「そろそろ瓦屋根を葺き替えたほうがいい」と業者に言われたあなた。
本当に我が家も必要なの?と疑問に思って調べている方も多いのではないでしょうか。
葺き替え工事は高額なので、いつかやらなければいけない工事とはいえ、今なの?と不安になってしまいますよね。
しかし、必要な時期が来ているのに葺き替えをせずに放置すると、屋根が雨漏りし、お家全体の寿命を縮めてしまいます。
いつ葺き替えが必要なのかは、瓦の種類により異なります。
そこでこの記事では、瓦屋根の葺き替え時期と、目安となる劣化症状について解説していきます。
ただ、瓦屋根は耐久性に優れたものも多いです。
そのため、葺き替えがまだ必要ない場合のメンテナンス方法も一緒にお伝えします。
適切なタイミングで、瓦の状態にあったメンテナンスを行い、お家を長持ちさせていきましょう。
ぜひ、最後まで読んでみてくださいね。
目次
1章 瓦は築20~60年が葺き替えの目安
瓦の材質により異なりますが、築20~60年が葺き替えの目安です。
■瓦の材質別葺き替え目安
材質 | 葺き替えの目安となる年数 |
和瓦 洋瓦 | 30~60年 |
セメント瓦 | 20~40年 |
モニエル瓦 | 20~30年 |
軽量瓦 出典:ケイミュー『ルーガ』 | 20~40年 |
金属瓦 | 20~30年 |
スレート瓦 | 20~30年 |
これらの年数を過ぎると全体の耐久性が低下し、
部分補修の対処だけでは間に合わなくなることが多いからです。
何年も雨風にさらされることで、割れ・欠けやズレが生じ、耐久性が下がったり、セメント瓦の場合は表面の防水機能が失われ、雨水が染み込み、屋根瓦の内部にまで水が侵入してしまいます。
ただ、建ててから全く何もメンテナンスしていないとなると、上記の年数よりも短い年数で、葺き替えが必要になる場合もあります。
この年数はあくまで目安として知っておきましょう。
2章 瓦の葺き替え目安になるサイン2つ
瓦屋根の葺き替えが必要な症状を2つ紹介します。
点検を依頼してみて、1つでもあてはまるようであれば葺き替えが必要となります。
時期を逃すと、お家の寿命を縮める原因となってしまいます。
当てはまるものがないか、必ず確認してみましょう。
2-1 屋根全体のひび割れor欠け
屋根全体がひび割れたり、欠けてしまっている場合も葺き替えが必要です。
理由は2つあります。
1つ目の理由は、割れたところから雨水が入ってしまい、雨漏りの原因となるからです。
雨はお家の中の木材にも染み込み、お家全体の寿命が大きく縮む原因となります。
2つ目は、欠けたり割れたりしている瓦が落下し、人や物に当たる恐れがあり、大変危険なためです。
雨漏りを防ぎ、瓦の落下を防ぐためにも、早めに葺き替えを行うようにしましょう。
2-2 コケが根付いてしまっている
コケが屋根に根付いてしまっている場合も、葺き替えが必要です。
瓦自体が常に水分を含んで脆くなっているのと、内部の木材や防水紙まで腐ってしまっている恐れがあるからです。
放置すると雨漏りの原因になるだけでなく、お家の寿命を縮めてしまう原因にもなります。
お家を長持ちさせるためにも、傍目に葺き替えを行いましょう。
★点検は必ず専門業者に依頼しよう 屋根点検は必ず、専門業者に依頼しましょう。 なぜなら、直接屋根を点検しないと本当に葺き替えが必要かどうか分からないのとプロの業者でない方が屋根に登って点検するのは、大変危険だからです。 実は、はしごや脚立から転落する事故は、2010年12月~2019年2月末までで433件、年間で50件以上発生しています。(出典:独立行政法人国民生活センター) 安全に屋根の状態を正確に知るためにも、必ず業者に点検を依頼しましょう。 |
3章 葺き替えにかかる費用相場
瓦の葺き替えにかかる費用は、30坪のお家の場合、約120~260万円ほどです。
なぜここまで差があるのかというと、瓦の種類によって撤去・処分費に差が出てしまうからです。
特に瓦は取り外しに手間がかかり重いので他の屋根材よりも高額になる傾向があります。
また、どの屋根材に葺き替えるのかにもよって費用は変動します。
実際に何にどのくらいかかるのか、事例を使って紹介します。
■屋根葺き替え事例3点
・事例1 スレート→ガルバリウム鋼板(金属瓦)へ
施工面積:97㎡ 費用:約160万円
スレートの傷みが激しいため、劣化しにくい金属瓦へ葺き替えを行いました。
・事例2 和瓦→ガルバリウム鋼板(金属瓦)へ
施工面積:117.8㎡ 費用:約208万円
建物に負担のかかりにくい金属瓦へ葺き替えました。
