手元にある屋根塗装の見積書、これは高いのかな、安いのかな・・・。
工事内容も良いのか悪いのか分からず、お困りの方も多いのではないでしょうか。
実は、屋根塗装は「40~60万円」が相場です。
当然、屋根の劣化状況や使用する塗料、屋根の勾配などの諸条件によって、上記金額よりも高くもなれば、安くもなります。
そして注意したいのは、金額を重視しすぎると、安かろう悪かろうの工事になって、数年ですぐに剥がれてきまう点です。
この記事では、一般的な屋根塗装にかかる費用相場を詳しくお伝えします。
そして、それだけでなく、良い工事をする方法、業者に依頼するときの見極め方を詳しくご紹介します。
これを読むことによって、お安く、お得に品質の高い塗装工事ができます。
ぜひ、じっくり読んでみてくださいね。
1章 屋根塗装の費用相場が分かる
まずは、屋根塗装の相場をおさえておきましょう。全体の総額から項目別の費用まで具体的にご紹介します。
それによって、手元にある見積書が高いのかそうか、判断することができます。
ポイントは、使用する塗料によっては、同じ屋根の大きさであっても金額は変動する、ということです。
それを踏まえて、チェックしてみましょう。
1-1 屋根塗装の相場は「40~60万円」
結論から言うと、
一般的な2階建ての住宅の場合(塗り面積が60~80㎡[約30坪]・スレート屋根)は、40~60万円が費用相場です。
<注釈>スレート屋根とは? 屋根の種類の一つです。瓦屋根に比べて非常に軽く安価のため、現在、日本で最も普及している屋根材です。「カラーベスト」「コロニアル屋根」とも呼ばれます。 |
使用する塗料にもよりますが、スレート屋根の塗装のほとんどの場合は、60万円程度で施工が可能です。
■屋根塗装の費用の割合
※10,000件の事例をもとに算出
上記は、あくまでも一般的な平均費用を算出しています。
当然、屋根の塗り面積や屋根の形、劣化状況、使用する塗料の種類によって、上記費用よりも高くなる場合もあれば、安くなる場合もあります。
ひとまず、費用相場として、屋根塗装は「40~60万円」と把握しておきましょう。
1-2 項目別の費用相場を一覧で丸わかり
次は、具体的に屋根塗装に必要な項目別の費用相場をご紹介します。いずれも必要な工事になります。
金額はもちろん、業者に提案してもらった内容に、下記の項目が入っているかも確認しましょう。
概算の相場が把握できたら、次はお安くできるコツをお伝えします。
2章 屋根塗装を予算内で安くおさえる3つのコツ
お家の塗装をする費用は、決して安いものではありません。
できれば出費を抑えたいのが当然です。
ここでは、その屋根塗装の費用を少しでもお安くできる方法を2つ絞ってお伝えします。
いずれも、数十万円もお得になる可能性があります。
では、一つ一つ詳しくご紹介しますので、丁寧に読んでいきましょう。
2-1 実は、高額なフッ素塗料がお得
屋根の塗装は1回で終了ではなく、定期的に発生するものです。
そのため、長い目でみると、耐久性が長い高額なフッ素以上の塗料が、実はお得です。
ですから、どのくらいお家を長持ちさせたいのか、また予算にあった塗料を見ながら、慎重に選びましょう。
例えば、下記の比較をみていただけると、塗料それぞれの特徴も違います。
見ていただいた通り、必ずしも料金が安い塗料が良いとは限りません。
ある程度、金額は耐用年数に比例しますので、長い目でみると、むしろ耐久性が長い良い塗料を使用したほうが、結果的に安くなります。
下記の図を見てみてください。
繰り返しになりますが、屋根は定期的なメンテナンスが必要なので、以下の3点を留意しながら使用する塗料を選びましょう。
<屋根の塗料を選ぶポイント>
- ・今回の屋根の塗装にかける予算
- ・お家をどのくらい長持ちさせたいのか
- ・約30年間のトータルメンテナンス費用
2-2 外壁も一緒に塗装すると足場代が浮いてお得
塗装は、外壁と屋根を一緒に工事するのがおすすめです。
理由は、屋根塗装のみでも、外壁塗装のみでも、「足場」をかけることがほとんどだからです。
つまり、外壁と屋根を分けて工事すると、足場代だけを考えても、2回分の費用がかかってしまいます。
また、高圧洗浄や、養生、塗り工程(下塗り・中塗り・上塗り)に関しても、業者側からすると、2回に分けて外壁と屋根を行うよりも、まとめて行うほうが無駄がないため、割安になります。
