塗装はまだ先の話、うちには早いと思うのだけど…、
塗り替えの時期だと言われたけれど、まだ雨漏りもしていないのになぁ…、
塗装に関する疑問で、「今なの?」とお思いの方も多いのではないでしょうか。
住宅ローンに加えて、お家のメンテナンスで余計な出費はしたくないものですよね。
ましてや、まだ何も不具合が出ていないのに塗装と言われても、ピンとこないと思います。
では、本当に塗装をするべきタイミングはいつなのでしょうか?
この記事では、本当に塗り替えが必要な時期について、分かりやすくお伝えします。
ご自身のお家は、いつ塗装しようかも決められますので、ぜひ最後までお読みください。
ここでは、塗装を何年くらいでやったら良いのかの“時期”についてご紹介します。 塗装をするのに最適な“季節”について知りたい方はこちら↓をお読みください。 |
目次
1章 塗り替えに最適な時期は、築年か塗装歴で見極めよう
最適な塗り替え時期の目安となる年数は、
①新築時から5~7年
②前回塗装で使った塗料の耐用年数が経過したころ
の2つがあります。
具体的にそれぞれ説明していきますので、一緒に塗装時期について考えましょう!
1-1 [新築時からの目安] 塗装効果が切れる5~7年が最適
実は、新築時の塗装効果は、サイディングの家でもモルタルの家でも、築5年を過ぎると切れていきます。
理由は2つ、
・新築時はたいていアクリル塗料が塗られており、その塗装効果が5年程度
・家自体が、紫外線劣化や雨風のダメージを受けて蓄積している
ということです。
一般的に塗装は10年に一度と言われていますが、実際には築後5年くらいから補修が必要な場所がちらほらと出てきます。
特に新築時は初期費用が高くなりすぎるの避けるため、耐久性の高い塗料は塗りませんから、最初の塗り替えは、家のダメージがまだ重症ではない5~7年目くらいが適切なのです。
大手サイディングメーカー「ニチハ」のカタログにも、明確に“築後5~7年を目安として点検し、汚れ、褐色、白色等が目立つようになったら再塗装が必要な時期”と記載されています。
出典:ニチハ モエンカタログ
建てたばかりの時は、まさかあと5年くらいでコケやカビが生えてしまうという事は想像できませんよね。
実際には日陰面にコケが生えたり、逆に日当たりのよい場所の色が褪せたりします。
多くの人がそれを知らず、劣化を見逃してしまい、お家の状態の変化に後になって気付く事が多いのです。
ですので、塗装は築5~7年に行うのがベストです。
1-2 [前回の塗装からの目安]塗料によって時期を判断する
既に過去塗装をしたことのある方、または引っ越し先が中古住宅の場合は、前回使った塗料によって塗装時期が変わる事を知っておきましょう。
塗料には“耐用年数”があり、使った塗料によって持つ年数が変わるためです。
■塗料の種類と価格・耐用年数の比較表
塗料 | 単価/㎡ | 耐用年数 |
アクリル | 1,400円~ | 3~5年 |
ウレタン | 1,700円~ | 8~10年 |
シリコン | 2,500円~ | 10~15年 |
フッ素 | 3,500円~ | 15~20年 |
無機 | 4,300円~ | 20~25年 |
前の塗装で何を塗ったか、契約書や保証書を確認して、次の塗り替え時期の目安にしましょう。
塗料の種類が分からない方は、次の章で劣化症状からの時期目安を解説しますので、そちらをご覧ください。
【塗り替えタイミングは、ライフステージを考慮してもOK】
塗装のタイミングは、ご自身のライフステージを考慮して考えるのも良いでしょう。
ライフステージとは
- ・進学
- ・結婚
- ・引っ越し
- ・同居
などです。
塗装はやはり高額な工事ですから、適した時期が来たからと言って、他の出費と重なっては無理はできないですよね。
その時期になってから気づくと塗装の優先順位を後に回しがちですが、お家にとって大事なお手入れ工事ですので、計画的にタイミングを見極めましょう。
例①
「築5年で塗装にはおすすめの時期らしいけど、今年子供が進学を控えている。お金が掛かるタイミングだから、最低限の補修だけして、塗装は2年後にしよう」
例②
「来年両親を呼んで同居する予定。引っ越して来てからだと工事は何かと負担かもしれないから、今年のうちに済ませておこう」
このように、ご自身のライフステージ、タイミングを加味して、無理のない計画を立てましょう。
2章 【症状別】塗装の時期判断ポイント3段階
塗装をすべき時期かどうかは、築年数や前回の塗装からの経過年数以外に、いくつかの劣化症状でチェックできます。
特に実際に起きている症状の方が、年数だけの原理よりリアルな結果なので、今塗装が必要な時期か判断するためにも必ず見ておきましょう。
住宅は、全てが同じ条件で建っている訳ではありません。
