ジョリパット外壁のお家で築後何年も経つと気になり始めるのが、塗り替え工事。
「いつ頃やればいいの?」
「費用はいくらくらいかかる?」
「塗料は何を使うべき?」
と、初めての塗装の場合は不安も多いと思います。
『ジョリパット』はアイカ工業が販売する外壁材の一種で、おしゃれな模様、風合いから内装、外装どちらにも人気が高い建材です。
同様の外壁材にエスケー化研の『ベルアート』、菊水化学工業の『グラナダ』などがあります。
出典:アイカ工業
とても繊細で温かみのある塗り壁材ですが、維持するためには定期的な塗装メンテナンスが必須です。
とはいっても、具体的にやるべき時期や費用感などもわからないと、検討できないですよね。
そこで本記事では、塗り替えの時期、塗料選び、費用相場、注意点など、ジョリパットの塗り替えに関する基礎知識を、すべて解説いたします。
塗装のプロができるかぎり具体的に分かりやすく、写真なども交えながらお伝えしていきますので、初めての方もぜひ安心してお読みください。
ジョリパットは他の一般的な外壁とは多少異なるポイントもあります。
この素敵な外壁を綺麗に長持ちさせられるよう、最後までしっかりお読みいただき、適切な塗装工事をしてくださいね。
目次
1章 ジョリパット外壁の塗り替え時期
ジョリパットの外壁は、適切な時期での塗り替えが必要です。
なぜなら、新築時にジョリパットを保護している表面塗膜(防水塗装)は、紫外線によって徐々に劣化してしまうからです。
表面塗膜が弱るとジョリパットに水が染み込んで、汚れが付きやすくなったりひび割れが起こったりし始めます。
せっかくの美しいジョリパットが傷んでしまうのはもったいないですし、外壁としての強度も落ちてしまいます。
まずは、ジョリパットを長く維持するための塗り替え時期を解説します。
1-1 築5~8年ごろ、早いうちがベスト!
ジョリパット外壁は、築5~8年ごろの塗り替えをおすすめします。
遅くても築10年以内を目安にしておくと良いでしょう。
少し早いと思うかもしれませんが、ジョリパットは築5年を過ぎてくるとカビコケの繁殖や汚れの付着、細いひび割れなど、劣化の初期症状が始まってしまうからです。
ジョリパットは非常に美しく繊細なデザインで人気の高い外壁ですが、細かなざらつきがある分、汚れが付きやすいのがデメリットと言えます。
また、大きなひび割れや欠け落ちが発生すると、どうしても補修跡が目立ちやすいです。
質の良いおしゃれな外壁材だからこそ、「傷んでから直す」のではなく、「傷む前にメンテナンスする」のが最善です。
1-2 目安になる劣化症状
ただ、年数はあくまでも目安です。
劣化具合はお家それぞれによって異なるため、実際に外壁に出てくる症状を見るのが、最も正確なタイミング判断になります。
塗り替えの目安になる劣化症状は、①吸水、②カビ・コケ・藻、③ひび割れです。
お家をぐるっと回って確認してみましょう。
1つでも当てはまる場合は、塗装工事を検討しはじめてください。
①吸水(水をかけると吸い込む)
外壁面に水をかけてみて、じわっと色が濃くなり染み込んでいる状態です。
防水の役割をしていた表面塗膜が紫外線で劣化しています。
水を含み続けるとジョリパットは脆くなってしまいますので、まずは業者に点検をしてもらいましょう。
ポイント:南面やベランダ面、日当たりの良い場所
■水を弾いている健康な状態 水が水玉になってつるつると流れ落ちています。この状態であれば防水が効いていますので、安心です。 |
②カビ・コケ・藻
日当たりの悪いところにカビやコケが繁殖している状態です。
ジョリパットが水を含み続けていると、カビ・コケの胞子が付着して根を張ってしまうためです。
根っこはどんどんジョリパットの中に伸びてしまい、壁を弱らせます。
また、高圧洗浄をしても跡が取りきれなくなる場合もあります。
繁殖が広がる前に、塗装の検討をしましょう。
ポイント:北面、日陰になる場所
③ひび割れ
実はひび割れも、ジョリパットの防水効果がなくなっているサインです。
水を吸ったジョリパットは、僅かに膨らみ、晴れた日に乾くと縮む…と、伸び縮みを繰り返します。
