
「外壁塗装の詐欺って本当にあるの?」
「うちに来た営業マンは信じていいの?」
「高齢の親が騙されないか心配……」
こんな不安を感じていませんか。
実際、リフォーム工事や点検商法に関する国民生活センターへの相談件数は増加傾向にあります。
たとえば点検商法の相談は、2023年には12,550件だったのが、2024年には19,215件にまで上っています。
年度 | 2022 | 2023 | 2024 |
相談件数 | 8,166 | 12,550 | 19,215 |
出典:https://www.kokusen.go.jp/soudan_topics/data/reformtenken.html
これは、消費者の警戒心が高まっている一方で、詐欺の手口がますます巧妙化していることの表れでもあります。
しかし、よくある手口を知っていれば、実際に業者が訪ねてきてもすぐに「怪しい」と見抜くことができます。
この記事では、外壁塗装の詐欺によくある手口と被害に遭ってしまった場合の相談先、対策と安心できる業者の見極め方まで分かりやすく解説します。
読み終えていただければセールストークに惑わされることなく、自分や大切な人を詐欺から守れるようになりますよ。
1章 外壁塗装の詐欺によくある5つの手口
外壁塗装の詐欺にはいくつかパターンがあります。
「点検商法」「モニター商法」といった言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
ここでは実際に起こっている詐欺の5つの手口をご紹介します。
ご自宅に来た業者に当てはまる特徴がないか、しっかりチェックしましょう。
1-1 「すぐ工事が必要だ」と業者が不安を煽る
「すぐに工事しないと大変なことになりますよ」などと、業者が不安を煽ってくる場合は要注意です。
たしかに外壁の劣化は放置するとお家を傷める原因になりますが、「今すぐ工事が必要」というほど緊急性が高いことはほとんどないからです。
実際には外壁の点検や修繕は計画的に進めればよく、慌てて契約する必要はありません。
また、「近所で工事をしているので挨拶に来ました」「作業中にたまたまお宅の外壁が傷んでいるのが見えました」と親切を装って声をかけてくる業者もいます。
しかし、実際は親切を入口にして警戒心を解き、その後で不安を煽って契約を迫るケースも少なくありません。
突然訪問してきて外壁の不具合を指摘してくる時点で、疑ってかかる必要があります。
1-2 ウソの点検写真を見せられる
点検したように見せかけて、実際にはまったく別の家の写真を「あなたのお宅の外壁です」と提示する業者もいます。
外壁の模様や色合いが似た住宅の写真を悪用し、「ひび割れが進んでいます」「このままでは雨漏りします」と契約を迫るのです。
専門知識がない人にとっては見分けにくいため、最も典型的な詐欺手口のひとつといえるでしょう。
1-3 「今なら特別に安くする」と契約を迫られる
「今なら特別に安くしますよ」という甘い言葉で契約を迫るのもありがちな手口です。
一生に何度もしない高額な工事をその場で決めさせようとするなんて、よく考えてみれば怪しいですよね。
簡単に見抜けそうなものですが、いざ勧誘されると冷静さを失って契約してしまう方もいます。
また、「モニター価格」と言って特別感を演出する業者もいますが、これもよく確認してみたら条件が曖昧だったり、高額な元値から割引しているだけだったりすることがあります。
なぜ安くできるのかが分からない、やけに決断を急かしてくるといった場合は詐欺を疑いましょう。
1-4 しつこく居座って根負けさせる
「契約するまで帰れません」などと言って居座り、根負けさせる手口もあります。
最初は少し話を聞くだけのつもりだったのが、1時間以上も粘られてつい契約してしまう方もいます。
特に、一人暮らしの高齢者や「こんなに説明してもらったのに断れない」と感じてしまう優しい人はターゲットにされやすいです。
信頼できる業者であれば迷惑になるほど長時間居座ることはなく、「ご家族とも相談してください」と引き上げるはずです。
長居して断りにくくさせる時点で、怪しいと判断して良いでしょう。
また、「帰ってください」とはっきり言ったにもかかわらず帰らない場合は「不退去罪」に当たりますので警察に通報しましょう。
1-5 安さをウリにして手抜き工事をする
「他社よりも安くできますよ」と料金の安さを前面に出して契約させ、手抜き工事をする業者もいます。
具体的には、塗料を規定より薄めて使ったり、3回塗らなければならない工程を1回で済ませたりするのです。
このような施工は数年で塗装が剥がれたり雨漏りが起きたりといった不具合の原因になります。
きちんとした塗装工事には一定の材料費や人件費がかかるものです。
「なぜそんなに安くできるのか」が不透明な場合は要注意です。
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2章 万が一詐欺に遭ってしまった場合の相談先
万が一詐欺に遭ってしまった場合は、迷わず警察に相談しましょう。
「詐欺かどうか分からないけど不安」という場合は消費者ホットライン(188)に相談してみましょう。
最寄りの市区町村や都道府県の消費生活センター等を案内してくれます。
- ★消費者ホットライン「188(いやや!)」番
また、公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターも、住宅のリフォーム工事に関するトラブルや工事費用等に関する相談を受け付けています。
- ★公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター
- 「住まいるダイヤル」:0570-016-100 / 03-3556-5147
なお、契約して8日以内であればクーリングオフが使える場合もあります。
クーリングオフとは、契約後でも消費者が考え直せるように、訪問販売の場合に無条件で解約できる制度のことです。
しかし、詐欺を働くような悪徳業者の場合、通知書を送っても対応してもらえないなどのトラブルもあり得ます。
困ったときは上記の機関に相談してみましょう。
◆クーリングオフについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
3章 今日からできる!詐欺に遭わないための5つの対策
詐欺の手口を知っていても、いざ業者が訪問してくると冷静に対応するのは難しいものです。
見るからに怪しければ疑えますが、厄介なことに良い人にしか見えない詐欺師も存在します。
そこで、ここでは詐欺に遭わないための対策を5つご紹介します。
しっかり覚えて自分の身を守れるようになりましょう!
