業者に”サイディングの目地”がひび割れていると指摘され…
「それって具体的に何のこと?」
「いつ、どんなメンテナンスをすればいいの?」
と気になって調べている方も多いかと思います。
目地は、外壁同士の境目やドア・サッシの周りの継ぎ目で、ゴム状の部材(コーキング)が入っています。
経年劣化してしまうため、適切な時期でメンテナンスが必要です。
ひび割れるとお家の中に水が侵入してしまうため、絶対に放置してはいけません。
この記事では、目地の役割や耐用年数、補修を業者に依頼する場合の費用相場、長持ちさせる方法を紹介します。
あまり目立たない、気にしないことも多い場所ですが、お家にとって重要な部分です。
適切なお手入れを知ってお家を長持ちさせましょう!
目次
1章 サイディングの目地とは
この章では、そもそもサイディング目地がどのようなものなのか、具体的に解説します。
1-1 目地のある場所
目地は、サイディング外壁の継ぎ目や、ドア・サッシ周り、入隅(いりすみ、壁の交わる隅部分)などにあります。
コーキング材と呼ばれるゴム状のものが入っているため、触ると弾力があるのが特徴です。
■外壁の継ぎ目の目地
赤枠の内側が目地です。
1-2 役割は防水と耐震
目地の役割は、防水と耐震の2つです。
外壁や窓・サッシ周りを目地で埋めることで、すき間からの雨水の侵入を防ぎます。
また、弾力のある材質の為、地震が発生したときには緩衝材となり、外壁がぶつかりあうのを防ぎます。
1-3 目地の構造
目地は外壁同士の隙間を埋めるように充填し、左右の両端二か所をプライマーで接着してあります。
■二面接着の断面図
目地の裏側も接着してしまうと、目地が動けなくなり揺れや伸縮に追いつけず、ひび割れてしまいます。
そのため裏側は、バックアップ材という部材で目地がくっつかないようにしてあります。
■三面接着の断面図
三面接着は、地震や温度差での動きがない建具まわりやコンクリートの建物の目地等に使用されます。
地震や建物の伸縮による影響を受けにくい場所なら、三面接着でもひび割れる心配がないため、この方法で施工できます。
1-4 新築から約3~5年で補修が必要
目地は新築から約3~5年で補修が必要となります。
新築時は目地にはなにも塗装されておらず、むき出しの状態なので、紫外線で固くなりひび割れてしまうためです。
固くなったり、ひびや隙間ができると本来の役割を発揮できなくなってしまい、お家の寿命が大きく縮んでしまいます。
次の章で、目地に起こる四つの劣化症状を紹介します。
早期発見と補修で、お家を長持ちさせられます。必ずチェックしましょう。
2章 当てはまったら補修必須!4つの劣化症状
コーキングの劣化症状を4つ紹介します。
1つでも当てはまるものがあれば、補修が必要です。
放置すると、小さな隙間からも雨水がしみこみお家の中が傷んだり雨漏りの原因となります。
早めの補修で、お家を長持ちさせましょう。
2-1 表面に細かいひびがある
表面に細かくひびが入っています。
コーキング材はゴムなので、紫外線で縮む性質があるためです。
また、弾力があったコーキングが固くなっているため、クッション材としての役割ができない状態です。
2-2 完全に割れている
ひび割れが進行し、完全に割れてしまっています。
放置すると、ここから雨水が侵入しお家の中が傷んでしまいます。
2-3 外壁との間に隙間がある
サイディングからコーキングがはがれ、隙間ができています。
こうした小さな隙間からも、雨水が侵入してしまうので早めに補修を行いましょう。
2-4 脱落している箇所がある
コーキングがはがれ、触ると簡単に崩れてしまう状態です。
劣化がかなり進行してしまっています。
この状態では水の侵入を防げないため、新しくコーキングを打ち直す必要があります。
★一部メーカーでは「ガスケット」が使われていることも トヨタホームや積水ハウスなど、一部のメーカーのお家ではコーキングでなく、「ガスケット(乾式目地)」と呼ばれる部材が使われている場合があります・。 表面のひび割れが少ない部材ですが、紫外線で傷んでしまうため年数が経つとはがれてきてしまいます。 ■ガスケット 出典:シャイン 工場で成形されたものを、外壁と外壁の間にはめ込んで使用します。 耐用年数は約30年ととても長持ちするので、交換が必要になることが稀な部材です。 その為必要であればパテで補修し、専用の下塗り材と外壁塗料を塗って仕上げることが多いです。 |
3章 コーキング補修の費用相場
業者に依頼した場合の費用相場は以下の通りです。
コーキング補修は主に打ち替えか増し打ちのどちらかで行うことが多いです。
ただし、目地の厚さが十分に確保できない場合はカバー工法やブリッジ工法で補修する場合があります。
種類 | 費用相場 |
打ち替え | 800~1,200円/m |
