お家を建ててから年数が経ちセメント瓦の色褪せが気になる様に…
塗装がそろそろ必要かと考えていたが、年数的には葺き替えを勧められている。
そもそも塗装でもたせる事は出来ないの?葺き替えってどれくらい費用がかかるの?
そんな疑問をお持ちの方も多いと思います。
セメント瓦は築年数が20年以上経っているお家の場合、葺き替え工事をおすすめしています。
瓦本体が使用出来る状態でも、下地や防水シートの耐久年数が20年~30年だからです。
もちろん現状の状態次第では塗装でもたせる事も出来ます。
しかし葺き替えは塗装と比較すると高額な工事なので不安も多いですよね。
そこで今回は、葺き替えにかかる費用相場、葺き替え出来る屋根材の種類、費用を抑えるポイント、工事業者を選ぶポイントなどをお伝えします。
工事前に必要な知識をしっかりつけて、納得できる工事が出来る様にしましょう!
【セメント瓦とは】 セメントと砂などを原料に加圧成型し乾燥させ、表面を塗料で塗装したもの。厚形スレートとも呼ばれます。 セメント瓦そのものには防水性がないので、防水性能を維持するために定期的な塗装メンテナンスが必要です。塗装によりさまざまな色に着色ができます。 形は日本瓦や洋瓦など様々なタイプがあります。 |
目次
1章 セメント瓦葺き替えの費用相場
この章では葺き替えにかかる全体費用相場、その内訳について説明していきます。
セメント瓦の葺き替えが必要でも、実際費用がどれくらいかかるのか分からないと、先に進めないと思います。
葺き替えを行う際にこれくらいの費用はかかるのだ、と参考にしてから、実際ご自宅の場合はいくらかかるのか、お近くの業者に見積もりを依頼してみましょう!
1-1 全体費用
セメント瓦の葺き替え費用は工事費全体で100~250万円程度かかります。
※屋根70㎡の戸建て住宅の場合の費用相場
足場設置や既存屋根の撤去などはどのお家でも共通して発生する「基本費用」です。
費用に差が出るのは、「どの屋根材に葺き替えるのか」のため、上記のようにパターン分けをしました。
続いては、費用の中身について紹介していきます。
1-2 葺き替え費用の内訳
葺き替え工事にかかる基本費用の内訳は
- ・足場代
- ・既存のセメント瓦の撤去・処分費
- ・下地の補修や交換にかかる費用
- ・新規屋根材の設置費用
- ・その他諸経費
などです。
以下が、施工費用、㎡単価です。
ご自宅の詳しい費用を知りたい場合は、お家に足場をかける㎡数、屋根自体の㎡数、を専門業者に計測してもらい、算出するようにしましょう!
次では、屋根材について解説していきます。
2章 葺き替える材料別費用と特徴
1章でもお伝えしましたが、葺き替えにかかる費用の差は「どの屋根材に葺き替えるのか」で決まります。
耐久性が良い素材や見栄えする屋根材はかかる費用も高くなります。
葺き替えに使用される屋根材は以下4種類が一般的です。
それぞれにかかる費用と特徴を押さえ、ご自宅に合ったものを選べるようにしましょう!
2-1 ガルバリウム鋼板
ガルバリウム鋼板屋根とは、アルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板の屋根材の事です。
葺き替え費用は130~200万円ほどかかります。
長所
・耐久性が高く、積雪のある地域・寒暖差のある厳しい環境下でも耐えることができる
・耐食性が高いため、傷がついても他の金属と違い錆びにくい
短所
・非常に薄い金属板でできているので、衝撃に弱くへこみやすい
・グレードによって遮音、断熱性能が低いものもある
2-2 アスファルトシングル
アスファルトシングルとは、ガラス基材にアスファルトを浸透させ、表面に石粒を吹き付け接着してある屋根材です。
葺き替え費用は130~190万円ほどかかります。
長所
・シート状で扱いやすく、複雑な屋根形状のお家にも施工できる
・石粒の色によってカラーバリエーションが豊富
・柔らかい素材のため、瓦屋根のような硬い屋根材のようにひび割れたり、金属屋根材のようにサビついたりしない
・石粒で覆っているため傷つきにくく、防水性・耐候性・耐久性に優れている
・軽量で耐震性も高く地震対策にも優れている
短所
・6mm程度の薄いシートのため、強風によって剥がれや破れが起きる可能性がある
・表面の石粒が落ちてくることがあり、放っておくと見た目が悪くなるだけでなく劣化を早める原因にもなる
2-3 軽量瓦
出典:ケイミュー『ルーガ』
軽量瓦とは、従来の重量のある瓦と違い軽い素材で作られた瓦のことです。
本来の粘土瓦だけでなく、ガルバリウム鋼板などの軽量屋根材を含むことがあります。
耐久性の高さは軽量瓦の方が上です。
軽量瓦で葺き替えを行う場合は130~240万円ほどかかります。
長所
・寿命が30年程度と長く、メンテナンスが楽
・屋根が軽くなるため、災害時に重みで家がつぶれる可能性が低くなる
短所
・見た目に瓦ほどの重厚感がなく簡素なデザイン
・費用が高額