例えば、外壁塗装80万・屋根塗装60万ほどかかるお家の場合は、まとめて一緒におこなうと、120万円ほどになる、というイメージです。
トータルで約20万円お安くなるのは、インパクトが大きいですよね。
実際、外壁と屋根をセットで工事する方は、75%以上にものぼります。
外壁と屋根をセットで塗装工事するのは、費用をおさえる方法の「定番」となっています。
※10,000件の事例をもとに算出
以上のことから、塗装費用を安くするためには、外壁と屋根を同時に施工するようにしましょう。
◆足場代がかかるからと言って、省略は絶対にやめましょう。屋根塗装に足場が必要な理由を解説しています。
2-3 塗装は専門の業者に依頼するのがもっともお得
塗装に関しては、「塗装の専門業者に依頼する」のがベストです。
理由は、ハウスメーカーでも工務店でも、結局は下請けの塗装専門の業者が施工するからです。
むしろ、ハウスメーカーや工務店を間にはさむ分、マージンがとられて費用は高くなります。
※ハウスメーカーや工務店が、塗装専門の会社からの見積もりに対して、20~30%上乗せして、お客様へ金額を提示する。
中間マージンの多くは、20~30%です。
40万円が塗装専門の会社が提示した金額の場合、ハウスメーカーや工務店を通すと、見積り金額が48万~52万円にまで高くなる、という意味です。
工事するのは、同じ塗装専門の会社なので、施工品質は同じです。
そのため、塗装は専門の業者に依頼したほうが、かなりお得で良いでしょう。
3章 品質を保つために必須な3つのポイント
屋根塗装では、良い工事をする上でおさえるべき要点があります。
今からお伝えする2点は、必ず見積書の項目に入っているかチェックしましょう。
なぜなら、いくら安くてもこの2点が抑えられていないと、のちほど工事が発生する可能性が高まります。
下記の2点だけ、まずはしっかり把握しておきましょう。
3-1 スレート屋根には「タスペーサー」が必須
スレート屋根塗装には、「タスペーサー」が、必ず見積もり項目に入っているか確認しましょう。
■屋根と屋根のすき間をつくる必要があります。 (※タスペーサーの製造メーカー「セイム」パンフレットより抜粋) |
これを塗装する前に屋根と屋根の間に装着しないと、塗料でその隙間がふさがれてしまいます。
■タスペーサーを挿入 写真の部材がタスペーサー
■タスペーサー挿入後 ほとんど目立たず、はずれることもありません。屋根と屋根の隙間を確保してくれます。 |
このタスペーサーを装着しないと、水の逃げ道がなくなり溜まっていきます。
結果、水が家の中に入って雨漏りにつながり始めるのです。
■タスペーサーの挿入が入っていない場合 屋根と屋根の間に水が溜まっており、雨染みのような状態になっている。 |
以前は、この水を抜く作業として塗装後にカッターなどで「縁切り」して隙間をあけることが多かったのですが、屋根材に傷をつける可能性が高いため、現在はタスペーサーが主流となっています。
■縁切りの方法 塗膜カッターで、塗料でふさがった部分をきってすきまをあける |
スレート屋根の塗装の際には、このタスペーサー挿入をしないと、必ず雨漏りにつながります。
高額な葺き替え工事に発展する可能性もあります。
タスペーサー項目を入れない安い費用よりも、少し高くなってもタスペーサーは必ず入れてください。
3-3 棟板金の釘打ち工事が必須
スレート屋根塗装には「棟板金の釘打ち工事」を必ずしてもらいましょう。
その前に、まず屋根の構造をお伝えします。
<注釈>棟板金とは? スレート屋根のてっぺんには、「棟板金」という板金があります。その棟板金を止めている釘が出てきたら、塗装工事と一緒に補修しなければいけません。 ■スレート屋根の構造
■棟板金を止めている釘 |
「棟板金の釘が抜けている」状態は、小さな症状ですが、放って置くと雨漏りや、さらには葺き替えなど100万円を超える工事になってしまいます。
そのため、補修工事をしてから塗装をする必要があります。工事の流れは簡単です。
■釘を打つ 金づちで、出ている釘を打ちます
■コーキングで止める 釘頭やその周りをコーキングという補修材で隙間を埋めます。
■完成! |
この小さな工事が抜けていたら要注意です!必ず「棟板金の釘打ち工事は入っていますか?」と確認しましょう。
◆棟板金の釘工事が必須な理由などはこちら
3-3 塗り面積で算出が必須「一式・坪」の見積もりはNG!
