そろそろ屋根塗装をする予定だが、塗料は一体どんなものがあるんだろう?
うちはどれを選んだら良いの?
とお困りの方も多いのではないでしょうか。
屋根用の塗料は日本国内でもたくさんの商品がありますが、大きく数種類に分けることができます。
種類によって金額や性能も変わってきてしまいますので、きちんとご自身の希望に合うものを選びましょう。
本記事では、一般的な屋根用塗料の種類と、我が家の塗料を選ぶための3ステップ、塗料選びのポイントも紹介します。
ご自身で最適な塗料選びができるようになりましょう。
ぜひじっくり読んでみてくださいね。
目次
1章 屋根用塗料の4つの種類(樹脂の違い)
塗料の主成分は『樹脂(塗膜を作る油分)』と『顔料(色を付ける粉)』です。
屋根塗料はまずこの『樹脂』の種類によって分けられます。
耐久性や金額がそれぞれ違いますので、一つずつみていきましょう。
1-1 ウレタン塗料
耐用年数:8~10年
単価相場:1,700~2,500円/㎡
メリット
- ・金額が安価
- ・密着性、伸縮性が高い
デメリット
・耐候性が低く塗り替え時期が早い
ウレタンは、例えばタイヤのゴムなどにも使われる伸縮性の良い成分です。
ウレタン樹脂の塗料は、安価で様々な素材に使いやすいのが利点です。
かつては屋根にも広く使われていましたが、近年はシリコンなど長く持つ塗料が増えてきたため、あまり使われなくなってしまいました。
今回はとにかく最低限の金額で抑えたい、あるいは流行りの色などにこまめに塗り替えたい方向きの塗料です。
1-2 シリコン塗料
耐用年数:10~15年
単価相場:2,300~3,500円/㎡
メリット
- ・耐久性と価格のバランスが良い
- ・汚れ、色あせなどに強い
デメリット
- ・密着性が低く、下地調整や下塗りの選定が重要
- ・グレードに幅がある
シリコンとは、例えばパッキンなどにも使われるような耐熱性の高い成分です。
シリコン塗料は耐用年数が長く、価格も手ごろなため、戸建て住宅の塗装では非常に人気の高い塗料です。
10年前後で次の塗り替え、というのも目安として分かりやすいです。
ただ、一口にシリコンと言っても質が低く8~9年程度しかもたないものがあるなど、塗料によって差があるのが注意点でもあります。
業者や塗料メーカーのホームページなどで、具体的にどの塗料なのか確認してから選ぶと安心でしょう。
スタンダードに、10年くらい持つ塗装をご検討の方におすすめです。
◆シリコン塗料の特徴についてくわしくはこちら
1-3 フッ素塗料
耐用年数:15~20年
単価相場:3,500~4,800円/㎡
メリット
- ・耐候性が高い
- ・汚れ、色あせなどに強い
- ・光沢感が美しい
デメリット
- ・金額が高い
- ・扱っていない業者もある
フッ素という樹脂は耐熱性や耐候性に優れており、例えばフライパンのコーティングなどにも普及しています。
フッ素塗料は耐用年数が非常に長く、もともと公共建築や大型物件の塗装などによく使われていました。
金額が高いというのが難点でしたが、技術開発によって手の届く範囲まで下がってきたため、この数年で一般の戸建て住宅にも普及しています。
特に日当たりの良いお家の屋根や、海沿いなど塩害のある地域では人気です。
長期的なコストパフォーマンスを良くしたい方におすすめの塗料です。
◆フッ素塗料の特徴について詳しくはこちら
1-4 無機塗料
耐用年数:20~25年
単価相場:4,300~5,500円/㎡
メリット
- ・耐候性が非常に高い
- ・不燃性が高い
デメリット
- ・金額が高い
- ・扱っていない業者もある
無機塗料は、石やガラスなどの無機物の成分(経年劣化しにくい)を取り入れた新しい塗料です。
この数年で大手メーカー各社が戸建て向けの商品を発売し始めたところなので、これから徐々に普及していくと思われます。
とにかく圧倒的な耐用年数の長さが特徴で、今後の塗り替え回数を減らすことができます。
将来的なコストパフォーマンスを良くしたり、これで最後の塗装にしたいという方におすすめです。
2章 特殊機能の有無
屋根塗料は、「遮熱塗料」、「断熱塗料」「光触媒」などの特殊効果の有無でも分けることができます。
同じシリコンでも普通のシリコン塗料か遮熱シリコン塗料など種類がある中から選ぶ、ということになります。
2-1 遮熱塗料
遮熱塗料とは、日光の紫外線を反射することで屋根が熱を吸収するのを防ぎ、室内の温度上昇を減らす塗料の事です。
