いです。
トラブルを防ぎ、安心して修理を任せるために、最初から無料であることを強調してくる業者は避けましょう。
まとめ
台風で屋根が被害に遭った場合、火災保険が適用できる場合があります。
適用になる主な条件は、
- ・火災保険に「風災補償(風災特約)」が含まれている
- ・被害にあってから3年以内
- ・工事費用が20万円以上
です。
あてはまる方はまず保険会社に連絡して、書類を送ってもらいましょう。
保険申請に必要な一般的な書類は以下の通りです。
- ①申請書類
- ②罹災証明書※不要な場合あり
- ③被害状況が分かる写真
- ④工事費用の見積もり書
修理業者も、安心して任せられるところを選んで、しっかり直してもらいましょう。
皆様の大切なお家が一日も早く、そして費用負担を押さえて復旧するためにお役に立てれば幸いです。
お読みくださりありがとうございました。
◆屋根の補修工事がどれくらいの金額になるかは、以下のページを参考にご覧ください。
→棟板金とは:必ず起こる「釘の抜け」と補修方法・費用相場を徹底解説
→瓦屋根もメンテナンスが重要!種類ごとの適切な時期や修理方法、費用