外壁塗装の見積もりをじっくり見てみたとき、
「『水性塗料』って書いてあったけど、どんな塗料?」
「水性って雨で流れたりしない?耐久性は大丈夫?」
と疑問に思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。
塗料は大きく分けて、水性塗料と油性塗料があります。
ペンや絵の具の水性・油性のイメージから、水性は油性より落ちやすそうで、性能が心配に感じるかもしれません。
しかし実際には、外壁用の水性塗料は油性塗料にも劣らない耐久性のものが多くあります。
安心して使える水性塗料が多数あるため、外壁塗装では水性塗料の方が主流になっています。
今回は、外壁塗装における水性塗料の特徴を、油性塗料と比較しながらご紹介します。
ご自宅の塗装工事で最適な塗料選びができるように、ぜひ最後までお読みください。
1章 外壁塗装の水性塗料とは?
水性塗料とは、水で薄めて使うタイプの塗料です。
シンナー(有機溶剤)で薄めるものは、油性塗料と言います。
二つの種類の違いを分かりやすくご説明します。
1-1 水性と油性の違い
水性塗料は、シンナーを使用しないため臭いが少ないのが大きな特徴です。
また水で薄めるだけで手軽に使えるので、一般向けDIY塗料などでも水性塗料が多く使われています。
一方で油性塗料は、シンナー(有機溶剤)を使う分、耐久性が高いのが特徴です。
その分、火気を避けた保管場所の確保など、取り扱いには注意が必要です。
1-2 外壁塗装では水性塗料が主流
現在、外壁塗装では水性塗料が主流となっています。
なぜなら、油性塗料に劣らない耐久性の水性塗料が開発されるようになり、デメリットが感じにくくなったからです。
昔は、外壁塗装は耐久性の高い油性塗料の方が多く使われていました。
しかし2000年前後から、世界的に環境問題や安全性への意識が高まる中で、水性塗料の需要が増え、高品質な水性塗料の開発が進みました。
(例えば自動車業界でも、欧米諸国を中心に高VOC製品(油性塗料)に対する規制があり、どんどん水性塗料へ移行しています。)
そのため現在では、住宅の塗装においても、環境性と耐久性を両立させた水性塗料がメインで使われるようになっています。
2章 水性塗料のメリット
2-1 臭いが少ない
水性塗料は希釈にシンナーを使いません。
臭いが全くないわけではないのですが、シンナー特有のきつい臭いはありません。
工事中に気分が悪くなったりご近所に迷惑をかけたりする心配を減らすことができます。
2-2 環境・人にやさしい
水性塗料はシンナーを使わないため、VOC(揮発性有機化合物)の排出量が少ないです。
VOCは大気汚染の原因の一つとされているほかに、シックハウス症候群や化学物質過敏症などの体調不良も引き起こします。
VOC排出が少ない水性塗料は、環境にも人にも優しい塗料です。
2-3 引火の危険性が少ない
水性塗料は、シンナー(有機溶剤)への引火の心配が少なく、安全性が高いのも特徴です。
シンナーを使う油性塗料は危険物の扱いなので、一定以上の量がある場合は、消防法に基づいた保管場所が必要になります。
引火の危険が低い水性塗料は、住宅地でも安心して使うことができます。
2-4 1液型が多く職人が使いやすい
塗料は、「主剤」と希釈剤だけで使える1液型と、
「主剤+硬化剤」を混ぜてから希釈する2液型があります。
1液型は、初めから硬化剤の成分が1缶に入っているため、すぐに使うことができます。
2液型は、使う直前に主剤と硬化剤の2缶をよく混ぜ合わせる必要があるため、手間がかかってしまいます。
水性塗料は、油性塗料に比べて1液型の製品が多いため、現場で塗料を混ぜる手間が少なく、効率よく作業することができます。
職人にとっても扱いやすい塗料です。
3章 水性塗料のデメリット
3-1 油性に比べると耐久性が劣る
水性塗料の性能も上がっているとご説明しましたが、一般的にはやはり油性塗料の方が耐久性は高いです。
そのため、太陽の紫外線を多く浴びる屋根や、塩害で傷みが起きやすい沿岸地域のお家などは、油性塗料をおすすめすることもあります。
特に耐久性が気になる方は、油性塗料も検討してみてください。
3-2 気温・湿度によっては乾くのに時間がかかる
油性塗料のシンナーが揮発するのと比べると、水性塗料は乾きにくいといえます。
