相見積もりをしていたらA社は断熱塗料、B社は遮熱塗料を提案してきた。
一体どう違うのだろう?効果があるのはどれ?
いざとなると迷ってしまいますよね。
一言で違いを説明すると、
断熱塗料は熱を伝わりにくくする為の塗料で、遮熱塗料は熱を反射し、遮る為の塗料です。
2つの塗料の一番の違いは、冬の寒さも遮ってくれるか否かです。
断熱塗料はその効果がありますが、遮熱塗料は寒さを遮る効果はありません。
なぜなら、遮熱塗料は熱を反射する役割のみを持っているためです。
また、断熱塗料は外からの熱や冷気を遮るだけでなく、室内の温度を逃がしにくくする効果があります。
この記事では、2つの塗料の違いを分かりやすく説明します!
また、それぞれの効果や長所、短所もお伝えするのでお家にあった塗料で施工できるようになります。
ぜひ最後まで読んでみて下さいね。
目次
1章 遮熱塗料と断熱塗料の違い
遮熱塗料と断熱塗料、それぞれの効果や耐用年数、費用、施工可能箇所を比較して紹介します。
一番の違いは得られる効果と塗料の費用です。
断熱塗料の方が機能が多い分、やや高い傾向にあります。
| 遮熱塗料 | 断熱塗料 |
効果 | 熱を反射し、屋根や外壁の表面温度を下げる。 | 熱や冷気の侵入を防ぎ、室内の温度を逃がしにくくする。 |
耐用年数 | 10~15年 | 15~20年 |
施工費用(㎡あたり、シリコン塗料) | 約2,300~3,500円 | 約3,500~4,800円 |
施工可能箇所 | 屋根・外壁 | 屋根・外壁 |
※塗装工事に必要となる足場代や人件費は、どちらの塗料も同じです。
※工事に掛かる期間は1~2週間程度ですが、天候により前後します。
施工可能箇所は共通していますが、それぞれ発揮する効果や耐用年数が異なります。
それでは、項目ごとに詳しくみてみましょう。
1-1 効果
遮熱塗料と断熱塗料で電気代や室温がどの位変化するのかを見てみましょう。
①遮熱塗料の場合
| 塗装後 |
屋根の表面温度※1 | 約6℃低下 |
室温 | 約2.4℃低下 |
電気代(一か月あたり) | 約3%低下 |
※金属屋根に塗装した場合。
色により温度の下がり方が異なる
同じ遮熱塗料でも、色により遮熱効果が少しづつ異なります。
なぜなら色には白に近くなると熱を反射し、黒に近くなると、熱を吸収する作用がある為です。
その為、同じ塗料でも黒色を選ぶよりも、白や白系の色の方がより高い遮熱効果を得られます。
②断熱塗料の場合
| 塗装後 |
室温 | 約3℃低下 |
電気代(1カ月あたり) | 約3%低下 |
1-2 耐用年数
遮熱塗料の耐用年数は10~20年、断熱塗料は15~20年程度です。
紫外線を吸収する樹脂が多く含まれていればいるほど耐用年数は長くなります。
なぜなら塗料は太陽光に含まれる紫外線で劣化し、効果が発揮できなくなってしまうためです。
断熱塗料の方が紫外線に強い樹脂が含まれているものが多い分、遮熱塗料よりも長持ちさせられます。
1-3 施工費用
| 遮熱塗料 | 断熱塗料 |
施工費用(㎡あたり、シリコン塗料) | 約2,300~3,500円 | 約3,000~4,800円 |
遮熱塗料と比べ、断熱塗料の方が1,000円近く(㎡あたり)高くなります。
その理由は2つあります。
①メインの断熱機能だけでなく、遮音・消臭機能など多機能な塗料が多いため
②製造しているメーカーが、他の塗料のメーカーよりも少ないため
持っている機能の多さや、耐用年数の長さで価格は変化します。
どんな機能を持ったお家で、どの位長持ちさせたいのかに合わせてお家にあった塗料を選びましょう。
2章 【シチュエーション別】塗料の選び方
断熱塗料と遮熱塗料、状況ごとに合った塗料を選ぶ方法を紹介します。
持っている機能が異なるため、知っているとより快適なお家に仕上がります!
