洗濯物を干すときにふとベランダの床が気になったあなた。
「この家も建てて10年を過ぎたけど、ベランダ防水もメンテナンスが必要?」
「ベランダ防水のメンテナンスにはいくらかかるの?」
と気になって調べているのではないでしょうか。
そもそもベランダ防水とは、ベランダから雨漏りしないように防水が施されている部分のことです。
下地のコンクリートの上に防水材を施工し、最後にトップコートをします。
ただし、長い年月、紫外線や雨風にさらされているため、どうしても劣化はしてしまいます。
そのため、適切な時期にメンテナンスすることが大切です。
そこでこの記事では、ベランダ防水のメンテナンス時期や劣化症状について解説していきます。
また、防水施工にも種類があることをご存知でしょうか。
本記事ではベランダに用いられることが多い3つの防水について、特徴や費用相場など比較してご紹介します。
ご自宅に合う種類を見極めていきましょう!
さらに、ベランダ防水を失敗しないための重要なポイントも解説します。
初めてメンテナンスを行なう方はぜひ目を通してみて下さいね。
記事の後半では、よくあるQ&Aやベランダ防水のお手入れ方法ご紹介。
この記事を読んで、ベランダ防水についての知識を網羅し、適切なメンテナンスを行なっていきましょう。
目次
1章 ベランダ防水のメンテナンス時期
まずはベランダ防水のメンテナンス時期について解説します。
時期を逃してしまうと、最悪の場合、雨漏りが発生し高額な修繕費用がかかってしまいます。
無駄な出費を抑えてメンテナンスをするためにも、目安時期・劣化症状を把握しておきましょう。
1-1 目安時期は10~12年
メンテナンス(再防水施工)の目安となる時期は建ててから10~12年です。
ベランダは太陽の紫外線や、雨風に当たることで、徐々に劣化してしまいます。
さらに、洗濯物を干すために立ち入ることが多いとベランダの床が歪んでしまう場合もあります。
築10~12年を過ぎたら、リフォーム業者や防水施工業者に点検してもらいましょう。
1-2 具体的な劣化症状
メンテナンスの目安時期は築10~12年ですが、立地などによってはより早くメンテナンス時期がくることもあります。
メンテナンス時期のサインとなる具体的な劣化症状も把握しておきましょう。
色あせ
長年紫外線に当たることにより、表面が色あせていきます。
防水層が劣化してきているのでメンテナンスを行ないましょう。
ひび割れ
表面がひび割れてきたら防水が劣化してきています。
すぐに雨漏りする事はないですが、点検・メンテナンスを行なうことをおすすめします。
剥がれ
防水が剥がれてきている場合は、早めのメンテナンスが必要です。
放っておくと、防水層の内部まで水が浸入し、雨漏りしてしまう恐れがあります。
雨漏り(末期症状)
ベランダの裏や下の階の天井から雨漏りしてしまっている場合は、防水が劣化してしまっている可能性が高いです。
これ以上被害が広がらないように早急に防水工事を行ないましょう。
ただし、雨漏り被害までいくと防水のメンテナンスだけでなく、大工工事が必要になるので修繕費用も高くなります。
2章 ベランダ防水の3種類と費用相場
ベランダ防水には主に3つの種類があります。
各種の特徴や費用相場などを見て、ご自宅に合う種類を選んでいきましょう。
2-1 ウレタン防水=4,000円~/㎡
費用相場 | 4,000~7,000円/㎡ |
耐用年数 | 10~12年 |
メリット | ・液状の防水材を施工するので、複雑な形のベランダにも施工できる。 |
デメリット | ・職人の腕によって仕上がりに差が出る。 |
工期 | 2~5日 |
こんな人・家に おすすめ | ・複雑な形や丸みのあるベランダ ・一般的な戸建て住宅 |
ベランダ防水のメンテナンスで最も用いられるのが、「ウレタン防水」という種類です。
ウレタン防水は液状の防水材をローラーで塗っていく防水方法です。
液状なので、複雑な形や凹凸のあるベランダでも隅々まで防水施工をすることが出来ます。
ただし、手作業で防水層を重ねていくので、職人によってはムラのある仕上がりになってしまう可能性があります。
依頼する際は、資格や実績のある職人が在籍している業者に依頼しましょう。
2-2 FRP防水=5,000円~/㎡
出典:トータルプロテクト
