
通りかかった業者に、外壁のコーキングが割れていることを指摘されたあなた。
「放っておくと危険」
「今すぐ直したほうがいい」
と言われたけど本当?
お金はあまりかけたくないから自分で直したいけど手順や道具は?と疑問に思っているのではないでしょうか。
コーキングが傷んでいたら放置せずにメンテナンスをしましょう。
なぜならコーキングが劣化してしまうと雨漏りや地震被害の可能性が高くなるからです。
コーキングのせいで家の耐久性が弱くなってしまったらもったいないですよね。
この記事では補修が必要なコーキングの劣化症状をご紹介します。
さらに、小さい傷みなら自分でも補修できるのでは、とお考えの方のために誰でもできる補修方法もご紹介します。
ただDIY補修は応急処置にしかなりませんので補修後1年以内には専門業者に点検してもらうことをおすすめします。
劣化症状を見逃さずに、お家を長持ちさせる適切なメンテナンスを行ないましょう。
目次
1章 コーキングの2つの役割
初めにコーキングの役割についてご説明します。
コーキングは「シーリング」「目地」とも呼ばれ、サイディングのつなぎ目という認識の方も多いかと思います。
しかし、コーキングには他にも家を守る重要な役割があります。
それが「防水」と「耐震」です。
2つの役割についてご説明します。
防水
まず1つ目の役割が「防水」です。
コーキングを打ち込むことで外壁の内部に水を浸透するのを防いでいます。
なぜならサイディングの内側には木材があり、コーキングがないと内部に水を侵入させるからです。
また、サイディングの表面は新築時塗装されていますが、断面は素地のままのためコーキングがないとサイディングに水が浸透し、ボードの強度を下げます。
コーキングで断面を覆うことで内部の木材やサイディングに水が浸透しないようにしています。
耐震
続いては「耐震」の役割です。
コーキングは地震の揺れを吸収する緩衝材としての役割があります。
サイディングは硬くて丈夫なため、コーキングがないと地震などの揺れでサイディング同士がぶつかり合い割れてしまいます。
このようにコーキングは単なる「つなぎ目」ではなく家を水や地震から守る重要な役割を持ったものなのです。
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2章 コーキングの寿命は5~10年
コーキングの寿命は5~10年です。
コーキングの寿命が短いのには理由があります。
サイディングと違って、新築時に上から塗装されておらず紫外線の影響を直に受けるためです。
5年経った家がすべてひび割れや剥離を引き起こすわけではありませんが、5年以上経過すると徐々に劣化症状が出てきます。
劣化症状を見逃さずに適切な時期にメンテナンスを行ないましょう。
劣化を放っておくとやがて家の中に水が浸透し、シロアリがやってきます。
なぜならシロアリは水分を含んだ木にしか寄ってこないからです。
コーキングが傷んでくるとサイディングの隙間から水を侵入させます。
サイディングとサイディングの隙間から少しずつ内部に水が浸入し、内部の木材を湿らします。
湿った木に寄ってくるのがシロアリです。
シロアリに木を食べられると、耐震性が落ちてしまい本来耐えられる地震でも簡単に倒壊してしまいます。
実際に1995年に起きた阪神淡路大震災で倒壊した家を調べたところほとんどの家がシロアリに食べられていたことが分かっています。
いつ来るか分からない地震に備えて、家の耐震性を維持するメンテナンスを行ないましょう。
▽朝日新聞(1995.04.26 夕刊)
3章 コーキングの劣化症状
続いてコーキングの劣化症状についてご紹介します。
築5年経っていない場合も劣化症状がみられる場合があります。
劣化症状が軽い順にご紹介しますので、ご自宅の劣化症状と見比べてみてください。
3-1 ひび割れ
コーキングが縮れてひびが入っている状態です。
長い期間紫外線を浴び続けるとコーキングが硬化します。
硬化すると縮まるので表面がひび割れを起こします。
この状態になるとコーキングが固くなって緩衝材としての役割を果たさなくなります。
劣化症状の中でも初期に見られる症状になります。
このレベルであればDIY補修が可能です。
補修方法が知りたい方は4章をご覧ください。
3-2 剥離
コーキングとサイディングの間に隙間ができる状態です。
こちらも紫外線でコーキングが縮んでサイディングとコーキングの間に隙間ができます。
この状態になると、サイディングの断面に水を浸透させ、サイディング自体を傷めてしまいます。
DIY補修はおすすめできません。
他のところにも症状が出ている可能性が高いので、すぐに専門業者に点検してもらいましょう。
3-3 破断
コーキングのひび割れが進行し、完全に切れてしまった症状です。
ひび割れを放っておくと、ひびの幅が広がり中の下地が見える状態になります。
この状態になると直に内部に水を浸透させてしまいます。
DIY補修はおすすめできません。
他のところにも症状が出ている可能性が高いので、すぐに専門業者に点検してもらいましょう。
3-4 欠落
コーキングが破断し、触ると簡単に取れてしまいます。
紫外線劣化によりコーキングが劣化し、触るとぽろぽろと崩れてしまう状態です。
中の下地が見え、雨水を直接内部に浸透させてしまいます。
劣化がかなり進行しているのでDIY補修ではなく専門業者に全体の「打ち替え」をしてもらいましょう。
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4章 コーキングの補修の流れ
この章では、DIY補修に必要な道具や補修の流れをご紹介します。
今回ご紹介する補修方法は劣化している部分の「打ち替え」です。
「打ち替え」は古くなったコーキングをカットし、新しいコーキングを打ち込んでいくメンテナンス方法です。
