「外壁はメンテナンスしないで済むものがいい。」
とお考えの方も多いでしょう。
ハウスメーカーやリフォーム業者も、様々な高性能外壁材をすすめてくると思います。
しかし実際には、完全に“メンテナンスフリー”の素材というのはありません。
どんなに優れた建材でも、いつかは何かしらのお手入れが必要になります。
ただ、少ないメンテナンスで長く使い続けられる素材なら存在します。
そこで本記事では、メンテナンスフリーの外壁とはどういうことなのかと、メンテナンスが少なく済む外壁材について、ほかの素材を比べながら分かりやすく解説します。
長く暮らすお家だからこそ、将来のメンテナンスのことを考えて素材を選ぶことは重要です。
できる限り手間をかけずに住み続けられるお家にするために、どうぞ最後までお読み下さい。
1章 「メンテナンスフリー外壁」は存在しない!
せっかくお家を新築、あるいはリフォームするならメンテナンスフリーの素材にしたい!と思って建材を調べている方も多いと思います。
しかし残念ながら、完全メンテナンスフリーの外壁というものは存在しません。
どんなに高級で高性能なものでも、雨風や紫外線にさらされていれば、少なからず経年劣化は起こってしまうためです。
ハウスメーカーや工務店の宣伝文句でメンテナンスフリーと書いてあるのは、
「メンテナンスの手間が少ない」「耐久性が高い」「保証期間の〇年間はお手入れ不要」
または、「汚れにくい」「汚れがついてもセルフクリーニングしてくれる」
程度の意味で使われていることがほとんどです。
また、どんなに丈夫な建材でも、建材同士のつなぎ目(目地)が傷んでしまうことも多いですから、完全なメンテナンスフリーとはいきません。
いつかどこかのタイミングで、塗装や補修やといったお手入れは必要になります。
決して、「メンテナンスを一切しなくていい」わけではありませんので、注意しましょう。
ただ、一般的な素材と比べてメンテナンス回数やコストが少なく抑えられる外壁はあります。
次の章では、そうした高耐久の外壁材を紹介していきます。
2章 メンテナンスが少なく済む外壁材3選
2-1 タイル
タイル | |
メンテナンス | 10~20年 目地コーキング・目地モルタルの補修 |
費用 | 9,000円~/㎡ |
メリット | ・タイル自体は半永久的に使える ・水を吸わず、汚れにくい |
デメリット | ・費用が高い ・目地部分のメンテナンスは必要 ・地震や衝撃による割れ、剥離の可能性がある |
タイルは、石や砂などを高温で焼き固めた素材です。
水を吸いにくく汚れを弾き、そもそも無機物でできているため紫外線劣化しにくいことから、ほぼ半永久的に使えるメンテナンスフリーに最も近い建材です。
ただし、タイルを外壁に施工するときには、目地・下地としてコーキングやモルタルという有機物(柔軟性があり紫外線劣化するもの)を使います。
そのため、タイル本体ではなく目地や下地の方は定期的なメンテナンスが必要です。
初期費用が高いうえに結局メンテナンスがいるのか…、と思うかもしれませんが、タイルのメンテナンスは他の全面塗装などが必要な外壁よりも頻度が少なく、規模も小さいです。
20年30年、それ以上住むことを考えると、トータルコストは決して高くありません。
むしろ長く住めば住むほどコストパフォーマンスは良くなっていきます。
長期的な目線でお得な外壁材を選びたい方には、ぜひタイルをおすすめします。
2-2 樹脂系サイディング
樹脂系サイディング | |
メンテナンス | 15~20年ごろ 軽補修、張り替え |
費用 | 5,000~9,000円/㎡ |
メリット | ・色褪せしにくい ・雨、塩害、凍害に強い ・コーキング(目地)がない |
デメリット | ・日本では扱っているところが少ない ・費用が高い ・デザインの幅はあまりない |
樹脂系サイディングとは、塩化ビニル(プラスチックの一種)が主原料のボード状建材です。
雨や塩害、凍害にも強いうえ、原料自体に顔料(色付け成分)を練りこんでいるので、色褪せもほぼないのが特徴です。
また、一般的な窯業系サイディングなどはボード同士の継ぎ目のコーキングがありますが、樹脂系サイディングはボード同士を重ね合わせる「オープンジョイント工法」を用います。
そのため、目地コーキングが劣化する、ということもありません。
