シロアリ駆除を控えた方、または終了したばかりの方で、ふと
「あれ?うちの子、アレルギーあるけど、大丈夫なのかな?」
「なんだか工事後から、体調が悪くなったような…」
と気付き、不安になってこのページをご覧になっているのではないでしょうか。
筆者もアレルギー持ちで、身近で薬剤を使用したり、何か体調の変化が出たりすると、「これって大丈夫?なにが原因なの?」と不安になるので、とてもよく分かります。
まずご理解いただきたいのは、シロアリ駆除に使われる薬剤は、健康被害が出ないレベルまで強さを抑えたものだけなので、正しく使えば健康被害が出ることはありません。
ですが、アレルギーとなると、人によって感じ方や症状の出方が異なるものなので、注意するに越したことはありません。
そこで今回は、シロアリ駆除で出る可能性があるアレルギー症状から、発症回避対策、また万一アレルギーが出てしまった場合の対処について徹底解説します。
アレルギーが出て苦しまないように、お家の健康も身体の健康も正しい知識で守れるようにしましょう。
目次
1章 アレルギー体質の方はシロアリ駆除には注意!
最初にお伝えした通り、現在のシロアリ駆除薬剤は健康被害が出るような強さではありませんし、シロアリ自体もアレルギーの原因となることは、まずありません。
ですが、アレルギーの症状は個人差があるため、全員が全くの無害とは言えません。
次のような注意すべきケースがあると理解しておきましょう。
1-1 注意すべきアレルギー症状
シロアリ駆除をした際に出る可能性がある、注意すべき主なアレルギーが4つあります。
あり得る症状として覚えておくと、異常を感じたときでも、ある程度原因が特定できるので安心です。
シックハウス症候群
住宅室内の空気質の変化により、その空気を吸った人が体調不良を起こすアレルギー反応。 | |
症状 | 倦怠感、めまい、目のかゆみ、頭痛、湿疹、のどの痛み、咳、鼻水など |
原因 | カビ、微生物、シロアリ駆除に含まれる防腐剤、ホルムアルデヒドを含む有機溶剤など |
改善策 | 適切な換気、カビの除去、ホルムアルデヒド除去効果のある空気清浄機など |
化学物質過敏症
シックハウスの1つで、微量の薬物や化学物質への接触で起こるアレルギー反応。 | |
症状 | 咳、咳喘息、気管支炎、ドライアイ、アレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎、頭痛、うつ症状、疲労感など |
原因 | 新築のホルムアルデヒド(防腐剤)の濃度が高いことや、駆除剤で防腐剤を使用した場合に免疫が過剰に反応して起きる。 |
改善策 | 原因物質を遠ざける、洋服など、触れるものを自然素材に変える。 |
ハウスダストアレルギー
家の中で出るホコリや繊維など、人の目で確認できないゴミに起因するアレルギー。 | |
症状 | くしゃみ、鼻づまり、目のかゆみ・痛み、喘息、咳など |
原因 | 家の中のホコリが原因のため、シロアリ駆除施工の際に舞い上がったゴミが原因で接触・発症する可能性がある。 |
改善策 | 事前のこまめな掃除、空気清浄機の使用、換気、布団や足ふきマットの洗濯をする。 |
アトピー性皮膚炎
ハウスダストの1つで、微量の薬物や化学物質への接触で起こるアレルギー反応。 | |
症状 | 湿疹、かゆみ、発汗など |
原因 | 皮膚のバリア機能が弱い部分にアレルギーを起こす原因物質が触れることで起きる。そのため免疫力が弱い子供がなりやすい。 |
改善策 | 薬の服用、皮膚を清潔に保ち保湿をする。換気をする。規則正しい生活。 |
このようなアレルギー症状が出る可能性があります。
症状を見ながら、悪化する前にアレルギー源から離れることと、症状によっては病院の診察を受けることで重篤化を防げるので、様子を見て「危ないな」と思ったら迷わず病院に行きましょう。
1-2 妊婦さん・お子さん・ペットも要注意
妊婦さんや小さなお子さん、ペットについても注意をしましょう。
特に免疫力の低い妊婦さんや、身体の小さいお子さん、ペットはアレルギー原因に触れたときの影響が出やすいためです。
アレルギーをお持ちでない場合でも、虫を殺せる薬剤ですから、大量に接触や吸い込みをしてしまうと、喘息や脳の発達への影響、白血病発病リスクが高まるという結果が出ています。
妊婦さん、お子さん、ペットのいるご家庭はよく注意し、施工中は見学や様子をチェックをするよりも、離れた場所にいる方が安全です。
2章 薬剤は安全なので、過度な心配は不要!