業者に依頼する際は「打ち替え」をおすすめしていますが、DIYで補修するには少し難しい方法です。
簡単に補修したい方は、既存のコーキングを取り外さずに上からコーキングを打ち込む「増し打ち」の方法で行ってください。
☞「増し打ち」のやり方はこちら
補修後に不具合が起きないように、手順や道具をしっかりおさえておきましょう。
4-1 準備するもの一覧表
準備するものを一覧表にしました。
材料の種類にも寄りますが大体2500~5000円ほどですべて揃えることが出来ます。
道具名 | 選ぶポイント |
軍手 | |
カッター 古くなったコーキングを切り取る | 切りやすい大きいものを選ぶ |
マスキングテープ 外壁に余分にシーリング剤が付くのを防ぐ | 外壁にしっかり付く粘着性があるもの、 幅が広いもの(24mm~30mm)がおすすめ 価格:349円(税別) |
コーキング材 弾力性のあるコーキングを打ち込む | ① シリコンではなく「変成シリコン」を選ぶ ② ノンブリードタイプのものを選ぶ ③ 既存のコーキング色に近い色を選ぶ 価格:799円(税別) |
コーキングガン | 価格:199円(税別) |
シールプライマー コーキングを密着させるために塗る下塗り材。 |
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ハケ プライマーを塗る際に使用 | ハケが付属しているプライマーを購入すれば別で購入する必要はありません。 |
ヘラ 打ったコーキングをならすのに使用します。 | 目地の幅や場所によって使いやすさが変わるのでセットで買うのがおすすめ。 価格:479円(税別) |
4-2 補修の流れ
補修の流れをご説明します。
①劣化しているコーキングを切り取る
外壁とコーキングの間に刃を入れ、劣化しているコーキングを切り取ります。
外壁を傷つけないように注意して行いましょう。
②マスキングテープをコーキングの端に付ける
マスキングの端を折り込むと最後に剥がしやすいです。
③プライマーを塗る
サイディングの断面にシールプライマーを塗ります。
④コーキングを打ち込む
- コーキングをセットし、溝にコーキングを充てんします。
⑤ヘラで均(なら)す
打ち込んだらすぐにヘラで均します。
ヘラを奥に押し込むようにして空気が入らないようにするのがポイントです。
⑥マスキングを剥がす
均したら時間を置かずにマスキングテープを剥がします。
中途半端に乾いてから剥がすと、コーキングがテープに引っ張られ仕上がりが汚くなってしまいます。
⑦完成!
4-3 補修後は1年以内にプロに点検を依頼する
補修後は1年以内に専門業者に点検をしてもらいましょう。
なぜならDIYの補修は単なる応急処置にしかならないからです。
DIYで出来る補修は一部のみですが、コーキングの劣化は家全体で進行しています。
いくら自分で補修してもまた劣化症状が出てきてしまってはきりがありません。
一部の劣化を見つけたら全体が劣化してきていると認識し、1年以内に家全体の状態を確認してもらいましょう。
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5章 業者に依頼した際の費用相場
専門業者に依頼した際の費用相場をご紹介します。
「打ち替え」と「増し打ち」では施工の手間や費用が変わってきます。
もし工事を依頼した業者から「打ち替え」「増し打ち」の説明がなかった場合は、どちらの方法で行うのか事前に確認しましょう。
5-1 打ち替え=900~1,200円/㎡
既存のコーキングを撤去し、新しくコーキングを打つ工法です。
打ち替えをすることで新築時同様、コーキングが緩衝材としての役目を果たすようになります。
コーキングの劣化症状が確認できた場合は「打ち替え」でのメンテナンスをおすすめします。
5-2 増し打ち=500~900円/㎡
「増し打ち」は既存のコーキングの上から、新しいコーキングを打つ工法です。
「打ち替え」と違って既存のコーキングを撤去する作業が省かれるので、「打ち替え」よりも費用がおさえられます。
しかし「増し打ち」は劣化したコーキングを撤去せずに新しいコーキングを打つので、数年で古いコーキングと一緒に剥がれてしまう場合があります。
そのため、「増し打ち」ではなく「打ち替え」をおすすめします。
☆別途費用=足場仮設
家全体や2階周りをメンテナンスする場合は足場仮設が必要になる場合があります。
足場の単価相場は700~900円/㎡です。
(例)2階建て30坪、200㎡の場合
700~900×200㎡=140,000~180,000円
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6章 塗装すると長持ちする
コーキングを打ち替えた後は塗装をすると長持ちします。
なぜならコーキングの劣化は紫外線が原因だからです。
新築時は建てる時に打ち込まれるので、コーキングは紫外線に直に当たっています。
そのため築5~10年ほどで劣化症状が出てしまいます。
しかし、上から塗料を塗って紫外線からガードすることによって、塗膜がコーキングの劣化を防ぎ寿命を延ばすことが出来ます。
コーキングを紫外線から守るために、上から塗装をしましょう。
まとめ
最後までご覧になっていかがでしたか。
コーキングはサイディングの家の耐久性に影響する重要な部分です。
しかし意外と寿命が短く、定期的にメンテナンスが必要です。
メンテナンス時期を誤ると、コーキングから水が内部へ侵入し、最終的にはシロアリが来て地震に耐えられない家になってしまいますので、劣化症状を見逃さずに早めのメンテナンスを心がけましょう。
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