倉庫の折板(せっぱん)屋根も少しサビてきたから塗装したいと考えているあなた。
「折板屋根の塗装はどのようにやるの?」
「塗装にはどれくらい費用がかかる?」
「塗装の注意点はある?」
と気になって検索しているのではないでしょうか。
折板屋根は金属の波型の屋根で倉庫や工場、物置などに使われます。
30年以上の耐久性がありますが、塗装によるメンテナンスは必要です。
また、一般的な金属屋根よりも形が複雑で様々な種類があるので、より丁寧な施工が重要になります。
とは言っても具体的にどんなことに気を付けて塗装したらいいのか、どんな塗料を選んだらいいのか分からない方も多いと思います。
そこで、この記事では折板屋根の塗装時期や費用相場から、塗料選び・正しい施工方法についてご紹介します。
また記事の後半では塗装をする上での注意点もご説明しますので、ぜひ最後までご覧ください。
塗装メンテナンスで屋根を長持ちさせていきましょう!
★折板屋根とは 折板(せっぱん)屋根とは、野地板(下地板)なしに屋根に取り付けられる金属の屋根のことです。 工期の短さや防水性が高いところが利点としてあげられ、大型の工場などにも用いられます。 折板屋根には主に5つの形状の種類があります。 | |
▪はぜ締めタイプ | 防水性に優れている。施工を屋根のみで行なえてボルトも不要なので安価に工事が出来る。 |
▪重ねタイプ | 屋根を重ねて施工するので、断面の強度が優れている。 |
▪嵌合(かんごうタイプ) | ボルトが表面に出ないので美しい仕上がりになる。 |
▪二重葺きタイプ | 二重に葺いた金属の間に断熱材が入っている。室内温度が保たれ、遮音性も高い。 |
▪わん曲加工 | 軒先が曲がっているので雨風の侵入を防ぐことが出来る。積雪なども落下しやすく水ハケが良い。 |
目次
1章 折板屋根の塗りかえ時期と劣化症状
折板屋根の塗りかえ時期と劣化症状についてご紹介します。
適切な時期でメンテナンスを行なわなければ耐用年数(寿命)が縮んでしまうので、劣化症状を見逃さずにメンテナンスを行ないましょう。
1-1 塗装の目安時期
折板屋根の塗装の目安時期は築15年です。
金属の屋根なので、屋根自体が水を吸い込むことはありませんが、水に当たっているとサビが発生します。
ただし屋根材の種類によっては築15年経っても劣化症状がない場合もありますし、築10年ほどで劣化してしまう場合があるので、年数ではなく状態に合わせてメンテナンスをする事が大切です。
1-2 主な劣化症状
メンテナンスが必要な劣化症状をご紹介します。
築年数関係なく、劣化していたらメンテナンスが必要になるので見逃さないようにしましょう。
赤さび
折板屋根はガルバリウム鋼板で出来ていることが多いので、耐久性は高いですが、築年数が経つと傷がついたところから赤さびが発生してしまうことがあります。
赤さびが出ていたら、ケレンをしてサビを落としてからの塗装が必要になります。
白さび
白い斑点の白さびも年数が経つにつれて目立っていきます。
雨などが長期間当たると、腐食から屋根を守るために発生するサビです。
白さびが発生しているということは表面のコーティングが劣化してきている証拠なので塗装をする事が大切です。
穴あき
サビを放置していると、丈夫な素材の屋根でも穴が開いてしまいます。
1.2箇所程度であれば補修後に塗装することも可能ですが、数が多いと交換が必要になるケースもあります。
2章 折板屋根塗装の費用相場
折板屋根の塗装費用は建物の大きさにもよりますが40~100万円前後です。
ただし、塗装の費用は使用する塗料のグレードによって変動します。
▼グレード別の塗装費用相場
また、小さい物置ではなく一般的な建物の屋根の塗装の場合は足場費用もかかります。
