「築10年経ったけど、屋上防水はどれくらいもつの?」
「いつメンテナンスが必要なの?」
と疑問に思われているのではないでしょうか。
屋上防水は紫外線や雨風によって劣化が進むため、メンテナンスが必要です。
劣化が進むと雨漏りなどが発生し、建物全体の耐久性に悪影響を及ぼします。
また雨漏りが発生して内部まで傷んでしまうと、メンテナンスにも余分にお金がかかってしまいます。
そのため、耐用年数が過ぎる前に早めのメンテナンスを行ないましょう。
今回は屋上防水の耐用年数とメンテナンスが必要な劣化症状をご紹介します。
さらに記事の後半では良い工事にするコツや長持ちさせる方法などもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
屋上防水を長持ちさせて家を守っていきましょう。
目次
1章 【種類別】屋上防水の耐用年数と劣化症状
屋上防水の種類別の耐用年数とメンテナンスが必要な劣化の症状をご紹介します。
耐用年数を知っておくことで、メンテナンスのおおよその時期が分かり、防水がダメになってしまう前にメンテナンスをすることが出来ます。
ご自宅の防水の耐用年数をみて、耐用年数が過ぎていないか確認してみましょう。
ただ耐用年数はあくまでも目安になります。
年数を過ぎていなくても劣化が進んでいれば早めのメンテナンスが必要になりますので、どんな劣化がメンテナンスの合図になるのかも把握しておきましょう。
1-1 種類別の耐用年数と特徴
種類別の耐用年数をご紹介します。
まず屋上防水で用いられる防水の種類は主に3つあります。
- ①ウレタン防水
- ②シート防水
- ③アスファルト防水
です。
各種類の耐用年数が以下の通りです。
防水の種類 | 耐用年数 |
ウレタン防水 | 8~10年 |
シート防水 | 10~15年 |
アスファルト防水 | 15~25 年 |
また種類によってメリット・デメリット、おすすめの施工場所も異なります。
メンテナンスの際にご自宅の条件に合った種類が選べるように、各防水の特徴をご紹介します。
①ウレタン防水
ウレタン防水は、防水材を塗っていく塗膜防水と言われる防水です。
施工は塗っていく作業なので複雑な形でも施工が可能です。
屋上の場合は、雨が直接当たり、完全に床面を乾燥させることが難しいため、「通気(つうき)緩衝(かんしょう)工法」という通気性の良い工法で行います。
ウレタン防水 | |
耐用年数 | 8~10年 |
メリット | ・どんな下地でも対応可能。 ・形状が複雑なベランダにも対応可能 ・短期間で安価に施工ができる ・雨漏りした屋上にも施工できる |
デメリット | ・塗っていく作業なので職人によって仕上がりに差が出る ・トップコートの塗り直しが定期的に必要 |
単価 | 5,000~8,000円/㎡ |
工期 | 5~7日 |
おすすめの施工環境 | 基本的にはどんな環境でも施工可。 室外機が多い屋上はウレタン防水がおすすめ。 |
※タイル・室外機の脱着がある場合や、施工箇所の形状・劣化状況により、価格は変動します。
※上記は施工費のみの単価です。工事の際は洗浄費や管理費、廃材処分費、その他諸経費、足場代などがかかります。
②シート防水
出典:ロンシール工業株式会社
シート防水は、工場で生産された防水シートを切って貼っていく防水です。
シート自体が工場で生産されたものなので、均一な防水層が施工可能です。
耐久性や強度が高く、施工後に太陽光発電やプランターを置きたい方におすすめです。
シート防水 | |
耐用年数 | 10~15年 |
メリット | ・紫外線に強い ・耐候性が強いので衝撃や歩行にも耐えられる。 ・トップコートがいらない場合が多い |
デメリット | ・凹凸のある床面には施工できない ・接合部分の施工が難しいので業者選びに注意が必要 ・寿命が来るとひび割れが起きる ・施工の際に騒音や揺れが起きるので近隣への配慮が必要 |
単価 | 4,000~8,000円/㎡ |
工期 | 2~4日 |