立地や材質、家の形などの条件によって個々で異なるものですから、年数だけでは全て判断が出来ないと言うのが本当の所です。
ですから、次の3つのポイントを押さえて今の家の状態を知ることから始めましょう。
2-1 [そろそろ塗装時期]サイディングの目地ヒビ割れ
▲細かなヒビ割れが入っています。完全に割ける手前の段階で、塗装工事してあけましょう
サイディングの外壁は、ボートとボードの間にコーキング(シーリングとも言います)という、ゴム状の緩しょう剤が入っていますが、これがヒビ割れしていたら、劣化のサインです。
この時点で塗装をしておくと、家が傷む前なので、良い状態のまま家の素材保護ができます。
コーキングは地震などの揺れによる衝撃を吸収してくれますが、紫外線による劣化が見えやすい場所でもあります。
その為、日当たりの良い角地や小高い場所にある家など、立地条件により早い内から劣化が見られます。
特に普段見えない2階まわりなどはもっと劣化が酷い可能性がありますので、業者に依頼して定期的な経過観察を行い、塗装時期を見極めましょう。
【この状態だったら要注意!】 ▲コーキングの左右に隙間が出来ている状態
▲コーキングが割れて中が見えてしまった状態
ひび割れでなく、このように隙間があったり、割けてしまったりしている場合は、急ぎ塗装を検討しましょう。 この症状が出た時は、コーキングだけでなく、外壁や屋根の劣化も進行している可能性が高いです。 |
2-2 [塗装のしどき]日当たりの違う場所を見比べて判断
日当たりの良い部分と悪い部分を見比べてみましょう。
日当たり良いベランダ面などは、その分多くの紫外線を浴びるので、他の場所よりも早く塗料の成分が劣化し、家の傷み症状が出やすいためです。
反対に日陰面は、塗料成分が経年劣化すると外壁材が湿気を含んで、カビやコケが繁殖しやすい環境になります。
日当たりの良い場所に現れる症状
・色褪せ
・細かいひび割れ
日当たりの悪い場所に現れる症状
・カビ
・コケ
・藻
ですから、家の日当たりの特徴が良く出ている2ケ所の状態をチェックした方が良いのです。
よく古い本の表面が日焼けして、色が変わってしまっているのを目にしますよね。それと同じです。
反対に日当たりの悪い北面は、比較的陰になっている事が多いため、色が沈んで見えます。
それはもしかすると日陰のせいではなく、カビ・コケが発生しているからかもしれません。
カビ・コケが生えている状態は既に家の防水機能が失われている証拠ですので、補修や洗浄ではなく、塗り替えを考えた上で点検を実施しましょう。
お家を細かく見る機会は、誰しもが新築時に比べて減っていく一方だと思います。
以前と何が変わってしまったかは感覚値だけでは分り辛いので、写真を撮っておくこともお勧めします。
2-3 [要注意!]この症状が出たら塗装しましょう
今すぐに塗装をした方が良い症状はいくつかあります。
写真を見ながら、「うちにもこの症状あるな…」と気付いた場合は、ぜひプロに家全体の点検を依頼して、今の家の状況を確認しましょう。
築5年、釘周りの割れ 塗装が弱まってサイディングが傷んでいるため、割れてきます。 |
築6年、チョーキング 「チョーキング」という、指に粉がつく現象です。既に家が水を染み込む状態です。 |
築6年、コケ 日当たりの悪い場所に生えました。外壁が湿り気を帯びている状態です。 |
築7年、カビ 黒ずみ部分がカビです。塗装が切れているため、繁殖しています。 |
築6年、モルタルのひび割れ 長い亀裂が入っています。モルタルの劣化が進行しています。 |
築7年、サイディングのひび割れ 釘を中心にしっかり割れています。このまま広がってしまうと水が入り危険です。 |
築7年、コケ コーキングを途中で補修しましたが、コケが生えてきました。塗装の防水効果が切れています。 |
築7年、サッシ下の割れ サッシの下の割れは、雨が伝って水が入りやすいです。早急に対処が必要です。 |
築年数だけに限らず、立地条件などにより家々の症状は異なります。
また2階など目で見えない範囲がどうなっているかまでは、素人判断できないため、上記の症状が一つでも出ていたら必ずプロに点検してもらい、塗装の段取りをしていきましょう。
3章 塗装時期を逃すと起きる、2つのリスク
塗装時期が分からず、最適な時期を逃すと2つの重大なリスクが発生します。
10年以上塗装をしない人も多くいますが、それは単純に塗装をすべきタイミングが分らない、塗装をしなかった時のリスクを知らない人がほとんどです。
では、塗装のタイミングを逃すと具体的にどんなリスクがあるのかお伝えします。
3-1 塗装時期が遅れ続けると、余計な修理費が掛かる
塗装の時期はまだまだと思っていると、いつの間にか修理しなくてはいけない箇所が増えて、塗装費+修理費で余計なお金がかかってしまう可能性が高くなります。