足場費用は工事費用の約10~15%ほどかかるので、同じタイミングで外壁塗装や雨どいの交換などの工事を一緒に行なうのがおすすめです。
◆屋根塗装の費用についてはこちらの記事もご参考にしてください。
3章 塗料選びの3つのポイント
どんな塗料で塗装すればいいのか分からない方のために、塗料選びのポイントをご紹介します。
業者に塗装を依頼する方もご自身で塗装しようと考えている方もご参考にしてみてください。
3-1 サビ止め効果のある下塗り材を選ぶ
サビ止め効果のある下塗り塗料を選びましょう。
屋根の塗装は屋根と塗料を密着させる「下塗り」から行います。
そのため下塗りにサビ止め効果のあるものを選ぶことで塗装後のサビの広がりを防ぐことが出来ます。
業者に頼む方は、下塗り材が金属専用のサビ止め効果のあるものになっているか確認し、
DIY塗装を検討されている方は、サビ止め効果のある下塗りを選びましょう。
3-2 遮熱塗料を選ぶ
折板屋根は金属で熱を帯びやすいので遮熱効果のある塗料を選びましょう。
遮熱塗料とは、紫外線を反射して表面温度を下げる塗料です。
表面温度が下がれば室内の温度も下がるので、室内が過ごしやすくなったり、冷房の効きが良くなって電気代の節約になったりします。
特に日当たりがいい建物は効果が出やすいので、遮熱効果のある塗料で塗装するのがおすすめです。
3-3 色は白がおすすめ
屋根の色は白などの明るい色を選ぶのがおすすめです。
紫外線は黒に近いほど熱を持ちます。白に近いほど紫外線の反射率が高く表面温度の上昇を防ぐことが出来ます。
■屋根の色と反射率
出典:日本ペイント サーモアイシリーズカタログ
実際に、工場や倉庫などの折板屋根は室内温度の上昇を防ぐために白く塗装されていることが多いです。
遮熱効果を重視したい方は白か白に近い色を選びましょう。
◆白い屋根のメリットや事例が見たい方はこちら
4章 正しい塗装の施工手順
折板屋根の塗装手順をご紹介します。
丁寧な施工をすることで耐久性が長持ちしますので、正しい方法を把握しておきましょう。
4-1 高圧洗浄
まず高圧洗浄で汚れを落とします。
汚れが付いたままだと、塗料の密着が悪くなってしまいます。
表面を綺麗にして仕上がりを良くするために洗っていきましょう。
4-2 ケレン
塗装を行う前に“ケレン”を行ないます。
ケレンとは、やすりなどでサビを削って落とす作業のことです。
ケレンを行なわなければ、塗料の密着性は落ちてしまいます。
下地処理をきちんと行ってから塗装を行うことがとても大切です。
4-3 下塗り(サビ止め)
ケレン作業を終えたら、下塗り(サビ止め)を行ないます。
下塗りには、屋根材と中塗り・上塗りを密着させる役割があります。
費用を抑えるために下塗りを省いてしまう方もいますが、それはかえって損です。
耐久性が保たれずすぐに剥がれて塗り直しになってしまうので、下塗りは必ず行いましょう。
4-4 中塗り・上塗り
下塗り後、十分乾いたらメインの塗料(=主剤)を塗装していきます。
主剤は通常中塗り・上塗りの2回塗りです。
※塗料によっては2回塗り又は3回別の塗料の場合もあります。
同じ塗料を2回塗ることで塗料の色や膜厚が確保され綺麗に丈夫に仕上がります。
中塗りと上塗りの間もきちんと所定の乾燥時間を空けて作業をしましょう。
★乾燥時間は塗料のカタログをチェック! 出典:関西ペイント アレスクールシリーズ 上記のカタログでは、下塗り後8時間以上の乾燥、中塗り後4時間以上の乾燥が必要と表記されています。 |
5章 折板屋根塗装の3つの注意点
折板屋根の塗装を行う前に3つの注意点をご紹介します。
屋根を適正価格な工事で長持ちさせるためにも工事前に把握しておきましょう。
5-1 塗装面積の出し方が難しい
折板屋根は凹凸があって塗装面積の出し方が難しいので、特にDIY塗装を考えている方は注意が必要です。
