「屋上防水ってそもそも何?」
「メンテナンスは必要なの?」
と気になって調べているのではないでしょうか。
屋上防水とは住宅や屋上の床に施工されている防水層のことです。
防水層があることで建物が水から守られ耐久性を保つことが出来ます。
ただこの防水層は年数が経つと劣化するため、定期的な防水工事が必要になります。
防水工事をしないまま放置していると、劣化を止めることが出来ず雨漏りしてしまい建物自体の耐久性を弱くしてしまいます。
とはいっても屋上防水工事はいつやればいいのか、工事にどのくらいの費用がかかるのか分からない工事には踏み切れないですよね。
そこで今回は、屋上防水の基礎知識として、屋上防水の種類や耐用年数、費用相場、メンテナンス方法までご紹介します。
屋上防水を長持ちさせるためにぜひ最後までご覧ください。
★DIYでの施工はおすすめできません! 屋上防水をDIYで施工するのはやめましょう。ムラになって数年で不具合が起きてしまう場合があります。 また知識がない中で施工するとかえって雨漏りしてしまう場合もあります。 屋上防水工事は知識や経験のある業者に依頼しましょう。 |
目次
1章 屋上防水とは
まずは屋上防水について、役割と劣化症状をご説明します。
1-1 屋上防水とは
屋上防水とは、主にビルや陸屋根と呼ばれる平らな屋根(=屋上)に施工される防水層のことです。
通常の勾配(傾斜)がある屋根であれば、雨が降った時に下へ流れていきますが、屋上などの平らな屋根は雨水が溜まりやすいので、防水工事が必要になります。
この防水層によって、雨水の侵入を防ぎ建物の耐久性を維持しています。
ただこの防水層も年数が経つと劣化してしまうので、定期的な防水工事が必要になります。
1-2 主な劣化症状
屋上防水の主な劣化症状には①ひび割れ、②剥がれ、③膨れ、④水溜まり、⑤雨漏り などがあります。
築7~10年ほどで劣化症状が出てきますので、劣化が見られたらメンテナンスが必要になります。
ひび割れ
防水の表面がひび割れてしまう症状です。築7~10年で発生することが多いです。
剥がれ
シート防水のつなぎ目部分が劣化し、防水が剥がれてしまう症状です。
ウレタン防水の場合も防水材が劣化すると剥がれが起きます。築7~10年で発生することが多いです。
膨れ
出典:株式会社セイルズ
防水層の下地が水を含んでいる場合に、その水が蒸発しようとして膨れが起きます。
膨れを起こさないために、屋上などの広い面積・雨漏りしたことがある場所ではウレタン防水の密着工法での施工はやめておきましょう。
水溜まり
屋上の床面に歪んでしまって水はけが悪くなってしまった状態です。
水はけが悪くなると、防水層も劣化して雨漏りも発生しやすくなります。
雨漏り
防水層の劣化を放っておくと雨漏りが発生します。
雨漏りが発生場所を突き止めるのが難しいので、雨漏りが発生したら部分補修ではなく、防水のやり直しが必要になります。
また、内部の木部が傷んでいた場合は大工工事も必要になるため大規模工事になるケースもあります。
-
2章 屋上防水の種類
屋上防水に用いられることが多いのが、
- ①ウレタン防水
- ②シート防水
- ③アスファルト防水
の3種類です。
各種類の特徴をご紹介します。
2-1 ウレタン防水
ウレタン防水は液体の防水材をローラーで塗っていく工法です。液状の防水材なので、複雑な形の床面や障害物の多い屋上でも対応できます。
職人によって仕上がりに差が出てしまうので、業者選びには注意が必要です。
ウレタン防水をお考えの方はこちらの記事もご覧ください。
2-2 シート防水
シート防水は工場で製造された防水シートを張っていく工法です。均一な防水層で仕上がるので、ムラが出にくいです。
ただしシートを切って貼る作業なので、複雑な形や凸凹した床面には向きません。
シート防水をお考えの方はこちらの記事もご覧ください。
2-3 アスファルト防水
出典:田島ルーフィング株式会社
アスファルト防水は、液状のアスファルトとシートを重ね合わせていく工法です。耐久性が高く防水性能も高いです。
ただ施工中に臭いがしたり、工期が他の種類よりも長いというデメリットがあります。
そのためあまり頻繁にメンテナンスが出来ない大型物件の屋上におすすめです。
各種類の違いや特徴・種類の選び方をより詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
3章 屋上防水の耐用年数
屋上防水工事の耐用年数はおおよそ10~20年です。
種類によって耐用年数が変わってきます。以下、種類別の耐用年数です。
ウレタン防水
ウレタン防水の耐用年数は10~12年です。
耐用年数が過ぎると、ひび割れや剥がれなどの劣化症状が出始めます。
ベランダや比較的面積が狭い(80㎡以下)屋上に施工されることが多いです。
シート防水
シート防水の耐用年数は10~15年です。
耐用年数が過ぎると、シートのつなぎ目が劣化しシートが剥がれるなどの劣化症状が出ます。
工場で製造されたシートを張っていく作業なので、均一な耐久性が期待できます。
