戸建て住宅でよく見られる外壁材「サイディングボード」。
様々な雰囲気のお家があり、とっても素敵ですよね。
見た目は様々ですが、実はサイディングには材質による種類の違いがあり、それぞれ特徴も異なります。
そこで今回はマルっと簡単に『サイディングボートとは』が分かるようにまとめました。
更には、サイディングボードに現れる劣化症状や必要なメンテナンスまで、
永くサイディングと付き合っていく上で役立つ知識をお伝えしますので、
この先しっかりとお家を良い状態で維持していくためにも、是非最後までお読みください。
目次
1章 サイディングボードとは
サイディングボードとは、家の外壁を形成するボード型の外壁材です。
工場で大量に作られたボードを外壁に貼り合わせるので、左官工事が必要なモルタル外壁よりも施工にかかる時間が短く済み、費用も抑えられるのが特徴です。
またデザインや色のバリエーションも多いので、近年の日本においては主流の外壁材です。
1-1 サイディングボードの種類と特徴
サイディングボードは4種類に分かれます。
それぞれ、特徴や、メリットデメリットがあります。
ご自身のお家がどのサイディングボードで、どんなものなのか、この章で確認をしましょう。
窯業系サイディングボード
窯業系サイディングボードは、現在の戸建て住宅で最も多く使われている外壁用建材です。
セメントが主成分で、窯(かま)で高熱処理して作ることから『窯業系』と呼ばれています。
耐火・耐震性が高くデザインも豊富なので、見た目にこだわりある方にも人気のサイディングです。
>窯業系サイディングについてもっと詳しく知りたい方はこちら!
金属系サイディングボード
金属系サイディングボードは、ガルバリウム鋼板やアルミニウム、ステンレスなどの金属でできている外壁用建材です。
ガルバリウム鋼板で出来ているものが主流で、特に戸建てリフォームでは最も用いられているサイディングです。
▼リフォーム用の外壁材の市場規模と素材別シェア
断熱性が高く、軽量で地震にも強いことからリフォームでの需要が高くなっていますが、
その反面、汚れや排気ガスが原因で錆や腐食が発生するので、原因を取り除く定期的な清掃が必要です。
>金属系サイディングについてもっと詳しく知りたい方はこちら!
樹脂系サイディングボード
樹脂系サイディングボードは、プラスチックの仲間である“塩化ビニル樹脂”を主とした外壁用建材です。
欧米では50年以上前から使用されるメジャーな建材ですが、日本でのシェア率は1%程度です。
凍害や塩害に強い特徴から、寒冷地での施工に使われることが多いですが、取り扱いメーカーが少ないのが現状です。
そのため施工できる業者も限られており、あまり普及していません。
木質系サイディングボード
木質系サイディングボードは、木の風合いを生かしたサイディングのことです。
サイディングの耐久性を持ちながら、見た目は木目の温かい雰囲気を持っているので、見た目にこだわりを持ちたい方に選ばれています。
この木目の外観を維持するのに、こまめなメンテナンスが必要とされています。
1-2 サイディングボードの構造
サイディングボードは、以前は12㎜厚というボードの厚さが主流でしたが、
近年ではボード自体の強度向上・施工品質の向上のために15~16㎜厚での施工が標準となってきました。
▲一般的なサイディング外壁の構造
サイディングボードは木造の柱に、防水紙などを施工した後に貼り付けを行います。
この厚くて丈夫なボードを外壁に施工する際に知っておきたい構造が、「目地」と「工法」です。
これはサイディング独自の特徴でもあります。
目地のコーキング
サイディングのボード同士の間は、コーキングというゴム状の建材で埋められています。
もしボード同士をピッタリとくっつけて貼り付けてしまうと、地震などの揺れでぶつかり合い、割れやすくなってしまうためです。
▼緩衝材の役割や、内側への水の侵入を防ぐ役割を持っています。
コーキングも紫外線により経年劣化をします。
また一部メーカーのお家では、ガスケットと言われる目地部材が使われていることもあります。
出典:シャイン
▲ガスケットは工場で成形された部材です。その場で埋め込み形成するコーキングよりも耐用年数が長いのが特徴です。
目地は、サイディング自体の保護に欠かせない構造の1つです。
>目地のコーキングについて更に詳しく知りたいかたはこちら!