面積を正しく出さないと塗料が足らなくなってしまうなどのトラブルが発生します。
折板屋根の塗装面積の出し方をご紹介します。
まず折板屋根は台形部分の高さが88㎜の88タイプと、150㎜の150タイプが広く流通しています。
88タイプの係数は1.4、
150タイプの係数は1.7で、この数字は概算の面積を出す際に必要な数字なので覚えておきましょう。
~例えば以下のような建物だった場合~ a²+b²=c²の式で斜面の長さを求めます。 ■88タイプ 88タイプの場合は、屋根幅×1.4=表面の長さを出すことが出来ます。 3×1.4(係数)=4.2m(棟側の横幅の表面の長さ) 4.2(横幅)×1.04(高さ)×2=8.73㎡ と求めることが出来ます。
■150タイプ 150タイプも同様に、屋根幅×1.7で表面の長さを出します。 3×1.7(係数)=5.1m 5.1×1.04×2=10.6㎡ と求められます。 |
◆屋根の面積の求め方についての詳細はこちら
5-2 アンカーボルト・ナットもケレンが必須
折板屋根の場合、屋根の表面だけでなく、ボルトやナットなどの部品にもケレンが必要です。
こういった部品が錆びてしまうと、そこからサビが広がって穴が開いてしまい雨漏りしてしまうからです。
折板屋根を塗装する際は細かい作業も丁寧に行なうことが重要です。
5-3 穴が空いたら塗装以外のメンテナンス
出典:株式会社マツテック
万が一穴が開いてしまった場合や重度のサビは、塗装では修理が出来ません。
一部分だけであれば部分交換、全体が傷んでいれば全交換が必要になります。
工事費用をおさえるために塗装を行なったとしても数年で寿命がきてしまいかえって損してしまうので、劣化が進んでしまったら交換を行ないましょう。
★DIY塗装は危険がいっぱい! DIYで塗装をしたい方もいらっしゃるかと思いますが、屋根は高所での作業で落下の危険があるのでお勧めできません。 また、ケレン作業や塗装もかなり細かい作業になるので、耐久性を重視したい方はプロに依頼しましょう。 どうしてもDIY塗装したい方は、小さい物置の屋根等、安全に出来る範囲で行ないましょう。 |
6章 無料屋根点検で状態と費用を確認しよう
ご自宅の劣化状況や費用相場を確実に知りたい方は、プロによる点検をしましょう。
屋根塗装で気になるのが費用だと思いますが、適切な費用は現地で計測・点検をしなければ分かりません。
業者によっては屋根を見ないで見積もる場合もありますが、屋根に登る、高所カメラで見る、ドローンで見るなどの方法できちんと点検してくれると安心です。
また、点検時に写真を撮ってもらい、後で状況写真をもらえるのか確認しておきましょう。
証拠となる写真を撮ってくれない業者の報告はあまり信用しないほうがいいでしょう。
◆写真付無料点検を希望される方はこちらのフォームからお申込みください。
⇒無料点検依頼フォーム
まとめ
いかがでしたか。
折板屋根は築15年ほどで劣化症状が出てくるので、塗装メンテナンスが必要です。
他の屋根と違ってケレン作業が必要だったり、面積の出し方が難しかったりと注意点もあるので、塗装をする前に把握しておきましょう。
また、劣化が進んでしまうと塗装ではなく葺き替えなどの工事が必要になってしまうのでプロにきちんと状態を確認してもらった上でメンテナンスを行ないましょう。
最後までご覧くださりありがとうございました。
◆折板屋根から別の屋根に替えたい方はこちらの記事をご覧ください。
⇒屋根葺き替え費用相場がわかる!適正見積りのコツと費用を抑える方法
◆DIYで塗装する際に必要な道具や準備が知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
⇒トタンをDIY塗装する人必見!手順・失敗しないポイントをプロが解説