「外壁塗装をするなら、しっかり長持ちするものがいい。」
「今後しばらくは手間がかからないようにして安心したい。」
お金をかけて行う工事ですから、当然このように考えますよね。
しかし、どうすれば長持ちする塗装にできるのか、具体的なことはあまり分からない方も多いのではないでしょうか。
一般的な住宅の外壁材は、正しくメンテナンスすれば40年~60年使い続けることができます。
外壁塗装の耐久性は、最高で20~25年ほどです。
最大限に長持ちする塗装ができれば、メンテナンス回数は少なく済み、コストパフォーマンスも良くなります。
塗装工事の回数が少なくなるのは、費用面でも気持ちの面でも嬉しいですから、やはり塗装は長持ちさせたいですね。
長持ちする外壁塗装に重要なのはまず【塗料】の選び方です。
また、【美しさ】という観点でもコツがあります。
そして全体に関わってくるのが【工事内容】です。
本記事では、これら長持ちする外壁塗装に必要なポイントを、初めての方でも分かるように丁寧に解説していきます。
できる限り具体的にお伝えしていきますので、ぜひ1つ1つ実践してください。
そして最後には、すべてのポイントを実現するために欠かせない【業者選び】についてもまとめました。
実際に工事をする業者が信頼できるところでなければ、長持ちする外壁塗装はできません。
ぜひ最後までお読みいただき、長く安心できる最高の外壁塗装を実現してください。
1章 外壁塗装が長持ちする【塗料】の選び方
外壁塗装が長持ちするかどうかは、まずは塗料が重要です。
ここでは塗料選びのポイント4つを解説していきます。
業者に見積もりを取る時点で、「長持ちさせたいので、こういう塗料で提案が欲しいです」と伝えられるようにしましょう。
1-1 紫外線に強いフッ素や無機塗料
塗装の耐久性とは「紫外線に対する強さ」で、塗料の成分によって決まります。
長持ちさせたい方は、フッ素塗料や無機塗料を選びましょう。
成分によるグレードの違いは以下の通りです。
※3回塗りの単価相場
耐久性が高くなるほど塗料の単価も上がるので、ご予算と照らし合わせて選ぶのをおすすめします。
迷っている方は、見積もり時に複数パターンの見積もりを作ってもらって、塗料による具体的な費用差を比べましょう。
1-2 建材に合った下塗り塗料
続いて大切なのは下塗り塗料です。
※一般的な3回塗り塗装のうち1回目に使う塗料のこと。
必ず外壁材の種類・状態に合った下塗り塗料を使いましょう。
なぜなら下塗りは、上塗り塗料と外壁材の密着を良くするためのもので、これが合っていないと塗装が剥がれやすくなってしまうからです。
どの下塗りを使えば良いかは、塗料カタログやメーカーHPをチェックしてください。
【例:関西ペイント アレスシルクウォール】 出典:関西ペイントHP この塗料の場合は、 ・モルタル外壁→アレスホルダーGⅡ ・サイディング外壁→アレス水性エポレジン という下塗りを使えばいいことが分かります。 |
このように、外壁の種類によって別々の下塗り塗料が指示されている塗料が多いです。
(外壁劣化の程度によっても下塗りが変わることがあります。)
必ずご自宅の外壁に適したものを選びましょう。
1-3 水性より油性 ※塗料による
塗料は薄めるものによって「水性」と「油性」に分かれます。
水で薄めるものが水性、塗料用シンナーで薄めるものが油性(弱溶剤)です。
一般的には、同じ種類の塗料なら耐久性が高いのは油性の方です。
身近なペンや絵の具と同じように、水性より油性の方が落ちにくく、紫外線にも強いためです。
【例:エスケー化研 セラタイトSi】
▲どちらもエスケー化研のシリコン樹脂塗料ですが、水性より油性の方が促進耐候試験で長い時間光沢を保っていることが分かります。
※促進耐候試験…日光に見立てた強いたランプを長時間当てて、塗料の光沢(つや)の減少を見る試験。80%が劣化が始まるころの目安。期待耐用年数の参考にされる。 メーカーの試験方法にもよるが、キセノンランプ300時間で1年相当換算。 |
ただし現在は、メーカーによって油性に負けない耐久性の水性塗料が多数あります。
環境への配慮で、水性塗料の技術が進歩しているからです。
ですので、期待耐用年数を比べてみると
「A社の油性シリコン塗料」より「B社の水性シリコン塗料」の方が長持ちする、ということもあります。
一概に油性の方がいい!とは限りません。
カタログなどをよく見て、耐用年数をチェックしましょう。
また、油性塗料は「臭いが強い」というデメリットもあります。
そのため、戸建住宅の外壁塗装は水性が主流になっています。
基本的には「耐久性の高い水性塗料を使いたい」と業者に伝えて、水性塗料の見積もりを作ってもらいましょう。
『外壁は水性、屋根は油性』という組み合わせが人気!