この伸縮の度にジョリパットに負荷がかかっていき、やがてひびが入ってしまうのです。
見つけた場合は、必ず塗装業者に相談して塗装の検討をしましょう。
ポイント:お家の角、サッシやドアの周り
2章 塗り替え2パターンとおすすめ塗料
ジョリパット外壁の塗り替えは、『艶なし塗料』か『艶あり塗料』かの2パターンがあります。
どちらを選ぶかは、ご自身が今回の塗装で何を重視しているのか?で決まります。
両方のメリット、デメリットをご紹介しますので、自分はどちらが良いか、想像しながら読んでみてくださいね。
2-1 温かみある質感を残したいなら『専用艶なし塗料』
ジョリパットのざらついた雰囲気がとても好きで、塗装後も残したい、
艶のないマットな風合いを保ちたい、という方は、艶なし塗料がおすすめです。
外壁材メーカーによる高意匠外壁専用の艶なし塗料を使いましょう。
専用艶なし塗料の施工例
塗料の中に骨材(こつざい)という細かな砂粒のようなものが入っているため、塗装後もざらざらした独特の風合いが出ます。
元のデザインを最大限活かす、マットな仕上がりです。
メリット | 艶が出ないので、ジョリパット本来のざらつき、あたたかい質感がそのまま保てる。 |
デメリット | 細かな凹凸がそのまま残るため、艶ありタイプと比べてやや汚れが付きやすい。 |
おすすめ:グラナダフレッシュ
出典:菊水化学工業
グラナダフレッシュは、外壁塗材・塗料の総合メーカー『菊水化学工業』が、ジョリパットのような高意匠の塗り壁のために開発した専用艶なし塗料です。
細かな凹凸にまんべんなく入り込むため、独特の風合いを損ねることなく綺麗に仕上がります。
外壁の湿気を逃がしやすい「透湿性」に優れていて、塗った後の剥がれや膨れを防止してくれます。
ジョリパットの質感を残しつつ塗り替えをしたい方はぜひご利用ください。
2-2 汚れにくくしたいなら『一般的な艶あり塗料』
コケや汚れが非常に気になる、少しでも汚れのつきにくい仕上がりにしたい、
今後の塗装の回数をできるだけ少なくしたい、という方には、一般的な艶あり塗料がおすすめです。
ジョリパットは専用塗料しか使えないわけでなく、通常の塗料で塗装することもできます。
艶あり塗料の施工例
きれいに艶が出て、しっかり水を弾いてくれます。
ジョリパットの凹凸が完全に消えるわけではないのでご安心ください。
真っ平な壁のテカテカに比べると、上品で落ち着いた艶感に仕上がります。
おすすめ:アレスダイナミックTOP
出典:関西ペイント
アレスダイナミックTOPは、創業100年を超える国内大手メーカー『関西ペイント』の、最新ラジカル制御塗料です。
ラジカルとは外壁を劣化させる原因物質のひとつで、これの働きを抑える機能によって劣化を遅らせ、高い耐久性と汚れへの強さを実現しています。
ジョリパットの塗り替えに耐久性、防汚性を求める方にはぴったりです。
しっかりした業者であれば、ジョリパット外壁の見積もりとわかった時点で「艶なしと艶ありどちらがお好みですか?」と確認するか、両パターンの見積もりを作ってきてくれるはずです。
逆に何も聞かず、どちらか片方しか提案してこない業者はおすすめできません。
扱っている塗料の種類が少ないか、ジョリパットの知識・経験が少ない可能性が高いからです。
塗料選びはお家の外観や今後のメンテナンスを大きく左右します。あなたの考えに寄り添った提案ができる業者を選びましょう。
3章 ジョリパット外壁塗装の費用
ジョリパットの塗り替え費用は80~140万円ほどが相場です。
※2階建て30坪、3回塗り仕様、足場、洗浄、養生、その他付帯塗装なども含めた工事全体金額。
実際の金額は、外壁の面積や塗料のグレードによっても異なります。
塗料は耐用年数が長いものほど高くなります。
予算と、今後何年持たせたいかというライフプランを考えて選びましょう。
>塗装費用の内訳、詳細について知りたい方はこちらもご覧ください
4章 塗装前に知るべき3つの注意点
ジョリパットは独特の風合い、おしゃれなデザインの分、塗装工事のときには注意も必要です。