増し打ち | 700~1,000円/m |
ブリッジ工法 | 500~900円/m |
カバー工法 | 3,000~5,000円/m |
※足場費用が別途かかります。 二階建てのお家で約16~20万円ほどです。
打ち替え
打ち換えは既存のコーキングを剥がし、新しくコーキングを打ちなおす方法です。
外壁同士の継ぎ目はこの方法で行うことが多いです。
増し打ち
増し打ちは既存のコーキングの上から、そのまま新しくコーキングを打つ方法です。
カッターを入れると良くない窓・ドア回りのコーキング補修はこちらの方法で行います。
ブリッジ工法
出典:防水市場
目地に厚みを持たせ、強度を持たせる工法です。
打ち替え・増し打ちで目地の厚さを十分に確保できない場合に行います。
カバー工法
出典:シャイン
目地の上から金属などの部材を被せる工法です。
今後もうメンテナンスをしたくない場合や、目地補修を行っても十分な厚さを確保できない場合に行います。
4章 目地補修の方法
プロが実際に行っている補修工事の流れを紹介します。
目地の場所や状態によって適切な工法は異なりますので、4つの工法それぞれを解説していきます。
DIY補修したい方は、こちらの記事をご覧ください。
4-1 打ち替え
外壁同士の継ぎ目は、基本的に「打ち替え」という方法で行います。
劣化した目地を剥がし、新しく目地を充填する方法です。
①カッターナイフを目地の両脇に入れ、目地を剥がす
②両端にマスキングテープを貼る
マスキングテープで、外壁に補修材がはみ出るのを防止します。
③目地の両端にプライマーを塗る
プライマーとは、外壁と補修材との接着剤です。
④補修材を目地を剥がした箇所に充填する。
⑤へらで上から均す
目地を充填したら、へらで上から均します。
⑥目地が固まらないうちにテープをはがす
⑥テープをすべて剥がしたら完成
4-2 増し打ち
サッシやドア回りの目地は、「増し打ち」という方法で補修します。
目地は剥がさず、上から補修材を充填する方法です。
これらの箇所は目地を剥がそうとカッターナイフなどを入れると、外壁内側にある防水紙を傷つけて逆に雨漏りしてしまう恐れがあるためです。
そのため、そのまま上から補修材を追加して目地に厚みを持たせる増し打ち工法を行ないます。
①既存の目地やドア・サッシの枠の周りにテープを貼る
補修材がはみ出さないよう、マスキングテープを貼ります。
②既存の目地の上にプライマーを塗る
後から目地が剥がれるのを防止するため、プライマー(接着剤)を塗ります。
③目地に補修材を充填する
プライマーを塗ったら、上から補修材を充填します。
④充填した目地をへらで均す
⑤マスキングテープを剥がして完成
4-3 カバー工法
カバー工法は、目地の上から金属の部材をかぶせる工法です。
目地に十分な厚さが確保できない場合や、もう目地のメンテナンスをしたくないという方にもおすすめです。
■厚さが足りていない目地
目地が薄いと、打ち替えや増し打ちを行っても、すぐにひび割れてしまいます。
■カバー工法を行った目地の断面図
上からガルバリウム鋼板という金属の部材でカバーし、目地の割れや雨水の侵入を防ぎます。
①傷んだ目地を撤去する
出典:シャイン
傷んでしまった目地はすべて撤去します。
②目地カバーをカットする
出典:シャイン
目地の長さに合わせて、目地カバーをカットします。
③目地にそってカバーを設置する
出典:シャイン
目地を撤去した場所にカバーを設置します。
④上からビスで止めて、完成
出典:シャイン
ビスで止めたら、設置完了です。
目地カバーの上からも塗装ができるので、同じ色で自然な仕上がりにすることも可能です。
■目地カバーを行った上から塗装した外壁
出典:街の屋根やさん
外壁と同じ色にできるので、目地だけ目立って美観を損ねてしまう心配がありません。
4-4 ブリッジ工法
ブリッジ工法は、目地の外側にコーキング材を盛ることで目地の厚さを確保する工法です。
■ブリッジ工法を行った目地の断面図
コーキング材を上から盛り付け、目地の厚さを確保しています。
①バックアップ材を目地の両端に貼る
出典:防水市場
バックアップ材で、目地に厚みをつけます。(通常の目地補修では使用しません。)
②バックアップ材の間にプライマーを塗る
出典:横浜外壁塗装スタジオ
コーキング材がきちんと定着するよう、プライマーを塗ります。
③ボンドブレーカーを目地の上に貼る
出典:防水市場
目地の奥側は接着しないよう、ボンドブレーカーを貼ります。
③バックアップ材の間に、コーキング材を充填する
出典:防水市場
④コーキング材を充填したら、へらで平らにする
出典:防水市場
⑤バック材を取り外したら、両サイドにもコーキングを充填する
出典:防水市場
⑥コーキング材が乾燥したら完成
出典:防水市場
5章 目地を長持ちさせるなら外壁塗装必須!