屋根は紫外線による劣化が起きやすいため、外壁以上に耐久性が重要です。
しかも高い所は塗料の臭いがほとんど気にならないので、油性のデメリットが少なくなります。
このように、外壁と屋根で塗料を使い分けるのも近年のトレンドです。
>水性と油性の違いをより詳しく知りたい方はこちら
1-4 1液型より2液型 ※塗料による
塗料は、使うときに必要な材料によって「1液型」と「2液型」に分かれます。
主剤塗料+希釈剤で塗装するものを「1液」
主剤塗料+硬化剤+希釈剤で塗装するものを「2液」と言います。
一般的には、耐久性が高いのは2液型の方です。
硬化剤を混ぜて使うため、塗膜がより強固になるからです。
しかしこちらも、水性油性と同様で、塗料次第です。
1液塗料の方が作業の手間が少ないため、耐久性の高い1液塗料も多数開発されています。
2液塗料より耐久性が高い1液塗料もありますので、塗料カタログをよく見て耐用年数を確認しましょう。
>1液と2液の違いをより詳しく知りたい方はこちら
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2章 見た目の【美しさ】も長持ちさせるコツ
塗装は美観(見た目)も気になりますよね。
綺麗になった我が家を長く美しく保つにもコツがあります。
これからご紹介する3点はぜひ押さえておきましょう。
2-1 色褪せしやすい原色は避ける
赤、黄色など原色系の色はお勧めしません。
なぜなら、強い色は色褪せしやすく劣化が目立つからです。
また、周囲の景観ともマッチしづらく、浮いてしまう可能性もあります。
原色を使いたい場合は、少しトーンを落とした色を選ぶ・全面ではなくワンポイントで使う、など工夫しましょう。
2-2 汚れが付きにくい塗料を選ぶ
塗料の中には「低汚染塗料」という、汚れが付きにくい/汚れをセルフクリーニングしてくれるようなものがあります。
綺麗な状態を長持ちさせたい方は、ぜひ低汚染塗料を選びましょう。
代表的なものは、親水性を高めたタイプの塗料です。
★親水性=水となじみが良いこと。 雨が降った時に汚れが水と馴染み、汚れが落ちやすい効果があります。 |
キレイを長持ちさせたい方は、見積もりの段階で施工業者に「低汚染塗料/汚れが付きにくい塗料にしてほしい」と伝えましょう
2-3 今のデザインを長く楽しむにはクリヤー塗料
細かな柄のついた壁、タイル調にデザインされた壁などのおしゃれなお家も多いですよね。
その新築時の外壁を活かしたい人は、クリヤー塗料を選びましょう。
クリヤー塗料…無色透明な塗料のこと。
元の色柄をそのまま残すことができます。主に多色サイディングに使われます。
■クリヤー塗料の施工前後 ツヤが復活し、元のデザインのまま新築時のような仕上がりになります。 |
ただし、クリヤー塗料は築10年以上経っているなど、状態によっては使えない場合があります。
見積もり時に「クリヤー塗料を使いたいですが可能ですが」と聞き、診断してもらいましょう。
>クリヤーで外壁塗装するときの注意点はこちら
3章 長持ちさせるために必要な【工事内容】
長持ちのために塗料選びと同じくらい大切なのが、実際の工事内容です。
どんなに良い塗料でも、誤った使い方や雑な作業では性能が発揮できません。
長持ち・品質に関わるポイントを5つ解説します。
塗装業者がこういったところをきちんと守ってくれるかどうか、事前に話を聞くなどして判断していきましょう。
3-1 塗装前の高圧洗浄
高圧洗浄は、外壁面に付いた汚れ、ほこり、カビ、コケ、藻などを高圧の水流によって洗い落とす作業です。
洗浄することで塗料の接着が良くなります。
逆に、きちんと洗浄していないと、塗装が剥がれやすくなってしまいます。
接着剤も汚れがついたままの場所では効きにくいのと同じです。
一般的な2階建て住宅だと半日ほどかかる工程です。手を抜かず丁寧にやってもらいましょう。
3-2 ひび割れの補修
外壁にひび割れや欠けがあったら、コーキング材などを使って補修をします。
ひびを埋めないまま塗ってしまうと、塗りたては分からなくても、そのうち同じ場所にひびが浮き出てきてしまいます。
そこから水が浸入すると、塗装が剥がれやすくなりますし、お家自体が傷んでしまいます。
お家を水から守るためにも、ひび割れ補修をしっかりしてくれる業者が安心です。
劣化が少ないタイミングでの塗装がベスト!
