思いきって、DIYでお部屋のリフォームをしたい!
内壁の塗装なら自分でもできるかな、どうやってやるんだろう?
と気になった方もいるのではないでしょうか。
従来日本では、室内の壁はクロス・壁紙が一般的でしたが、近年はいろいろな専用塗料も販売され、室内塗装も徐々に広まりつつあります。
何より、自分でDIYできるというのは、とても魅力的でわくわくしますよね。
この記事では、揃える道具からDIY塗装の手順、おすすめの塗料の種類まで、
塗装のプロの知識をもとに、わかりやすく解説していきます。
ただし、きれいに仕上げるにはかなりの手間がかかるということも知っておいてください。
それも分かったうえできちんと進めていけば、DIY塗装はとても楽しい経験になるでしょう。
是非じっくりお読みいただいて、自分の理想のお部屋作りを楽しんでくださいね。
1章 内壁DIY塗装をする前の4つの心構え
DIY塗装をする前に、4つだけ心構えとしてご理解いただきたいことがあります。
ご自身で内壁塗装をするのは、大変だと感じることもある、ということです。
逆に、ここさえ気をつけておけば楽しくお部屋のリフォームができます。
始める前に必ず知っておいてください。
1-1 準備・片付けなど手間がかかる
ご自身で内壁塗装をする際は、塗る以外の作業で非常に手間がかかります。
例えば、
・塗る壁一面からモノを全て遠ざける ・床や家具など汚したくない部分はきちんと養生(ビニールの覆い) ・綺麗に塗るために下地を補修 ・塗装がすべて終わったらまたモノを動かす |
…など、準備にあたる作業がたくさんあります。
モノが多いお部屋の場合は特に準備・片付けが大変だと思います。
大きな家具などがあるときも、おひとりで無理をせず、お友達やご家族に協力いただくことを考えておきましょう。
1-2 費用がやや高い
DIYでの塗装は、クロス張替えよりも材料費が高くなりますのでご注意ください。
6畳間(30㎡)を施工する際の材料費 | |
クロス | 10,000~30,000円 |
室内塗装 | 15,000~50,000円 |
クロスは大量生産された製品を使うため、非常に安価で使いやすいものがたくさん販売されています。(別途接着剤がいらない、のり付き壁紙など)
しかし塗装は下地補修が必須で、塗料を塗るために使う道具も、周りを養生する道具も必ず買わなくてはいけません。
使う道具がとても多くなる為、どうしても材料費がかかってしまいます。
クロス張りよりは費用が高くなるということを知っておきましょう。
1-3 傷、汚れが付きやすい
塗装は、クロス・壁紙と比較して、汚れや傷が付きやすいです。
壁紙はある程度の厚みがありますが、塗料の厚み(塗膜)は1㎜以下と非常に薄いものだからです。
例えば、届いた荷物の段ボールをちょっと壁にぶつけた程度では、クロスなら何も気になることはありませんが、
塗装の場合は表面の塗料が削れて、薄くキズがついてしまいます。
汚れやすいキッチンや玄関まわりなどを塗装したいときは、「防汚性(汚れが付きにくい)」、などの機能表示がある塗料を選ぶとよいでしょう。
1-4 施工中の臭いが気になる
室内用の塗料は臭いを抑えた商品がたくさんありますが、それでも塗料独特の臭いは必ずあります。
塗装をしている最中は、換気などをしっかりして、万が一にも具合が悪くならないようにしましょう。
ただし、臭いがするのは塗料を塗っている最中です。
乾いてしまえば臭いも飛んで消えますのでご安心ください。作業中だけ注意してくださいね。
2章 必要な道具と費用
心構えができたら、まずは道具を準備しましょう。
内壁塗装に必要な材料一式をご紹介します。
すべて、ホームセンターやインターネットで購入可能なものです。
オススメ商品も記載しましたので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
ちなみに費用相場は、トイレや小さい部屋など(30㎡以下)なら、3~6万円以内に収まることが多いです。廊下など広い場合(50㎡程度)でも8~12万円ほどで材料が揃えられるでしょう。
ご自身で㎡数を測って、その分を購入してきましょう。
万が一途中で足りなくなってしまうと、またホームセンターまで行ったりして作業時間がさらに長くなってしまいます、少し多めくらいを用意しておくと安心です。
必要なもの | 費用 |
タオル、雑巾 :塗る前に壁を綺麗に拭きます。
| - |
中性洗剤 :壁にカビや油汚れがあったら、中性洗剤を少し含ませた雑巾で拭きます。
| – |
パテ :壁に穴や傷があったら、パテで埋めて平らにします。 | 410円/300g |
コーキング材 :壁の端や隅に隙間があったら、塞いで平らにします。 | 453円/1本 |
