屋根からの雨漏り。家の中は濡れるし、雨の日が来る度に憂鬱で困りますよね。
このページをご覧の方は、雨漏りの悩みを修理で解決したいという方が多いと思います。
屋根の雨漏り修理は、お家を維持していく上で必須です。
室内に入ってきた雨水は、家具を濡らしてしまうだけでなく、お家の大事な躯体(木材)まで濡らしてしまっているからです。
これ以上お家の木材が濡れて、さらには傷んでしまわないように、雨漏りはしっかり修理してあげたいですね。
ですが、雨漏り修理は素人では一筋縄ではいきません。
雨がどこから侵入してきたのか、原因まで把握することは非常に難しいためです。
そのため、行き当たりばったりの修理になって、結果雨漏りが悪化してしまうという事例も少なくありません。
そこでこのページでは、雨漏りを修理する上で理解してほしい基礎知識から、雨漏りの修理方法・費用まで徹底解説します。
業者に雨漏りの修理をしてもらう際のポイントも併せてお伝えするので、雨漏りにお困りの方はぜひ最後までお読みください。
目次
1章 【重要】雨漏り修理はプロに頼もう
まず最初に知っておいてほしいことがあります。
それは、『雨漏りの修理ができるのはプロだけ』ということです。
ご自身で修理できるとお考えの方も多いですが、実は雨漏りはプロでも完全に修理するのが簡単ではないと言われています。
理由は、雨漏りは単純に水漏れしている場所を塞げば直るものではなく、他の場所から水が回ってきていることが原因のこともあるからです。
こうなると原因個所の特定から根本的な修理まで、判断が非常に難しくなります。
ご自身で修理された方の中では、雨漏りが起きた場所を塞いでみたら、別の場所から雨漏れが起きるようになってしまった、ということもよくある話です。
原因を特定して根本からの修理をするために、プロは雨漏りの調査をしっかりと行います。
ホームセンターに行けば隙間を塞ぐパテやテープなどが簡単に手に入りますが、これらは目に見える雨漏りを止めるだけの応急処置となる可能性が高いです。
本当に修理したいなら、きちんとプロに見てもらう様にしましょう。
▲雨漏りの原因が特定できていないまま、見える個所だけ修理をすると、他の場所で雨漏りが起きる可能性があります。
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2章 屋根の種類別|雨漏り修理方法一覧
雨漏りの修理方法や費用について、屋根の種類別に詳しく解説していきます。
雨漏りの修理はプロに依頼するとお伝えしましたが、屋根の種類や症状によって、修理方法も様々です。
そのため、どういった修理方法があるか事前知識として持っておくと、業者からの説明も分かりやすいので、事前知識として知っておきましょう。
2-1 スレート・金属屋根の修理
スレート屋根は日本の約7割に使われているポピュラーな屋根材です。
また金属屋根は、昔からあるトタンや軽くて丈夫な鋼板屋根などがあります。
材質は異なりますが、いずれもメンテナンス不足や台風などの自然災害によって雨漏りが発生する可能性があります。
修理方法は簡単なものから大規模なものまでありますが、雨漏りを直すためには専門業者の点検を受けて必要な修理を行っていきましょう。
【修理方法・費用】 ①割れ補修(10,000~40,000円/一箇所) ②屋根一部交換(20,000~50,000円/一箇所) ③棟板金の交換(5,000~10,000円/m) ④雨仕舞(あまじまい)板金の修理交換(5,000~10,000円/㎡) ⑤屋根葺き替え工事(90万円~) |
①割れ補修(10,000~40,000円/一箇所)
スレート瓦が割れている場合は、コーキング材でヒビを埋めて補修します。
ヒビの隙間を雨水が伝って雨漏りするのを改善するためです。
屋根材が完全に割れてしまっている場合は、ピッタリとハマりそうであればコーキング材でくっつける修理方法もあります。
②屋根一部交換(20,000~50,000円/一箇所)
▲スレート瓦が1枚抜け落ちた状態
瓦のズレや割れ・抜けなどから雨水が侵入してくることがあるため、ズレを直す、割れや抜けを修復する方法です。
一部分だけの修理で済む場合もあれば、全体的にズレが発生している場合は瓦の葺きなおしが必要になる事もあります。
③棟板金の交換(5,000~10,000円/m)
