屋根のカバー工法って大体いくらくらいかかるの?
塗装と比べてどれくらい費用差が出るの?
と、気になっている方も多いのではないでしょうか。
カバー工法は、塗装で直せないほど劣化してしまった屋根や、塗装よりも長持ちする工事をしたい方が選択する屋根工事です。
実際、屋根塗装工事と比べると費用は高くなります。
しかし、耐久性の高い屋根にできる工事ですし、長期的なコストパフォーマンスは塗装よりも良くなるため、人気のある工事です。
本記事では、屋根カバー工法の費用相場とその内訳を具体的に解説します。
実際の見積もり事例も見ながら、適正価格を把握して、安心して工事に臨みましょう。
さらに、工事費用をお安く抑えるコツと、良い工事をしてくれる業者の見極めポイントもご紹介します。
適正価格で長期間安心できる工事にするために、ぜひ最後までお読みくださいね。
目次
1章 屋根カバー工法の費用相場
屋根カバー工法は、主にスレート・コロニアル屋根に対して行う工事です。
屋根面積や使う屋根材、細かな仕様などによって金額は変わってきます。
まずは、塗装や葺き替えなどの工事と比べた場合の費用感を掴み、それからカバー屋根材による違い、詳細な内訳をみていきましょう。
※瓦屋根はもとが重いため、さらに上に重ねるカバー工法はできません。ご注意ください。 |
1-1 概算の費用相場
屋根カバー工法のおおよその費用相場は80~150万円です。
塗装工事と比べると手間も材料費もかかるため費用は高くなりますが、葺き替え工事(屋根交換)と比べた場合は、廃材の撤去・処分が無い分少し安くなります。
■2階建て30坪、スレート屋根80~100㎡の概算
工事種類 | 費用相場 |
塗装 | 50~70万円 |
カバー工法 | 80~150万円 |
葺き替え | 100~200万円 |
費用に幅があるのは、使う屋根材の金額による違いが大きいです。
それでは次に、よく使われる屋根材を見ていきましょう。
1-2 屋根材3種類の費用と特徴
スレート屋根のカバーによく使われるのは、ガルバリウム鋼板/アスファルトシングル/軽量瓦です。
デザインの好みや耐用年数、機能性で選んでいきます。
それぞれを簡単にご紹介します。
①ガルバリウム鋼板
ガルバリム鋼板とは、アルミニウム・亜鉛合金めっきの加工金属です。
金属の中でもさびや腐食に強いのが特徴です。
単価 | 5,000~10,000円/㎡ |
耐久性 | 20~30年 |
デザイン | シンプルですっきりした見た目。 石粒付きや細かい凹凸をつけた高級タイプもある。 |
メリット | 常に軽量で地震の際の負担が少ない。 トタンよりも錆びにくく、耐候性が高い。 |
デメリット | 薄い金属のため、雨音などが響く可能性がある。(断熱材付のものであれば軽減される)。 |
②アスファルトシングル
アスファルトシングル屋根とは、シート状の屋根材です。
柔軟性のあるゴムシートにアスファルトや石材の砂粒を圧着しています。
単価 | 5,000~8,500円/㎡ |
耐久性 | 15~30年 |
デザイン | 洋風でおしゃれな外観。 柔軟な素材なので、複雑な形の屋根にも対応しやすい。 |
メリット | 非常に軽量で地震の際の負担が少ない。 色褪せしにくい。 |
デメリット | 商品によってグレードの幅がある。 再塗装ができない。断熱性がない。 |
③軽量瓦
出典:ケイミュー『ルーガ』
軽量瓦は、セメントを主成分にした瓦です。
従来の粘土瓦の重厚感を保ちつつ、軽量化できています。
※メーカーによっては金属製の瓦もあります。
デザイン | 重厚感があり、和風建築に非常に適している。 |
単価 | 6,000~12,000円/㎡ |
耐久性 | 20年~40年 |
メリット | 非常に耐久性が高く、メンテナンス回数が少なく済む。 |
デメリット | 費用が高額。 屋根の形状によっては施工できない場合がある。 |
1-3 見積もりの細かい内訳
続いて、工事費の内訳をみていきましょう。
カバー工事はいくつもの工程によって成り立っています。
それぞれの相場は以下の通りです。
カバー工法の費用内訳
作業内容 | 単価相場 |
足場仮設 | 700~1,000円/㎡ |
ルーフィング(防水紙) | 1,300~1,700円/㎡ |
既存棟板金・雪止め金具等撤去・処分 | 30,000~55,000円/棟 |
棟板金施工 | 5,000~8,000円/m |