おすすめの施工環境 | 障害物がない屋上。 太陽光発電などを設置する前の屋上。 (形が複雑だったり、物が多い屋上には不向き) |
※タイル・室外機の脱着がある場合や、施工箇所の形状・劣化状況により、価格は変動します。
※上記は施工費のみの単価です。工事の際は洗浄費や管理費、廃材処分費、その他諸経費、足場代などがかかります。
③アスファルト防水
出典:田島ルーフィング株式会社
アスファルト防水は、液状のアスファルトとシート状のアスファルトを重ねて厚い防水層をつくっていく防水です。
工法は主に3つあり、昔ながらの「熱工法」と、最近主流になってきた「常温工法」「トーチ工法」です。
「常温工法」と「トーチ工法」で行うと、熱やにおいの発生をおさえることが出来ます。
アスファルト防水 | |
耐用年数 | 15~20年 |
メリット | ・耐用年数が長い ・防水膜が厚い ・古くからの防水の種類なので信頼性が高い |
デメリット | ・施工に手間がかかる ・工法によってはにおいが発生するので近隣への配慮が必要 |
単価 | 5,500~8,500円/㎡ |
工期 | 6~7日 |
おすすめの施工環境 | 障害物の少ない屋上。 木造建築には不向き。 |
※単価相場は、屋上の状態や細かな作業工程、使う材料によって上下します。
1-2 メンテナンスが必要な症状
メンテナンスが必要な劣化症状をご紹介します。
劣化を放っておくと最終的に雨漏りしてしまって修繕に手間やコストがかかってしまいます。
そうならないためにも耐用年数が過ぎる前に点検して、劣化が見られたら早めにメンテナンスを行ないましょう。
ひび割れ
防水にひび割れが発生している場合は劣化しています。
ひび割れを放っておくと劣化が進んで雨が侵入してしまいますので、早めにメンテナンスを行ないましょう。
膨れ・剥がれ
防水の表面が膨れてきたり剥がれてきた場合も早めのメンテナンスが必要になります。
放っておくとさらに劣化が進んで水が侵入してしまいます。
雨漏りする前にメンテナンスを行ないましょう。
雨漏り
防水が原因で雨漏りが発生している場合は、すぐにメンテナンスを行ないましょう。
雨漏りが発生したまま放っておくと雨漏りがひどくなるのはもちろん、建物内部まで腐ってしまいます。
内部の劣化が進むと屋上防水だけでは済まなくなり、内部の修繕が必要になるので費用が余分にかかってしまう場合があります。
少しの雨漏りでも放っておかずにメンテナンスを行ないましょう。
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2章 屋上防水を長持ちさせる方法
屋上防水を長持ちさせるメンテナンス方法をご紹介します。
防水工事をしたからといって長い間放っておくと、知らない間にひび割れなどの表面劣化や雨漏りを引き起こしてしまう恐れもあります。
そういったことを防ぐためにも、定期的にメンテナンスを行ない防水を長持ちさせていきましょう。
2-1 3か月に1度の“ドレン”の清掃
3か月に1度、ドレンという排水溝の掃除を行ないましょう。
ドレンが詰まってしまうと雨水がたまってしまい、防水の劣化が早まります。
また、正常なところから水が外に流れていかず、防水層のつなぎ目などの弱いところから雨漏りしてしまう可能性もあります。
特に家の近くに木々がある方や、屋上で植物を育てている方は、落ちた葉がドレンに詰まっていないか定期的に確認し掃除しましょう。
2-2 5年に一度のトップコート施工
5年に1度、トップコートのみ施工しましょう。
トップコートとは防水層を守るコーティングのようなものです。
トップコートは紫外線によって劣化してしまうので、定期的に塗り替えることで中の防水層を守ることが出来ます。
定期的なトップコートでコストをおさえて防水を長持ちさせていきましょう。
3章 屋上防水の費用相場【見積例付】
防水の種類 | 費用相場 |
ウレタン防水 | 70~100万 |
シート防水 | 80~100万 |
アスファルト防水 | 70~100万 |
※30坪80㎡の場合の概算です。詳細は仕様、形状や下地処理によって変動します。