特に、気温が低い冬場や湿気の多い時期は、乾燥に時間がかかってしまう可能性がありますので、最短工期で塗装をしたい場合は注意しましょう。
※冬や梅雨時でも、晴れの日に施工すれば品質には問題はありません。きちんとした塗装業者であれば悪天候の日は工事をお休みしてくれるはずです。
3-3 水性塗料では不向きな素材もある
水性塗料は、サイディングボードやモルタルなどの素材にはよく馴染みます。
一方で、アルミやステンレスといった金属には密着しにくい性質があるため、水切り板金や出窓の天板、庇、雨樋、破風板などの塗装には向かないケースがあります。
その場合は、油性の下塗り材を使う、サンドペーパーで磨いて下地処理などの対応をすれば水性塗料を使うことができます。
水性と油性は、適材適所で使い分けるようにしましょう。
4章 おすすめ外壁用の水性塗料3選
水性塗料の中でも特に耐久性や機能性が良いおすすめの塗料を3つご紹介します。
また、ご紹介する塗料で施工した事例も一緒に掲載いたしますので、仕上がりもイメージしながらご覧ください。
4-1 水谷ペイント「ナノコンポジットW」
まずご紹介するのが水谷ペイントの「ナノコンポジットW」です。
高耐久なのはもちろん、親水性の塗料で雨と一緒に汚れを洗い流すセルフクリーニング機能があり、長期間外壁をきれいに保つことが出来ます。
■製品比較
▪施工事例:ナノコンポジットW (NC24)
4-2 関西ペイント「アレスダイナミックTOP」
続いてご紹介するのが関西ペイントの「アレスダイナミックTOP」です。
外壁の劣化を抑えるラジカル制御機能を持ち、紫外線にも強く耐久性が高い塗料になります。
さらには防カビ防藻機能なども備わった機能的な水性塗料です。
▪施工事例:アレスダイナミックトップ(KP-50)
>ラジカル制御塗料について詳しくはこちら
4-3 菊水化学工業「グラナダフレッシュ」
最後にご紹介するのが菊水化学工業の「グラナダフレッシュ」です。
グラナダフレッシュは、骨材が混ざっているのでモルタルやリシン外壁の風合いをそのままに塗り替えることが出来ます。
塗り替え後もマットな仕上がりを維持したい方におすすめです。
▪施工事例:グラナダフレッシュ(KN175D)
5章 水性塗料のよくあるQ&A
最後に、水性塗料に関してよく寄せられるご質問にお答えしていきます。
疑問を解消して、安心して外壁塗装に水性塗料を使用してくださいね。
Q.水性は臭いがないって本当?
A.臭いが全くしないわけではありませんが、油性塗料と比べると非常に少ないです。
塗っている最中に壁に顔を近づけて臭いを嗅げば、塗料特有の臭いは感じると思いますが、お家の中にいて気になる事は少ないです。
また、塗ってから3~4時間もすれば乾燥する塗料が多いので、塗装したその日の夜にはほとんど気にならないでしょう。
もちろん、ご近隣の方に迷惑になるリスクも少ないです。
Q.水性塗料は雨に濡れても大丈夫?
A.乾燥すれば、油性塗料と同じように塗膜が水を弾きます。
水性塗料だからといって、水に溶けて流れてしまうことはありませんので、ご安心ください。
ただし、水性油性問わず、塗って乾燥する前に雨が降ってしまうと塗膜に影響が出る可能性があります。
きちんとした業者なら雨の日は塗装作業をお休みします。天候に応じて工事を進めてもらいましょう。
Q.水性塗料の金額はどれくらい?
A.塗料の価格は、水性塗料の中でも製品・グレードによって異なります。
一般的には水性塗料より油性塗料の方が少し高い傾向にありますが、性能が高まってきた近年の水性塗料だとほとんど差がありません。
■種類別の単価相場(下塗り・中塗り・上塗りの3回塗りの合算)
まとめ
水性塗料とは、シンナーを使わず水で希釈するタイプの塗料です。
臭いの少なさや環境にやさしいというメリットがあります。
耐久性が低いというデメリットがありましたが、近年は技術が向上して油性塗料に劣らない耐久性の水性塗料も増えてきたことから、外壁塗装では水性塗料が主流となっています。
安心してお家の外壁に水性塗料を使用してください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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