通気工法と直貼り工法
サイディングの施工には、「通気工法」と「直張り工法」の2つがあります。
多くの住宅は「通気工法」という、壁面内部に通気空間を設けることで湿気を放出できる工法で建てられています。
ですが、もともと一般的な工法なのは「直貼り工法」で、直接柱にサイディングボードを貼り付けるものです。これは家によってどちらの工法かは異なっています。
【通気工法】外壁構造の断面
家の柱に、「胴縁」を取り付けて、その上からサイディングボードを貼ることで、通気出来る空間を作ります。これにより、内側の湿気を外部に放出できるようにした工法です。
柱の劣化を防ぐ他、空気の層ができるので断熱効果が高まるメリットがあります。
▲胴縁:この上からサイディングを貼ることで、通気空間が出来ます。
【直貼り工法】外壁構造の断面
家の柱に直接サイディングボードを貼る工法です。
施工時の工数が少なく済むのがメリットで、20~30年前は一般的な工法でした。
しかし、通気が出来ないので内部に湿気が溜まりやすく、内部結露が発生したり、表面の塗装が膨れや剥がれが起きやすかったりするデメリットがあります。
>直貼りについてはこちら
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2章 サイディングボード7つの劣化症状
サイディングボードも経年と共に劣化をします。
しかし、毎日お家を細かくチェックする人は、あまりいません。
そのため、気付かぬうちに劣化症状が出ているということもよくあります。
この章で出てくる症状が出てきた場合は、メンテナンスが必要な時期と言えますので、適切なタイミングで実施しましょう。
2-1 チョーキング
チョーキングは、手で外壁を触ると、外壁の色の粉が付いてしまう現象です。
外壁の表面は最初から塗装が施されています。
それが劣化してくると、塗料の成分である顔料(粉)と油分(油)のうち、油分のみが紫外線劣化で飛んでしまい、残された粉が手についてしまうためです。
油が飛んでいるということは、塗装の効果が無くなっている証拠です。
>チョーキングについて詳しく知りたい方はこちら!
2-2 カビやコケ
カビやコケが出ていたら、サイディングの塗装効果が無くなっている証拠です。
防水効果がなくなると、サイディング自体が水を吸い、カビやコケが繁殖しやすくなってしまうためです。
塗装による防水効果があればサイディングは雨などの水を防いでくれるので、カビコケも繁殖しません。
カビやコケはご自身でも気付きやすい、大きな劣化の変化です。
>外壁のコケについて知りたい方はこちら
2-3 目地の劣化
目地には、コーキング(シーリング)という緩衝材の役割の素材が入っていますが、これも劣化します。
ゴム状のこの素材は紫外線劣化により、裂けたり欠落したりしてしまいます。
目地が裂けると、その隙間から雨水が直接家の中に入ってしまいますので、急ぎ補修が必要な劣化です。
>コーキングの寿命について更に詳しく知りたい方はこちら!
2-4 ひび割れ
ひび割れは、サッシ下や目地・釘回りを中心に起こります。
サイディングに施されていた塗装が劣化すると、サイディング自体が雨水を含むようになってしまいます。
雨水を吸ったり乾いたりすることでサイディングが動き、繰り返すことでひび割れてしまいます。
サイディングはとても固い素材ですが、水分を吸うようになることでひび割れを起こしてしまいます。
>ひび割れについて詳しく知りたい方はこちら!
2-5 欠け・欠落
サイディングの劣化が進むと、サイディング自体が欠けてしまったり、欠落してしまったりします。
ひび割れなどの症状に耐えられなくなったボードは、最終的に欠けてしまいます。
ボードが一部でも欠けてしまうと、元に戻すことはもう出来ません。
固いサイディングボードでも、劣化が進むことで欠け落ちてしまいます。
2-6 反りや変形
サイディングの反りや変形は、末期の劣化症状です。
防水機能のなくなったサイディングが、吸水と乾燥を繰り返すことで、最終的にスルメイカを炙ったように反り返る変形をしてしまいます。
変形してしまったものはもう元に戻せないため、こうなる前にひび割れや欠けに気付いてあげることが大事です。
>サイディングの反りについて詳しく知りたい方はこちら!