3-1 身元不明な業者に依頼しない
まずは身元不明な業者に依頼しないことが第一です。
パンフレットや名刺を渡さない業者はもちろんのこと、会社名を検索しても情報が出てこない、住所がレンタルオフィスの一室などの場合も詐欺を疑いましょう。
詐欺を働く業者は、悪事がバレないように会社名を頻繁に変えたり、すぐ逃げられるようにきちんとした事務所を持たなかったりすることが多いからです。
安心できる業者なら公式サイトに施工事例やお客様の声が掲載されていたり、会社の所在地や代表名も確認できたりします。
それらが見当たらない場合は依頼先の候補から外すのが賢明です。
3-2 点検写真が自宅のものか必ず確認する
点検写真を見せられたら、自分の家のものかしっかり確認しましょう。
実際に外に出て、どの部分か説明してもらうのも有効です。
悪質な業者は似た外壁の写真を使い回して不安を煽るケースがありますが、窓枠や雨樋など、特徴的な部分も一緒に写してもらえば本当に自宅の写真かどうかが分かります。
安心できる業者であれば、最初から外壁のどの位置か分かるように写真を撮り、現場で照らし合わせながら説明してくれるものです。
その場で確認を怠らないことが大きな対策になります。
▼良い点検写真の例 |
3-3 その場で契約せず冷静に考える
業者に勧められるままに契約せず、時間をおいて冷静に考えることも大切です。
話を聞いているうちは必要そうに思えたり、「今契約しないと損だ」と焦らされたりするかもしれませんが、一人になって落ち着いて考え直したらそうでもなかった……というのは日常生活でもよくあることではないでしょうか。
ましてや外壁塗装は数十万円以上かかる高額な工事です。
その場で判断するのは非常に危険です。
たとえ「今日だけの特別価格」と迫られても、必ず業者のいないところで検討しましょう。
断るときは「家族と相談して決めます」「相見積もりを取ってからにします」と伝えるのが効果的です。
誠実な業者なら考える時間を与えてくれますし、逆に強引に契約を迫るようならその時点で疑うべき相手です。
3-4 家族や信頼できる人に相談する
契約を結ぶ前に、家族や信頼できる人に相談するようにしましょう。
営業マンの感じの良さや、その場の雰囲気に流されて冷静な判断を失ってしまうことがあるからです。
第三者に話してみることで自分の考えが整理されるだけでなく、客観的な意見も聞くことができます。
「それって本当に必要?」「提案が不自然じゃない?」と指摘されることで、落ち着いて見直せるのです。
特に高齢のご両親が営業を受けている場合、子ども世代が確認することは非常に有効です。
家族や信頼できる人に「それ、怪しくない?」と言われるような契約話は、危険信号と捉えて間違いありません。
3-5 見積書が大雑把な業者に依頼しない
見積書が大雑把、すなわち「外壁塗装工事一式」のように書いてあり、内訳や工程が見積書から読み取れない業者には依頼しないようにしましょう。
外壁塗装は「足場代」「高圧洗浄」「下塗り・中塗り・上塗り」「養生」など、工程ごとに費用の相場があります。
それにもかかわらず明細がないということは、手抜き工事や費用の水増しができる状態ということです。
一方で、信頼できる業者の見積書には工程ごとの費用や使用する建材・塗料名が細かく記載されています。
見積書の丁寧さは工事の丁寧さにつながっています。
提示された見積書は必ず内容を確認し、不明点は遠慮なく質問するようにしましょう。
外壁塗装に詐欺が多いのは、参入しやすい業界だからです。
始めるための元手も資格もいりません。
お家の劣化は外から見ただけで分かりますし、住民もしばらく見ていれば特定できるので、ターゲットを絞りやすいのです。
また、単価が高いため「稼げる仕事」というイメージを悪用して若者を引き入れ、拡大した集団もいます。
参入のハードルが低い分、業者選びの目を養うことが詐欺被害を防ぐ第一歩です。
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4章 安心安全な業者を見極める5つのポイント
「怪しい業者には気をつけなきゃ」と思っていても、いざ契約を目前にすると「この会社は本当に大丈夫?」と不安になりますよね。