これは、適切な時期に塗装をして家を保護しなかったことにより、守られなかった部分がひび割れなどを起こして、修理しないと塗装できない状態になってしまうからです。
【窓サッシ下のひび割れの例】
これは築7年の家の、窓サッシ下にあったひび割れです。
クラックスケールという器具でひび割れの太さを測っています。
0.70mmという、かなりの太さのひび割れが起きており、塗装の前に別途補修が必要です。
この幅が、0.3mm以下の場合は、補修をしなくても塗装の塗料だけでひびを埋める事ができるので、補修費が掛かりません。
さらに大規模な修理が必要になってしまった例も紹介します。
【割れたサイディングの例】
サイディングが完全に割れてしまった、また剥がれ落ちてしまった写真です。
こうなると、塗装では直せないため、傷ついたサイディングを剥がしてから新しいものに張り替える必要があります。
張り替えは手間も材料費もかかるため、一気に工事費用が高くなります。
本来100万円だった塗装工事も、修繕改修を含めて200万300万円以上の工事になってしまう事があるのです。
このように、本来なら塗装だけで済んだメンテナンスも、時期を逃すことで、結果的に莫大な費用が掛かることがありますので、最適な時期に塗装をすることが、余計な費用を掛けないことに繋がります。
3-2 塗装の時期を逃し続けると、家が短命になる
塗装をしないままでいると、メンテナンスコストが高くなるだけでなく、家自体の寿命が短くなってしまいます。
塗装の本来の目的は「防水機能を保ち、家を守る」ことだからです。
適切な時期に塗装をすれば防水機能が保たれるはずですが、また今度…まだ早いしその内…と自己判断している内に、家の躯体まで傷めてしまう場合があります。
躯体までダメージが進行すると、家自体が長持ちしなくなり、本来3世代持つような良い家でも1世代で終わってしまうかもしれません。
塗装の時期を逃し続けると、家自体の寿命が短くなり、とても勿体ないのです。
◆具体的に塗装しないことで起こる悪影響については、以下のページもご覧ください。
余計なメンテナンスコストを掛けずに済むように、そして長く大事に住み続けるために、家の塗装はいつ頃にしようと計画をしておくことが大切です。
いつ頃塗装が必要なのかの判断は、前のチェック項目と専門業者の定期的な点検結果で、ライフプラン上、負担の少ないタイミングを決めましょう。
4章 専門家の定期点検で塗装時期を見極めよう
まだ何か不具合が出ている訳でもないのに…という場合は、すぐに塗装をしなくても大丈夫です。
但し、定期的な点検は専門業者に依頼して実施しましょう。
劣化症状の中には、自分の目に見える雨漏りや外壁のヒビ割れの他に、専門の知識がある人が隅々までチェックしないと見つからない様な、初期の傷み(初期症状)があります。
初期の傷みであれば、小さな段階で補修しておく事で傷みの広がりが抑えられるので、塗装の時期自体を先延ばしにすることも可能です。
今特に何も症状がないという場合は、1年に1回の定期点検をすることで、実際に塗装をする期間を見定める事ができます。
5章 塗装する時は耐久年数を重視!
家の塗装を長持ちさせるには、やはり耐久年数の長い塗料を使用するのがおすすめです。
塗装工事は費用や時間、生活の負担を負う事が少なからずあるため、耐久年数を重視すれば今後の塗り替え回数が少なくなり、負担の軽減になります。
短いスパンで何度も工事をしなくて済む様に、1回の塗装で防水効果が長持ちする塗料を選びましょう。
耐久年数が長いと価格も上がりますが、何度も足場を立てなくて済みます。
10年20年先を見た時に、耐久年数と見比べて、負担にならない計画的な塗料選びをしましょう。
◆おすすめはフッ素塗料や無機塗料です。詳しくはこちら
まとめ
外壁塗装の最適な塗り替え時期については、
・築5年~7年目か、前回塗装の耐用年数の時期までにやっておく事で、お家の防水効果を維持できる。
・但し、築年数だけでは必ずしも判断できない事なので、劣化のチェックポイントを押さえて定期的な点検をして家の変化に気付いておく。
・塗装時期を先延ばしにすると、将来的に余計なメンテナンスコストがかかり、さらには家がもろくなってしまう。
この3点を抑えておくだけでも、自分の家はあと○年で塗装をしよう!と言う基準が持てます。
もちろん床下や屋根など、専門の業者に依頼をしないと見えてこない部分はプロにお任せをするとして、外壁についてはご自身のライフプランと塗装時期を今からしっかり計画していく為の知識として、押さえておきましょう。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
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