換気棟施工 | 20,000~45,000円/箇所 |
雪止め金具施工 | 1,800~3,000円/m |
軒先、ケラバ、谷板金処理 | 2,500~5,000円/m |
下地補修 | 500~2,000円/㎡ |
管理費・諸経費 | 全体の5~10%、または数万円 |
各工程の内容
・足場仮設
高所で安全に良い工事をするために、足場を組みます。屋根工事には必須です。
・ルーフィング(防水紙)
屋根用の防水シートを全面に貼ります。
・既存棟板金・雪止め金具等撤去・処分
屋根にある金属部材は、そのままだと表面が凸凹してしまうため、全て撤去します。
・棟板金施工
屋根の頂上にある棟(むね)を抑える部材を取り付けます。
・換気棟施工
換気棟とは、屋根内の通気を良くする部品です。屋根の状態やお客様のご要望によって取り付ける場合があります。
提案に入れてくれる業者だと良心的です。
・雪止め金具施工
雪が滑り落ちてこないようにする金具です。
特に家が密集している住宅地などは、隣家の敷地に雪が落ちたりしないように、設置する方が増えています。
・軒先、ケラバ、谷板金処理
屋根の先端部や、壁とのつなぎ目、谷になっている箇所などは金属部品を使って、雨漏りしないように処理します。
屋根の形状が複雑だと、この板金部分も増える場合が多いです。
・下地補修
屋根材の状態によっては、ある程度の汚れを落としたりして表面を整える・補強する作業が入ることがあります。
※下地板(コンパネ)を追加して補強する必要がある場合や屋根の傾斜を変更する場合は、別途費用がかかります。
・管理費・諸経費
工事にかかる細かな手間や、交通費、資材の運搬費などが含まれます。
業者によって、一式で定額○万円の場合と、全体の工事費の○%の場合があります。
2章 見積事例5パターン
それでは、実際によくある見積もりの事例を見てみましょう。
各屋根材や屋根面積が異なる例を5つご用意しましたので、ご自宅に近いものを参考にしてみてくださいね。
■28坪、屋根78.9㎡、ガルバリウム鋼板施工
■35坪、屋根87.8㎡、石粒付きガルバリウム鋼板施工
■31坪、屋根75.5㎡、アスファルトシングル施工
■40坪、屋根97.0㎡、軽量瓦施工
■29坪、屋根81.6㎡、ガルバリウム鋼板施工
3章 カバー工事の費用をお安く抑える2つのコツ
屋根カバー工事は、どうしても塗装より高額なのが不安な方も多いと思います。
ここでは、工事費用を少しでもお安くお得にするコツを2つに絞ってご紹介します。
家計に優しくより良い工事にするために、ぜひ実践してみてください。
3-1 地元の専門業者に依頼する
屋根カバー工事は、地元にある屋根工事・住宅リフォームの専門業者に依頼しましょう。
なぜなら、大手リフォームチェーンやハウスメーカーに依頼すると“中間マージン”が発生して割高になるからです。
自宅から遠いところにある大きな会社に頼んでも、実際に工事に入るのは地元の下請け業者です。
同じ工事内容なら下請けを使わない地元の専門業者に依頼した方がお安く工事できます。
金額が大きな工事だからこそ、下請けを使っていない地元業者を選びましょう。
3-2 外壁塗装と一緒に行う
屋根カバー工事は、外壁塗装工事のときに一緒に行うのがベストです。
なぜなら、足場の組み立てが1回で済むからです。
屋根カバーのみでも外壁塗装のみでも、足場は必須です。
足場費用は一般的な2階建てのお家で10~20万円ほどかかります。
これが2回から1回に減らせるのは、とても大きいですよね。
足場を立てるときは一緒にできる工事はすべて行ってしまうのがベストです。
屋根カバー工事を検討中の方も、外壁塗装も合わせて見積もりを作ってもらいましょう。
◆外壁塗装の費用相場はこちら
4章 適正価格・高品質の業者見極めチェックポイント4選
屋根カバー工事はお家にとって重要で、そして高額な工事です。
できるだけ安く抑えたいけど、それで悪い施工をされたくはないですし、良い品質でも金額があまりに高すぎては困りますよね。
実際に、金額や質は業者によってばらつきが出てしまいます。
そこでこの章では、適正価格で高品質の工事をしてくれる業者の見極めポイントを4つに絞ってご紹介します。
この業者は信頼できるか?良い工事をしてくれるか?を見抜いて、安心して任せられる業者を見つけましょう。
4-1 ホームページなどに施工実績が掲載されている
まずはその業者にきちんと実績があるかチェックしましょう。
