うちもシロアリ消毒をやったほうがいいかな…と思うけど、費用とか時期とか具体的にはどうなんだろう?
と、不明点が多く検索している方も多いのではないでしょうか。
シロアリ消毒工事とは、床下に薬剤を散布してシロアリの発生を予防するものです。
シロアリは木材を食べて大切なお家を弱体化させてしまう恐ろしい害虫ですので、定期的な予防は非常に重要です。
この記事では、シロアリ消毒工事の費用相場や必要な頻度、実際の作業の流れを解説していきます。
また後半では、薬品の安全性や工事の注意点、業者の選び方も紹介します。
シロアリ消毒で適切な予防ができるように、ぜひ最後までお読みくださいね。
★予防と駆除の違い シロアリ「予防」とは、シロアリの発生を未然に防ぐためのものです。 一方、シロアリ「駆除」は、発生してしまったシロアリの対処を行います。 本記事では、シロアリ消毒工事は「予防」工事として扱います。
実は、消毒に使う薬剤自体は予防と駆除兼用のものが多いです。しかし駆除の場合は発生箇所を特定して集中的に対処したり、確実に駆除するための技術が必要だったり、状況に応じて消毒以外の工法を使ったりもします。 薬剤は同じでも目的が違うなら別の工事と考えましょう。今回のあなたの目的は「予防」か「駆除」か、再度ご確認ください。 |
目次
1章 シロアリ消毒工事の費用相場
シロアリ消毒工事の費用相場 | |
1㎡ | 1,800~3,000円 |
1坪(3.3㎡) | 6,000~10,000円 |
※一般的な木造住宅の床下施工を想定
シロアリ消毒工事は、1坪あたり6,000~10,000円が相場です。
会社によって1㎡を単価にしているか、1坪を単価にしているかは異なります。
また、地元の中小企業、大手企業・JA(農協)など、業者の規模が違うため、相場にも幅が出ています。
大手やJAは広告宣伝費や紹介手数料の分、費用が高くなることが多いです。
ただ、会社によってはお家の構造や大きさによる変動や、作業員の交通費等が別途発生する場合もあります。
実際に工事を依頼するときには、単価だけでなく全体でかかる費用をきちんと確認しておきましょう。
2章 消毒は5年毎がベスト!
シロアリ消毒は5年毎に行うのがベストです。
なぜなら、消毒で散布する薬剤の効果は5年程度で切れてしまうからです。
これは、5年を過ぎたらすぐにシロアリが寄ってきてしまうというわけではありません。あくまで薬剤の効力が切れる目安ということです。
ただそれでも、消毒によるシロアリ予防(シロアリを発生させない)は、お家にとって最重要です。
シロアリは湿った木材を好み、飛んできて食い荒らします。
建物の場合、ほとんどが湿気の溜まりやすい床下に発生するため、家を支える重要な部分の木材が食べられてスカスカにされてしまいます。
シロアリ被害が出てしまうと、木材の補修交換や耐震補強工事など、高額な出費になる危険があります。
そして万が一シロアリ被害の拡大に気付かずにいると、最悪の場合は建物が倒壊します。
阪神淡路大震災の時に揺れで倒壊した家を調査したところ、大半がシロアリ被害のあった家でした。
■シロアリ被害による家の倒壊を報じる新聞記事
(1995/4/26 朝日新聞夕刊)
せっかく建てたお家がシロアリ被害で大規模リフォーム・建て替えとなっては、あまりにも辛いですよね。
5年おきのシロアリ消毒による予防は、こうした被害を未然に防ぐために非常に重要です。
ぜひ定期的な消毒工事を行ってください。
3章 薬品の安全性から現在の保証は5年
シロアリ消毒工事についている保証は一般的には5年保証です。
昔は10年保証のところが多かったのですが、今はほとんどありません。
なぜなら、使用する薬剤に制限が出たからです。
かつては10年保証ができるくらいの強い薬剤を使っていたのですが、人体や環境に悪影響が大きい劇薬ということで、禁止されました。
