塗装の見積もりを頼んだら、業者の人に「サイディングが直貼りだから、張り替えしかできない」って言われてびっくり!
張り替えはお金がかかるから、できればやりたくない!!
そもそも直貼りって何?
うちは本当に直貼りなの?
なんで塗装しちゃだめなの?
…などなど、疑問は尽きないですよね。
「直貼り工法」のサイディングは、何も知らず塗装すると不具合が起きる可能性があります。
確実な安心を得るには外壁の張り替え工事しかありません。
しかし、塗装した全てのお家で不具合が起きるわけでもないので、きちんと注意してリスクを減らした塗装工事も可能ではあります。
実際、張り替え工事は非常に高額になるため、適切な塗装をしてお住まいになっている方も多くいらっしゃいます。
そこでこの記事では、サイディング外壁の「直貼り工法」について、それと対になる「通気工法」と比較しながら解説します。
さらに、初めての方でもできる直貼りの見分け方や、直貼り工法によって起こる不具合の事例を紹介。
後半では、直貼り外壁のメンテナンス方法と、塗装時の注意点もお伝えしていきます。
ご自宅の最適なメンテナンスをするために、ぜひ最後までじっくりお読みくださいね。
目次
1章 サイディング直貼り工法とは:通気工法との違い
| ・防水シートの上にサイディングボードを直接張り付ける工法。 ・工数が少なく済む。 ・通気が無いため、内部に湿気が溜まりやすい。 |
通気工法 | ・防水シートとサイディングの間に「通気胴縁(つうきどうぶち)」という木材を入れ、空気が通る隙間を確保してある工法。 ・湿気が抜けやすいため家の構造が劣化しにくい。 ・2000年頃から、標準工法に設定するところが増えた。 |
直貼り工法
サイディングの「直貼り工法」とは、外壁の防水シートの上にサイディングボードを直接張り付ける工法です。
元々一般的な工法で、多くの住宅で使用されていました。
しかし、この工法は万が一内部に水・湿気が入ると逃げ道がないため、内部結露しやすい(湿気が溜まりやすい)という欠点があります。
通気工法
直貼りと対になるのが、「通気工法」です。
こちらは、防水シートとサイディングの間に「通気胴縁(つうきどうぶち)」という木材を挟んで、空気が通る隙間を確保した工法です。
水分が逃げられるため、構造(中の大事な柱など)が劣化しにくい他、空気の層ができるため断熱効果が高まる、というメリットがあります。
2000年以降、多くのメーカーや工務店が標準工法にしています。
2章 自宅が直貼りか見分けるには、“水切り板金”をチェック!
直貼り工法は内側の構造ですが、外側からでも確認できる場合がほとんどです。
簡単な見分け方をご紹介しますので、業者の言っていることは本当なのか?と疑問に思われる方は、ぜひご自身でもチェックしてみましょう。
チェックしていただきたいのは、“水切り板金(土台水切り)”と呼ばれる部分です。
サイディングの一番下にある金属の部材です。
■水切り板金
ここで、サイディングと水切り板金の間のすき間にカードや物差しを差し込んで、奥行きがあるかをチェックしましょう。
奥行き:1~1.6cm程度しかなかった場合、直貼りの可能性があります。
(一般的なサイディングボードの厚みが1.2~1.6cmのため)
奥行き:2cm以上あったり、指が入るくらいの隙間があれば、通気工法になっています。
■直貼り工法
■通気工法
3章 直貼りで起こる不具合
直貼り工法の場合、表面の膨れ、剥がれといった不具合が起こる可能性があります。
内側にこもった水分の逃げ道がないため、塗膜のある表面から無理やり出ていこうとするためです。
※症状の有無やタイミング、程度はお家ごとに違います。 直貼りだからと言って、全ての家で100%この症状が起こるわけではありません。 築10年以上経っても目立つ症状がほぼないお家もあれば、部分的にひどく剥がれてくるお家もあります。 また、一度も塗装していないお家でも起こりますし、塗装して初めて目立って起こる場合もあります。 |
サイディングの外壁に著しい膨れ、剥がれを見つけた場合は、念のため直貼りかどうか業者に点検してもらうと良いでしょう。
4章 適切なメンテナンス方法と費用相場
直貼りのお家のメンテナンスは、
・不具合を確実に回避するため、張り替える
・できる限りリスクを取り除いて、塗装をする
という2パターンがあります。
それぞれの費用相場や、判断すべき症状をご紹介します。
ご予算はもちろん、現在の状態をしっかり診断してもらう必要がありますので、業者とじっくり打合せて決定してくださいね。
4-1 張り替え工事
「すでに膨れ・剥がれなどの症状がたくさん出ている」
「将来的な不具合の危険を確実に無くして安心したい」
という方は、張り替え工事をしましょう。
張り替え工事自体の相場は、4,000~9,000円/㎡、