長持ちのためには、そもそもひび割れが起きる前に塗装工事するのが一番です。
ひび割れが多いということは、すでに外壁材が弱っている状態だからです。
同じ塗装でも、弱った外壁より健康な状態の外壁の方が長持ちします。
いつごろ塗装しようか迷っている方は、できるだけ早めの塗装をおすすめします。
3-3 正しい塗り回数(一般的に3回塗り)
外壁・屋根塗装は基本的に3回塗りです。
きちんと正しい回数で塗ってくれるか確認しましょう。
塗り回数が少ないと塗膜の厚みが足りず、耐久性が落ちてしまうからです。
例えば、工期を縮めて人件費を浮かせたい業者が、塗り回数を減らす手抜きをすることがあります。
逆に、回数が多すぎるのもNGです。
塗膜は厚すぎても剥がれやすくなるからです。
たまに「うちは安心の4回塗りです!」という塗装屋さんを見かけますが、注意してください。
それで長持ちするなら最初から塗料メーカーがカタログに書いているはずですので、業者の売り文句を信じてはいけません。
塗装を長持ちさせるためには、まずは正しい回数塗り重ねてもらいましょう。
■カタログをチェック! 出典:関西ペイント「アレスダイナミックTOP」 カタログの仕様書欄を見ると塗り回数が分かります。 この塗料は、「下塗り1回+上塗り2回の、計3回塗り」ということになります。 |
3-4 「標準所要量」や「希釈率」を守る
塗料は、正しい量を使うことも重要です。
「標準所要量」…1㎡あたりに使う塗料の量
「希釈率」…水やシンナーを混ぜる割合
を、決められた通りの基準を守っている業者に塗装してもらいましょう。
悪い業者は、コスト削減するために塗料を大幅に薄めて使います。
薄めすぎた塗料では、塗膜が薄くなって耐久性が落ちてしまいます。
現場できちんと計量するなど、正しい量を使って塗装してくれる業者を選びましょう。
■カタログをチェック! 出典:関西ペイント「セラMシリコン」 「標準所要量」や「希釈率」もカタログにきちんと指示があります。 薄めすぎても濃すぎてもいけません。 |
3-5 「乾燥時間」を守る
塗装の際は、「乾燥時間」も重要です。
実は各塗料には、塗り重ねる間は○時間乾かす、という決まりがあります。
これをきちんと守ることで、耐久性のある強い塗膜ができあがります。
乾燥時間を守らずに塗り重ねると、きちんと塗膜が作られず、耐久性が落ちてしまいます。
また、早期の剥がれなどの不具合が起きる原因にもなります。
手抜き業者は、工期を短くして人件費削減するために、時間を守らないことがあるので要注意です。
「うちは仕事が早いので1日で3回塗り全部できますよ!」というのは大変危険です。
工事が早く終わるのは良いことのように聞こえるかもしれませんが、品質が下がるだけなので騙されないように気をつけましょう。
■カタログをチェック! 「乾燥時間」または「塗装間隔」と書いてあることが多いです。3~4時間で乾くものから8時間以上空けるものなど塗料によって様々です。 |
4章 すべては【業者選び】が肝!信頼性を見抜くチェックポイント
ここまで紹介した内容は、本来はすべての塗装業者がきちんとやるべきことです。
しかし残念ながら、利益優先で作業を手抜く会社や、そもそも正しい知識がないまま工事をしている職人もいます。
必要なのは、ここまで紹介した内容を確実にやってくれる信頼できる塗装業者を見つけることです。
最後のこの章では、長持ちする高品質な塗装ができる業者か判断するための重要ポイントを3つ解説します。
見積もりや工事依頼のときには必ずチェックしてくださいね。
4-1 見積もり前の点検が丁寧か
見積依頼をした時に、現地に来てお家の状態を丁寧に点検してくれる業者を選びましょう。
具体的には、
・外壁と屋根あわせて60~90分程度
・目立つ場所だけでなく普段見えにくい場所(屋根、2階まわり)も見てくれる
・気づきにくい初期症状(小さい劣化)もないか確認してくれる
・点検時には写真を撮って提出してくれる
というような点検です。
パッとみただけ、図面のみで算出、お隣と似た作りだから全く同じ見積もり、という業者はNGです。
なぜなら、お家の状態を見極めて塗料選びや施工内容を決めないと、せっかく塗っても長持ちしない可能性があるからです。
例えば、下地が傷んでいて本来なら「下地強化剤」というものも使った方がよかったのに、普通に塗ってしまったせいで不具合が起きてしまう場合や、
前回の塗膜と相性が悪い塗料を使ってしまったせいで、1~2年で剥がれてしまう場合などは、事前の診断ミスです。