シロアリ駆除に使用される薬剤は、健康被害が出ないよう安全に配慮されているため、過度に敏感・心配にならなくても大丈夫です。
駆除薬剤は改良が続けられて現在の形になり、「公益財団法人日本しろあり対策協会」が、薬剤の安全性などチェックし認可しているもので、空気中の薬品濃度は、使用後30分で0%になると出ています。
過去では、1度で長い期間シロアリを寄せ付けなくなるように強力な薬剤が使用されてきましたが、いずれも人体への影響が強く、こうした強い薬は現在は使用が禁止されています。
現在使用されている薬剤の中でも、成分に違いがあり、安全性が高い順にご紹介しておきますので、ご自身の家の工事で、どんな薬剤を使うのかの参考にしてください。
●ネオニコチノイド系/安全性◎ 昆虫のみに作用し、人間やペットに悪影響なく安全とされています。
●ピレスロイド系/安全性○ シロアリに痙攣・麻痺などを起こす、蚊取り線香にも使われるような身近な成分ですが、魚類には悪影響があるのでペットは注意です。
●フェニルピラゾール系/安全性△ シロアリの神経伝達に異常を起こさせ、少量で高い殺傷能力があります。
●フェニルピロール系/安全性△ ゆっくりと効果が出る、シロアリに呼吸障害を引き起こして駆除する成分です。
●カーバメート系/安全性△ 除草剤にも使用される、シロアリを興奮状態にして中毒状態にする成分です。 |
「日本しろあり対策協会」のHPで公開されている『薬剤リスト』があります。
アレルギーをお持ちで心配な方は、事前にかかりつけ医に、リストを見せて相談すると良いでしょう。
▼リストダウンロードはこちら(Excelデータ)
https://www.hakutaikyo.or.jp/contents/uploads/yakuzai.xlsx
3章 アレルギー発症回避の対策4項目
アレルギー症状が出ないように、工事前~工事後に行ってほしい対策が4つあります。
これをしておくことで、体内に薬剤(アレルギー源)を吸収するリスクが大幅に下がりますので、アレルギーで苦しむ前にぜひ実践してください。
3-1 【工事前】食品は密閉して片付ける
工事前には、食品を密閉して片付けしておきましょう。
工事が終わった後に、空気中に蒸発・飛散している薬剤が、たまたまあった食品に付着し、それを口にするというサイクルを避けるためです。
使いかけの食品は口をしっかり閉める、または冷蔵庫など密閉空間に入れるなどして、空気中に飛散した薬剤が触れた食品を食べることがないように防ぎましょう。
3-2 【工事中】工事場所に近寄らない
工事中は、施工場所には近寄らないようにしましょう。
部屋の中に薬剤が飛散してくることはまずありませんが、それでも施工場所に近付けば、その分薬剤への接触リスクが高まるためです。
特に蒸発した薬剤は、自身が気付かない内に吸入していることもあるため、工事している場所自体には近寄らない方が身の安全を確保できます。
3-3 【工事後】床や食器をよく拭く・洗う
工事後は、30分~1時間ほど置いたら床や食器をよく拭き、薬剤の付着がないようにしましょう。
食品と同様に、薬剤が付着した場所から知らずの内に吸入や接触をしてしまうためです。
特に床は、小さなお子さんがいるなら念入りに拭いた方が良いです。
逆にご自身がアレルギーに敏感なタイプであれば、拭き掃除などは一旦後回しにして、1週間ほど床に直接触らないように避けて生活するもの対策の1つです。
3-4 【工事後】よく換気をする
工事後は、換気をこまめにしましょう。
閉め切ってしまうよりも、空気の入れ替えを行う方が効果的にアレルギー物質を外に追い出せるためです。
人によっては、駆除後の臭いが気になるという人もいるので、そういう方ほど空気の入れ替えはこまめに行うと効果的でしょう。
4章 それでも心配な方へおすすめの工夫
シロアリ駆除工事の際に行う対策を見ても、やっぱり不安と言う方は、工事自体の安全性を高める工夫をしましょう。
重篤なアレルギーが起きてからでは遅いですから、神経質すぎるかな?と気にせずに、積極的に施工業者に相談して、良い選択肢が選べるようにしていきましょう。
