屋根の形にもいろいろあるけれど…。
「どれが一番いいの?」
「形で何が変わるの?」
と気になっているのではないでしょうか。
これからマイホームを建てられる方や、屋根のリフォームをお考えの方は、屋根の形状でも悩まれますよね。
屋根の形状にはたくさん種類があり、それぞれに特徴があります。
どんな形であれ、ご自宅の立地や状態に合わせて決めるのがおすすめです。
とはいっても種類ごとのメリットやデメリットが分からないと決められないですよね。
そこで本記事では、屋根の12種類の形状とそれぞれのメリット・デメリットをご紹介します。
また記事の後半では形状に合った屋根材を選べるように、おすすめの屋根材についてもご紹介しますのでぜひ参考にしてみてください。
デザイン性も機能性も最高のマイホームになるように、屋根の形状や材料にもこだわっていきましょう!
目次
1章 12種類の形状の特徴
12種類の屋根の形状についてご紹介します。
お好みのデザインや機能性でどんな形状にするか検討してみてください。
1-1 切妻(きりづま)屋根
切妻(きりづま)屋根は、本を開いて逆さまにしたようないわゆる“三角屋根”で、日本でも人気の形状です。
単純な造りのため、コストが安く雨漏りのリスクも少ないという魅力があります。
ただし、妻側(△の部分)は紫外線に当たりやすく劣化しやすいです。
■メリット
・コストが安い
・雨漏りのリスクが少ない(水はけが良い)
・屋根裏のスペースを広く確保できるので換気性が良い
・屋根面積が広いのでソーラーパネルを置きやすい
■デメリット
・「妻」や「破風板」などが劣化しやすい
・デザインが一般的で個性を出しづらい
・豪雪地域にお住まいの方
・ソーラーパネルを設置したい方
切妻屋根の事例
▪モダンなツートンの家
形状が単純な屋根は外壁の色合いを工夫することでおしゃれに。
▪爽やかな青と白の家
切妻屋根ならではの破風板(はふいた)が目立つデザインを利用して配色。
ブルーのアクセントが爽やかに仕上がっています。
1-2 寄棟(よせむね)屋根
寄棟(よせむね)屋根も、切妻屋根同様、使用されることが多い種類です。
頂点に棟(むね)があり、さらに四方に下がる棟があります。全方向に面があるため耐風性が高く外壁への負担も少ないです。
■メリット
・耐風性が高い
・落ち着きのある外観になる
・全方向の外壁を雨や紫外線から守ることが出来る
■デメリット
・屋根裏のスペースが狭くなりがちなので換気が必要
・コストが高い
・一つ一つの屋根の面が狭いためソーラーパネルが置けない場合がある
・棟が多いので雨漏りもリスクがある
・台風や強風の被害に遭いやすい地域にお住いの方
・落ち着いた見た目にしたい方
寄棟屋根の事例
▪明るい屋根がアクセントの家
屋根の色を明るくする事で家全体が暖かみのある雰囲気に。
▪淡いツートンのかわいらしいデザイン
落ち着きのある寄棟に淡い色を組み合わせると優しい印象になります。
1-3 片流れ(かたながれ)屋根
片流れ(かたながれ)屋根は、一方にだけ傾斜がある屋根のことです。
スタイリッシュなデザインに仕上がることから、近年増加傾向にあります。
面が大きいのでソーラーパネルを設置するのに向いている屋根の形です。
ただし、風には弱いので台風の際に注意が必要です。
■メリット
・デザイン性が高く、個性が出せる
・屋根面積が広いのでソーラーパネルが取付けやすい
・コストが安い
・屋根裏のスペースが広い
・高い位置に窓を設置できるので、部屋が明るくなる
■デメリット
・耐風性が低い
・雨樋への負担が大きくなる
・日照を得られる時間が少ない
・モダンなデザインの家にしたい方
・ソーラーパネルを取り付けたい方
片流れ屋根の事例
・ナチュラルモダンの明るい家
清潔感のある洗練されたデザインに。
▪ブラックの外壁でクールモダンの家
黒い外壁でも一部にホワイトを入れることが暗くなりすぎず、モダンなおしゃれに仕上がります。
1-4 陸(りく・ろく)屋根
陸(りく・ろく)屋根は平らな屋根の形状のことを言います。
モダンなデザインになることから一般住宅にも採用されることが多いです。
ただし、傾斜がないので水はけに注意が必要です。
■メリット
・屋上のスペースを有効的に使える
・掃除やメンテナンス作業が楽
・モダンな印象に仕上がる
■デメリット
・勾配がないので、排水をきちんとしないと水が溜まってしまう
・定期的な防水(床)メンテナンスが必要
・断熱性が低く、室内温度が上がりやすい
・ソーラーパネルを設置する場合、斜めに設置するための架台が必要になるので費用が高い
・モダンなデザインにしたい人
・屋上で家庭菜園をしたい人
陸屋根の事例
▪アクセントを入れて洗練されたデザイン
一部外壁の素材を変えることでデザイン性が高まりモダンな家に。
▪大胆な色分けがおしゃれな家
ネイビーのアクセントが目を惹くデザイン。