費用相場 | 5,000~7,000円/㎡ |
耐用年数 | 10~12年 |
メリット | ・強度があるので、上に物を置いても耐えられる。 ・工期が短い |
デメリット | ・伸縮性がないのでひび割れやすい |
工期 | 1~3日 |
こんな人・家に おすすめ | ・工期を短くしたい人 ・ベランダにインテリアや植木を置きたい人 ・ベランダでバーベキューなどをしたい人 |
新築時に施工されていることが多いのが「FRP防水」です。
FRPとは、繊維強化プラスチック(Fiberglass Reinforced Plastics) の略称で、強度が強くて耐久性に優れています。
そのため、ベランダに植木を置きたい方やバーベキューをしたい方におすすめです。
ただし強度がある分、伸縮性があまりないのでひび割れは起きやすいです。
ひび割れが大きくなる前に再度メンテナンスを行ないましょう。
2-3 シート防水=5,000円~/㎡
出典:株式会社明和
費用相場 | 5,000~8,000円/㎡ |
耐用年数 | 10~15年 |
メリット | ・紫外線強い。 ・耐候性が高く衝撃や歩行に耐えられる |
デメリット | ・凹凸のある床には施工できない。 ・施工の際に騒音がする。 |
工期 | 2~5日 |
こんな 人・家におすすめ | ・四角い形のベランダ ・広めのベランダ |
「シート防水」とは、シート状の防水材を敷いていく防水方法です。
工場で造られる防水シートを使うので、安定した品質が期待できます。
耐候性も高いので、マンションの廊下など人がよく歩く場所にも用いられます。
ただし、シート状なので、凹凸のある面や複雑な形のベランダには施工できません。
>ベランダ防水の各種の特徴をより詳しく知りたい方はこちら
3章 失敗しないベランダ防水の3つのポイント
この章ではベランダ防水を失敗しないための注意点を3つご紹介します。
メンテナンス後のトラブルをなくすためにも、目を通しておきましょう。
3-1 症状に合った工法で行う
ベランダ防水は症状に合った工法で行ないましょう。
ベランダ防水には3つの種類がありますが、どの種類の中にも2つの工法があります。
それが「密着工法」と「通気緩衝工法(絶縁工法)」です。
ベランダくらいの狭い場所であれば、「密着工法」で施工されることがほとんどです。
しかし雨漏りをしている場合や広いベランダを施工する場合は「通気緩衝工法」で行う必要があります。
なぜなら、雨漏りをしている場合に密着工法で防水を行なうと、内部の湿気が逃げ場を失い、膨れが起きてしまうからです。
▼防水後の膨れ
通気緩衝工法(絶縁工法)の方が、施工に手間も材料もかかるので費用は高くなります。
ただ、雨漏りの恐れがある場合は、密着工法ではなく通気緩衝工法で行ないましょう。
広めのベランダの場合は、ベランダに降り注いだ雨水を完全に乾かしきって施工するのが難しいため通気緩衝工法で行うことが多いです。
雨漏りしていなくても、業者に相談して最適な工法でメンテナンスを行なっていきましょう。
3-2 工事中の写真を撮ってもらう
ベランダ防水工事では、作業中の写真を撮っておいてもらいましょう。
特にウレタン防水やFRP防水は防水層を重ねて仕上げていきますが、一番最後のトップコートをしてしまうと、その前の層がどんな状態であっても確認することが出来ません。
つまり、防水層を塗っていなくてもトップコートを塗ってしまえば手抜きに気付かない、ということです。
業者の中には手を抜いてしまう悪徳業者も存在しますので、適当な作業を防止するためにも工事中の作業写真を撮ってもらうことをおすすめします。
3-2 実績がある業者に依頼する
ベランダ防水は実績のある業者に依頼しましょう。
防水工事は、資格や実績がなくても出来てしまう工事です。
そのため、業者に悪気がなくても知識や実績がなく間違った施工をされてしまう恐れもあります。
適切で高品質な作業をしてもらうためにも、防水工事の資格や実績を持った業者に依頼することが重要です。
4章 ベランダ防水のよくあるQ&A
ベランダ防水工事のよくあるQ&Aをまとめました。
初めてのメンテナンスを控えている方は特に、細かいことも気になるかと思います。
メンテナンス前にチェックして疑問を解消していきましょう。
4-1 ベランダ防水に足場は必要?