接着剤 :クロスがはがれているところがあったら、接着剤でくっつけます。 | 225円 |
ヤニ止めシーラー :壁のヤニがひどい場合は、掃除した後にヤニ止めシーラーを塗ります。 | 2,473円 /0.7L(6~8㎡分) |
マスキングテープ :塗るところと塗らないところの境目にテープを貼って、きれいに線が出るようにします。 | 290円 /1パック10巻 |
マスカー :塗料がついて汚したくない場所を覆います。 | 259円/1本 |
下塗り材 :塗料が綺麗に塗れるように、接着剤の役割をするものです。 下地によって適したものを選んで使います。 (ビニル壁紙・モルタル・コンクリート・石膏ボード・ケイカル板に対応)
| 2,890円 /2L(10~25㎡分) |
内壁用塗料 :様々な種類がありますので、詳しくは4章をご覧ください。ここでは、一般的な水性塗料を紹介します。 | 2,996円 /1.6L(11~14㎡分) |
ハケ :細かいところを塗るときに使います。 | 118円 |
ローラー :広い面を塗るときに使います。色を複数使う時はその分だけ用意します。 | 345円 |
ローラーハンドル :ローラーの取っ手です。ローラーの毛を付け替えて何度も使えます。 | 355円 |
下げ缶(バケット) :塗料を小分けにして入れる容器です。 | 150円 |
いかがでしたか?
新たに購入が必要なものもあったのではないでしょうか。
必要なものがそろったら、いよいよ作業に入ります!
3章 内壁塗装の流れと手順
室内の壁の塗装は、流れ自体はいたってシンプルです。
最も重要なのは“塗装前の準備”の工程です。
これによって仕上がりが大きく変わってきます。
それぞれ注意点なども織り交ぜながら解説していきますので、丁寧に進めていきましょう。
3-1 周りを片付け、壁を綺麗にする
まずは塗装する壁から家具などを離して、作業しやすくしましょう。
壁から30センチあれば手は届きますが、少し作業はしづらいと思います。
60センチ程度あれば体を入れて丁寧にできますので、思い切って動かしましょう。
重たいものがあるときは一人で無理をせず、ご家族やお友達に手伝ってもらってくださいね。
壁は固く絞った雑巾などで拭いて汚れを落とします。
汚れが残ったままだと、せっかく塗っても後で剥がれやすいからです。
なかなか落ちない油汚れがあるときは、中性洗剤をつけてピンポイントにこすり落とします。
たばこなどのヤニがひどい場合は、下塗りとしてヤニ止めシーラーを塗るときれいに仕上がります。
3-2 凸凹や傷んでいるところを補修する
壁に傷などがあり平らではないとき、壁の間や隅に隙間があるときは、パテやコーキングを使って埋めましょう。
塗装自体はとても膜が薄いものなので、事前に整えておかないと表面がきれいにできないからです。
しっかり補修材を埋め込んだ後に、ヘラなどで平らに整えます。
また、クロスが一部剥がれているときも、接着剤を使ってきちんと直しておきましょう。
せっかくきれいに塗ったのに、壁紙ごと剥がれてしまってはもったいないですよね。
この下地処理の工程が非常に大事です。
丁寧に作業していきましょう。
3-3 塗らないところを養生する
塗装しないところ、汚したくないところをマスキングテープとマスカーで覆っていきます。
慎重に作業しているつもりでも、細かな塗料は必ず飛んでしまうものだからです。
マスカーとは、マスキングテープにビニールが付いているものです。
そのままテープを貼ってビニールを引き延ばすだけで養生できますので、とても便利です。
主に行う場所は、コンセント、電気スイッチ、窓、ドア、床などです。
コンセント、電気スイッチはカバーを外して養生します。カバーは塗装が終わった後に付け直しましょう。
その他にドア、床、窓と壁の境目は、一度マスキングテープをまっすぐ貼り、その上からマスカーを貼りましょう。
こうすることで、境目がきれいに出ます。
他にも壁の途中で色を変えたいときは、マスキングテープで境目を作っておきましょう。
3-4 塗料が着きにくい壁は下塗りシーラーを塗る
壁の隅など目立たないところで試し塗りをしてみてムラができる場合は、シーラーを使いましょう。
ビニールクロス壁紙だと塗料をはじいてしまったり、モルタル・コンクリート・漆喰・珪藻土などの壁だと逆に塗料を吸い込みすぎてしまったりする場合があります。
このような素材の時は、下塗り材として専用シーラーを塗ると綺麗に仕上がります。
シーラーとは、壁と塗料の接着剤の役割をするものです。
必ず試し塗りをしてみて、綺麗に塗れる状態か確認してから次に進みましょう。
3-5 塗装1回目
下準備が整ったらいよいよ塗装です!