屋根の頂上にある棟板金は釘で固定されているため、その釘が緩むと釘穴から雨水が侵入し雨漏りに繋がります。
また風にあおられて板金自体が飛ばされてしまうと、直接雨が侵入し雨漏りが起きます。
その場合は傷んだ板金と中の木材(貫板)を一式交換することで、雨漏りを直します。
④雨仕舞(あまじまい)板金の修理交換(5,000~10,000円/㎡)
雨仕舞板金とは、下屋根などの雨流れを良くするため設置された板金のことです。
板金自体は金属なので、経年劣化で錆びたり凹んだりして穴が空くことがあり、そこから雨漏りが発生するケースが多いです。
特に少し前のお家は10年程度で穴が空いてしまうトタンを使っていることが多いため、穴をコーキングで塞いだり、板金自体を交換したりして雨漏りを修理します。
⑤屋根葺き替え工事(90万円~)
雨漏りの症状が重く、屋根全体に問題が広がっている時は葺き替え工事をします。
雨漏りしている時は屋根の中で大きな問題が起きていることが想定されるため、既存の屋根を一度撤去してリセットする葺き替え工事が、雨漏りを根本から解決する修理として効果的です。
▲葺き替えの際は、下地のルーフィングという防水紙も新しいものにします。
※費用は足場代を含まない金額です。
※工事範囲や材料、条件によって費用は変動します。
スレート屋根は適切なタイミングでメンテナンスをすれば、雨漏りしてしまうほど傷むことはありません。
>正しいスレート屋根のメンテナンスについて知りたい方はこちらもご覧ください。
2-2 和瓦・洋瓦屋根の修理
和瓦や洋瓦は塗装のメンテナンスは基本的には不要の屋根材です。
ただし、塗装以外の細かいメンテナンスをしないと雨漏りに繫がるため、手入れ不要という訳ではありません。
瓦のズレや歪みなどが原因で雨漏りが起きることもあるため、専門家の点検による判断が必要です。
【修理方法・費用】 ① 瓦のズレ直し・交換(5,000~20,000円/一箇所) ② 漆喰補修(2,200~7,000円/m) ③ 棟積み直し(10,000~16,000円/m) ④ 谷板金(谷樋)撤去・交換(2,500~5,000円/㎡) ⑤ 葺き直し(締め直し) (10,000~18,000円/㎡) ⑥葺き替え(900~250万円/30坪の相場) |
①瓦のズレ直し・交換(5,000~20,000円/一箇所)
瓦のズレや割れ・抜けなどから雨水が侵入してくることがあるため、ズレを直す、割れや抜けを修復する方法です。
一部分だけの修理で済む場合もあれば、全体的にズレが発生している場合は瓦の葺きなおし(和瓦・洋瓦は積みなおし)が必要になる事もあります。
②漆喰補修(2,200~7,000円/m)
和瓦や洋瓦の頂上の瓦同士を固定する漆喰を補修します。
内側に水が浸み込むのを防ぐ効果があり、10年前後の周期で経年劣化から補修が必要になってきます。
③棟積み直し(10,000~16,000円/m)
棟の積み直しは、てっぺんの棟瓦を全て取り外して、綺麗に組み直す修理です。
漆喰の劣化や地震などで棟に歪みが出てしまうと瓦も欠落しやすくなり、雨漏りの原因になってしまいます。点検してみて歪みが発見されたら、修理をしましょう。
④谷板金(谷樋)撤去・交換(2,500~5,000円/㎡)
谷板金(谷樋)とは、屋根の谷間にある板金で、屋根に当たった雨を集めて流す通り道になっています。
雨が集中しやすい場所なので、ちょっとした劣化でも雨漏りに繋がりやすいです。
ゴミが詰まったり、酸性雨で板金に穴が空いたりすることが原因になります。
劣化した谷板金は交換をしますが、構造上、谷に面した屋根2面の葺き直しが必要なので、その分費用も高くなります。
⑤葺き直し(締め直し) (10,000~18,000円/㎡)
葺き直しは、屋根を一度剥がして補修をしてから、再度瓦を積み直す修理です。
ルーフィング(防水紙)などを新しくして既存の瓦を葺き直すので、瓦まで交換する葺き替えよりもお得に修理ができます。既存の瓦の状態が良ければ、雨漏り修理のために葺き直しをしましょう。
⑥葺き替え(900~250万円/30坪の相場)
葺き替えは、今ある瓦屋根を別の屋根材に取り換える工事です。
使用する屋根材によって金額に幅がありますが、屋根の内部の状態もチェック、必要に応じて修理が出来るので、雨漏り修理に効果的です。
また新しくする屋根材は瓦より軽いものばかりですので、耐震対策としても有効です。
