外壁に「スタッコ」というものがあると聞いたけど、それってどういう外壁?
と気になって検索している方も多いのではないでしょうか。
スタッコとは、モルタル壁の仕上げ方の一種のことです。
■スタッコの外壁
細かい凹凸があるのが特徴です。
重厚感がある素敵な仕上げですが、実はほかと比べてメンテナンスにはいくつか注意が必要となってきます。
そこでこの記事では、スタッコがどういった外壁なのかという基礎知識から劣化症状、メンテナンス方法までを紹介します。
お家や外壁材について初心者だという方にも、分かりやすくお伝えします。
これからスタッコにしようという方も、すでにスタッコの家に住んでいる人も、長くこの外壁を保てるようになりますので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
目次
1章 外壁のスタッコとは
スタッコはモルタル外壁の中の仕上げの一種で、重厚感・高級感のある仕上がりが特徴の外壁です。
水とセメントで作ったモルタルの上に、専用の材料を吹き付けガンで吹き付け、独特な模様を作り出しています。
スタッコの中でもさらに2種類の仕上げ方があります。
1つは吹き付けガンで吹き付けたままの「吹放し仕上げ」、
もう1つは吹き付けた後にコテ・ローラーで押さえる「ヘッドカット」です。
■吹き放し仕上げ
小さい凹凸ができるのが特徴です。
■ヘッドカット
コテやローラーで表面を押さえて平らにします。
■他の仕上げとの違い
同じように材料を吹き付けて作る「リシン」と比べると、塗膜が分厚く、凹凸が深いのも特徴です。
それでは、メリット・デメリットを見てみましょう。
1-1 【メリット】高級感と耐久性
スタッコのメリットは、以下の2つです。
①高級感や重厚感ある仕上がりにできる
メリットの一つ目は、その風合いから高級感や重厚感を出せるということです。
吹き付けガンで作られた細かい模様は、さながら石材を彷彿とさせる仕上がりになります。
②厚みがある分耐久性がある
リシンなどのほかの仕上げの耐用年数が7~8年なのに対し、スタッコはおよそ10年ほどの耐久性があります。
スタッコの方が、吹き付けてある塗膜が分厚いからです。
■一般的な塗膜の厚み スタッコ…約5~10mm リシン、ジョリパッド等…約3~4mm |
塗膜が厚い分ひび割れも起こりにくく、長持ちする仕上げです。
1-2 【デメリット】汚れやすい・多くの塗料が必要
スタッコのデメリットは主に2つあります。
メンテナンス時にも影響するため、注意が必要です。
①汚れが溜まりやすく、落ちにくい
スタッコは外壁の凹凸が細かい分、汚れが溜まりやすく落ちにくいです。
年数が経つと、埃や苔・カビ等の汚れがつきます。
■凹凸の少ない外壁の例
例えば、サイディングのような比較的凹凸の少ない外壁の方が、汚れは落としやすくなります。
②塗り替え時に塗料が2倍以上必要
スタッコ外壁は、塗り替え時に普通より多くの塗料を必要とします。
これは、凹凸が細かく他の外壁よりも表面積が多くなるためです。
細かい凹凸の隙間もしっかりと塗装しないと塗料の効果がきちんと発揮できないため、凹凸の少ないサイディングなどと比べると、スタッコ外壁は2倍以上の塗料が必要です。
2章 スタッコで起こる4つの劣化症状
スタッコ外壁は定期的なメンテナンスが必要です。
いまメンテナンスが必要かどうか見極めるには、劣化症状が出ているかを目安にしましょう。
ここでは皆さまでも目視でチェックできる症状を4つご紹介します。
築8~10年を過ぎたら、一度お家をぐるっと見て回ってくださいね。
2-1 チョーキング
チョーキングとは、外壁を触ったときに外壁に似た色の粉が付く症状です。
これは「外壁が水を弾いてないですよ!」というサインです。
放っておくと外壁に水が溜まるだけでなく、いずれはお家の中にまで水が染み込んでしまい、お家自体の寿命を縮める原因にもなります。
チョーキングが起こっていたらメンテナンスを検討しましょう。
<チョーキング現象のメカニズム> 外壁の表面に塗装されている塗料は、色を付ける粉と水を弾く油で出来ています。 チョーキングは、この油が紫外線で分解されてしまい粉だけが残った状態になることで起こります。
■チョーキングが起こる前の外壁 油が活きており、触っても粉が付きません。油は水を弾いてくれています。
■チョーキングが起こった後の外壁 表面の油が紫外線により減ってしまうと、粉が露出して手につくようになります。 水を弾く効果も弱まっています。 |
2-2 コケ・カビ
緑色に変色しているのがコケ、黒く変色しているのがカビです。
なぜ発生するかというと、スタッコ表面を水から守ってくれていた塗膜が劣化して、防水切れを起こしているからです。
防水切れを起こすと、常に外壁が水を吸う状態となるため、コケやカビの胞子が好む湿気のある状態になってしまうのです。
特にこの症状はお家の日陰・北側に起こりやすいです。
スタッコは凹凸が細かいぶん水が溜まりやすく、この症状が起こりやすいので、注意してチェックしましょう
