うちの屋根は「セメント瓦」と聞いたけれど、
これってどんなものなの?と気になっている方も多いのではないでしょうか。
セメント瓦とは、その名の通りセメントを成形して作られた瓦のことです。
耐用年数が長いのが魅力ですが、現在はもう生産されておらず、メンテナンスには他の瓦よりも注意が必要です。
そこでこの記事では、セメント瓦の特徴からメンテナンスが必要な症状やお手入れ方法までを、写真も交えて分かりやすく紹介します。
お読みいただくことで、セメント瓦の基礎知識と、ご自宅の瓦の状態にあった最適なメンテナンスが出来るようになります!
ぜひ最後までしっかりご覧くださいね。
目次
1章 セメント瓦とは
セメント瓦は、その名の通りセメントを固めてつくった瓦です。セメントなので主原料は水と砂です。
それまで主流だった和瓦(陶器瓦・粘土瓦)よりも安価で製造しやすかったため、住宅不足だった高度経済成長期の1970~1980年代に広く普及しました。
しかし近年は、さらに安価で生産しやすいスレートや金属屋根が出てきたことから、セメント瓦はほとんど製造されなくなっています。
メンテナンスとしては、定期的な塗装が必要です。
まずはセメント瓦の詳しい特徴を説明します。
1-1 【長所】耐用年数が長い
セメント瓦は、30~40年という長い耐用年数が魅力です。
セメント自体がとても固い素材なのと、厚みがあって頑丈だからです。
■屋根材の耐用年数の比較
屋根材 | セメント瓦 | スレート | 金属屋根 | アスファルトシングル | 和瓦 | 洋瓦(粘土瓦) |
耐用年数 | 30~40年 | 20~30年 | 20~30年 | 15~30年 | 50~100年 | 40~60年 |
今一番メジャーなスレート屋根の耐用年数は20~30年程ですが、セメント瓦はそれよりも長く持ちます。
メンテナンスさえすれば、さらに長持ちさせることが可能です。
1-2 【長所】耐火性に優れている
セメント瓦は耐火性に優れています。
なぜなら、主成分であるセメント自体が”不燃材料”といって火に強い材料だからです。
万が一ご近隣で火事があっても、燃え広がりにくく安心です。
★不燃材料とは 建築基準法で定められた「防火材料」のうち、一番燃えにくい材料のことです。 火で熱を加えても、20分間は以下の条件をクリアできます。 ・燃焼しない ・変形、溶接、亀裂が出ない ・有害な煙やガスが発生しない |
1-3 【短所】定期的な塗装が必要
セメント瓦は10~15年に一回は塗装が必要になります。
材料のセメント自体には防水性がないためです。
始めは表面の塗装で防水効果を持たせているのですが、この塗装も経年劣化して効果が弱まると、セメント瓦に水が染み込んで劣化したり、お家の中にまで水が浸入してお家の寿命を縮めたりしてしまいます。
セメント瓦を維持するには、定期的に塗装をして防水効果を保ち続ける必要があります。
1-4 【短所】割れやすい
セメント瓦は、小さな衝撃でも割れてしまうことがあります。
材料に使われているセメントは比較的割れやすい性質を持っているためです。
万が一割れてしまった場合は、欠片を接着して補修を行います。
2章 メンテナンスすべき劣化症状
一般的に、セメント瓦は10~15年くらいで塗装を行います。。
最初は表面に塗装がされていますが、この塗装も紫外線によって徐々に劣化してしまうためです。
また年数以外だと、劣化症状の有無で塗装をするか判断をします
ここでは、塗装時期の目安になる劣化症状を紹介します。
以下に一つでも当てはまるものがあれば、業者に塗装を依頼するようにしましょう。
※屋根点検は非常に危険なため、自分で行わないでください。必ずお近くの専門業者に依頼し、写真を撮ってもらうようにしましょう。
2-1 色褪せ
新築時は綺麗に色づいていたセメント瓦も、年数が経つとだんだん色褪せてしまいます。
何年もの間、雨風や紫外線を浴び続けていたからです。
これは塗装が劣化している初期症状です。
放置するとひび割れなどの他の症状も出てきてしまいますので、早めに塗装を依頼するようにしましょう。
2-2 カビ・コケ
緑色~黄色に変色しているものがコケ、黒くなっているものがカビです。
新築時にはこうした現象は起こりませんが、年数が経つとコケやカビが発生してきます。
紫外線や雨風を浴び続けることで、表面が劣化し水を弾かなくなってしまったからです。
水分を吸収してセメント瓦自体が湿った状態になると、カビ・コケは繁殖してしまいます。