2-1 冬も夏も快適に過ごすなら断熱塗料
冬も夏も快適なお家にするなら、断熱塗料を選びましょう。
なぜなら断熱塗料は室内の温度を外に逃がさない効果と、外の熱を室内に伝わりにくくする効果を持っているからです。
その為、冬の寒さが長く続く地域のお家への施工や、一年中快適なお家にしたい方にお勧めの塗料です。
遮熱塗料では寒さ対策は出来ないため寒さも和らげたいなら、断熱塗料を選びましょう。
2-2 夏の暑さ対策を重点的に行うなら遮熱塗料
暑さ対策を優先して行いたいなら、遮熱塗料を選びましょう。
なぜなら太陽光のもつ熱を反射し、塗装した箇所の表面温度を下げる役割があるためです。
他の建材と比べ、特に熱が伝わりやすい金属屋根や吹き抜けのお家への施工が人気です。
また、断熱材の入っていないガレージや工場の屋根、金属製の門扉へ施工することで真夏も快適に過ごせます。
真夏の部屋が暑すぎるので、快適にしたいという方なら遮熱塗料を選びましょう。
3 章 遮熱塗料・断熱塗料それぞれの長所と短所
以下の表で、それぞれの長所と短所をまとめています。
短所も分かると、後悔することなく工事をすることが出来るようになります。
| 長所 | 短所 |
遮熱塗料 | ・熱による劣化を抑えられる。 ・電気代を節約できる ・ヒートアイランド現象を抑制できる | ・冬の室内を暖かく保つ効果は無い。 ・汚れると効果が低減する。 ・選べる色に限りがある。 |
断熱塗料 | ・夏涼しく、冬暖かい家作りが可能。 ・遮音や消臭効果があるものもある。 ・電気代を節約できる | ・施工費用が高額になる。 ・選べる色や仕上がりに限りがある。 ・ノウハウがない職人が施工すると、剥がれ等の不具合が起こる。 |
遮熱塗料の長所と短所
【長所】①熱による劣化を抑えられる
遮熱塗料で施工すると、熱によるひび割れ等を防ぐことが出来ます。
なぜなら表面の温度が下げられる効果で、熱による影響を減らせるためです。
家の劣化は雨水や紫外線だけでなく、太陽光に含まれる熱も原因の一つです。
【長所】②電気代を節約できる
エアコンが効きやすくなり、電気代を節約できます。
屋根や外壁の熱が、室内に入ってこない為です。
とくに、断熱材の入っていない金属の屋根や、吹き抜けの家で効果を発揮します。
【長所】③ヒートアイランド現象の抑制
周りの気温を上昇させてしまう、ヒートアイランド現象を抑制できます。
遮熱効果により、建物に熱がこもらなくなる為です。
多くの家で施工することで、効果が見込まれる為、自治体によっては
遮熱塗料で工事する世帯に、補助金の給付を行っている場合があります。
【短所】①冬の室内を暖かく保つ効果は無い
塗装で、冬の寒さを対策したい方には不向きです。
なぜなら、塗装した箇所の熱を反射してくれる効果はありますが
室内の熱が逃げにくくなる効果は持っていないからです。
【短所】②汚れると効果が低減する
塗装した面が汚れてしまうと、本来の効果が発揮できません。
汚れてしまうと、熱を反射しにくくなってしまうためです。
その為、親水性が高い(雨水と一緒に汚れを洗い流してくれる効果がある)塗料での施工がお勧めです。
【短所】③選べる色に限りがある
塗料カタログに掲載されている色からしか選ぶことができません。
何故なら、遮熱塗料は特殊な顔料で作られているため、新しい色を作ろうとすると本来の効果が発揮できないためです。
選べる色はメーカーやそのカタログにより少しずつ異なります。
気になる色があるのなら、その色が掲載されている塗料での施工がおすすめです。
断熱塗料の長所と短所
【長所】①夏涼しく、冬暖かい家作りが可能
夏も冬も快適なお家を作りたいという方にお勧めです。
外からの熱を伝わりにくくし、室内の熱を外に逃がしにくくしてくれるので冷暖房が効きやすくなる為です。
【長所】②遮音や消臭効果があるものもある
塗料によっては、断熱効果以外の機能も持っています。
その為、遮音・消臭機能等でさらに快適な家づくりをしたい方に人気です。
【長所】③電気代を節約できる
断熱効果により、電気代を節約できます。
夏場節電できるのは、遮熱塗料と共通していますが、冬場も快適に保ちつつ節電効果を発揮するのは断熱塗料ならではです。
【短所】①施工費用が高額になる
遮熱塗料よりも耐用年数が長い物が多く、塗料自体の価格が高くなるためです。
機能性や耐久性に優れている為、次にメンテナンスするタイミングを延ばせます。
そのため、何度も足場を建てなくても良くなるメリットがあります。
【短所】②選べる色や仕上がりに限りがある
塗料によっては、艶がある仕上がりにできない、濃い色が選べない物もあります。
また、断熱効果を高める為の細かいビーズが入っている為、凹凸が出来てしまう場合があります。
【短所】③ノウハウがない職人が施工すると、剥がれ等の不具合が起こる
職人にノウハウがないと綺麗に仕上がらなかったり、正しい施工が出来ず後から剥がれてしまう恐れがあります。
その為、断熱塗料のメーカーの研修を受けていたり、施工実績がある業者から選ぶと失敗してしまうリスクを抑えられます。
まとめ
遮熱塗料と断熱塗料、それぞれが違った機能を持っています。
夏場を快適に過ごしたい方なら遮熱塗料、夏も冬も快適に過ごしたい方なら断熱塗料と、どのような対策をしたいかによってどちらを選ぶといいのか変わります。
快適なお家にし、やってよかった!と思える工事にするためにどんなお家にしたいのかで塗料選びを行いましょう。
【この記事を読んだ方におすすめ】
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