アスファルト防水
アスファルト防水の耐用年数は15~25年です。
一番耐久性が高いので広い面積の屋上や、頻繁にメンテナンスが出来ない立地の屋上に使用されることが多いです。
屋上防水の耐用年数や見積例について詳しく知りたい方はこちら
-
4章 屋上防水の費用相場
屋上防水工事の費用相場について、種類ごとにご紹介します。
4-1 屋上防水工事の費用相場
※使用する材料や下地状況、人件費により変動
屋上防水工事の費用相場は1㎡あたり5,000~10,000円前後です。
一般的な30坪80㎡のお家の場合は下地の状態にもよりますが、70~100万前後かかります
種類別の費用相場が以下の通りです。
ウレタン防水
ウレタン防水の単価相場は4,000~6,000円/㎡です。
ただウレタン防水は職人が塗っていく作業なので、大きい面積になるほど手間が増えて工期が延びることがあります。
作業日数が増えると、その分費用も掛かるので、ウレタン防水は比較的狭い屋上(80㎡以下)におすすめします。
シート防水
シート防水の単価相場は5,000~10,000円/㎡です。
防水シートのグレードで費用が前後します。シートを張っていく作業で乾かす時間も不要なので、広い面積の屋上にもおすすめです。
アスファルト防水
アスファルト防水の単価相場は5,500~8,000円/㎡です。
大きな道具を使う場合もあるので、狭い面積の屋上よりも広い屋上の方が1㎡あたりにかかる費用は軽減されます。
4-2 【オーナーさん必見!】屋上防水工事は修繕費?資本的支出?
マンションやビルなど大型物件を所有しているオーナーさんは、屋上防水工事が修繕費になるのか資本的支出になるのか気になるのではないでしょうか。
結論から言うと、屋上防水工事は定期的にメンテナンスをしなければ建物の耐久性が維持できなくなるため、修繕費として計上できるケースが多いです。
ただ工事の内容によっては資本的支出になる場合もあります。
修繕費になるケース、資本的支出になるケースをご確認ください。
修繕費になるケース
・原状回復になる工事
・マイナスをゼロにする工事
資本的支出になるケース
・資本的価値を高める工事(デザイン変更など)
・建物の使用期間を高める工事
・マイナスをプラスにする工事
※例外もあるため、判定に迷いがある方は税務署に確認してもらいましょう。
-
5章 状況に合った防水工事の選び方
ウレタン防水
ウレタン防水は液体の防水材を塗っていく作業なのでどんな形の床面でも対応できます。
ただ、防水を乾かす時間が必要なので、一般住宅・アパート屋上などのあまり大きくない(80㎡以下)屋上におすすめです。
シート防水
シート防水は工場で作られた防水シートを張っていく作業なので、四角く表面が平らの屋上に適しています。
工事中、作業音はしますが、臭いはあまりなく工期も短いので近隣とのトラブルを避けたい方におすすめです。
アスファルト防水
アスファルト防水は耐久性が高いので頻繁に工事するのが難しい大規模マンションの屋上などにおすすめです。
-
6章 定期的なメンテナンスで長持ち!
屋上防水は定期的なお手入れが必要です。
放置しておくと、劣化症状がでて雨漏りが発生し、屋上だけでなく建物自体の耐久性が下がってしまいます。
長持ちさせるために定期的なメンテナンスを心がけましょう。
6-1 3か月に一度のドレンの清掃
3か月に一度はドレン(排水溝)の清掃を行ないましょう。
ドレンにゴミが溜まって水が流れなくなってしまうと、防水層の劣化や雨漏りの発生につながります。
定期的にドレンの清掃を行ないましょう。
6-2 5年に一度のトップコート
5年おきにトップコート(表面保護の仕上げ塗装)のみ施工しましょう。
トップコートを施工することで防水層を紫外線から守り劣化を防ぐことが出来ます。
費用はトップコートのグレードにもよりますが1,500~2,500円/㎡程です。
6-3 10年に一度の定期点検
屋上防水は、10年に一度点検を依頼しましょう。
防水は建物を雨や紫外線から守っている大切な部分ですが、あまり頻繁に確認しない場所でもあります。
劣化を見逃してしまうと雨漏りなどが発生し建物の耐久性が下がってしまいますので、定期的に点検して劣化を見逃さないようにしましょう。
まとめ
いかがでしたか。最後にこの記事をまとめます。
・屋上防水とはビルや陸屋根と呼ばれる平らな屋根(=屋上)に施工される防水層のことで、主な劣化症状には①ひび割れ、②剥がれ、③膨れ、④水溜まり、⑤雨漏りなどがある
・屋上防水には、ウレタン防水、シート防水、アスファルト防水の3つの種類があり、耐用年数や費用相場、おすすめの条件も種類によって多少差がある。
・屋上防水はドレンの清掃、トップコート施工など定期的なメンテナンスと定期的な点検が大切
屋上防水の劣化や種類、メンテナンス方法を把握して、長く持たせていきましょう。
最後までご覧くださり、ありがとうございました。
【関連記事】
フローチャートで最適な種類がわかる!屋上防水工事3つの種類と特徴