2-4 スレート
スレートは、セメントに繊維材料を混合して作られた薄い板状の瓦です。
「カラーベスト」「コロニアル」と呼ばれることもあります。
スレートで葺き替えを行う場合100~140万円ほどかかります。
長所
・瓦など他の屋根材と比較すると価格が安い
・デザインやカラーバリエーションが豊富である
・耐震性・耐火性・断熱性に優れる
・多く出回っている一般的な屋根材のため施行可能な業者が多い
短所
・カビやコケが生えやすいため7~10年おきの定期的な塗装が必要
・30年を目処に再度葺き替えが必要
2-5 その他金属屋根
これまでの4種のほかに、まだあまりメジャーではありませんが、アルミ、ステンレス、銅などの金属屋根もあります。
■アルミ
出典:住宅総合研究所
■ステンレス
出典:住宅購入体験ブログ
■銅葺き
出典:FIRE WORLD
これらの金属屋根に葺き替える場合は、およそ300万円~かかります。※屋根面積70㎡の場合
長所
・基本的にメンテナンスフリーで、塗装でのメンテナンスがいらない。
・重量は日本瓦の1/10以下のため耐震性が高い
・塩害などにも強い
短所
・他素材の屋根と比較して初期費用が高額
・金属屋根は遮音、断熱性能が低く葺き替えの際に屋根裏断熱など対策が必要
・一般的に流通していないため工事施工業者が限られる
3章 お得に工事をする3つのポイント
この章ではお得に工事を行うためのポイントを3つご紹介します。
工事を行う費用相場が分かっても、実際かなりの金額がかかります。
事前にどういう点に注意すればよいのか知っておくことで、同じ内容でもお得に、賢く工事を行えるようにしましょう!
3-1 使用する材料を選ぶ
ご自宅、ご自身のライフプランに合った材料を選択する事で、将来的なメンテナンスにかかる分を含めたトータルの費用を抑える事が出来ます。
例えば、お家に長く住む意志がある場合は、耐用年数が長い材料を選択するのがおすすめです。
初期投資の費用は掛かりますが住んでいく中で定期的にかかるメンテナンスコストを下げることが出来るので結果的にお得に工事が出来ます。
■屋根材の耐用年数
目先の金額だけではなく、ご自宅のライフプランに合わせた耐久性の素材を選び、お得に工事を行いましょう!
3-2 傷みが広がる前に工事を行う
現状なにか傷み(劣化症状)が出ているのであれば、それが広がる前に工事するのが重要です。
セメント瓦は10年が手を入れる目安といわれています。
表面塗装の塗膜が劣化すると防水性が失われてコケやカビが発生したり、割れが生じたりして、さらに急速に劣化を進めてしまう恐れがあります。
■セメント瓦 割れ
割れが生じると隙間から雨水が浸入し下地を傷める原因となります。
下地が傷むと、葺き替えの際に下地交換や補修を行う費用が追加でかかってしまいます。
早めに手を入れる事で先々余計な費用がかからなくて済むのでトータルの費用を抑える事につながります。
点検をしてもらい傷みがでている場合は、更に傷みが広がりやすい台風・大雪の季節が来る前には工事に取り掛かれるように、準備を行いましょう。
3-3 補助金を使用する
葺き替えを行う場合、耐震改修工事として地方自治体の補助金の申請が出来るケースがあります。
工事を依頼する前に、自治体や国の補助金・助成金を調べましょう。
★耐震改修工事とは 基準値を下回る耐震性能の建物を補強する工事です。 屋根を軽くするなど、耐震性能の向上を目的とした住宅リフォームが該当します。 |
耐震リフォームで補助金や助成金を受け取る条件の例として以下3点があります。
・新しい耐震基準が定められた昭和56年5月31日より前に着工している建物
・地上3階建て以下かつ木造部分が2階以下の住宅
・工事後の耐震判定値が1.0以上になること
自治体によって細かい内容は異なりますが、上記を満たしている場合は耐震リフォームで補助金や助成金を受け取れる可能性があります。
工事期間や内容が補助金や・助成金の条件に合っているかを必ず調べましょう。
補助金について簡単に調べられるサイトはこちら
⇒地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト
また国の補助金や助成金については一覧でまとめられた情報がありません。
最新の制度を知りたい場合は国土交通省のホームページをチェックするか、「屋根 補助金 国土交通省」のようにインターネットで検索しましょう。
4章 信頼できる工事業者を選ぶための3つのコツ
屋根の葺き替え工事は、信頼できる業者を選ぶ事がとても大切です。
屋根は自分で登って見る事が出来ない部分であり、お家を守る重要な役割を果たす箇所でもあります。
下手な工事をされると雨漏りに直結する可能性があります。
ちゃんとした工事が出来る会社を選ぶ事で、長く安心してお家に住み続けられますので、今回は選ぶポイントを3つに絞ってご紹介します。
しっかり押さえててより良い工事をしてもらいましょう!