把握しておかないと、塗膜が剥がれるなどの不具合や見た目を損ねることに繋がってしまいます。
失敗しないために、ここだけは押さえておきましょう。
4-1 弾性塗料、伸縮性塗料はNG
「弾性塗料」「伸縮性塗料」と言われる、ひび割れに追従してしっかり埋めてくれるタイプの塗料がありますが、これはジョリパット塗装では避けましょう。
なぜなら、細かな凹凸のすき間に空気が残ってしまい、年数が経つとそこから膨れてしまうからです。
折角塗装したのにあとでぶつぶつと膨らんでしまうので、見た目も耐久性も悪くなり、とても残念ですよね。
こうした不具合を避けるためにも、弾性塗料は使わないようにしましょう。
4-2 丁寧な高圧洗浄が必要
ジョリパットの塗装前には、丁寧な高圧洗浄が必須です。
なぜなら、凹凸がとても細かい外壁材だからです。
凹凸に洗浄時の水や汚れが残ったまま塗装してしまうと、数年後に剥がれや膨れなどの不具合の原因になる可能性があります。
かといってあまりに強い水圧で洗浄すると、ジョリパットの模様が欠けてしまう恐れもあります。
強すぎない程度に調整した水圧で、丁寧に洗ってあげることが重要です。
※高圧洗浄は外壁の汚れがすべて落とせるわけではありません。
塗装に影響が出ない範囲まで綺麗にすることが目的ですので、気になる箇所があったら工事業者に確認しましょう。
4-3 ひび割れ補修は跡が目立つ可能性がある
ジョリパットは大きくひび割れする前に塗装するのをおすすめします。
なぜなら、ひび割れの補修跡が残ってしまう場合があるからです。
ジョリパットは繊細な凹凸模様が特徴ですが、ひび割れの補修材を上から入れると、どうしてもそこだけ質感が変わってしまいます。
大きなひびだと補修材の量も多く使う必要があるため、ミミズ腫れのように目立ってしまう可能性もあります。
■ひび割れ補修して塗装した状態 補修材は外壁と質感が違う為、角度によっては跡が見えてしまいます。 |
お家に水を入れないためにひび補修は必須ですが、できるなら目立たないようにしたいですよね。
1年ごとに点検をしてもらうなどして、ひびが入る前に早めの塗装をしておくと良いでしょう。
5章 点検・見積もりは経験豊富な専門業者へ
ここまで解説してきた通り、ジョリパット外壁は塗装時期や塗料選び、工事内容など、気を付けなければならない点がいくつもあります。
きちんとジョリパット塗り替えの知識・経験がある業者に依頼しましょう。
万一知識がない業者で失敗してしまったら、塗りなおしは非常に大変ですし、ジョリパットの質感を損ねてしまう危険もあります。
点検や見積もりの段階で「過去のジョリパット外壁の施工事例をいくつか見せてもらえますか」と確認しておきましょう。
できればビフォーアフター写真だけでなく、工事途中の様子なども写真を撮っている業者だと、仕事も丁寧にしてくれる場合が多いので安心です。
せっかくの素晴らしい外壁材だからこそ、経験が豊富で安心して任せられる業者に塗装してもらいましょう。
まとめ
ジョリパット外壁の塗り替え時期は、少し早めの築5~8年ごろが目安で、吸水、カビ・コケ・藻の繁殖、ひび割れなどの症状が出てきたら行いましょう。
塗り替えには2パターンあり、
- ・温かみある質感を残すなら『艶なし塗料』
- ・汚れにくくしたいなら『艶あり塗料』
を選びましょう。
塗装費用の相場は80~140万円です。※30坪2階建ての場合の概算
実際にはお家の大きさや使う塗料のグレードによって金額も変わります。
失敗しないための注意点として、
- ・弾性塗料、伸縮性塗料はNG
- ・丁寧な高圧洗浄が必要
- ・ひび割れ補修は跡が目立つ可能性がある
この3つは覚えておきましょう。
ジョリパットは他の外壁と違う部分もあるため、点検や見積もりは知識・経験の豊富な専門業者に依頼してください。
大切なお家の外壁メンテナンスのお役に立てれば幸いです。
最後までお読みくださりありがとうございました。
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