外壁を塗装するなら屋根も一緒に塗装したいけど…
「うちの瓦屋根は塗装が必要?」
「どんなところに注意すればいいの?」
と気になって検索しているのではないでしょうか。
“瓦屋根は塗装しなくてもいい”と思い込んでいる方も多いですが、実は塗装が必要な瓦もあります。
塗装が必要な瓦屋根を塗装せずに放っておくと本来の寿命を縮めてしまいます。
せっかく丈夫で意匠性も高い瓦屋根を選んだのに、ボロボロになってしまったらもったいないですよね。
ただ、ご自宅の瓦が塗装が必要な種類なのか知らない方もいらっしゃると思います。
そこでこの記事では、塗装が必要な瓦と不要な瓦をご紹介します。
また塗装費用相場や瓦別の塗装の注意点もご紹介しますので、瓦屋根塗装をする前に事前に知っておきましょう。
記事の後半では、失敗しないための業者選びのポイントもご紹介します。
この記事を読めば瓦屋根塗装を安心して行なうことができ、長持ちさせる事が出来ます。
ぜひ最後までご覧ください。
目次
1章 塗装が必要な瓦と不要な瓦
この章では、塗装が必要・不要な瓦をご紹介します。
正しい見分けとメンテナンスで長持ちさせることが出来るので、
まずはご自宅の瓦が、塗装が必要な瓦なのか確認していきましょう。
1-1 必要な瓦|セメント系・スレート系・金属系
塗装が必要な瓦屋根はセメント系・スレート系・金属系の瓦です。
それぞれの種類についてご紹介します。
セメント系
セメント系の瓦(セメント瓦・モニエル瓦)は、塗装が必要です。
製造される際にはセメントを瓦型に形成し塗装されていますが、その塗装が紫外線で劣化してしまうと、雨水を吸収するようになって脆くなってしまいます。
▼劣化で割れてしまったセメント瓦
雨水を吸って膨張、乾いて収縮を繰り返し、ひび割れてしまった瓦です。
放置するとさらにひびが大きくなり欠けてしまうこともあります。
劣化による破損を防ぐために築10~15年ほどで塗装によるメンテナンスが必要です。
★セメント瓦とモニエル瓦の見分け方 瓦の小口が平らで滑らかなのが「セメント瓦」、 小口がザラザラで凸凹しているのが「モニエル瓦」です。 |
◆セメント瓦の方はこちらの記事をご覧ください。
◆モニエル瓦の方はこちらの記事をご覧ください。
スレート系
スレート・コロニアルなどのスレート系瓦は塗装が必要です。
セメント瓦同様に、セメントが主成分で出来ているため、製造される際に塗られる塗装が紫外線で劣化すると雨水を吸収するようになります。
スレート系の瓦はセメント系瓦よりも薄く劣化スピードも早いので築8~10年で塗装が必要になります。
塗装時期を逃してしまうと、スレート自体が劣化して、塗装工事ではなく、カバーや葺き替えが必要になってしまうので注意しましょう。
▼15年以上塗装しなかったスレート
スレートが水を吸いすぎて脆くなり、常に湿気を帯びてコケも繁殖しています。
この状態になると塗装してもスレート自体の耐久性が蘇ることはないので、新しい屋根材に交換することが必要です。
手遅れになる前に塗装を行ないましょう。
◆スレート屋根の方はこちらの記事をご覧ください。
金属系
トタンやガルバリウム鋼板などの金属系瓦も塗装が必要です。
金属屋根は、防水性が高いですがサビに注意が必要です。
サビが発生するとそこから徐々に広がっていき穴が開いてしまう場合もあります。
トタン製は築5~8年、ガルバリウム鋼板製は築15~20年ほどで塗装が必要になります。
▼錆びが広がってしまった金属屋根
サビをケレン(研磨すること)して、サビ止め塗装をしましょう。
◆金属屋根の方はこちらの記事もご覧ください。
1-2 不要な瓦|粘土系
和瓦や洋瓦などの粘土系瓦は塗装が不要です。
粘土系瓦は、瓦自体が陶器のような素材なので塗装をしなくても防水性が高く、60~100年ほど持ちます。
そのため、塗装によるメンテナンスは必要ありません。
ただし、棟瓦をおさえる漆喰や、瓦の下に敷かれている防水シートなどは築20~30年ほどで劣化して雨漏りの原因になる場合があります。
塗装不要=メンテナンスフリーというわけではないので、点検は定期的に行うことをおすすめします。
◆和瓦のメンテナンス方法や費用が知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
◆洋瓦のメンテナンス方法や費用が知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
★色・雰囲気を変えたいなら粘土瓦でも塗装も出来る! 粘土瓦の方でも色や雰囲気を変えるために塗装が可能です。 ただし、粘土瓦塗装は塗料選びに注意が必要なので、粘土瓦にも対応している塗料で塗装しましょう。 (例)大同塗料/ハイルーフマイルドシリコン遮熱型 |
2章 【種類別】瓦屋根塗装工事の注意点
瓦屋根は種類ごとに注意点があります。
各種別の塗装の注意点をご紹介します。
注意点を知っておくことでご自宅の瓦塗装を成功させることができるので、ご自身でも知識を付けておきましょう!