>陸屋根について詳しく知りたい方はこちら
1-5 方形(ほうぎょう)屋根
方形(ほうぎょう)屋根は四角錐の形の屋根です。
寄棟に似ている形で、四方に雨や雪を分散することが出来ます。
■メリット
・寄棟よりも棟が少ないので、雨漏りのリスクが低い
・雨や雪を四方に分散できる
・四方から外壁を守ることが出来る
■デメリット
・正方形の家でないとできない
・コストが高い
・ソーラーパネルの設置が難しい
・台風が多い地域にお住まいの方
・家が正方形の方
方形屋根の事例
▪色使いが個性的でおしゃれな家
ライムグリーンの外壁とホワイトの屋根が爽やかなデザイン。
▪青い屋根が映える爽やかな家
ホワイトの外壁に青い屋根が映えてスタイリッシュな印象になっています。
1-6 入母屋(いりもや)屋根
入母屋(いりもや)屋根は和風造りの家によくみられる形で、日本瓦と相性が良い形状です。
耐風性や断熱性、通気性が高いですが、形が複雑なためコストが高いです。
■メリット
・耐風性が高い
・断熱性が高い
・通気性が高い
・落ち着きのある雰囲気になる
■デメリット
・複雑な構造なのでメンテナンス費用が高くなる
・棟から雨漏りするリスクがある
・和風造りの落ち着いた家にしたい方
・快適な家にしたい人
入母屋屋根の事例
▪高尚感のある和風づくりの家
瓦と組み合わせ、厳かで落ち着きのある印象に。
▪スレートと合わせると爽やかに
スレートなどの薄い屋根と合わせると、より爽やかにスッキリとした印象に仕上がります。
1-7 半切妻(はんきりづま)屋根
半切妻(はんきりづま)屋根は、「はかま腰屋根」「ドイツ屋根」とも呼ばれる屋根です。
建築基準法で高さ斜線制限がある場合、半切妻にして高さを調節する事によって室内面積を変えずに建てることが出来ます。
■メリット
・室内面積を変えずに建てることができる
・ドイツ風のおしゃれなデザインにできる
■デメリット
・棟が多いので雨漏りのリスクが高い
・道路に面した家にお住まいの方
・家が密集した地域にお住まいの方
半切妻屋根の画像
▪タイル調のおしゃれなデザイン
玄関上の素材を変えておしゃれなデザインに。
半切妻屋根にする事で、敷地面積を有効に使用することが出来ます。
▪飾り板を付けることでドイツ風の家に
半切妻はドイツではメジャーな形状です。
外壁に飾り板を付けることでドイツ風の家にすることが出来ます。
1-8 差しかけ・招き屋根
差しかけ屋根(又は招き屋根)は屋根が段違いになっている形状の屋根です。
屋根と屋根の間に外壁があるのでそこに窓を設置することで光を室内に取り入れることが出来ます。
■メリット
・耐風性が高い
・コストが安い
・断熱性・通気性が高い
・部屋を明るくする事が出来る
■デメリット
・下側の屋根が雨漏りのリスクが高い
・明るい家にしたい方
・快適に生活したい方
・風の強い地域にお住まいの方
差し掛け屋根の事例
▪ブルー×ホワイトのツートン外壁
家の形に合わせた色分けで爽やかなデザインに。
▪個性的な色分けがおしゃれな家
凹凸部分で色分けする事で大人モダンな仕上がりに。
差し掛け屋根は外壁を一部色分け(又は素材分け)するとデザイン性がアップします。
1-9 越(こし)屋根
越(こし)屋根は切妻屋根の上に切妻屋根が乗っている形状の屋根です。
一般的な戸建て住宅で使用されることは少ないですが、断熱性や通気性が高い屋根です。
■メリット
・断熱性・通気性が高い
・光を入れやすい
■デメリット
・形が複雑でコストが高い
・メンテナンスにも技術が必要
・つなぎ目が多いので雨漏りのリスクが高い
・快適な家にしたい方
・風格のあるデザインにしたい方
越屋根の事例
▪ネイビー×グレーが爽やかな家
爽やかな色使いで落ち着きのある家になっています。
▪洋瓦とタイルがおしゃれな家
暖色系の洋瓦で暖かみのあるおしゃれな家に。
越屋根は屋根に近い外壁に窓が付けられるので、より室内を明るくすることが出来ます。
1-10 バタフライ型屋根
バタフライ屋根は屋根の端が高く、中央が低い形状の屋根です。
中央がへこんでいるので、雪下ろしの必要がない「無落雪(むらくせき)屋根」とも呼ばれます。
見た目も洗練されたモダンな仕上がりにする事が出来ます。
ただし、中央に雨や雪が溜まるので雨漏りしないようにきちんとした排水処理が必要です。
■メリット
・モダンな仕上がりになる
・雪下ろしの手間がなくなる
・ソーラーパネルの設置ができる
■デメリット
・排水処理をきちんとしないと雨漏りする
・雪の重さに耐えられる強度にする必要がある
・コストが高い
・モダンな仕上がりしたい方
・豪雪地域にお住まいの方
バタフライ屋根の画像
▪暖かみのある個性的なデザイン
出典:イシモク
暖かみのある色合いと個性的なモダンデザインがマッチしています。
▪自然を取り入れたデザインの家
日の光や景色を楽しむためのデザインの家。
1-11 錣(しころ)屋根