結果として、メンテナンスは15~20年以上、場合によっては30年近くも不要な、高耐久の外壁材と言えます。
課題は実績の少なさです。アメリカやカナダなどでは非常に多く使われている外壁ですが、日本での普及率はとても低いです。
なぜなら、製造メーカーや施工できる業者が国内に少なく、工事費も高額になってしまうからです。
樹脂系サイディングを外壁に使いたい場合は、まず扱えるハウスメーカーを探すのが大変ですので注意しておきましょう。
また大きなメンテナンスはなくとも、どうしても汚れなどは付着してしまうので、時折水洗い等のお手入れは必要です。
このほか、寒暖差で伸縮してしまうというデメリットがあるので、その負荷で傷んでしまった場合は修繕や部分張替えを行います。
2-3 金属系サイディング
金属系サイディング | |
メンテナンス | 10~20年 塗装、目地コーキングの補修 |
費用 | 5,000円~6,500/㎡ |
メリット | ・軽量で地震に強い ・凍害に強い ・多様なデザインの製品がある |
デメリット | ・傷がつくとそこから錆びやすい ・海沿い地域では塩害を受けやすい ・色褪せや錆びが気になる場合は塗装が必要 |
金属系サイディングは、その名の通り金属でできたボード状建材です。
ガルバリウム鋼板、アルミニウム、ステンレスなど種類がありますが、主流は扱いやすくコストも低いガルバリウム鋼板です。
費用は新築で使うには少し高いですが、タイルや樹脂系サイディングと比べるとそこまで高額でもないため、リフォームで使用されることがとても多いです。
窯業系サイディングやモルタルなどが水を吸うとひび割れを起こすのに対し、金属は錆びたり大きな衝撃を受けたりしなければ割れることはありません。
そのため、頻繁に塗装する必要はなく、錆びや色あせがなければ20年近く塗装しないで良い場合もあります。
メンテナンスの回数やコストを抑えることができる外壁材です。
あまり初期費用をかけすぎず、でも長期的なコストパフォーマンスを良くしたい方には、種類・デザインも多くて選びやすい金属サイディングがおすすめです。
3章 外壁は定期点検で長持ちさせよう
メンテナンスの手間が少ない外壁を紹介してきましたが、初めにもお伝えしたように、100%メンテナンスフリーの外壁は存在しません。
どんなに優れた素材でも、全く劣化しないということは無いからです。
長い年月の中で大なり小なり経年劣化は起こりますし、台風や地震などの災害や気象の変化によって予期せぬダメージを受けることもあります。
そこで重要なのは『定期点検』です。
3~5年ごとくらいで専門家に点検してもらい、異常がないか、劣化の兆候がないかをチェックしてもらいましょう。
例え劣化やダメージがあったとしても、傷が小さいうちに対処をすれば外壁の寿命は伸ばせますし、メンテナンス費用も少なく済みます。
「なにもしなくても大丈夫だろう」と放っておいた間に傷みが大きくなって、気づいたときには大規模な修繕工事に…となってはもったいないですよね。
性能の良い外壁を扱う大手ハウスメーカーほどこまめな点検を実施しているのも、点検とメンテナンスの重要性を知っているからです。
メンテナンスの手間を減らして長く住めるお家にするためにも、どんな外壁であってもきちんと点検をしてもらうようにしましょう。
まとめ
完全な「メンテナンスフリーの外壁」というものは存在しません。
どんなに耐久性があって長寿命の素材でも、雨風や紫外線にさらされていれば何かしらのお手入れは必要になります。
ただメンテナンスが少なく済む外壁材というものはあります。
- ・タイル
- ・樹脂サイディング
- ・金属サイディング
は他の建材よりもメンテナンス回数や費用が少なくできるので、長期的なコストパフォーマンスを求める方はぜひ検討してみてください。
どんな外壁であっても、3~5年ほどで定期点検をしてあげましょう。
経年劣化や予期せぬダメージも、早期発見することで大きな修繕工事になるのを避けられます。
外壁のメンテナンスの手間や費用を考えるのは、ご家族の将来のためにとても重要なことです。
本記事が少しでもそのお役に立てれば幸いです。
最後までお読み下さりありがとうございました。
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