塗装工事を検討しているあなた。
見積りに、見慣れない「下塗り」の項目があり
「これって何?必要なの?」
「お願いした塗料と違う名前が入っているけど、どういうこと?」
と疑問にお思いかもしれません。
塗り作業の行程は通常、下塗り・中塗り・上塗りと3回あり、下塗りは、塗装工事の塗り作業で最初にやる工程です。
下塗り作業は塗装工事で必須で、しかも超重要な役割を持っています。
【塗り行程】
①下塗り | 後に続く中塗り・上塗りのための下地作り作業。 |
②中塗り | 同じ塗料で2回塗ります。 中塗りで下地と定着させ、上塗りでムラのない適切な膜厚できれいな仕上がりにします。 |
③上塗り |
この記事では、下塗りがなぜ必要で、どう重要なのかを分かりやすく説明します。
読んでいただくことで、下塗りの役割や重要性をしっかりと理解できます。
ご自身の工事をより良いものにする知識として役立ちますし、ちゃんとした工事をしてくれる業者のポイントもお伝えしますので、ぜひお役立てください。
※塗料によっては、塗り回数が3回ではない場合もあります。 クリヤー塗装・下塗り不要の塗料…2回塗り仕様となります。 また下地の状況が悪いと、下塗りを2回実施することもあります(計4回塗り)。 仕様については塗料のカタログに記載があるので、塗料を決める時に業者に見せてもらいましょう
▲クリヤー塗装なので2回塗りの表記があります。
▲下塗り不要の塗料なので、中・上の2回塗りです。 |
目次
1章 下塗りの重要な4つの役割
下塗りには重要な役割が4つあります。
どれも塗装工事を成功させるうえで大切な役割ですので、しっかりと理解しましょう。
1-1 上塗りを密着させる
1つ目の役割は「上塗りを密着させる」効果があることです。
塗装する屋根や外壁はひびや凹凸の経年劣化症状がありますが、下塗りをすることで平滑化でき、塗料も密着しやすくなるからです。
下塗りを入れないと、折角塗装しても剥がれやすくなってしまいます。
そのため、上塗りを密着させる下塗りは重要な役割なのです。
▲下塗りをしなかった場合、外壁材の表面のひびや凹凸により上塗りが密着せず、剥がれやすい状態になります。
▲下塗りをしていれば、表面が均一に滑らかになるので、そのあとの塗料が密着して乗りやすくなります。
1-2 上塗りの吸い込み過ぎを止める
2つ目の役割は「上塗りの吸い込み過ぎを止める」効果があることです。
経年劣化した屋根や外壁に、そのまま上塗りをすると、建材が塗料をスポンジの様に吸い込んでしまいます。
吸い込みが止まらないと、見た目が悪くなったり、吸い込んでしまった分、塗料を多く使わないといけないので、余計な費用が掛かってしまったりします。
そのため、下塗りで塗料が吸い込み過ぎないように止めておくことは重要な役割なのです。
▲下塗りがないと、塗った塗料はどんどん外壁材に吸い込まれてしまいます。
▲下塗りをしていれば、下塗り層が吸い込み過ぎを抑制してくれるので、表面にしっかりと中塗り・上塗りが乗ります。
1-3 発色がきれいになる
3つ目の役割は「発色がきれいになる」効果があることです。
下塗りは通常白色であることが多く、最後の上塗りの発色を良くするのに役立ちます。
逆に下塗りをしないで上塗りをした場合、元の外壁の色が透けてムラになって見えてしまうことがあります。希望の色できれいに発色させるのも、下塗りの重要な役割です。
※下塗りを塗った段階では、どんな熟練の職人でも塗りムラが見えますが、場所によって塗料の吸い込みがバラバラなためです。施工不良ではないのでご安心ください。
※塗料によっては下塗りが白色以外のものもあります。業者に確認してみましょう。
1-4 小さなひび割れを補修する
4つ目の役割は「小さなひび割れを補修する」効果があることです。
これは、ヘアクラックと言われるような細いびひの劣化なら、下塗りで十分埋める事ができるからです。
その分補修費用も掛からずに済みますし、見た目も補修材が目立つ心配がないため、小さなひび割れを補修してくれる機能も、下塗りの重要な役割です。
▲ヘアクラックと呼ばれる細いひび。この程度のひびなら補修しなくても下塗り剤で埋める事ができます。
▲小さなひびが入っていても、下塗り剤が埋めてくれるので中塗り・上塗りもきれいに仕上がります。
このように、下塗りは塗装工事の中でも省略することができない重要な役割を持っているのです。
2章 下塗りの種類は3種類
下塗りの種類は大きく分けて3種類です。
いずれも下塗りの役割、
- ・上塗りを密着させる
- ・上塗りの吸い込み過ぎを止める
- ・発色がきれいになる
- ・小さなひび割れを補修する
を備えたもので、ここではそれぞれの特徴を紹介します。
【3種類の下塗りと、それぞれの特徴・金額】
種類 | 特徴 | 金額 |
シーラー | 油性と水性があり広い建材に使用されます。 | 外壁… 600~900円/㎡
屋根… 600~1,200円/㎡ |
プライマー | 油性と水性があり、建材が鉄や鋼板など金属系の場合にも使用します。 | |
フィラー | パテ機能があります。 |
それぞれを詳しく見ていきましょう。
2-1 シーラー
シーラーは、上塗りと強く密着させることや、上塗り塗料のムラを防ぐ効果があるので、しっかりと均一な塗装ができ、よく使われる下塗り剤です。