2-3 ひび割れ
外壁の表面がひび割れています。
主な原因は、紫外線による経年劣化です。
外壁は何年もの間、紫外線や雨風に晒されています。
紫外線や雨風は表面の塗膜を劣化させる力があるため、それによりひび割れが起きてしまいます。
ひび割れからまた雨水が浸入してしまうので、早めにメンテナンスをしないとさらにひび割れが増えたり広がったりする原因となります。
2-4 剥がれ
塗膜の剥がれは、経年劣化で起こるものと、新築時の施工不良によって起こるものの2つあります。
施工不良の場合は症状の見た目では判別できませんが、高圧洗浄をかけた後に分かる場合が多いです。
施工不良の原因は、施工時にシーラー(接着剤)をきちんと使用していなかったことが考えられます。
経年劣化の場合は、紫外線や雨風でモルタルと表面の仕上げのスタッコの密着力が弱まることで起こります。
3章 スタッコのメンテナンス方法は塗装
スタッコのメンテナンスは塗装で行います。築10年くらいを目安に外壁塗装工事を行いましょう。
なぜなら、スタッコも10年くらいで表面の防水効果が切れて、外壁が水を吸う状態となってしまうからです。
塗装して再び水を弾く状態に戻してあげることで、スタッコを長持ちさせることができます。
築10年でも見えている症状がごく一部分なら、そこだけ補修すればいいのでは?と思う方もいらっしゃるとは思います。
しかし、それでは全体の防水効果は戻せません。
スタッコは水を吸っている限り傷んでいくので、部分補修しても結局すぐに他の場所が傷んでしまい、根本的な解決にはなりません。
外壁全体を塗装することで、再び水を弾く状態になってスタッコを長く保てるようになります。
劣化症状が出ていたら、必ず全体の塗装でメンテナンスを行いましょう。
※ひび割れや剥がれなどが起きていた場合は、補修をした上から塗装をします。
4章 スタッコ再塗装時の注意点
スタッコ外壁の再塗装時には注意が必要です。
誤った施工をすると、せっかくの塗装も効果が弱まって期待した年数も持たなくなってしまうので、正しい施工をしなければいけません。
作業自体は業者に行ってもらうものなので、見積もりや点検時に施工業者にきちんと確認をとりましょう。
4-1 規定量の塗料を使用してもらえるか確認する
スタッコ塗装の際は、規定量の塗料をきちんと使用してもらえるか確認しましょう。
なぜなら、塗料はカタログに記載された通りの量で施工しないと本来の効果を発揮できないからです。
特にスタッコは細かい凹凸の隙間までしっかり塗料が届かないといけないため、使用量が少ないと不具合が出やすいです。
■塗料のカタログに記載された使用量 ①塗料を薄める割合 ②規定の使用量 ③塗装後、次の作業まで開ける時間 この3つはどの塗料にも定められています。 これが守られていないと、塗料の効果を発揮できません。 |
業者によっては塗料をわざと薄めて使用し、量をごまかしてしまう所もあります。
見た目ではわかりませんが、効果や耐久性に大きく関わります。
きちんとした業者なら、いつどの塗料をどのくらい使用したのかを記録に取っています。
塗料の効果を発揮させるためにも、必ず正しく施工してくれるか確認しましょう。
4-2 丁寧な高圧洗浄・下地調整が必須
スタッコの塗装工事は、丁寧な高圧洗浄・下地処理が必須です。
スタッコは他のモルタルの仕上げより比較的凹凸が細かいため、丁寧に作業を行わないと、洗浄時の水や汚れが外壁に残ってしまい、塗装後の剥がれや表面の膨れの原因となるからです。
作業前後の記録を写真や文書で残している業者なら、仕事ぶりをチェックできるので安心して任せられます。
塗装後の不具合を出さない為に、必ず丁寧な作業をしてもらいましょう。
4-3 透湿性のあるモルタル向け塗料を使用する
塗装の際は、透湿性のあるモルタル向け塗料を使用してもらいましょう。
透湿性とは、外部からの水を通さず湿気は逃す機能のことです。
スタッコは細かい凹凸がたくさんあり他の外壁よりも湿気や水分がたまりやすい性質があります。
そのため、透湿性のない塗料を塗ってしまうと塗装後の表面の膨れ等、不具合の原因となってしまうのです。
不具合を防ぐため、必ず透湿性のある塗料を使用してもらいましょう。
まとめ
スタッコとは、モルタル外壁の仕上げの一種のことです。重厚感ある見た目と耐久性の高さが特徴です。
年数が経つと、ヒビや剥がれ、コケ等の劣化症状が出てきます。それを目安にメンテナンスを行いましょう。
メンテナンス方法は、全体塗装となります。
再塗装時の注意点は、以下の3つです。
・規定量の塗料を使用してもらえるか確認する ・丁寧な高圧洗浄・下地調整が必須 ・透湿性のあるモルタル向け塗料を使用する |
きちんと業者に確認を取り、しっかりした塗装でスタッコを長持ちさせましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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