塗料をよく振ってから下げ缶(バケット)に移し、ハケとローラーで塗っていきます。
まずは端や隅、境目などをハケで塗ります。その後、広い面をローラーで塗りましょう。
ローラーで塗るときは、縦と横それぞれに動かして均一になるように塗っていきます。
最後にもう一度、上から下に向かって揃えて塗り、表面を整えます。
3-6 塗装2回目
塗料ごとに「乾燥時間」が決められています。
それぞれの缶や説明書に書いてある通りしっかり乾かしてから2回目を塗りましょう。
乾燥時間が守られないと、色ムラができてしまったり、塗装が剥がれやすくなってしまいます。
(1回塗りで可、という塗料でも、壁によってはまだ色が透けてしまうことがあります。その際も2回目を塗って仕上げましょう。)
3-7 養生を外して完成!
2回目の塗装が半乾きの内に養生をはがしていきます。
完全に乾いた後だと、マスキングテープに引っ張られて塗料の端が剥げてしまうことがあるので注意しましょう。
もし乾いてしまったときは、カッターを使ってそっと壁からはがしてあげてください。
全体が完全に乾いたら、塗装完了です!!
4章 理想のお部屋にできる!塗料の種類
最近はDIYの人気もあり、内壁に使える塗料がたくさんあります。
種類も豊富で、スタンダードなものから高機能のもの、おしゃれなお部屋作りに使えるものなど様々ですので、
ぜひご自身の理想のお部屋にあった塗料を見つけてみてください。
一般的な塗料の概要と、おすすめの代表的な塗料をご紹介していきます。
4-1 水性塗料|スタンダードな室内用
塗料には水性と油性がありますが、室内には水性塗料が一般的です。
塗料独特の臭いが少なく作業しやすいからです。
(水性塗料の臭いがゼロというわけではありません。多少は気になると思いますので、作業中は必ず換気をしてください)
特におすすめなのは、『F☆☆☆☆』のマークがある塗料です。
これは「エフフォースター」と言うマークで、シックハウス症候群などの原因であるホルムアルデヒドの放散が少ないことを示し、☆4つは「室内でも制限なく使える」という最高ランクです。
この塗料であればお子さんと一緒に安心して、楽しく塗装ができますので、カタログや塗料缶の表示をチェックしてみてくださいね。
30色展開しており、パステル系のかわいい色合いが揃っています。
4-2 漆喰、珪藻土|消臭、抗菌などの高機能
漆喰や珪藻土は、自然素材を使った塗り壁材です。
お店の内装などにもよく使われる、あたたかみのある質感がおしゃれな壁になります。
壁自身が湿気を吸収したり吐き出したりして調湿してくれたり、菌やカビを抑制してくれたり、臭いの元になる化学物質を分解してくれたりと、
様々な機能で過ごしやすい快適なお部屋作りを手伝ってくれる塗料です。
(機能の詳細は各塗料によって異なります。)
本来はコテを使った左官作業で少し厚みのある壁を作るため、技術や手間がかかりましたが、近年はローラーでも手軽に塗装できる塗料も開発されています。
4-3 木部用ステイン塗料|木材の模様を活かす
ステイン(浸透性)塗料とは、木材に染み込んで着色・保護する塗料です。
通常のペンキだと表面に膜を作ってしまい、せっかくの木目がつぶれてしまうのですが、この塗料は木目をそのまま活かすことができます。
オイルステイン(油性塗料)もありますが、室内で作業する場合は臭いの少ない水性ステインを選ぶと使いやすいでしょう。
ムラになりにくく、初めての人にもおすすめです。
4-4 黒板ペイント|塗るだけで黒板になる
塗って乾かすだけで黒板ができてしまう塗料があります。