※費用は足場代を含まない金額です。
※工事範囲や材料、条件によって費用は変動します。
2-3 陸屋根の修理
陸屋根はフラットな屋根の構造から水はけが悪いため、雨漏りしやすいです。
雨漏りが酷くなると、家中に水が回り大規模な修理工事が必要になってしまうので、
被害が深刻になる前に適切な修理をしましょう。
【修理方法・費用】 ①防水工事(3,000~8,000円/㎡) ②排水溝の清掃(3万円前後) |
①防水工事(3,000~8,000円/㎡)
雨漏りが起きている時点で屋根の防水効果が切れているので、必ず実施しましょう。
防水工事なので、耐久年数も塗装よりは短くなり、こまめなメンテナンスが必要になります。定期的な業者の点検を受けると、防水切れ前の良いタイミングでメンテナンスが出来ます。
②排水溝の清掃(3万円前後)
陸屋根は水はけが悪いので、排水溝が汚れて詰まると更に水が溜まりやすくなります。
水が溜まる環境だと、防水層の劣化が進み雨漏りしやすくなるため、定期的な排水溝の清掃が必要です。
落ち葉が多い地域は、排水溝に付けられるカバーもあるので、詰まり防止におすすめです。
※ご自身で清掃する場合は、屋上に水栓があればホースの流水で詰まりを解消できることがあります。
2-4 その他の雨漏り修理
屋根の種類別以外に、どんな建物でも共通して起こるかもしれない雨漏り修理についても紹介します。
屋根からの雨漏りが原因で雨水が屋内を伝い、内部まで被害が出ることもあります。
そうした時の修理方法を知っておけば、屋根の修理と併せて根本からの雨漏り修理ができますので、
該当の症状が出ている時は屋根と併せてしっかり直しましょう。
【修理方法・費用】 ①天井雨漏り修理 (5~15万円) ② ベランダの雨漏り修理 (3,000~8,000円/㎡) ③ サッシ廻りからの雨漏り(500~900円/m)※増し打ち工事の場合 ④ 各種原因調査費用(無料~) |
①天井雨漏り修理 (5~15万円)
天井の雨漏りは張り替え修理が必要です。
一般的な住宅は木造が多いので、木材が傷んでいたら張替えをします。
張替えの際に穴が開きますので、中を見て雨漏りがどこから起きているのか分かることもあります。
また修理費用は傷みの進行具合によって異なるため、広い範囲が傷む前に修理することが望まれます。
②ベランダの雨漏り修理 (3,000~8,000円/㎡)
▲ベランダ下の軒が雨漏りして木材が腐っている状態
ベランダ下の軒やベランダ下の部屋が雨漏りした時には、ベランダの床が傷んでいる可能性が高いです。
基本的にはヒビなどを修繕し、防水切れを起こしていればベランダの防水工事まで行います。
雨漏りの進行具合によっては大工工事が必要なこともあり、その分費用も高くなるので注意が必要です。
③サッシ廻りからの雨漏り(500~900円/m)※増し打ち工事の場合
天窓のサッシや隙間からの雨漏りが原因なら、コーキング材で隙間を埋めて補修(増し打ち)します。
場所や状態によっては一度古いコーキングを撤去し、打ち替えをすることもあります。
窓は外と直接繋がっている場所なので、サッシ廻りの隙間が原因の雨漏りであれば、比較的簡単に直せる可能性が高いです。
>コーキングの基礎知識はこちら
④各種原因調査費用(無料~)
▲サーモグラフィー調査(無料~30万円)
雨漏りの原因を調べるために行う調査です。目視で行う調査から、専用の機器を使って調査するものまであります。原因と思われる場所に水を流して雨漏りの発生テストをする「散水試験調査」、併せて流した水の通り道は温度が低くなるため「赤外線サーモグラフィー調査」で温度変化を見て原因を探す方法など、様々な調査があります。
必ずしもこれらで原因が特定できる訳ではありませんが、闇雲に修理するより効果的です。
※金額は目安であり、実際には規模や状態によって異なります。
★塗装の施工不良による雨漏りも注意 塗装工事の施工不良が原因で雨漏りが起きる事もあります。 手抜き工事をする業者や、工事の知識が少ない業者に当たってしまった時に起きる可能性があります。 例えば屋根の塗装工事後に、瓦と瓦の隙間が塗料で埋まってしまい、「縁切り」という隙間を作る作業を行わないことで雨水の逃げ道が無くなり、雨漏りをしてしまいます。 ▲瓦同士の隙間が塗料で埋まってしまうと、雨水が流れなくなります。