実績がないところはつまり、下請けにただ投げているだけだからです。
3-1でも伝えましたが、下請けを使うとそれだけ中間マージンで費用が高くなります。
また、実績がないと当然工事の品質も分かりません。それこそ入る下請けのレベル次第になってしまいます。
「高かったうえに工事の質も悪い!」という最悪の事態になる可能性もあります。
まずはその会社のホームページを見てみて、カバー工事や葺き替えなどの屋根リフォームをしたお家の事例が載っているか確認しましょう。
工事中の様子、途中経過なども分かるとより良いですね。
■屋根カバーの工事中写真
4-2 丁寧な事前点検をしてくれる
カバー工事の見積もりを貰うときは、必ず現地に来て屋根点検してもらいましょう。
正確な見積もりには、屋根の形状や小さな部材の有無など、細かいチェックが必須だからです。
直接屋根に登るか、性能の良い高所カメラを使うなどして、屋根全体の様子を写真に撮ってもらいましょう。
このような丁寧な点検をすると、屋根だけで30~60分ほどかかります。
外からぐるっと見るだけ、図面を借りて帰るだけの業者は見積もりもざっくり計算の可能性が高く、要注意です。
また、「本当にカバー工事で良いのか?」という判断のためにも点検は重要です。
例えば、通りがかりの業者に「屋根がたくさん割れているからカバー工事しないと!」と言われたけど、別の会社にちゃんと点検してもらったら割れは数か所のみで、塗装で十分という診断だった…という事例があります。
逆に、屋根があまりに劣化していて下地も傷んでいる場合は、カバーではなく葺き替え工事をする必要があります。
葺き替えは今ある屋根の撤去・処分もあるため、カバーより大がかりで高額です。
図面から面積などだけ出してカバーの見積もりをしたが、実際に工事を始めてみたら思ったより状態が悪くて、途中で大幅な工事変更、追加契約が発生した…となったら大変です。
ご自宅の屋根にとって適切な見積もりを作ってもらうためにも、丁寧に点検してくれる業者を選びましょう。
◆屋根の塗装や葺き替え工事について詳しくはこちら
4-3 見積もり書は“一式”ではなく詳細な項目
見積書で「屋根カバー工事 一式」などと曖昧に書かれている場合は注意しましょう。
どんな材料をどのくらい使って、ということが分からないと、金額をごまかされやすいからです。
必ず具体的な工事内容や数量(枚数、㎡数など)、使う屋根材の商品名まで明記してもらいましょう。
悪い例:
屋根カバー工事一式 | 1,000,000円 |
良い例:
4-4 職人以外の担当者が工事チェックに入ってくれる
屋根カバー工事を依頼するときは、監督部門や品質管理部門など、”職人以外”もチェックに入ってくれる管理体制が整っている業者を選びましょう。
屋根カバーは職人が行う手作業だからです。
どんなに熟練の職人でも人間ですから、ミスがゼロになることは難しいため、2重チェックが重要です。
しかも工事中は足場が組まれ、施主様ご自身では作業の様子を全て見ることができません。
(足場は大変危険なので、絶対登らないでくださいね!)
また、そもそも平日はお仕事で留守にする方も多いと思います。
そんな不在の間でも、職人以外の人がチェックに入っていれば安心できますね。
2重でチェックしてくれるということは、それだけ品質にもこだわっている証拠です。
単に「自慢の職人がいます!」だけではなく、工事中の管理体制がしっかりしている会社に選びましょう。
まとめ
屋根カバー工法の費用相場は、80~150万円ほどです。
屋根の形状や使う屋根材によって変動しますので、必ずご自宅用の見積もりを作ってもらって下さい。
工事費用をお安く抑えるには、地元の専門業者に依頼したり、外壁塗装と一緒に行うのがベストです。
適正価格で良い工事をしてくれる業者を見極めるには、
1 ホームページなどに施工実績が掲載されている
2 丁寧な事前点検をしてくれる
3 見積もり書は“一式”ではなく詳細な項目
4 職人以外の担当者が工事チェックに入ってくれる
以上の4点を押さえておきましょう。
屋根カバー工法は、コストパフォーマンス良く屋根を長持ちさせられる工事です。
適正価格で安心の良い工事にするために、お役に立てれば幸いです。
お読みくださりありがとうございました。
◆屋根カバーで人気が高いのはガルバリウム鋼板です。種類や選び方を詳しくまとめています。
→[一覧表付]ガルバリウム鋼板屋根の種類7選と我が家に合った選び方!