現在使えるシロアリ用薬剤の効果は最長で5年です。
ですので、どの業者に頼んでも薬剤の強さは基本的に変わらず、保証も5年のところがほとんどです。
また、保証内容は業者によって異なります。
一般的なのは、
・期間内にシロアリが発生した場合、無料で駆除・再消毒してくれる
というものです。
そして業者によっては、
・シロアリ被害に遭った部分の修繕費を賠償してくれる(上限〇〇万円)
という損害賠償付きの保証のところもあります。
この上限金額も300万円~1,000万円など業者によって異なりますので、保証内容については事前に確認しておきましょう。
稀に10年保証をうたうところもありますが、その会社独自のサービスですので、保証内容もまた異なっている可能性が高いです。
保証は年数だけで判断せず、内容をきちんと聞いておきましょう。
4章 約3時間で終了:施工の流れ
シロアリ消毒工事は、一般的な戸建て木造住宅なら3~4時間(半日)で完了します。
※1階床15~20坪程度を想定
広いお家や、床下が動きにくい複雑な構造だった場合はもう少し時間がかかります。
基本的には床下や屋外で作業するので、工事中も日常生活に支障はありません。
薬剤も安全性の高い物ですので、どうしても薬物に敏感で心配だという方は換気をしたり二階にいるようにする程度で問題ないでしょう。
【実際の工事の流れ】
①床下点検口から中へ入ります
※キッチンや洗面所にある床下収納がそのまま点検口になっていることが多いです。
②木部に薬剤散布・注入を行います
③土壌・基礎コンクリートにも薬剤散布します
④玄関・お風呂周りなどで床下に入れない場所は、タイルや外壁から薬剤を注入します
※3~5mm程度の小さな穴が開くので、終了後にパテやモルタルできちんと埋めます。
⑤必要に応じて、基礎の外回りやお庭の木材なども薬剤を散布します
⑥片付け、清掃をし終了!
使用した道具、機材を片付けて清掃し、施主様に報告をしたら完了です!
5章 シロアリ消毒する際の注意点
お家をシロアリから守るために必須の消毒工事ですが、いくつか注意点もあります。
スムーズに工事をすすめるために必須の3点をご紹介しますので、検討の前には必ずご確認ください。
5-1 床下点検口が必要
シロアリ消毒は基本的に床下に入って行います。
そのため、床下に入る入口が必要です。
キッチンや洗面所などに床下収納があるお家の場合は、その収納ボックスを外すとそのまま点検口になっているパターンがほとんどですので、心配はありません。
また、和室の畳と床板を外すことで床下に入れるお家も多いです。
ただし、このどちらも無い(床下収納がなく、畳の床板も外せない構造など)場合は、新たに点検口を作る必要があります。
床下点検口の新設は25,000~50,000円ほどかかります。
※床材や収納ボックスの有無、サイズ等により変動
もしも床下に入る方法が無かった場合は、点検口の新設も追加で必要ですのでご注意ください。
5-2 一部を外壁から注入する際には3~5㎜程度の穴をあける
玄関やお風呂などは、床下が塞がれていて薬剤を散布できない場合が多くあります。
こういった場所は床タイルや付近の外壁に小さな穴をあけて内部に薬剤を注入します。
「家に穴をあけて大丈夫なの?」と心配されるかもしれませんが、穴は3~5mm程度のごく小さなものです。
消毒後はモルタルやパテで埋めて目立たなくなりますので、ご安心ください。
★消毒は塗装前に行うと、跡がより目立たなくできる
年数的にわかりやすいため、10年前後で外壁塗装するとき一緒にシロアリ消毒をする方も多くいます。
そのときは、シロアリ消毒→塗装という順番でやると、注入時の跡がより一層目立たなくなるのでおすすめです。
■外壁から注入しても…
■そのあと塗装すれば跡が全く気にならない!