使用する建材の状態によって、油性か水性を使い分けるのが特徴です
【水性・油性の特徴】
※油性のシーラーに水性の上塗りをしても大丈夫なので、ご安心ください。
また、吸い込み過ぎ対策に優れているため、吸い込み過ぎを止めたい場合はシーラーを使う事が多いです。
2-2 プライマー
プライマーも密着性を高めるのに優れており、様々な素材に使われます。
プライマーにも油性と水性があります。
さらに、浸透性やさび止めなどの効果を持つものがあり、シーラーよりも機能に応じた種類・用途に優れていると言えます。
【それぞれの特徴】
2-3 フィラー
フィラーは、主にモルタルの外壁に使用します。
下地に凹凸が多い、またはヘアクラックがある場合にはフィラーを使います。
シーラーやプライマーと比べてとろみがあり、厚塗りが可能ですが、フィラーは水性タイプしかありません。
また、シーラーとフィラーの機能を合わせた「微弾性フィラー」というものもあり、これはクラックを埋める機能が優れていますが、単価が少し上がる場合があります(900~1,200円/㎡)。
このように、種類が複数あるため、建材や状態によって選ぶ下塗り剤は異なってきます。
業者から「これを使います」と言われた際には、ご自身のお家の状態と照らし合わせて、適切そうなものかどうか、確認をしましょう。
3章 最適な下塗りをする業者の5つのポイント
下塗りの重要性や種類を理解したら、適切な下塗りをしてくれる業者選びをしましょう。
作業中にずっと見張っている訳にはいきませんから、上塗りで塗りつぶされると見えなくなる下塗りについても、ちゃんと施工してくれる信頼できる業者選びのポイントを見ていきましょう。
3-1 事前に現場調査をしてくれる
見積提示前に、事前に現場調査をしてくれる業者を選びましょう。
図面だけでは、どんな外壁材の状態で、どの下塗り剤が適切かの判断ができないからです。
特に今の家の状態に合った下塗り剤を選ばなければいけないので、図面だけで見積もりを提示された場合は、実際に工事に入った際に「やっぱり違う下塗りの方が良いですね」と話が変わる事もあり得ます。
事前に現場調査をして、適切な下塗り剤を判断してくれる業者が安心です。
3-2 見積の表記が分かり易く明確
見積の表記が分かり易く明瞭な業者は安心できます。
明確な表記がないと、どんな素材をどのように使われたのか判断できなくなるためです。
特に下塗りについては、下塗り剤が何を使用して、中塗り・上塗りはどの塗料を使うのかが明確に表記されていると丁寧で良い業者と言えます。
3-3 施工中の写真を撮って報告してくれる
施工中の写真を撮って報告してくれる業者を選びましょう。
下塗りは、最後は上塗りできれいに塗りつぶされてしまうので、しっかり塗られたのかの判断がしにくいためです。
特に全体や、窓枠の際まできちんと塗られているかは後から判断できないので、写真でしっかり報告してくれるか業者に事前に確認しておきましょう。
3-4 メーカーからの保証が出る
塗料メーカーからの保証が出るのは安心ポイントです。
施工店がしっかりと正しい施工をしないと、メーカーは保証を出さないからです。
適切な塗布量や、乾燥時間を守らないとメーカー保証は出ませんし、
逆を言えば、知識が豊富な業者なら、正しい相性の下塗り剤を使用して正しい施工をしてくれるので、メーカーからも保証が出るのです。
メーカーが保証を出してくれるところは施工も安心して任せられます。
3-5 施工実績が多い
施工実績が多い業者は安心できます。
実績が少ない会社は、経験や知識が少なく失敗する可能性があるためです。
実績が多いと、それだけ多くの建材を見てきて施工までしているので、あなたのお家に最適な下塗りもきちんと判断してもらえます。
当サイトを運営するユーコーコミュニテイーは、施工実績が12,000件以上あります。 下塗りについて、また塗装に関して知りたいことがあれば、お気軽にお問合せください! |
まとめ
下塗りの行程は、塗装工事の中でも重要な役割を持っています。
その主な役割は
- ・上塗りを密着させる
- ・上塗りの吸い込み過ぎを止める
- ・発色がきれいになる
- ・小さなひび割れを補修する
です。下塗りをしっかりとやることで、塗装の仕上がりや品質が向上するので、必ず実施してもらいましょう。
また下塗りの主な種類は3種類。
種類 | 特徴 |
シーラー | 油性と水性があり広い建材に使用されます。 |
プライマー | 油性と水性があり、建材が鉄や鋼板など金属系の場合にも使用します。 |
フィラー | パテ機能があります。 |
塗装する建材・状態に対して適切な下塗り剤があります。
正しいものが使用されているかどうか、明示してもらい確認しましょう。
下塗りの理解が出来たら、業者に依頼する際には以下の5ポイントをチェックしましょう。
- ・事前に現地調査をしてくれる
- ・見積の表記が分かり易く明確
- ・施工中の写真を撮って報告してくれる
- ・メーカーからの保証が出る
- ・施工実績が多い
これらに当てはまる業者は、良い工事をする業者と言えます。
下塗りの大切さを理解して、正しい工事で永くお家を大切にしてくださいね。
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