そこでこの章では安心できる業者を見極める5つのポイントをご紹介します。
知っておくだけで業者選びの判断材料になりますので、ぜひ最後までお読みください。
4-1 施工実績やお客様の声を確認できる
安心できる業者を見極めるうえで、施工実績やお客様の声は大きな判断材料になります。
公式サイトやチラシなどで、過去にどのような工事をしてきたのか、どんな評価を受けているのか確認しましょう。
特に、写真付きの施工実績とお客様のコメントが一緒に掲載されている場合は信頼性が高いと言えます。
個人情報でもあるお家の写真やコメントを載せてもいいと言ってくれるのは、満足しているお客様に限られるからです。
逆に実績や口コミが一切見つからない業者は、実体がない可能性もあるため要注意です。
4-2 家全体を丁寧に点検し、写真で説明してくれる
外壁だけでなく、屋根や雨樋、ベランダなども一緒に確認してもらえると、工事の必要性を総合的に判断できます。
外壁塗装では足場を設置するため、屋根や付帯部分に修繕が必要なら同時に工事を行う方が経済的です。
また、写真を提示して「この部分がこう傷んでいるので、こう直しましょう」と説明してくれる業者なら、工事の内容に納得して契約できるでしょう。
逆に「口頭だけで説明する」「見せてくれる写真が不鮮明」などの場合は注意が必要です。
4-3 品質管理の仕組みがある
品質管理の仕組みがある業者は、工事中だけでなく工事後も安心して暮らせます。
たとえば、以下のような仕組みが挙げられます。
ダブルチェック体制
現場監督など職人以外の第三者が足場に登って工程ごとの仕上がりを確認してくれます。
そのため、職人だけでは見落とす恐れのある小さなミスを防ぎ、品質のばらつきを防ぐことができます。
写真による記録
工程ごとに写真を撮って残す仕組みがあれば、省略される心配がなく、工事後に不具合が出ても原因を特定しやすくなります。
このように職人の腕任せにせず、会社一丸となって品質を管理する体制があるかどうかが安心できる業者を見極めるポイントです。
4-4 メーカー保証や自社保証が整っている
メーカー保証や自社保証が整っている業者は信頼性が高いと言えます。
家電などのメーカー保証とは異なり、職人が塗った塗料に対してメーカーが保証を発行するのは簡単ではありません。
規定を守らずに塗ってしまえば塗料本来の性能は発揮されないうえ、工事が終わってから不具合が起これば原因を特定するのは難しくなるからです。
そのため、メーカー保証はメーカーが信頼できると判断した業者にしか発行されません。
また、自社保証は業者が独自に発行するものですが、有償・無償や対象となる範囲は業者によって異なります。
どのような保証がついてくるのかも事前にしっかり確認しましょう。
4-5 担当者・職人の顔や資格が分かる
営業の担当者・職人の顔や資格が分かる業者は安心して任せることができます。
社員の顔写真を公開しているのは「後ろめたいことがない」という証拠です。
誰が工事に関わるのか分かることで、依頼する側も安心感を持てます。
また、外壁塗装の営業や施工自体に必須の資格はありません。
そのため、資格を持っていなくても仕事はできますが、あえて資格を取得している業者は「技術や品質にこだわっている証」と言えます。
つまり、担当者や職人の「顔」と「資格」が確認できる業者は、安心して任せやすいのです。
まとめ
いかがでしたか。
外壁塗装の詐欺の手口には不安を煽る、契約を急かすなどいくつかのパターンがありますが、いずれも業者側にお客様を思いやる気持ちがないことが特徴です。
真にお客様のことを考えている業者であれば、高額な工事を急いで契約させるようなことはしません。
騙されないためには業者の身元・点検写真・見積書といった目に見える判断材料を確認するとともに、一人で決断しないことが重要です。
業者選びについて専門家に相談したい方には、コノイロで毎月開催している「失敗しない塗装講座」もおすすめですよ。
信頼できる業者を見極めて、大切なお家を守っていきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
◆外壁塗装の見積書について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。