「一式」「坪」計算による見積もりは正確な数値が出せません。必ず、塗り面積(㎡数)で費用をもらうようにしましょう。
理由は、塗装は全て「塗り面積」で計算されるからです。一式で詳細の費用が算出できることは、まずありません。
また、坪数と塗り面積は必ずしも一致しません。
屋根は特に勾配や、大屋根・下屋根によって塗り面積が大きく変わります。
例えば、無理やり一式や坪数で計算すると、工事途中で塗料が足りなくなって、材料を発注するため、工事期間が伸びる可能性があります。
また、悪い業者になると、塗料を薄めてそのまま工事をすすめるかもしれません。
“見積もりは必ず塗り面積(㎡数)で貰いましょう”
- 概算の屋根塗装の費用を計算するのに、坪数で考えるのはよいですが、実際の費用や、見積書が一式や坪数だと、失敗する可能性が高まります。
- あなたの予算ピッタリ、もしくは安かったとしても、必ず塗り面積で、金額を算出してもらうようにしてください。
4章 良い業者選びの見極めポイント3つ
屋根はもっともお家で雨漏りが発生しやすい箇所です。そのため、良い業者選びはとても重要です。
お安くお得に、しかも良い工事をしてくれる会社を選びましょう。
この章では、大切な3つに絞ってお伝えします。この3点をおさえておけば、問題はありません。
それでは一緒にみていきましょう。
4-1 屋根を30~60分かけて点検してくれたか
屋根は普段から確認できる箇所ではありません。
そのため、実際に屋根の状態を、30~60分をかけて点検してくれる会社を選びましょう。
理由は、屋根の状態を点検診断せずに、塗り㎡や坪数だけで見積書を算出する会社もあるためです。
その場合、実際の劣化状況がわからず、工事が始まってから、追加費用や塗料が足りなくなったりと、予算オーバーになりかねません。
10分程度で点検診断する会社は要注意です。
また、最近は、安全面を考慮して屋根の上にのぼらなくても高所カメラやドローンを利用して、しっかり点検してくれる会社もあります。
その場合、屋根にのぼらない分、比較的に短い15~30分程度で点検が終了します。
いずれにしても、屋根の状態をしっかりとみてくれる会社を選びましょう。
4-2 点検時に撮影した写真の枚数が多いか
屋根点検をしてもらった後は、その際に撮影した写真を見せてもらいましょう。また、その量をチェックしましょう。
意外と、写真を撮らない会社があります。
また、撮影したとしても、数枚の写真だけの場合があります。
数枚の写真しか撮らない(数箇所しか点検しなかった)会社よりも、多くの枚数を撮る会社(細かいところまで点検してくれる会社)のほうが、工事そのものも信頼できますよね。
特に、屋根は普段見ることができない箇所です。しっかり点検してもらい、写真で確認させてもらいましょう。
撮った写真をもとにしっかり説明してくれる会社、写真の枚数が多い会社は、信頼できる会社の大きな要素です。
4-3 劣化状況によっては、カバーや葺き替えを提案してくれるか
屋根の劣化状況がひどい場合は、塗装ではなく「カバー工事」や「葺き替え工事」を提案してくれる会社は信頼できます。
■屋根カバー 塗装で修復出来ない場合は、カバー工事か葺き替え工事が必要になる。 |
しかし、カバー・葺き替え工事は100万~150万円にのぼり、塗装工事よりも3倍近くかかる場合があり、お客様にとっては大幅な予算オーバーになります。
そのため、契約を断られることを恐れて、「お客様にとって必要な工事」を提案しない会社があります。
ひとまず契約して、塗装工事をして綺麗になれば、見た目はわからないからです。
しかし、実際お家の屋根状況はどんどん悪化していきます。
当たり前のことかもしれませんが、お客様にとって必要でない工事(やってはいけない工事)であれば、お客様の意図にかかわらず、しっかりと教えてくれて、提案してくれる会社が、信頼できると言えます。
◆カバー工事、葺き替え工事について詳しくはこちら
まとめ
いかがでしたでしょうか。
屋根はお家の中でもっとも過酷な箇所です。24時間365日、紫外線や雨、風にさらされているためです。
実際に、雨漏りでもっとも多い箇所なのも、屋根です。
相場の費用を把握したうえで、良い工事をして家全体を長持ちさせてあげましょう。
この記事がお役に立てれば嬉しいです。
◆外壁塗装もあわせてご検討の方は、全体の費用感をご確認ください。
→一目でわかる!外壁塗装の費用相場と損しないための7つのポイント