室温の上昇が抑えられるので、暑かったお部屋が過ごしやすくなる、冷房代の節約になる、電気使用が減るのでエコ、等のメリットがあります。
ただ、冬の寒さを防ぐことはできません。
非常に人気が高いため、ほとんどのメーカーが様々な製品を販売しています。
相場金額は、1章で紹介した相場と同等~+1,000円ほど高くなります。
<参考>
日本ペイントHPより シリコン塗料の比較
種類 | 塗料名 | 材工価格/㎡ |
屋根用シリコン塗料 | ファインシリコンベスト | 2,980円 |
屋根用遮熱シリコン塗料 | サーモアイSi | 3,930円 |
2-2 断熱塗料
断熱塗料とは、熱や冷気の出入りを防いで室内を快適にする塗料です。
夏場は熱が侵入するのを防いで温度上昇を減らし、冬場は熱が逃げるのを防いで暖かさを保ってくれます。
ただ、最近の住宅はもともと屋根に断熱材が入っていることも多いため、お家によっては効果を実感しにくいこともあります。
こちらはあまり開発しているメーカーが無く、商品自体が少ないです。
金額相場は一般的な塗料より1,000~2,000円ほど高くなります。
2-3 光触媒塗料
光触媒塗料とは、日光で外壁の汚れを浮き上がらせて、雨が降ったときに汚れを洗い流してくれる塗料です。
店舗の看板など頻繁に洗浄ができないものなどに使われることが多いです。
屋根の傾きが急で屋根が良く見えるお家などはおすすめです。
ただ、通常のシリコン塗料の1.5倍ほどの値段で少々費用が高いのがデメリットです。
3章 水性塗料と油性塗料の違い
ペンや絵具と同じように、塗料にも水性と油性があります。
例えば同じシリコンでも、水性シリコンか油性シリコンかを選択することになります。
■油性塗料
油性塗料とは、専用のシンナーで薄めてから塗る塗料です(溶剤・弱溶剤系とも言います)。
工事中にシンナーの臭いが多少してしまいますし、保管や扱いも手間がかかります。
しかし、耐久性は非常に優れています。
外壁よりも強い紫外線にさらされる屋根には非常に適しています。
臭いも屋根の上だとあまり気にならないため、外壁ほど心配する必要がありません。
■水性塗料
水性塗料とは、清水で薄めてから塗る塗料です。
シンナーを使わないため臭いも少なく、環境にもやさしいです。
ただ、仕上りの艶が油性より弱く、耐久性もやや劣る場合があります。
(※最近は技術が進んで、油性に劣らない水性屋根用塗料も出てきました)
素材によっては水性塗料しか使えない屋根材もあります(アスファルトシングル等)。
◆水性と油性の違いについて詳しくはこちら
4章 屋根塗料を選ぶ3ステップ
屋根用塗料の種類について一通り知ったところで、いよいよご自宅に使う塗料を選びましょう。
分かりやすく3ステップで解説していきます。
ステップ① 何年持たせたいかで樹脂を決める
まずは塗料の樹脂を決定しましょう。
判断基準は
- ・この塗装で何年持たせたいか
- ・費用とのバランス
です。
| 費用相場 | 耐用年数 |
ウレタン | 40~45万円 | 8~10年 |
シリコン | 42~50万円 | 10~15年 |
フッ素 | 55~70万円 | 15~20年 |
無機 | 63~80万円 | 20~25年 |
※費用相場は建坪30坪、塗装面積80㎡としたときの概算
ステップ② 暑さ・寒さ・汚れ対策が欲しいかで特殊機能を決める
次に、お家の状況や生活の要望に合わせて特殊機能の有無を決めましょう。
- ・夏場に2階のお部屋が暑くて仕方ない
- ・夏の冷房費を節約したい
- →遮熱塗料
- ・夏の暑さと冬の寒さ両方を対策したい
- →断熱塗料
- ・屋根が急斜面で周りから目立つ、汚れが見えて気になる
- →光触媒塗料
- ・特に気になることはない
- ・暑さ寒さ対策は別のリフォームで行う予定
- →特殊機能なし
ステップ③ シンナーが気になるどうかで水性油性を決める
最後に、塗料の水性油性を選択しましょう。
- ・屋根は耐久性を重視したい
- →油性塗料
- ・シンナーの臭いに敏感な家族がいて心配
- →水性塗料
| 水性 | 油性 |
薄めるもの | 水 | シンナー |
臭い | 弱い | 塗装中はシンナー臭がする |
耐久性 | やや劣るものもある | 非常に高い |
5章 より良い屋根塗料選び3つのポイント
この屋根塗装をより良いものにするために、ぜひ知っておいていただきたいポイントを紹介します。
大切なお家を守っている屋根ですので、必ず最適なものを選びましょう!