これらは放置すると根を張り、セメント瓦自体の耐久性を大きく低下させてしまいます。除去した上での塗装が必要です。
3-3 ひび割れ
セメント瓦にひび割れが発生してしまっています。
雨水を吸収し、瓦が膨張と収縮を繰り返していたからです。
この場合は塗装をすることで、雨水の染み込みを防ぐことができます。
ひび割れの補修と、その上からの全体塗装を依頼しましょう。
2-4 瓦のずれ
台風等で瓦の位置がずれてしまった場合も、メンテナンスが必要です。
瓦がずれていると、そこから雨水がそこから侵入し雨漏りの原因となるからです。
なかなか気づきにくいですが、早めの処置が必要です。
屋根点検をまだされていないなら、専門業者に点検を依頼し、ずれがないか見てもらいましょう。
3章 メンテナンス方法&費用相場
セメント瓦のメンテナンス方法は、3種類あります。
状態別に必要なメンテナンスがどれなのか、点検した上で症状にあったものを選びましょう。
3-1 部分補修:1~3万円
割れてしまった所がある場合は、部分補修を行います。
コーキングというゴム状の補修材で割れた瓦を接着し、補修します。
費用は1箇所で約1~3万円です。
現在は新しいセメント瓦はほとんど製造されておらず、瓦自体を交換するのは難しいため、破片がある場合は捨てずにとっておきましょう。
3-2 塗装:40~70万円
最後の塗装から10~15年以上経っている場合や、防水性が切れて表面が劣化してしまっている場合は、塗装が必要です。
もしも塗装をしなかったら、水が染み込んで屋根やお家自体の寿命が縮んでしまいます。
定期的な塗装で、お家を長持ちさせましょう。
費用は、一般的な一戸建てのお家で約40~70万円です。
>セメント瓦の塗装について詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
3-3 葺き替え:100~250万円
屋根全体に欠けやヒビが見られる場合は、葺き替えが必要です。
瓦全体の耐久性が低下してしまっているため、塗装や補修をしても、元の耐久性を維持することが難しいからです。
安全にお家を長持ちさせるためにも、必要な場合は葺き替えを依頼しましょう。
費用は一般的な一戸建てのお家で、約100~250万円です。
>セメント瓦の葺き替えについて詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
4章 まずは点検を依頼しよう!
10年かそれ以上メンテナンスをしていないのなら、まずは業者に点検を依頼しましょう。
お家によって屋根の状態やメンテナンスの最適な時期、かかる費用は異なります。
専門家にしっかりとアドバイスをもらうのが、あなたのお家にとってベストです。
セメント瓦はきちんとお手入れすることで長く使い続けられる優秀な建材です。
正しく状態を知り、必要なメンテナンスが出来るようにしておきましょう。
★セメント瓦の点検、メンテナンスはユーコーにお任せください! 当ブログ運営のユーコーコミュニティーでは、セメント瓦の点検と、補修・塗装・葺き替えなどの各種メンテナンス工事を承っております。 写真報告書付きの点検診断を無料で実施していますので、屋根の状態が気になる方はぜひお気軽にお問い合わせください。 |
まとめ
セメント瓦とは、セメントを成形して作られた屋根のことです。
和瓦などど比べて安価なため住宅が不足していた高度経済成長期に広く普及しましたが、現在はさらに安く使いやすい屋根が出てきたため、ほとんど生産されていません。
そんなセメント瓦の特徴は以下の通りです。
【長所】耐用年数が30~40年と長い、耐火性に優れている
【短所】定期的な塗装が必要、割れやすい
メンテナンスは色褪せ・表面のふくれ・ひび割れ・瓦のずれなどが出てきたら必要となります。
状態にあわせた工事を行いましょう。
メンテナンス方法と費用相場は以下の通りです。
・部分補修:1~3万円
・塗装:40~70万円
・葺き替え:100~250万円
セメント瓦は、適切なメンテナンスをすることで長持ちさせられる屋根瓦です。
築10年以上経っているお家はまず業者に点検を依頼し、あなたのお家にとって最適なメンテナンスを見極めていきましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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