5-3 すでにシロアリ被害が発生していた場合は別途工事になる
シロアリ消毒工事は、基本的には「予防」の工事です。
もし既にシロアリが発生していてなんとかしたい…という場合は、「駆除」工事を依頼しましょう。
状況によっては、消毒以外の方法(餌設置型の殺虫剤など)で駆除した方が良い場合もあります。
また、既に木材などに被害が出ているなら、その修繕には別途費用がかかります。
現状のシロアリをまずしっかり駆除したうえで予防しないと意味がありません。
シロアリが発生していないかどうか、業者には必ず事前点検をしてもらいましょう。
6章 シロアリ消毒業者を選ぶポイント
シロアリ消毒を行ってくれる業者は数多くあり、企業規模も様々です。
その中で、単に“消毒してくれる”のではなく、“今後長く安心して住めるお家にする”ための工事をしてくれるのが、信頼できる業者です。
そんな良い業者を選ぶポイントを3つ紹介します。ぜひチェックしてみてくださいね。
6-1 点検・施工時に写真を撮ってくれる
事前点検や消毒工事の際に、写真を撮って渡してくれる業者がおすすめです。
床下はご自身ではなかなか見ることができない場所だからです。
業者の中には、「このままじゃまずいですよ!」とありもしない被害を語って不安を煽り、不要な契約を迫る悪徳業者も存在します。
写真があれば、
「ご覧の通り床下にシロアリは発生していませんでした。予防のための消毒工事だけで大丈夫です」等と適切な提案や説明をしてもらうことができます。
工事中の様子もあれば、きちんと施工されているかわかって安心です。
ぜひ写真を撮って丁寧に説明してくれる業者を選びましょう。
6-2 水漏れなども合わせて点検してくれる
床下に入る際は、シロアリだけでなく、水漏れなどが起こっていないかも一緒に点検してもらいましょう。
シロアリは湿った木材を好むので、水漏れを起こした配管周りなどに発生することも多いです。
それをきちんと分かっている専門業者なら、床下の配管などもチェックしてくれますので、今後のためにも報告してもらいましょう。
■排水管
■お風呂やトイレ付近は特に要チェック
6-3 最大のシロアリ対策として“外壁塗装”も提案してくれる
ここまでシロアリ予防のための消毒工事について解説してきましたが、実は他にも効果的な予防方法があります。
それは「外壁塗装」です。
シロアリは湿った木が好物ですが、逆に乾燥している木には全く寄ってきません。
つまり、「木を湿らせない=家の内部に水入れない」のが、最大のシロアリ対策です。
外壁塗装は、外壁に防水性を持たせて水の侵入を防ぐ役割を持っています。
適切な時期に塗装をすることでお家の木材を水から守ることができ、結果的にシロアリを予防できるのです。
このことを理解している業者なら、お家の築年数や外壁の状態から塗装の提案をしてくれます。
また反対に、塗装業者がシロアリ消毒もやっているという会社もあります。
このようにシロアリと塗装両方を提案できる業者は、どちらがメイン事業だったとしても、「お家を長く守る」ことを目的に仕事をしていると言えるでしょう。
大切なお家を守るためには是非、外壁塗装も提案できる業者や塗装会社でシロアリ消毒もできる業者に依頼しましょう。
↓外壁塗装の費用相場や見積もりのポイントはこちら
まとめ
シロアリ消毒工事とは、薬剤を散布してシロアリの発生を予防する工事です。
費用相場は以下の通りです。
シロアリ消毒工事の費用相場 | |
1㎡ | 1,800~3,000円 |
1坪(3.3㎡) | 6,000~10,000円 |
万が一に備える予防工事ですので、5年おきにするのがベストです。
保証も5年のところがほとんどです。保証内容は業者によって異なるので確認しましょう。
当日の作業は、一般的な木造住宅15~20坪なら、3~4時間ほどで終了します。
工事前に知っておいてほしい注意点は、
- ・床下点検口が必要
- ・一部を外壁から注入する際には3~5㎜程度の穴が開く
- ・すでにシロアリが発生していた場合は別途工事になる
の3つです。
業者を選ぶ際は、“お家を長く守る”ために、
- ・施工時に写真を撮ってくれる
- ・水漏れなども合わせて点検してくれる
- ・トータルのシロアリ対策として“外壁塗装”も提案してくれる
という点をチェックして業者を選ぶと安心です。
シロアリ消毒は、貴方にとって人生・財産とも言えるお家を末長く守るための工事です。
本記事の内容が大切なお家のためにお役立てれば幸いです。
お読みいただきありがとうございました。
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