長持ちする外壁塗装のためには、見積もり前の点検・診断を丁寧にして、あなたのお家に最適な提案をしてくれる業者を選びましょう。
4-2 メーカー保証が出せるか
塗料を作っている塗料メーカーからも保証が出る業者を選びましょう。
なぜなら、メーカー保証は「メーカーの定めた仕様、扱い方できちんと塗装していることをメーカーが認めた業者」しか出せないものだからです。
具体的には、
・事前診断したお家の情報をメーカーに提出。お家に合う塗料かどうかチェックが入る。
・お家の塗装面積データも管理。必要な量の塗料缶数が発注・使用されているか確認される。
・発注量、届け先などを把握している「塗料販売店」とも連携して情報を照らし合わせる。
・技術研修、情報提供などを受けてレベルを高めている。
・メーカーが信頼できる会社体制、経営状況である。
など、様々な条件をクリアしてはじめて、メーカーは保証を出してくれるのです。
これなら塗料を薄めたり合わない塗料を使ったりされる心配もなく安心ですね。
万が一不具合が出てしまうとメーカーも保証対応をしなくてはならないので、信頼できない業者にはメーカー保証は出しません。
長持ちする、正しい塗装工事をしてくれるか判断するポイントとして、メーカー保証が出せるかを確認しておきましょう。
※絶対にメーカー保証を付けてもらうべき!というわけではありません。
メーカー保証が出る塗料はごく一部だからです。
ご自宅にはメーカー保証付き塗料は適さなかった、ということもあります。
大切なのは、「メーカーから信頼されている会社だ」というところです。
そういう会社は、どんな塗料でも基本的な品質レベルが良いと考えられます。
メーカー保証を使う使わないは別として、業者選びの観点として押さえておきましょう。
4-3 職人+αの二重チェックをしてくれるか
塗装工事の際中に、職人以外の部署、担当者なども見に来て二重チェックしてくれる体制のところを選びましょう。
塗装は職人の腕も大切ですが、どんなベテラン職人も人間ですから、ミスがゼロにはならないからです。
他の目からのチェックがあれば、見落としを防ぎやすくできます。
また、別部門からの確認があると職人側も緊張感をもって仕事をすることが出来るので、品質も上がっていきます。
したがって、契約前に必ず、現場のチェックをどのように行っているのか確認してみましょう。
「うちは自慢の職人がいます!」「国家資格を持っていますから!」と言うだけで、工事中は職人に任せっきりの業者には注意が必要です。
4-4 アフターメンテナンスに来てくれるか
塗装は、アフターメンテナンスの制度があって長い付き合いをしてくれる業者を選びましょう。
なぜなら完璧に塗装をしても、台風などの自然災害、モノをぶつけてしまった、などの想定できないトラブルで塗装が傷むことがあるからです。
小さな傷でも放っておけばそこから塗装や外壁材は劣化してしまう可能性があります。
しかし早い段階で気づいて軽補修などをしておけば、塗装は長持ちします。
悪い業者は、工事をしたらやりっぱなし、その後は連絡がつかない、気づいたら会社自体が無くなっていた、という事例もあるので注意してください。
塗装やお家を長く維持するには、まめなメンテナンスが大切です。
できるだけ、地元にあっていつでも気軽に相談できる、アフターメンテナンスができる業者を選びましょう。
まとめ
外壁塗装を長持ちさせるための方法を具体的に解説しました。
1章 外壁塗装が長持ちする【塗料】の選び方
・紫外線に強いフッ素や無機塗料
・建材に合った下塗り塗料
・水性より油性 ※塗料による
・1液型より2液型 ※塗料による
2章 見た目の【美しさ】を長持ちさせるコツ
・色褪せしやすい原色は避ける
・汚れが付きにくい塗料を選ぶ
・今のデザインを長く楽しむにはクリヤー塗料
3章 長持ちさせるために必要な【工事内容】
・塗装前の高圧洗浄
・ひび割れの補修
・正しい塗り回数(一般的に3回塗り)
・「標準所要量」や「希釈率」を守る
・「乾燥時間」を守る
4章 すべては【業者選び】が肝!信頼性を見抜くチェックポイント
・見積もり前の点検が丁寧か
・メーカー保証が出せるか
・職人+αの二重チェックをしてくれるか
・アフターメンテナンスに来てくれるか
特に大切なのは、4章に紹介した業者選びです。
信頼できる業者と出会い、耐久性も見た目も長持ちする安心の外壁塗装をするために、ぜひ本記事の内容を実践してください。
最後までお読み下さりありがとうございました。
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