2-1 セメント瓦:下地処理を十分に行う
セメント系の瓦(セメント瓦・モニエル瓦)は下地処理を十分に行なうことが重要です。
特にモニエル瓦の表面に塗られている着色剤「着色スラリー」は除去が必須です。
この「スラリー層」が残ったまま塗装をしてしまうと、劣化したスラリー層と一緒に塗装も剥がれてきてしまいます。
そのため塗装をする前に入念な高圧洗浄でしっかりスラリー層を落としきることが大切です。
▼洗浄後のモニエル瓦
洗浄後の綺麗になった様子を、業者に写真に撮ってもらい確認しましょう。
2-2 スレート瓦:タスペーサーで縁切りする
スレート瓦を塗装する際は、タスペーサーで縁切り作業をすることが重要です。
縁切りとは、瓦同士の縁を切って隙間を作る作業のことです。
スレートは薄い瓦を重ねて葺かれている屋根なので塗装をすると、瓦同士の隙間が埋まってしまいます。
ただ、そうなると雨が正常に外にはけず、雨漏りの原因になります。
そのため、瓦同士の縁を切る“縁切り”が必要です。
「タスペーサー」とは塗装前にスレート屋根に差し込むだけで縁切りが出来てしまう部材です。
塗装の見積りをもらったときにタスペーサーが項目に入っているか必ず確認しましょう。
◆タスペーサーの正しい施工方法はこちらの記事でご確認ください。
2-3 金属瓦:錆止め塗料で塗装する
金属系の瓦は「錆止め塗装」を必ず行いましょう。
金属は赤さびや白さびなど、サビの発生に注意しなければいけません。
そのため塗装する際は錆止め効果のある下塗りを行なうことが重要です。
錆止めを塗らずに塗装をしてしまうと、年数が経ったときにサビが広がってしまう場合があります。
錆は広がると、研磨しても元に戻らないので材料の交換が必要になってしまいます。
塗料を提案されたときに下塗りに「錆止め効果」があるか確認しましょう。
3章 瓦屋根の塗装費用相場
これから見積もりを取る方は、まず相場を知ることが大切です。
相場を知っておけば、見積もりが高いか安いかも判断できます。
工事を損しないためにも事前に知っておきましょう。
3-1 費用相場
瓦屋根の塗装費用相場は40~80万円(屋根面積80㎡の場合)です。
費用相場が変動する要素の一つが塗料のグレードです。
塗料には「ウレタン」「シリコン」「フッ素」「無機」と主に4つのグレードがあり、フッ素や無機塗料などの高耐久の塗料になるほど費用は高くなります。
3-2 工事の内訳
工事の内訳と単価相場をご紹介します。
単価相場を知っておくと見積もりをもらった際にどの項目が高いのか判断できますので参考にしてみて下さい。
塗料の種類・項目 | 平米単価 |
ウレタン | 1,700~2,500/㎡ |
シリコン | 2,300~3,500/㎡ |
フッ素 | 3,500~4,800/㎡ |
無機 | 4,300~5,500/㎡ |
仮設足場 | 700~900円/㎡ |
メッシュシート | 100~200円/㎡ |
高圧洗浄 | 200~300円/㎡ |
下地処理 | 200~500円/㎡ |
棟板金(棟瓦)釘打ち・コーキング処理 | 15,000~40,000円/一式 |
スラリー除去作業(※モニエル瓦のみ) | 800~900円/㎡ |
タスペーサー・縁切り(※スレート系のみ) | 400~600円/㎡ |
※3階建ての現場や屋根が急斜面の場合は、足場の単価が+100~300円ほど上がります。
※瓦の交換などは別途費用がかかります。
◆塗装以外のメンテナンス方法と費用相場が知りたい方はこちらをご覧ください。
4章 失敗しない業者選びの5つのポイント
屋根は見えない場所なので、手を抜いたり雑な作業をしてしまう業者もいます。
ただ屋根は家を守る大切な部分ですので丁寧な作業が必須です。
安心して任せられる業者に依頼しましょう。
4-1 自宅の屋根と同じ瓦の塗装施工実績がある
ご自宅の屋根瓦と同じ種類の瓦の塗装実績がある業者を選びましょう。
塗装会社は何社もありますが中には実績があまりないところもあります。
ただ、塗装経験や知識がないと、塗料選びを間違えてしまったり、適切な下地処理が出来ません。
したがってご自宅の瓦と同じ瓦の塗装を行なったことがあるか確認しましょう。
その際に実際の施工時の写真を見せてもらえると仕上がりのイメージも出来るのでなお安心です。