種類ごとの屋上防水の費用相場をご紹介します。
費用相場を知っておくと、メンテナンスに向けての予算を組むことができます。
また種類によって作業の流れや必要な工程も変わってきますので、実際に工事をする際は工事内容なども把握しておきましょう。
3-1 ウレタン防水
屋上のウレタン防水の費用相場は70~100万円です。(30坪80㎡の場合の概算)
ウレタン防水は屋上などの広い面を施工する場合、施工後不具合を防ぐために「通気緩衝工法」で行います。
■見積例(ウレタン防水 通気緩衝工法)
3-2 シート防水
出典:ロンシール工業株式会社
シート防水の費用相場は80~100万円です。(30坪80㎡の場合の概算)
シート防水は「接着工法」と「機械固定法」という工法がありますが、下地の影響を受けず工期が短縮できる「機械固定法」が採用されることが多いです。
■見積例(塩ビシート防水 機械固定法)
3-3 アスファルト防水
出典:田島ルーフィング株式会社
アスファルト防水の費用相場は70~100万円です。(30坪80㎡の場合の概算)
工法は「熱工法」「常温工法」「トーチ工法」があり、状況や業者によってどの工法になるかは変わってきます。
煙やにおいの発生が気になる方には「常温工法」か「トーチ工法」がおすすめです。
■見積例(アスファルト防水 トーチ工法)
足場仮設が必要になる場合もある
屋上に入れない、はしごが届かないなどの立地や建物の状況によっては足場仮設が必要になります。
足場仮設が必要かどうかは契約前に業者に確認しておきましょう。
足場仮設相場800~1,000/㎡
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4章 良い工事にする3つのコツ
屋上防水をより良い工事にするためにするべきことを3つご紹介します。
防水工事は住宅でいう屋根と同等の家を守る大切な場所ですので、工事中や工事後にトラブルがあったら心配ですよね。
長く家を守ってもらうためにも良い工事にしていきましょう。
4-1 近隣への配慮をしてくれる業者を選ぶ
工事中に近隣への配慮をきちんとしてくれる業者を選びましょう。
防水する物件がアパートやマンションなどの場合は、そこにお住まいの方へも配慮が必要です。
なぜなら屋上防水は工事中に作業音がする場合があるからです。
また、高圧洗浄で洗濯物や近隣の車に水が飛んでいかないように事前の連絡も必要になります。
そういった近隣の方への配慮をきちんとしてくれるのか契約する前に確認しておくと安心です。
↑工事のお知らせと粗品の例
4-2 防水専門の知識・経験を持った職人が在籍している業者を選ぶ
屋上防水は防水専門の知識を持った職人に行ってもらいましょう。
なぜなら、職人の腕で品質が変わるからです。
知識や経験がないと品質の落ちた仕上がりになってしまう可能性があります。
例えば、大工や塗装職人は、防水とは全く別の技術になるため、専門知識があるとは言えません。
工事に入る職人が防水専門の知識・経験があるか、必ず確認しておきましょう。
4-3 工事中は各工程の作業内容の報告をもらう
工事中は各工程の作業内容の報告をもらっておきましょう。
防水の工事中は、屋上内に立ち入ることが出来ない場合が多いです。
防水の業者の中には悪徳業者もいて、工期を短くするために作業を省かれてしまう場合もあります。
そういったことがないように、工程ごとに写真や報告をもらっておきましょう。
まとめ
いかがでしたか。
屋上防水の耐用年数は、防水の種類によって異なりますがおおよそ10~15年ほどです。
しかし耐用年数はあくまでも目安なので、劣化を見逃さず放っておかないことが大切です。
また、ドレンの掃除やトップコートを塗ることで、防水を長持ちさせることもできますので
定期的なメンテナンスをして、防水を長持ちさせていきましょう。
最後までご覧くださり、ありがとうございました。
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