5-1 外壁塗料と同等かワンランク上を選ぼう
屋根塗料を選ぶ際は、外壁と同じかワンランク上の樹脂のものを選ぶと良いでしょう。
屋根の上は紫外線を遮るものが無く、塗料の劣化も早いからです。
例えば、外壁:シリコン、屋根:フッ素などの組合せは近年人気が高まっています。
実際に塗装業者も、そのようなプランをおすすめしているところも多いです。
普段なかなか見れない屋根も耐久性の良いものを選んでおけば安心です、ぜひ業者に相談してみましょう。
5-2 艶あり塗料を選ぼう
屋根塗料は基本的には『艶あり塗料』を選びましょう。
なぜなら、艶消し塗料だと耐久性が下がったり、汚れが落ちにくくなったりするリスクがあるからです。
一般的な塗料はすべて艶ありなので、特に艶消しと指定していなければ問題ありません。
艶が目立つのを心配される方もいるかもしれませんが、艶あり塗料でも数年経てば徐々に艶は落ち着いてきます。
また、外壁と比べて全体が目に入ることも少ないですので、あまり気にする心配もないでしょう。
通常の艶ありの塗料を使って、しっかり長くもつ塗装にしましょう。
5-3 屋根材に適した塗料かチェックしよう
屋根の素材には様々な種類があり、それによって使える塗料・使えない塗料が出てきます。
ご自宅の屋根に適した塗料を使っているのか、念のため確認しましょう。
万が一適さない塗料を使っていると、塗装後の剥がれなどの不具合につながる恐れがあります。
どの屋根材に使えるかは、塗料カタログやメーカーホームページに記載があります。
「適用下地」「適用素材」などと表記されています。
■塗料メーカーHP記載の例
出典:関西ペイントHP
例えば、皆さんが普段使うボンドや接着剤も、木材には使えるけど金属には使えないタイプ、など素材を選びますよね。
塗料も同じで、素材によって塗料も決まってきます。
基本的には業者がきちんと選定してくれているはずですが、稀に知識のない業者だと気にせずどのお家も同じものを塗っていることもあります。念のためでも確認しておくと安心でしょう。
◆特に注意が必要なのはモニエル瓦・セメント瓦です。
それぞれの塗料選びの詳細は以下をご覧ください。
まとめ
屋根の塗料は、まず耐用年数・費用を決める「樹脂」によって分けられます。
費用相場 | 耐用年数 | |
ウレタン | 40~45万円 | 8~10年 |
シリコン | 42~50万円 | 10~15年 |
フッ素 | 55~70万円 | 15~20年 |
無機 | 63~80万円 | 20~25年 |
それから遮熱・断熱塗料などの「特殊機能」の有無があり、シンナーを使うかどうかの「水性・油性」もあります。
これを踏まえて、塗料選びは
- ①何年持たせたいかで樹脂を決める
- ②暑さ・寒さ・汚れ対策が欲しいかで特殊機能を決める
- ③シンナーが気になるどうかで水性油性を決める
の3ステップで選んでいきましょう。
より良い塗料選びには、
- ・外壁塗料と同等かワンランク上
- ・艶あり塗料
- ・屋根材に適した塗料
というポイントを押さえておきましょう。
大切なお家の塗装のために、お役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
◆特に屋根の遮熱・断熱塗料はとても人気です。具体的な違いや効果についてはこちらをご覧ください。
→遮熱塗料と断熱塗料の違いを徹底比較!性能・費用でみる選び方ガイド