4-1 薬剤散布がなく安心な「ベイト工法」
「ベイト工法」は、通常の「散布工法」と異なり、薬剤を散布しない点が安心です。
屋外の地中に、対シロアリの毒エサを埋め込んで駆除する方法のため、空気中での接触リスクがなくなります。
中の薬剤も、昆虫にのみ作用する“脱皮阻害剤”というもので、専用ケースに入っているので、万一お子さんやペットが掘り返してしまっても、直接触れることがなく安心です。
デメリットは即効性がないことと、定期的な維持管理が必要なところですが、安全性は高い工法なので、健康面で心配な方にはおすすめです。
4-2 身体に優しい「自然素材由来の消毒剤」
薬剤を散布する工法でも、その薬剤が自然素材由来のものであれば、安心度も上がります。
シロアリ駆除効果のある天然成分で消毒・防蟻(ぼうぎ)ができれば嬉しいですよね。
これを科学薬剤を一切使わない「ノンケミカル防蟻工事」と言います。
特にヒバの樹から採取したヒバ油というのが有名で、シロアリ消毒以外にも、用途を変えて芳香剤に利用されるような成分です。
消臭や抗菌・癒し効果があるとされる「ヒノキチオール」という成分によりシロアリ駆除にも使われますが、元が油分なので、雨に濡れると流れてしまうこと、また数年で油が蒸発してしまうので、長期的な予防効果がないデメリットがあります。
5章 少しでも心配なら事前に業者へ相談
アレルギーは、当人やそのご家族でないと辛さがなかなか分からないものです。
ですから少しでも不安があるなら、遠慮なく事前に施工業者へ相談しましょう。
事前に「アレルギーはありませんか?小さなお子さんやペットはいますか?」と確認してくれる業者は、親切で配慮ができる業者なので、安心できます。
そうした確認がなくても、出来る限りアレルギー発症や悪影響が出ないためのアドバイスや施工の注意をしてもらうことで、健康への影響を避けましょう。
稀に施工後に体調が悪くなり、工事のせいだとトラブルになることがあります。 残念ながら工事の薬剤と故意に接触していない限りは、因果関係は認めにくいため、あくまでご自身で気を付ける必要があります。 もし体調が悪くなられた時は、薬剤のメーカーの相談窓口へ連絡すること、かかりつけのお医者さんにご相談することを優先して行いましょう。 |
まとめ
いかがでしたか。
シロアリ駆除工事によるアレルギーの可能性についてはアレルギー体質の方は念のため注意をした方が良いでしょう。
主に起こり得るアレルギーは4つあります。
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既にこれらのアレルギーをお持ちの場合は、発症しないように工事前からの注意をしておきましょう。
また妊婦さん・お子さん・ペットも免疫力が低いので、念のため注意が必要です。
ですが、現在は改良が重ねられて、安全に配慮された薬剤のみが使用されているため、シロアリ駆除=アレルギー・健康被害となる訳ではありません。
アレルギー発症回避のためにやるべき4項目
- 1【工事前】食品は密閉して片付ける
- 2【工事中】工事場所に近寄らない
- 3【工事後】床や食器をよく拭く・洗う
- 4【工事後】よく換気をする
これらを実施しておくことで、シロアリ駆除後の体調不良が起きないようにしていきましょう。
それでも心配な方へおすすめの工夫としては、施工で使う薬剤の工夫です。
- 1 薬剤散布がなく安心な「ベイト工法」
- 2 身体に優しい「自然素材由来の消毒剤」
などを使用することで、より安全に安心できます。
アレルギーの不安は当人でないと理解できない部分も多いです。
少しでも心配なことがあれば、遠慮なく事前に業者へ相談しておき解決しましょう。
家も人も健康な状態を保つために、シロアリ駆除のアレルギー対策をしていきましょう。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
◆シロアリの駆除、防除の工事内容について詳しくはこちらもお読みください。
シロアリ防除工事を徹底解説!工事内容・費用と業者選びのポイント