2階建ての住宅を全面張り替えると、足場やその他の作業なども含め、およそ200万円以上はかかってきます。
直貼りによる不具合のリスクを100%なくすには張り替えしかありませんが、
かなり大掛かりな工事になってしまいますので、実施するかどうか、時期やタイミングなどは業者としっかり相談して決めましょう。
↓張り替え工事の費用について詳細は、こちらの記事をご覧ください。
4-2 透湿性塗料で塗装
「膨れ・剥がれなどの症状はほとんど出ていない」
「今はできるだけ出費を抑えたい」
という方は、透湿性塗料を使って塗装をしましょう。
塗装の費用相場は、1,800~5,000円/㎡、
一般的な2階建て住宅の全面塗装は70~150万円ほどかかります。
透湿性塗料とは、水分・湿気が通り抜けやすい塗料のことです。
湿気が剥がれを起こすリスクを軽減します。
透湿性の機能があるかどうかは、塗料カタログに記載があります。
逆に、絶対選んではいけないのは「弾性/微弾性塗料」という種類のものです。
小さなひび割れなどにもしっかり入り込んで追従してくれる、通常ならば良い機能なのですが、湿気の逃げ道も塞いでしまうため、直貼り工法のお家には適しません。
※透湿性塗料=100%不具合が起きない というわけではありません。 あくまで剥がれのリスクを減らすというものです。 塗装をご検討の方は5章、6章で注意点をご紹介していますので、そちらも合わせてご覧ください。 |
5章 注意!塗装しても保証は対象外
4-2で、透湿性塗料によるメンテナンスをご紹介しましたが、
直貼りのお家の塗装工事は基本的に「保証の対象外になる」ことをご承知おきください。
※ここでいう保証とは、各塗装会社が独自に出している塗膜保証のことです。
なぜなら、塗膜保証というのは「塗装工事の不備・施工不良が原因で起こった塗膜劣化」に対する保証だからです。
直貼り工法で塗装して膨れ・剥がれがあった場合、その原因は「直貼り工法というお家のもともとの構造」であり、「塗装工事の施工不良」ではありません。
そのため、保証の範囲外になってしまうのです。
万が一不具合が出てきた場合は、補修や塗りなおしには費用が発生する可能性がありますので、塗装を検討している方は、将来こうしたリスクもあることを理解しておきましょう。
逆に、「何かあっても全部タダで直しますよ!」という業者は注意しましょう。 直貼り工法についての知識・経験がない可能性すらあります。 無条件で無償でなんでもやって存続できる企業はありません。 電化製品の保証や生命保険などでも、きちんとした条件や適用範囲、上限金額などが決まっていますよね。塗装工事も同様です。 |
直貼りについては、どうしても不具合の出る可能性がある工法なので、各塗装会社も慎重にならざるを得ません。
残念に思うかもしれませんが、ここだけは理解しておきましょう。
そこで大切になってくるのがアフターメンテナンスです。
次の章で解説していきます。
6章 塗装後は必ず経過観察をしよう
直貼り工法のお家で塗装を行った場合は、業者に定期点検(アフター点検)を頼んで、経過観察をしてあげましょう。
万が一にも不具合が出てしまったときにすぐ対応できるようにするためです。
湿気の溜まりやすい北面や、水分の蒸発が多いベランダ面などを特に見てもらうと良いでしょう。
直貼りでも不具合の出ないお家も多いですから、見てもらって何もないのが一番安心です。
もし症状が現れても、軽度のうちなら補修できたり、今後の対応を考える余裕ができます。
例えば、
・まずは軽補修してまた様子を見る
・次回の塗装は、張り替え工事に予定変更する
など、今後のメンテナンススケジュールの見直しを業者と打合せましょう。
こうしたリスクもあることをきちんと正直に話してくれるところや、
アフターメンテナンスでの点検などが充実している会社を選ぶのが安心です。
まとめ
サイディングの直貼り工法は、広く普及した一般的な工法ですが、内部に湿気が溜まりやすく、塗装が剥がれる・膨れるという不具合が起こる危険性があります。
この不具合を回避するには、サイディングを張り替えるしかありません。
しかし、直貼り=100%不具合が起こる、というわけではないため、ご予算などとも相談して、リスクを減らす「透湿性塗料」で塗装する住宅も多くあります。
塗装する際は、塗装後の対応や保証についても注意が必要です。
きちんと直貼りの説明をしてくれて、アフターメンテナンスの点検などが充実している会社に依頼しましょう。
大切なお家のメンテナンスに、少しでもお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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