錣(しころ)屋根とは、寄棟屋根の上に切妻屋根が乗ったような形の屋根です。
一般的な戸建住宅に用いられることはほとんどなく、寺院などによく見られます。
■メリット
・厳かな雰囲気を出すことが出来る
■デメリット
・複雑な形のため、コストが高い
・つなぎ目が多いので雨漏りのリスクが高い
しころ屋根の画像
▪日本建築ならではの厳かな屋根
出典:清水建設
2段構えの形状で格調高い雰囲気を出すことが出来ます。
1-12 鋸(のこぎり)屋根
鋸(のこぎり)屋根は広い工場などで用いられることが多かった屋根です。
一般の戸建て住宅で用いられることはほとんどありません。
■メリット
・光を取り入れやすい。
■デメリット
・雨漏りのリスクがある。
のこぎり屋根の画像
▪白の飾りでおしゃれなデザインに
出典:エコセトラ 工務店
のこぎり屋根の特徴的なデザインとレンガの外壁の風合いがマッチしています。
2章 形状ごとのおすすめ屋根材4選
屋根の形状ごとのおすすめの屋根材をご紹介します。
屋根の形が決まったらそれに合わせて機能性やデザイン性の高い屋根を選んでいきましょう!
※陸屋根は屋根材でなく、防水屋根です。
◆屋上防水について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
2-1 スレート
スレート屋根は軽量で地震に強く、耐火性も高い日本ではポピュラーな屋根材です。
初期コストも安く、現在は7割ほどの戸建て住宅がスレートを使用しています。
見た目はシンプルでどんな家のデザインにも合わせやすいです。
ただし、水に弱いので陸屋根やバタフライ型屋根などの水はけが悪い屋根にはあまり向きません。
また、表面の防水効果が築5~7年ほどで切れてしまうので、定期的な塗装メンテナンスも必要になります。
◆スレートについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
2-2 和瓦・洋瓦
和瓦・洋瓦は、粘土瓦や、セメント瓦があります。
粘土瓦は耐久性が高く50~100年持つものもあります。
セメント瓦は水を吸うと劣化してしまうので、築7~10年ほどで塗装メンテナンスが必要です。
また瓦を屋根材として使用する場合は、瓦自体が重いので外壁も丈夫にする事をおすすめします。
瓦類は昔ながらの入母屋屋根や越屋根と相性が良く、落ち着きのある家に仕上がります。
和風にしたい方は和瓦、外国風のおしゃれなデザインにしたい方には洋瓦がおすすめです。
◆和瓦の特徴やメンテナンス方法について知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
◆洋瓦の種類や特徴を知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
2-3 ガルバリウム鋼板
ガルバリウム鋼板は金属の屋根材で、耐久性が高いです。
金属なので防水性能が高く、豪雪地域等では良く使用されます。
見た目はシンプルでどんな家にも合わせられます。
初期コストは少々高いですが、長期的に見ればコスパの良い屋根材です。
◆ガルバリウム鋼板の屋根の種類や選び方について詳しく知りたい方はこちら
2-4 アスファルトシングル
アスファルトシングルはシート状の屋根材で、海外で人気です。
軽量の薄いシートを張っていくので内部に水が入り込みにくく雨漏りのリスクが少ないです。
ただし、強風・暴風に弱いので高台にある家や片流れやねなどの風を受けやすい屋根にはあまり向きません。
デザインは洋風で、おしゃれな仕上がりが期待できます。
3章 どんな形状でも5年に一度は点検を依頼しよう!
どんな屋根の形状であっても、5年に一度は屋根の点検を行ないましょう。
屋根は基本的には住んでいる方も確認できない場所です。
どんなに耐久性の良い屋根材を使っていても、一か所不具合があるだけで雨漏りする危険性もあります。
家を建てて5年ほど経ったら屋根の定期点検をメンテナンス専門の業者に依頼しましょう。
◆屋根点検の概要と失敗しない業者選びはこちらの記事をご覧ください。
◆ドローンを使用した屋根点検についてはこちらの記事をご覧ください。
まとめ
いかがでしたか。
屋根の種類には様々あり、それぞれに特徴があります。
一般の戸建て住宅であれば、お住まいの地域や環境に合った屋根を選ぶことをおすすめします。
また、屋根の形状によっておすすめの屋根材も変わってきますので、形状と屋根材の相性も考えながら決めていきましょう!
最後までご覧くださりありがとうございました!
◆屋根材の寿命についてはこちらの記事をご覧ください。
→【写真付】屋根の寿命が一目瞭然!種類別症状と延命措置まで徹底解説
◆屋根だけでなく外壁のデザインにもお悩みの方はこちらの記事をご覧ください。
→【外壁デザイン決定版】コツと注意点がわかる!おしゃれ外観27選