お店の内装としてメニューを書き込んでもおしゃれですし、お子さんが自由に落書きできるスペースにしてもいいですね。
描いたり消したりできる、楽しい壁が作れます。
緑以外にも、ピンクやオレンジなどカラーバリエーション豊富です。
4-5 マグネットペイント|磁石がくっつく
塗った面に磁石がくっつくようになる、魔法のような塗料です。
書斎のデスク前に使えば、様々な資料を貼っておくことができますし、リビングの一面に塗っても、季節ごとに色んな飾りを張り付けて楽しめますね。
塗装することによって生活が便利になる、面白い塗料です。
上に黒板ペイントを塗れば、まさに学校の黒板ができます。
4-6 スケッチペイント|壁がホワイトボードになる
塗装後の壁がホワイトボードとして使えるようになる塗料です。
通常のホワイトボードと全く変わらず、ボード用マーカーで書いたり消したりができます。
こちらはご自宅はもちろん、オフィスにもおすすめです。
壁一面を使って、のびのびと会議ができるかもしれませんね。
これは透明な塗料なので、下地に好きな色を塗ればオリジナルなボードも作れます。
5章 DIY塗装のメリット
日本ではまだ、内装はクロス・壁紙が主流です。
しかし、塗装の壁だからこそ良いという部分がもちろんあります。
ここでは大きな3つのメリットをご紹介します。
塗装の特徴をしっかり知って、理想のお部屋にリフォームしてくださいね。
5-1 温かみのある質感
画像:アサヒペン
最も大きな違いは見た目の質感です。
壁紙と違い、塗装は温かみ・重厚感のあるお部屋にすることができます。
だからこそ、お店やデザイナーズ物件の内装にはよく塗装が使われます。
自分のお家もそんな理想の空間にしたい、という方には塗装がおすすめです。
5-2 豊富な色
塗装はとにかくカラーバリエーションが豊富です。
中には227色も取りそろえているシリーズ商品もあります。(JCOLOUR、大橋塗料)
さらに、好みの色をオーダーで作れる場合もあり、まさに自由度は無限です。
壁紙だと、既存の柄しか選べないのが残念だったという方もいるのではないでしょうか。
柄は好きだけど色が5パターンしかなくて…ということも多いと思います。
塗装であれば、本当に自分の好きな色、理想の色を選ぶことができます。
5-3 汚れても部分塗り替えできる
塗装はちょっとした傷や汚れがついてしまっても、同じ色で上塗りすれば補修できます。
壁紙だと、一部だけ貼り直すと継ぎはぎになるため、結局全面貼り替えが必要です。
また、気に入っていた壁紙を貼りなおそうと思っても、数年後には廃盤になっていて、同じものに戻すことができない、という可能性もあります。
塗装であれば部分補修ができますし、自分で手軽に直せるのは、長く住むお部屋にとってはとても嬉しいですね。
まとめ
いかがでしたか?
内壁の塗装DIYは、事前の心構えと準備をしっかりしておけば、とても楽しい経験になります。
手順もシンプルなので、ひとつひとつ丁寧にすすめていきましょう。
もし、自分でやるのは難しいかな…と思ったら、専門業者に依頼をしましょう。
塗料は一般的なものから面白い機能付きのものまで幅広くあります。
ご自身の理想のお部屋作りを、ぜひ塗装によって叶えてくださいね。
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→DIYで出来る!ジョリパットの施工方法とおしゃれに仕上げるコツ
皆様の楽しい塗装DIYのお役に立てれば幸いです。
お読みいただきありがとうございました。