2-7 過去の塗装の劣化
過去の塗装が劣化してくると、色が変色したり、浮きや剥がれが出てきたりすることもあります。
原因は経年劣化か施工不良の可能性もありますが、すぐに対応が必要な劣化症状です。
特に剥がれや膨れ、浮きが出ている場合は、サイディング自体が傷んでいる可能性が高いため、放っておくと家内部の木材まで水が染み込み、腐らせてしまいます。
▲家の中まで水が染み込み、柱が腐って崩れた状態です。
>塗装の剥がれについてもっと知りたい方はこちら
☆金属サイディングは錆にも注意! 金属サイディングの特徴として、劣化が進むと金属と雨水が反応して錆が発生します。 錆は1度発生するとそこから進行してしまうので、最悪穴があくこともあります。 穴が空けば、ダイレクトに雨水などを家が吸ってしまうため、メンテナンスが必要です。
>金属サイディングの塗装メンテナンスについてはこちら |
3章 サイディングの4つメンテナンス方法
サイディングに劣化症状が出てしまった場合のメンテナンスは、劣化具合によって異なりますが、大きく分けて3パターンです。
メンテナンス名 | 費用相場 |
コーキング補修 | 500~1,200円/m |
外壁塗装 | 80~140万円 |
外壁(一部)張替え | 200~600万円 (一部張替えは面積により異なる) |
※一般的な2階建て住宅30坪の場合
※実際の費用は家ごとに異なるため、あくまで目安です。
3-1 コーキング補修
コーキングの傷みが出ている時は、サイディングボードに水を染み込ませないためにもコーキング補修をしましょう。
補修には、打ち替え、または増し打ちという方法があり、既存のコーキングの状態によって使い分けます。
【打ち替え】
古いコーキングを撤去し、新しいものを打ち込む方法です。
費用相場:900~1,200円/m
コーキングを新品に交換するようなイメージです。
【増し打ち】
古いコーキングの状態が良ければ、その上から新しいコーキングを追加する方法です。
費用相場:500~900円/m
既存のコーキング材を取り除かなくて済む分、費用が安くなります。
>コーキングの打ち替え・増し打ちについてもっと知りたい方はこちら
3-2 外壁塗装
外壁塗装は、サイディング自体の防水性を復活させる工事です。
既存の塗膜が劣化している場合は、塗装工事を行うことで再び新築時のような状態になり、家の保護に繋がります。
チョーキングやカビコケなどの、塗膜劣化による症状が出ていたなら外壁塗装をしましょう。
>サイディング塗装の全てを知りたい方はこちら
3-3 外壁(一部)張り替え
外壁の張り替えは、サイディングが寿命を迎えている場合に、既存のサイディングを取り払って新たに張り替える工事です。
サイディングボード自体が新しくなりますので、費用は高くなりますが、その分長くお住まいになれます。
また、傷みの酷い一部だけを差し替えるような張り替えも可能です。
費用が気になる方は一部差し替えもお勧めです。
但し、既存のサイディングが製造終了している製品だと、似た製品で代用するしかないため、見た目が悪くなる可能性もあります。
▲一部張替え(施工中の様子)
>サイディングボードのメンテナンスについてもっと知りたい方はこちら
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4章 まずは点検をしてみよう
サイディングボードは、築5年を経過していたら、まずは自分で点検してみましょう。
自分で気付ける範囲に劣化症状が出ていないかチェックし、“症状に気付く”ことから始めることをお勧めします。
但し、前述の通り、ご自身でチェックできる範囲には限界があります。
劣化症状を見つけた方、または自分での点検はちょっと…と思われる方は、プロの点検を受けてみましょう。
ご自身で確認できるのはあくまで見える範囲のみですが、プロなら普段目が届かないような2階の細かい部分まで、しっかり点検してくれます。
またプロの点検は、ただ見てくれるだけでなく、
・しっかりと時間をかけて細かく丁寧にチェックしてくれる
・サイディングの知識や施工実績がある
・どこが劣化していたか説明してくれる
といったメリットがあるので、気になる方は是非、プロの点検を受けてみましょう。
>業者選びのポイントを知りたい方はこちら!
★プロの点検なら当社へお任せください! 当サイトを運営するユーコーコミュニティーでは、サイディングの知識が豊富なスタッフが丁寧に点検を実施いたします。 点検は60~90分かけて細かく確認し、全て写真に撮ってお渡ししています。 しっかりと傷んでいた個所や、直すべきポイントを分かりやすくご説明させていただきますので、いつ・どんなメンテナンスをすれば良いのかが分かりやすいと好評です。
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まとめ
いかがでしたか?
サイディングボードは、家の外壁を形成するボード型の外壁材で、近年の戸建て住宅では主流になっています。
その種類は4つあります。
- ●窯業系サイディングボード
- ●金属系サイディングボード
- ●樹脂系サイディングボード
- ●木質系サイディングボード
サイディングボードの構造として、「目地のコーキング」と「通気工法か直貼り工法」について知っておくと、メンテナンスでも役立ちます。
また、サイディングボードは固く丈夫な建材ですが、経年劣化します。
下記7点の劣化症状を押さえて、メンテナンス時期を逃さないようにしましょう。
1.チョーキング
2.カビやコケ
3.目地の劣化
4.ひび割れ
5.欠け・欠落
6.反りや変形
7.過去の塗装の劣化
メンテナンス方法は大きく分けて3つです。
・コーキング補修
・外壁塗装
・外壁(一部)張り替え
適切な時期にメンテナンスするには、点検が重要です。
ご自身で見てみることも大切ですが、プロに見てもらうことで自分では気づけない細かい部分もチェックしてもらえます。
サイディングボードのお家に長く住まうためにも、定期的な点検をしていきましょう。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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