4-1 自社施工が出来る会社か
屋根工事は、自社施工が出来る会社を選ぶ事で、同じ内容の工事でも費用を抑えることができます。
★自社施工とは 下請け業者を使わず、工事を請け負った会社に所属している人のみで施工(工事)を行うこと。 ハウスメーカーやリフォーム業者は施工を行う人はほぼ社内には在籍していません。 請け負った工事の工程ごとに、専門の下請け業者に依頼して施工することが一般的です。 |
自社施工が出来る会社は、間に入る会社がないので、同じ内容の工事でも中間マージンがかからず施工が出来ます。
例えば、請負代金(お客様が支払う代金)が100万円だった場合には、下請けを使う会社と自社施工の会社では、20~40万円以上もの差が出ます。
自社施工が出来る会社を選ぶ方が、費用を抑えて質の良い工事を行う事ができます。
実際にホームページなどで工事会社を調べる際には、在籍している職人さんの写真が載っているか、セメント瓦の葺き替え工事の実績のある人がいるか、確認をして信頼できる業者を選ぶようにしましょう。
4-2 セメント瓦の葺き替え実績が豊富か
セメント瓦の工事実績が豊富な工事会社を選びましょう。
どの工事会社も、それぞれ得意としている工事があります。
その中でも依頼したい工事の実績が豊富であれば、様々な立地条件や過去に扱っている事例・種類の絶対数が多いため、どんなお家の状況にも対応できるノウハウがあります。
工事をご検討されている物件に近い事例の工事があれば安心して依頼する事が出来ます。
工事実績は、工事会社のホームぺージで見ることが出来る会社がほとんどです。
また、ホームぺージを検索した時に見ていただきたいのが、「お客様の声」や「お客様本人の写真」の掲載です。
お客様の声や写真が多い=”この会社になら個人情報を載せても良い”と納得したお客様の数が多い=良い工事を行う会社 |
という、実際に工事を終えた人たちの意見も判断材料の1つになります。
■ホームページやパンフレットの例
出典:ユーコーコミュニティー
上記の内容をふまえた上で、工事実績が豊富な会社を選びましょう。
4-3 近隣宅への配慮を行ってくれるか
葺き替えを行う際には、近隣の住宅への挨拶や配慮を行ってくれる工事会社を選びましょう。
葺き替え工事は、足場仮設時の音や、既存屋根の撤去・処分時の音、汚れやほこりの飛散が発生します。
また、工期も最低2週間~長い場合は1ヵ月程度かかる場合もあり、何も説明が無いまま工事を行うと近隣からのクレームになる可能性があります。
ご近隣への配慮がとても重要な工事なのです。
工事会社と契約を行う前に、近隣の方への
- ①工事挨拶
- ②工事開始時期、工事内容、工程の説明
- ③緊急時の工事担当者の連絡先
を最低限伝えてくれる会社か確認してから、依頼をするようにしましょう。
毎回きちんと挨拶を行っている会社は、決まった流れがあります。
どういう粗品を用意してどのタイミングでお渡ししていますか?と直接確認してみましょう。
■近隣挨拶の粗品やお手紙の例
まとめ
セメント瓦の葺き替えをご検討中の方は、まず全体の費用相場を確認しましょう。
具体的なご自宅の工事金額は、㎡数が分からない場合は工事業者に点検、見積もりを依頼して下さいね。
その上でご自宅の今後のライフプランと照らし合わせて、どの屋根材を選ぶのが良いのか検討しましょう。
葺き替え屋根材の耐用年数は以下の通りです。
長く住むなら耐用年数の長い屋根材を選ぶとトータルコストは抑える事が出来ます!
また補助金を使用できるかの確認も工事前に必ず行って下さいね!
工事業者の選定は以下3点に注目してホームページ等の確認も事前に行うようにしましょう。
- ①自社施工が出来る会社か
- ②セメント瓦の葺き替え実績が豊富か
- ③近隣宅への配慮を行ってくれるか
信頼できる工事業者の選定を行い費用面含め、納得のいく工事を行って下さいね!
最後まで読んで頂きありがとうございました!
◆葺き替えで特に人気なのはガルバリウム鋼板です。より詳細な費用相場などはこちらをご覧ください。
ガルバリウム鋼板の屋根工事価格と損しないための見積りチェック3つ