4-2 資格を持った職人が在籍している
塗装技能士の国家資格を持った職人が在籍しているか確認しましょう。
塗装業は資格がなくても出来る職種なので、資格がないまま工事をしている会社もあります。
ただ、塗装技能士という国家資格は存在しているので、その資格を持った職人がいるか、資格取得に励んでいる会社なのかを確認しましょう。
★資格の有無はホームページをチェック! ▼ユーコーコニュニティーのホームページより 弊社ユーコーコミュニティーでも資格取得に力を入れており、自社ホームページに資格取得数を掲載しています。 |
4-3 細かい劣化まで分かる点検写真を撮ってくれる
屋根の点検をしてもらった際に、細部まで状態が分かる写真を撮ってくれる業者を選びましょう。
外壁の点検と違って屋根は登らなければ状態が分からないため、状態を確認せずに見積もりを出す業者もいます。
ただし、状態が分からないまま工事してしまうと、工事になった時に瓦が割れているのに気付き追加工事が発生してしまう場合があります。
また、点検写真を撮ってくれたとしても1~2枚程度の全体の写真しか撮らない業者もいますがそれでは細かな状態が分かります。
全体はもちろん、細かい部分も状態が分かる写真を撮ってくれる業者を選びましょう。
▼撮った写真はアルバムに。 点検後は写真をもらってご自身の目で状態を確認しましょう。 ユーコーコミュニティーでは保存しやすいようにアルバムにしてお渡ししています。 点検写真付の無料点検を希望される方はこちらへ |
4-4 詳細な見積もりをくれる
詳細な見積もりをくれる業者を選びましょう。
屋根の塗装工事は塗る作業以外にも、「足場仮設」や「高圧洗浄」などの細かい作業があります。
したがって各工程や単価が記載されていない見積もりは、細かい作業が入った金額なのかが分かりませんし、適正単価で計算された金額なのかも判断できません。
万が一、「屋根塗装 一式 =○○円」の見積りで契約してしまったら、「高圧洗浄」が省かれてしまっても、「契約にないので」と業者に押し切られてしまいます。
確実な適正価格の工事を行なってもらうためにも、「①各工程名」「②単価」「③数量」「④塗料名」を明記した見積もりを出してくれる業者を選びましょう。
4-5 工事中に職人以外もチェックしてくれる
工事中に職人以外もチェックしに来てくれる管理体制が整った業者に依頼しましょう。
屋根の工事はご自身ではなかなか確認できない高所の工事なので、作業はもちろんチェックも大切です。
職人によるチェックだけでなく、施工管理担当や品質管理担当が現場に来て足場に登り確認してくれる体制の業者を選びましょう。
さらに、各工程写真を撮って記録に残してくれるとなお安心です。
▼施工中の写真をまとめた施工アルバム ユーコーコミュニティーでは足場仮設から工事完了までの作業を写真に収め、工事後にお渡ししています。 なかなか見ることが出来ない屋根の様子も分かるので好評いただいています。 |
まとめ
いかがでしたか。
瓦屋根には塗装が必要なものと不要なものがあります。
必要なのがセメント系瓦、スレート系瓦、金属系瓦です。
不要なのが粘土系瓦です。
各瓦ごとに塗装の注意点があるので、塗装前には注意点をおさえておきましょう。
また、塗装費用相場は40~80万円です。(80㎡あたり)
塗装費用は選ぶ塗料のグレードによって変動するので、どれくらい長持ちさせたいかに合わせた塗料選びを行ないましょう。
最後に塗装を成功させるには業者選びが大切です。
安心して工事を任せられる業者を選ぶためには以下の5点のポイントをおさえましょう。
①自宅の屋根と同じ瓦の塗装施工実績がある
②資格を持った職人が在籍している
③細かい劣化まで分かる点検写真を撮ってくれる
④詳細な見積もりをくれる
⑤工事中に職人以外もチェックしてくれる
瓦屋根はおしゃれで丈夫な素敵な屋根材です。
適切なメンテナンスで長持ちさせていきましょう!
最後までご覧くださり、ありがとうございました。
◆瓦ごとの寿命が知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
【種類別】屋根瓦の寿命(=耐用年数)と長持ちさせるメンテナンス方法