和瓦の処分は、ほかの屋根材よりも手間がかかるため、処分費が高くなっています。
・事例3 セメント瓦→軽量瓦へ
施工面積:136.5㎡ 費用:約267万円
軽量瓦なら、瓦の重厚感を残しつつ耐震性を高められます。
見た目と耐震性、どちらも両立させたい方におすすめです。
どのような屋根材が良いのかやそれぞれの相場については、こちらの記事をご覧ください。
★火災保険が適用できる場合がある 今ある屋根の傷みが、台風やひょう、大雪等が原因の場合は、火災保険を使って修理することができる場合があります。 主な条件は下記の3つです。
詳しくは、こちらの記事をご覧ください。 |
4章 瓦を長持ちさせるメンテナンス
2章の症状にあてはまらない場合は、別のメンテナンスで長持ちさせていきましょう。
葺き替えが必要ない状態とはいえ、そのまま放置していると瓦やその内部が傷み、屋根やお家自体の寿命が縮んでしまうからです。
ここでは、どんなメンテナンスをいつしていけばいいのかを紹介します。
定期的なメンテナンスで、屋根やお家を長持ちさせていきましょう。
4-1 瓦の一部交換・ずれを直す 【1~5万円/枚】
瓦の一部だけ割れている場合は、そこだけ瓦を交換します。
また、割れてなくても瓦がずれている場合は直す必要があります。
割れた状態で放置していると、割れた瓦が落下してきて危険なのと、割れたりずれたりしているところから雨水が侵入し、雨漏りの原因となるためです。
台風後はアンテナが倒れたり、風で飛んできたもので割れることが多いです。
念のためでも見てもらい、割れていたらすぐ交換を依頼するようにしましょう。
4-2 漆喰補修【4,000~7,000円/m】
漆喰とは、屋根の頂上にある棟瓦を固定している白いセメントのような場所です。
約15年程度でひび割れや剥がれが発生するため、補修が必要です。
補修が必要な状態のまま放置すると、棟瓦がずれたり歪んだりすることで隙間ができ、
内部に水が侵入する原因となるためです。
点検してもらい、漆喰が剥がれているようであれば必ず補修を依頼しましょう。
4-3 棟積みなおし【10,000~16,000円/m】
棟積みなおしとは、屋根瓦頂上の棟瓦をすべて取り外し、もう一度組みなおす工事です。
漆喰の劣化や、地震等の揺れで棟瓦がずれたり歪んたりしていた場合に行います。
棟の歪み・ズレは放置すると屋根全体に広がり、雨漏りや屋根瓦の欠落の原因となります。
歪んでいたら、必ず依頼しましょう。
4-4 塗装工事【3,100~6,300円/㎡】
セメント瓦、スレート瓦、モニエル瓦、金属瓦の場合は、表面を塗装することで長持ちさせていきます。
※和瓦・洋瓦は塗装できません。
セメント瓦は防水性がなく、年数が経つと、水を吸収してひび割れやコケ等の劣化症状を引き起こしてしまうからです。
塗装が必要な症状は、下記の3つです。
- ①表面の色あせ・変色
- ②カビ・コケがある
- ③ひび割れている
どれか1つでも当てはまれば、塗装が必要です。
放置していると、葺き替えが必要な状態となり、余計なコストがかかってしまいます。
症状がでていたら、早めに塗装を行いましょう。
瓦の塗装についてはこちらの記事をご覧ください。
まとめ
瓦の素材によって時期は前後しますが、葺き替え時期は約20~60年でやってきます。
この時期が来ると、瓦全体の耐久性が低下し、部分補修だけでは間に合わなくなってしまうためです。
ただ、葺き替えが本当に必要かどうかは、業者による屋根点検が必須です。
葺き替えするか判断する前に、必ず点検を依頼しましょう。
葺き替えが必要な症状は、下記の2つです。
①屋根全体のひび割れor欠け
- ②コケが根付いてしまっている
点検を依頼してみて、まだ葺き替えが必要なかった場合は、
下記の4つのメンテナンスで屋根を長持ちさせていきましょう。
・瓦の一部交換
・漆喰補修
・棟積みなおし
- ・塗装工事
瓦は耐久性が高く、メンテナンスさえしていれば、葺き替えよりも手ごろな価格で長持ちさせられることが多いです。
まずは屋根の点検を業者に依頼し、屋根の状態を正しく把握したうえで、状態にあったメンテナンスをしていきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
◆瓦の葺き替え費用が知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
一覧表でわかる屋根瓦の葺き替え費用|種類別の相場とお得にするコツ
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