一戸建て住宅の場合、ベランダは2階周りにあることが多いので、足場を立てなくても梯子をかけて作業をすることが出来ます。
ただし、3階以上にベランダがある場合や隣のお家との距離が近くて梯子で登れないなどの場合は、足場が必要です。
お家の中を通ってベランダ防水作業をしてもらう方法もありますが、作業の間、家に居なければいけないですし、材料などでお家の中が汚れてしまう可能性も有ります。
そのため、ベランダに梯子で登れないお家の場合は、足場を立てる塗装工事などと同じタイミングで行なうことをおすすめします。
4-2 ベランダ防水はDIYでできるの?
A、材料を揃えればDIYでも施工できますが、仕上がりが悪くなってしまう可能性が高いです。
防水工事は資格がなくても材料さえあれば、行なえる工事です。
しかし、専門的な知識や技術がない方が行うと、ムラが出来てしまったり、あとで不具合が起きてしまう可能性は高くなります。
長持ちさせたいのであれば、プロに依頼するのがおすすめです。
>自分でベランダ防水を行ないならウレタン防水がおすすめです。こちらの記事をご覧ください。
4-3 ベランダ防水に火災保険は使える?
A、風災(台風・雪害・雹害)などによる劣化と認められれば保険が下りることもありますが、ほとんどの場合、経年劣化なので保険が下りることは少ないです。
ベランダ防水は日々の紫外線や雨風・歩行による衝撃などによって経年劣化をするものです。そのため、いざメンテナンスをしようという時に火災保険が使えることはほぼありません。
ただし、風災(台風・雪害・雹害など)でベランダ防水が傷ついてしまった、雨漏りしてしまった場合は保険が下りる可能性があります。
もし被害に遭ったのであれば、ご加入の保険会社に連絡してみましょう。
>火災保険の申請条件や流れについてはこちらの記事をご覧ください。
5章 ベランダ防水を長持ちさせるお手入れ方法
ベランダ防水後のお手入れ方法を解説していきます。
日々のお手入れ次第で、ベランダを長持ちさせる事ができますので、実践していきましょう。
5-1 3か月に1回のドレンの掃除
3か月に1回は、ドレン(排水溝)の掃除を行ないましょう。
ドレンはベランダに降り注いだ雨水が集まって流れていく場所なので、汚れも溜まりやすいです。
ドレンに汚れが詰まって水が排水されなくなると、水が正しく流れずに防水層の劣化が進んでしまったり、雨漏りの原因になる場合もあります。
定期的に掃除して、排水環境を整えましょう。
5-2 5年に1回のトップコート施工
5年に1回のペースでトップコートのみ施工しましょう。
ベランダ防水自体は10年程度の耐久性がありますが、一番上に施工されるトップコートは数年で劣化してしまいます。
そのため定期的にトップコートのみを施工することで、メンテナンス費用をおさえることが出来ます。
お得に綺麗に長持ちさせていきましょう。
>トップコートを施工するタイミングや費用相場が知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
まとめ
いかがでしたか。
最後にこの記事をまとめます。
【1章まとめ】
ベランダ防水は、紫外線や雨風によって経年劣化してしまう場所なので築10~12年程度でメンテナンスが必要です。
色あせやひび割れ・剥がれなどの劣化が見つかったら早めにメンテナンスを行ないましょう。
【2章まとめ】
ベランダに用いられる種類は主に以下の3つです。
それぞれメリット・デメリットや向き不向きがあるので、ご自宅の状況や要望に合わせて選んでいきましょう。
【3章まとめ】
ベランダ防水を失敗しないためにおさえておきたいポイントは以下の3点です。
・症状に合った工法で行う
・工事中の写真を撮ってもらう
・実績がある業者に依頼する
【4章まとめ】
ベランダ防水に関するよくあるQ&Aは以下の通りです。
①ベランダ防水に足場は必要?
⇒基本的には不要
②ベランダ防水はDIYでできるの?
⇒出来るが仕上がりにムラが出る恐れがある。
③ベランダ防水に火災保険は使える?
⇒ほとんどの場合使えない。
【5章まとめ】
ベランダ防水のお手入れ方法には2つあります。
・3か月に1回のドレンの掃除
・5年に1回のトップコート施工
適切なメンテナンスでベランダ防水を長持ちさせていきましょう!
最後までご覧くださり、ありがとうございました。
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