サイディングの目地を長持ちさせるためには、外壁塗装は必須です。
なぜなら、目地補修だけでは結局目地がむき出しの状態となるため、再び紫外線で劣化してしまうからです。
また、目地がひび割れるほど紫外線を浴びているということは、外壁も劣化し、防水機能を失っていることがほとんどですので、塗装の目安とも言えます。
目地だけ補修しても外壁からは雨水が染み込んでしまうため、お家の劣化を完全に止めることができません。
そのままにしていると、内部にどんどん水が入り、いずれはシロアリ発生の原因となります。
■シロアリ被害にあったお家
■シロアリ被害を伝える新聞記事
阪神淡路大震災で倒壊してしまったお家の多くは、シロアリ被害にあったお家でした。
せっかく補修しても、シロアリ被害にあってしまうと何十万円と修繕費用が掛かり、非常にもったいないです。
目地補修と一緒に外壁塗装をすることで雨水の侵入を防ぎ、お家を長持ちさせられます。
お家全体の防水のために、補修だけで終わらせず、必ず塗装も一緒に行いましょう。
まとめ
いかがでしたか?最後にこの記事をまとめます。
【1章まとめ】
サイディングの目地は、外壁の継ぎ目やドア・サッシ周りにある継ぎ目で、コーキング(ゴム状の部材)が入っています。
耐震と防水、2つの役割を持っています。
常に紫外線に晒されているため約3~5年で補修が必要となります。
【2章まとめ】
補修が必要となる劣化症状は、以下の4つです。
- ①表面に細かいひびがある
- ②完全に割れている
- ③外壁との間に隙間がある
- ④脱落している箇所がある
放置していると、小さな隙間からも雨水が侵入してしまいます。
1つでもあてはまったら、早めに補修を行いましょう。
【3章まとめ】
コーキング補修の費用相場は、以下の通りです。
種類 | 費用相場 |
打ち替え | 800~1,200円/m |
増し打ち | 700~1,000円/m |
ブリッジ工法 | 500~900円/m |
カバー工法 | 3,000~5,000円/m |
※足場代は別になります。
【4章まとめ】
目地補修方法は、場所により異なります。
外壁同士の継ぎ目は「打ち替え」、
サッシ・ドア回り・入隅などカッターナイフが使えない場所は「増し打ち」を行います。
目地の厚さが十分に確保できない場合は、「カバー工法」か「ブリッジ工法」で補修します。
カバー工法は金属の部材を目地の上にかぶせる工法なので、もう目地補修はしたくないという方にもおすすめです。
【5章まとめ】
目地を長持ちさせるなら外壁塗装は必須です。
せっかく目地補修をしても、そのままでは再び紫外線で劣化してしまうからです。
目地補修した上で外壁塗装を行うことで水の侵入を防ぎ、お家を長持ちさせられます。
補修のみで終わらせず、塗装もセットで行いましょう。
最後までお読み下さりありがとうございました。
◆外壁の塗装をご検討の方は、ポイントや費用相場をチェックしておきましょう。
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