他にも、防水シートの処理が甘いことによる施工不良で雨漏りすることもあるので、何か屋根工事をした後に雨漏りした時は、施工業者に連絡を取って原因を探り解決しましょう。
>屋根の縁切りについて詳しく知りたい方はこちらも |
3章 雨漏り時は雨水の受け止め処置をする
万一、今雨漏りしてしまっていて、とりあえずなんとかしたい!とお考えの方は、落ち着いて次の処置を行ってください。
雨漏りが起きている個所にバケツや深めの桶を置き、その中に雑巾を敷いて雨水を受け止めましょう。
単純な対策ですが、これで屋内が水浸しになることが防げるのと、雑巾を置くことで水撥ねが周りに飛び散ることも防げます。
ここで慌てて、防水テープやコーキングで水の出口を塞ごうとしても、濡れている内はちゃんと接着できず塞ぐことが出来ません。
仮に塞がったとしても、出口を失った雨水は別の出口を求めて更に家の中に浸水していってしまうため、やはり中途半端に修理するのは良くないことです。
また疑わしい場所の屋根をブルーシートで被うのは効果的ですが、屋根は高所なので特に雨天の滑りやすい環境下では大変危険です。絶対に止めましょう。
雨漏りしてしまった時に出来る事は、雨漏りが家具などを傷めないように水濡れを最小限に留めることです。
雨が止んだタイミングで業者に連絡をし、点検や修理の話を進めるようにしましょう。
>雨漏りの応急処置についてはこちら
4章 雨漏り修理を依頼する業者3つの条件
雨漏り修理を業者に依頼するときは、次の3つの条件をチェックしてみましょう。
当てはまる数が多いほど、雨漏り修理の経験があり信用できる業者です。
事前にホームページを見たり、問い合わせ時に確認できたりすることもあるので、積極的にチェックしてみましょう。
4-1 雨漏り修理の実績が多い
雨漏り修理の実績が多い業者は安心して依頼ができます。
前述の通り、雨漏りはプロでも原因特定が難しいものです。
そのため実績や経験が多い方が、より最適な修理方法などについて知識があり、正確な提案ができるからです。
知識がないと、見当違いな修理をしてしまうこともあり得ますので、しっかりと実績のある業者に依頼しましょう。
4-2 専門的な原因調査ができる
雨漏りの原因調査のために、専用の道具や設備がある業者か確認しましょう。
雨漏りの原因は見た目だけでは特定しにくいものだからです。
そのため散水試験やサーモカメラで水の流れをチェックできるような業者に依頼をすると良いでしょう。
逆にそうした原因調査をせずに工事に取り掛かる業者は、原因が特定できていない可能性があり、雨漏りもイタチごっこであちこち起きてしまうこともあるため、注意が必要です。
専門の道具を使ってしっかり原因調査してくれる会社を選びましょう。
▲実際に水を撒いて水の流れを調べる「散水試験」
4-3 地元で長い付き合いができる会社
地元で長い付き合いができる業者を選びましょう。
近くの業者を選べば、雨漏りが再発した場合でもマメに来てもらうことが可能だからです。
特に雨漏り自体が、1度の修理では直らないこともある難しい症状なので、地元の業者であれば対応も素早くしてくれるため安心です。
逆に遠くの会社に依頼をすると、見に来てもらう度に出張費が掛かってしまうこともありますので、地元で今後も長く付き合えるような業者を選ぶことをお勧めします。
まとめ
雨漏りの修理は素人では見極める事が出来ません。
しっかりとプロに診断してもらい、根本から直るようにしましょう。
屋根の種類ごとに必要な雨漏り修理の方法は異なります。
その他、室内の雨漏りやサッシコーキングなど、状況に応じて調査や修理の判断をすることが大切です。
また、たった今雨漏りをしてしまっている時でも慌てず、室内の被害を最小限に留めるように、バケツに雑巾を敷いて水を受けるなどして、雨が止んでから業者に点検をしてもらうようにしましょう。
雨漏り修理を依頼する業者の3つの条件は
・雨漏り修理の実績が多い
・専門的な原因調査ができる
・地元で長い付き合いができる会社
です。
雨漏りを再び起こさないためにも、しっかりとした原因調査から根本解決してすっきりしましょう。
ここまでお読みくださりありがとうございました。
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雨漏り修理|部位別の費用相場と損しないための7つのポイント